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2018Jリーグ、気になったチーム考察②ヴィッセル神戸〜バルサ化の行く末や如何に〜

【今回のブログを読む前に!】

 

今回のブログは11月の最終週に書きました。

その時はウーゴ・ヴィエイラ(横浜FM)くらいしか報道がなかったので呑気に「センターフォワードが補強ポイント」なんて書きましたが、まさかダビド・ビジャを獲得してくるとは…。

という訳で、今回のブログはビジャ獲得報道が出る前に書いたブログという事を前提にしてお読み頂きますようお願い致します。

ビジャ……観たい……。

ではここから下が本編です↓

 

 

 

 

 

ボヘミアンラプソディ3回目行ったろかしら…

 

どーもこんばんは

 

 

 

さてさて、今回も2018年のJリーグで気になったチームを考察していきたいと思います。第2回はヴィッセル神戸です。

 

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おそらく今や、このチームの動向は神戸ファン以外でも気になるところがあるのではないでしょうか。楽天代表取締役社長でチームのオーナーである三木谷浩史氏の豊富な資金力をバックに、これまでは「順位の割には資金力がある」程度のクラブでしかなかった神戸ですが、三木谷氏と楽天が本格的に参入してからはチーム規模はどんどん拡大路線となってきています。

 

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とはいえ、それまではあくまでマルキーニョスレアンドロなどJでの実績が豊富な高年俸選手の獲得やネルシーニョ監督の招聘などで資金力を発揮していましたが、大きな変換を見せたのが2016年11月、17-18シーズンから親会社である楽天が世界屈指のビッグクラブFCバルセロナのメインスポンサーとなる事が決まり、更に神戸は2017年3月にドイツ代表の10番としてブラジルW杯を制したルーカス・ポドルスキが夏からチームに加入する事を発表。Jリーグに世界的なビッグネームが加入するのは2014年のディエゴ・フォルラン(セレッソ大阪)以来の事でJリーグは大いに湧き上がりましたが、これはまだ序の口でした。

 

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2018年シーズンに向けて、クラブは「バルサ化」を目指すべく改革の動きを本格化させます。楽天バルサの繋がりを活かして2人のチームスタッフを本来なら部外者は一切参加出来ないバルサの指導者研修に参加させ、チームはチームでかつて横浜フリューゲルスバルサスタイルを熟知するカルロス・レシャックの指導を受けた吉田孝行監督の下でポゼッションスタイルへの移行を図る事に。

しかし元々ヴィッセル神戸は躍進を果たした2014年、2016年に代表されるように堅守速攻を売りにし、攻撃は強力な外国人FWの個人の力に委ねていたチームで、所謂バルサスタイルと呼ばれるモノとは対極の位置にいるスタイルでした。

2018年のスカッドポゼッションよりは堅守速攻であったり、フィジカルの強みを活かしたサッカーの方が向いていそうな選手が揃っており、私が観戦した第2節の清水エスパルス戦ではポゼッションを試みようとするスタイルと既存の選手層が明らかに噛み合わず、逆に選手個人の良さに合わせたスタイルを徹底した清水に4失点を喫して2-4と敗北。あの時、当ブログにも私は「バルサ化は考え直した方がいい」的な事を書いていたと記憶しています。

 

 

 

しかし神戸がガチでバルサ化を断行しようとしているのが伺えたのはこの後からでした。ここから吉田監督は選手起用を実績・実力というよりはポゼッションスタイルへの適性を重視した選手起用を試みるようになり、元日本代表のハーフナー・マイクや昨シーズンまで主力だった小川慶治朗橋本和らが出場機会を減らした反面、郷家友太、ティーラトンといった選手がコンスタントに出場機会を掴み、チームとしての方向性が一致した事で飛躍的とは行かずとも神戸の成績は徐々に向上していきます。

そんな中でバルサ化に向けたラストピースとして発表されたJリーグ史上最大級のニュースがアンドレス・イニエスタの獲得でした。

 

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神戸が目指しているペップ・グアルディオラ時代のバルサで、まさしくキープレイヤーとして輝いていたイニエスタの獲得は大きな意味を持ち、ある程度土台は作っていた神戸のポゼッションスタイルにイニエスタを嵌め込んだ事でイニエスタ獲得直後の第18節柏戦、第21節磐田戦、第23節湘南戦などでは内容でも見事な試合を見せて勝利。7〜8月くらいの神戸ファンはまさしく天にも昇るような気持ちだった事でしょう。

しかしバルサが確固たる哲学と育成組織の長年に渡る働きが産み出したバルサスタイルはイニエスタ1人チームに加えたところで熟せるような代物ではありません。第24節の横浜戦に0-2で敗れた神戸はここから苦難が始まります。


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バルサスタイルと言えば中盤での華麗なパス回しが真っ先に思い浮かびますし、実際にそれがメインと言えばメインです。しかし勘違いしてはならないのが、この戦術の肝は別のところにもあるという点です。

2008年、バルサの監督に就任したグアルディオラが最初に着手したのは守備の改善でした。そのシーズンの補強ではダニエウ・アウベスジェラール・ピケマルティン・カセレスと言ったDF陣、守備的MFのセイドゥ・ケイタなど守備力改善の助けになる選手から補強。バルサスタイルを徹底するならDF陣にもポゼッションスタイルに貢献する事が求められ、尚且つ高い戦術理解度が必要となりますから個人能力の高い選手が必要で、グアルディオラバルサが世界を席巻していた頃、世界中のチームが目指したバルサ化が悉く失敗したのはパス回し・ポゼッションの意識ばかりに気を取られ、他でもないグアルディオラ自身が強調している守備の重要性を見落としていた事が大きな原因の一つと言えます。

 

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また、ポゼッションスタイルを徹底する上でもう一つ大事なのはフィニッシャーをはっきりとさせておく事で、グアルディオラが率いたチームであればリオネル・メッシロベルト・レヴァンドフスキセルヒオ・アグエロらがこれに該当します。例えば第18節柏戦での神戸はこれがある程度出来ており、センターフォワードウェリントンはあくまで潰れ役に徹する事でウイングに位置した増山朝陽と郷家友太が中に入ってフィニッシュ、という形が成り立っていました。

神戸が9〜10月の試合で1回も勝てなかったのはイニエスタの負傷離脱、守備の統率がぐちゃぐちゃになった事も要因ですが、フィニッシャーの部分がハッキリしなかった事が挙げられます。特にセンターフォワードの役割をはっきりさせる事はバルサ化を目指す上では欠かせない要素で、神戸はウェリントンにしても長沢駿にしても悪い選手でない事は確かですが、役割を固定するにはフィニッシャーとしてもポストプレイヤーとしてもやや中途半端です。

結局、第26節のG大阪戦で逆転負けを喫した神戸は吉田孝行監督を解任。暫定監督として林健太郎コーチが2試合指揮した後、第29節長崎戦からグアルディオラの師匠」とも呼ばれるファン・マヌエル・リージョ監督を招聘しました。

 

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ポゼッションサッカーに溺れがちなところがこれまでのキャリアにあったリージョには当然不安の声もありましたが、ポゼッションをベースに選手が機能する形をうまく見つけつつあるのはさすがリージョと言ったところでしょうか。第31節名古屋戦以降、神戸は4-3-2-1と言える形を採用し、古橋亨梧をワントップに置いた後ろにポドルスキイニエスタを配置。「ポゼッションに貢献できるDF」という面ではぴったりな伊野波雅彦を左ボランチの位置で活用した事で守備は一定の安定感を見せました。

第32節の鳥栖戦ではその色が濃く出ていて、サイドに空けたスペースを左サイドバックティーラトンが何度も突くというシーンが見られたように、あの4-3-2-1は今の神戸にとって一つの答えに近いシステムであり、「バルサ化=バルサのコピーでなくてもいい」という事をしっかり受け入れられているのではないでしょうか。

 

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一つ惜しいのはイニエスタの獲得と時を同じくしてボランチチョン・ウヨンカタールへの移籍で失った事。中東とのマネーゲームに勝てるポテンシャルを持っているのは神戸くらいでしょうし、チョン・ウヨンをチームに残せられれば中盤の底でバルサで言うところのブスケツの役割を期待出来たような気がします。

一方で、前述の鳥栖戦では左右ともにサイドバックに実力者を獲得出来ればあのシステムは化ける気配を感じました。現在バルサアドリアーノ・コレイアを獲得するという報道が出ていましたが、彼を獲得出来ればそれは相当大きな補強と言えるでしょう。個人的には、現在中国でプレーしているハビエル・マスチェラーノとか獲得して欲しいなぁ…なんて思ったりもしていますが、今期の補強ポイントはまずDF陣で、その次にセンターフォワードだと思います。

 

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これまで世界中で現れたバルサ化を目指すチームは守備面での勘違いと見落としもそうですが、なによりも「自分のチームにメッシはいない」「自分のチームにシャビはいない」「自分のチームにブスケツはいない、ピケもアウベスもいない」というどうしようもない壁にぶつかっていました。

ですが今の神戸がそれらのチームと明らかに違うのは「イニエスタはいる」という事。神戸のプロジェクトが成功に至るか失敗に終わるかはわかりませんが、来シーズンにも神戸は今目指す独特の世界に向かって走ってみて欲しいと思っています。

 

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イニエスタトーレスのコラボタオル買えてよかった…(//∇//)

ではでは(´∀`)