今シーズンの思い出なる写真Instagramに上げまくってるので見てちょ。
どーもこんばんは
JリーグとかロシアW杯とかとかとか。
さてさて、年末ですね。
年末ではありますが、今回はお金や経営状態に纏わる現実的なテーマを取り上げてみたいと思います。
当ブログでも何度か取り上げていますが、ルーカス・ポドルスキ、アンドレス・イニエスタを獲得し、来季からはダビド・ビジャの入団が発表されるなど、ヴィッセル神戸がクラブとしての経営規模をどんどん拡大しています。
そして、神戸が戦力などを拡張する際に必ずと言っていいほど名前が上がるのが、日本のIT企業であり、ヴィッセル神戸の親会社となっている「楽天」の存在です。
Jリーグに於いて親会社の存在というものは常に一つの大きなテーマですが、神戸の近年の躍進で初めて「親会社とクラブチームの関係」的なものを意識するようになった方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、まず親会社を持つクラブと持たないクラブは分かれますし、そもそも親会社の中でも色々なケースがある訳で、一概に定義する事は出来ません。
そこで今回は、頭に入れておくと少し違った角度でJリーグを観れる(かもしれない)、Jリーグチームの親会社などを含む経営母体に関する話を、パターン別に纏めていこうと思います。
(2020年4月追記:このブログは2018年に更新したものですので、情報にはタイムラグが生じていたり諸々の事情が変わっている部分もあります。ですので、同様のテーマを扱った2020年1月5日付のブログも併せてご覧下さい↓)
まずは2018年シーズンのJ1に於ける、胸スポンサー企業を確認していきましょう。
A 浦和レッズ→POLUS
C 清水エスパルス→鈴与
A セレッソ大阪→ヤンマー
D サガン鳥栖→DHC
C V・ファーレン長崎→ジャパネットたかた
…とまぁ、こんな感じになります。
横に振ってあるアルファベットには一応意味があって、Jリーグチームの親会社の有無や形態については大きく分けて4つあると考えています。パターン毎にここから書いて行きますので、横の数字はパターンAに当てはまるチーム、パターンBに当てはまるチーム…というようにお考え下さい。
という訳で、ここから4つのパターン毎に分けて色々と考えてみましょう。
【パターンA:元々親会社のサッカー部として設立され、現在でも該当企業が親会社、筆頭株主、或いは該当企業の子会社となっているクラブ】
2018年J1該当チーム:鹿島、浦和、柏、FC東京、川崎、横浜FM、磐田、名古屋、G大阪、C大阪。
メリット
①親会社というバックが確実に付いており、クラブとしての収入が少なくても親会社からの予算や赤字補填が期待出来る。
②安定した財政状態を保つ事が出来るので慢性的な金欠にも危機的な経営難に陥る事も基本的には起こらない。
デメリット
①社長のポスト等は親会社の出向人事になりがちになるなど、親会社の派閥や権力的な争いにクラブが巻き込まれる事も起こりうる。
②必然的に親会社に依存する形になる為、親会社が撤退すればその瞬間に窮地に立たされる。
このパターンの多くは1993年のJリーグ開幕以前に運営されていたアマチュアリーグ「JSL(日本サッカーリーグ)」時代から社会人チームとして活動していたチームです。例えばG大阪なら「松下電器産業サッカー部」、横浜FMなら「日産自動車サッカー部」と言ったように、企業のサッカー部として発足したものが母体である事が殆どと言えます。J2であれば大宮、千葉、徳島などがこのパターンに属すと言えます。
まず、これらに該当する企業はサッカー部を持てる余裕があるくらいには大きい企業である事が多いです。その為、パターンAのチームのメリットとしては企業のステータスとしてもクラブチームを持つ、クラブチームが好成績を残す事は宣伝としてもそこそこ大きい為、親会社からの予算というものがスポンサー以上に見込める事になります。
これとは別にクラブとしての収入も当然発生するので、事実上クラブは親会社からの資金とクラブとしての収入の両方から予算を確保出来る計算になり、必然的に安定した資金力をキープ出来る事になります。パターンAに競合と呼ばれるクラブが多く名を連ねているのも必然と言えるでしょう。
無論、資金力に関しては鹿島や浦和と徳島などを並列には語れませんが、仮にクラブとしての収入が少なく、赤字になったとしても親会社からの補填が入る事もあるので、クラブとして経営危機に立たされる確率も極めて低いところは共通と言っていいでしょう。
しかし、親会社の影響がそれだけ強い事は決してメリットだけではなく、しばしば親会社の意向に左右される事は少なくありません。
象徴的なものが社長人事で、多くは親会社からの出向人事になりがちな部分があります。勿論、その中にはサッカーに熱意を持った優秀な社長さんが就任する事も少なくはないので一概に悪い訳ではありませんが、全員がそういう人である訳ではないですし、何よりも親会社の権力争い・派閥争いにクラブ側が巻き込まれる事も起こりうるのです。
加えて、このパターンの場合はどうやっても親会社への依存度が高くなってしまう為、かつてのベルマーレ平塚、東京ヴェルディのように親会社の動向でクラブ存続の危機を迎えてしまう事も稀に起こります。実際にJリーグには横浜フリューゲルスという前例もある訳ですから…。
万が一そうなった時の為にも、浦和が実現出来ているようなクラブ単体で安定した財政を築く事は重要です。とはいえ、横浜Fのケースは戒めとして胸に刻んで置かなければいけない一方であればレアケースと言えばレアケースですから、パターンAに該当しているクラブが経営は1番安定している、という事は間違いありません。
【パターンB:クラブ設立時は親会社の存在があったが、現在では親会社や筆頭株主といったポジションではなくスポンサーという形での支援に留めているクラブ】
2018年J1該当チーム:仙台、広島
メリット
①かつての親会社との繋がりとして有力スポンサーを一つ確保出来ている状態は保たれるので、最低限の資金は安定して計算出来る。
②かつての親会社と呼べる企業から安定して多くの収入を得られる訳でないが、クラブ支援には留まっている為にルートなどは利用する事が出来る。
デメリット
①「絶対的に多くの資金を配当してくれる企業」は無い事から、あくまでいちスポンサーとして以上の収入を得る事は出来ない為、必然的に選手を獲る側ではなく獲られる側のクラブとなる。
元々仙台は東北電力サッカー部、湘南は藤和不動産サッカー部、広島は東洋工業サッカー部として活動していましたが、今では2チームとも胸スポンサーは別の企業であり、これらの会社は現在ではスポンサーのうちの一つに落ち着いています(東洋工業は現在のマツダ)。
一つの有力スポンサーとして付いている事に加えて、元の親会社+別の胸スポンサーという形になる為に最低限の資金は安定して維持する事が可能ではありますが、パターンAで述べたように親会社がガッツリ援助してくれる訳ではないので、余裕とは中々言えない形になります。その為、例えば選手を買う為には選手を売るという作業が必須になってくるので、傾向としては選手を獲るより獲られる側のクラブとなりがちでもあります。
【パターンC:元々は親会社を持たないクラブだったが、後にオーナー、及び企業が買収する形となり、実質的に親会社を持つ形となったクラブ】
2018年J1該当チーム:清水、神戸、長崎
メリット
①多くの場合が進んでクラブを買収している為、戦力のみならずクラブ施設などに於いても積極的な投資を期待する事が出来る。
②財政難や経営に苦しむチームにとってはまさしく一発逆転が可能になり、一気に財政危機を跳ね返せる事になる。
③大抵買収を図る人・企業には知名度があり、「買収」という言葉にもニュースバリューがある為、クラブの注目度を高める事も出来る。
デメリット
①オーナークラブの場合は特に、オーナーの現場介入の可能性があり、私物化されてしまう事も有りうる。
②急激な財政的な飛躍を迎える為、逆にオーナー・企業が撤退した際には急激に成長した反動を受けて危機に陥る可能性がある。
③会社というよりも、オーナーや社長の意向で買収・参入を決めている事が多い事から、経営陣の再編や社長の代替わりの度に支援継続か否かの危機を迎える事になる。
今、世間で注目を集めている神戸や長崎はこのパターンです。また、J2ではサイバーエージェントの参入が発表された町田もこのパターンで、パターンAと思われがちな京都は成立過程的にはどちらかと言えば此方に属します。
神戸にしても長崎にしても、楽天の代表取締役である三木谷浩史氏やジャパネットたかたの高田明氏の登場でクラブ存続すら危惧される程の危機からV字回復を遂げ、神戸はもう説明不要ですし、長崎もクラブ規模をどんどん拡大させています。スタジアムなどの設備問題でJ1ライセンスを交付されなかった町田も、サイバーエージェントの参入により施設面への投資もしていくみたいですし。
このパターンCは、パターンAが元々「福利厚生」としての意味合いが強かったりするのに対し、パターンCの場合は「宣伝」「自分の趣味」「地元への貢献」など、社長の自発的な行動である事が多いので、神戸や長崎が実際にそうであるように戦力のみならず設備面に於いても積極的な投資を期待出来ます。
一方で「現場介入」が起こりうる土壌が出来てしまう事も事実で、それがクラブにとって良くない状況を生み出す事も起こりがちです。加えてクラブ買収・参入を決めた社長が退任した暁には、次期社長となる人物もクラブを支援してくれるか、と言えばそうではありません。もしそれで撤退というような事態になれば、急激に予算が増えた反動の揺り戻しは相当大きく、主力の大量流出で済めばマシな方…とすら言えます。オーナーというよりは設立会社だったのでパターンAに近いですが、かつての東京ヴェルディの例が1番わかりやすいのではないでしょうか。
ある意味でこのパターンCはAll or Nothingとも言える形態である為、神戸や長崎は上昇気流に乗る今のうちにクラブとしての価値を固めてパターンAの状態に近づく事が最も大切と言えます。
【パターンD:親会社と言える企業を持たず、所謂市民クラブとして活動しているクラブ】
2018年J1該当チーム:札幌、湘南、鳥栖
メリット
①親会社がいる事で生じるしがらみなどが無い為、独創性のあるクラブ運営などを展開でき、特徴的なブランドを確立出来る可能性がある。
デメリット
①有力なスポンサーを見つけられない限り、財政的な問題は常に付きまとう事になる。財政的な余裕と安定を得る事は中々難しい。
企業ではなく、市民クラブや地元OBなどが中心となって設立されている事が多いのがこのパターンDで、1993年のJリーグ開幕以降にJリーグ入りを目指したチームにはこのパターンが多いです。その為、現在でもJ2、J3ではこのパターンDに該当するチームが多く見られます。湘南ベルマーレのように、親会社が撤退した事で運営会社を親会社を持たない形に設立し直したケースもパターンDの一種と言えるでしょうか。
親会社と言える存在が居ない為、パターンA、パターンCのように親会社などの権力闘争に巻き込まれる事も横槍が入る事もないので、比較的自由な発想でクラブ運営を進める事が出来ると言えます。例えば札幌の野々村社長のように、個性的なタイプの社長が出てくるのはこのパターンDの特徴と言えるでしょう。上手くやれば、それで一つのオリジナリティのあるブランドを築ける可能性もあります。
ですが親会社が居ないという事はそこからの援助などは見込めず、スポンサー探しなども一からの作業となります。鳥栖にとってのCygamesみたいな存在でも現れない限り劇的に財政が向上する可能性は少なく、そしてそれも親会社ではなくスポンサーに過ぎない為、投資に見合わないと判断されれば大きな収入源を失う事にもなります。自由な発想とクリエイティビティを発揮しやすい一方で、クラブの財政が行き詰まる可能性も小さくないのがパターンDになります。
今回はあくまでJ1に限定して話を進めていきましたが、基本的にはJ2もJ3も大きく分けるとこの4つに分類されると考えられます。
勿論、その中にも程度や差はあるので一概に断定する事は難しいですが、それでも少し頭に入れて置いて貰えればまた違った見方が出来るのではないでしょうか。
ねえねえ、まだガンバにセンターバック来ないの…?
ではでは(´∀`)