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バイロン・モレノのインタビューを機に振り返る、2002年日韓W杯の韓国代表と審判について【疑惑のポルトガル、イタリア、スペイン3連戦】

背中を押して欲しい

 

……あっ、マッサージ的な意味です。

 

どーもこんばんは

 

背中が痛いの。

 

さてさて、今月31日で、日韓W杯の開幕からちょうど17年となります。

 

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ほっこりエピソードから、全然ほっこりじゃないエピソードまで色々飛び出した日韓W杯でしたが、今なお議論の対象となっている案件はやはりベスト4に進出した、韓国代表の快進撃についての疑惑でしょう。

 

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まず経緯を簡単に説明しますと、名将フース・ヒディンク監督に率いられた韓国代表はポーランドアメリカ、ポルトガルと同居した厳しいグループを2勝1分で突破。迎えた決勝トーナメントではベスト16はイタリアを延長戦で、ベスト8ではスペインをPK戦の末に下し、アジア勢初のベスト4という成績を残しました。

しかしグループリーグ第3戦のポルトガル戦でポルトガルに2人の退場者が出た辺りから疑惑は付き始め、その疑惑はイタリア戦で更に深まり、続くスペイン戦で決定的となった事から、当時は原則として「対戦チームの所属していない大陸出身の審判を採用(即ち、韓国vsイタリアならアジアとヨーロッパ以外の大陸出身の審判が笛を吹く)」というルールを撤回してまで、準決勝以降は全試合ヨーロッパ出身のレフェリーが笛を吹く事が決定。2004年に制作されたFIFAのDVDの中の1コーナー「W杯10大誤審」では2002年W杯の韓国絡みの試合が4つもランクインするという事態に至っています。

 

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その余波は今もなお続いており、確かにネット上にはデマやソースが不明瞭なものも無い訳ではありませんが、未だに批判的なコメントがあったり、ロシアW杯開幕前に過去のW杯の名場面としてFIFA公式Instagramがイタリア戦のアン・ジョンファンの決勝ゴールをアップした際は軽く炎上したりした事は事実な訳で。

…で、何故今こんなブログをわざわざ更新するの?というと、先日、韓国vsイタリア戦の笛を吹いたバイロン・モレノ主審が母国エクアドルでインタビューに応じ、その内容がイタリアを始め、たちまち世界中で話題になりました。


 

上記のサッカーダイジェストの記事にあるように、モレノジャンルカ・ザンブロッタに対するファン・ソンホンのタックルこそ誤審と認めたものの、それ以外に関しては概ね正当なジャッジだったと主張。その上、当時のイタリア代表監督であるジョヴァンニ・トラパットーニの采配を記憶違いで批判するなど言いたい放題の内容でした。

そこで今回は、はたして本当に買収に近いものはあったのか?あの時の韓国代表は実際に躍進に値するチームだったのか?そしてポルトガル戦、スペイン戦はどうだったのか?…という事を、このモレノのインタビューを機に、そしてDAZNの企画である「Jリーグジャッジリプレイ」が話題になっていたり、VARの導入などが推進されている今だからこそ、改めて冷静に考えてみたいと思います。

 

 

 

①そもそも、モレノのイタリア戦のレフェリングは妥当だったのか?

 

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この試合で大きく話題になった判定は大きく分けて5つです。

 

①前半開始早々のPK判定

ザンブロッタへのタックル

マルディーニへの暴力行為

トッティのシミュレーション

トンマージのゴールがオフサイド

 

前述のように、モレノはインタビューに於いて②については誤審を認めたものの、③は見てなかった、④は正当なジャッジだった、⑤は「オフサイドでは無かった」事自体は認めたものの、あくまでそれは副審の責任という主張でした。

実際、⑤に関してはモレノの言い分も分からなくはありませんし、実際に主審がオフサイドか否かを判定する事には無理があるでしょう。一方で、③に関しては映像を確認すると「見ていなかった」という割には距離や角度的にそれなりに把握出来そうな位置にモレノは立っていたので、「見ていなかった」とバッサリ言われても違和感だけが残ります。少なくとも、ファウルが起こったくらいの認識は最低限出来たはずです。

 

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そして最も大きな話題になったのが④のフランチェスコ・トッティがシミュレーションと判定され、2枚目のイエローカードで退場となったシーンで、映像を見ても、何度見ても韓国のソン・ジョングクの脚にトッティが引っかかって倒れている事は明らかと言えます。冷静に何度も見れば見るほど、PKが妥当と言えるシーンでした。

これに関してはモレノ「韓国の選手が先にボールに触れ、それからトッティに触った」という主張をしていますが、よくよく考えてください。「韓国の選手が先にボールに触れ、それからトッティに触った」というのが、PK判定を見逃す理由なのであれば理解は出来ます。でもモレノは自分で「韓国の選手がトッティに触った」事も認めているのです。この時点でトッティは「自分で倒れた」のではなく「韓国の選手に当たった事で倒れた」という事をモレノ自身が証明しており、実質このプレーがシミュレーションには値しない事を自ら証言してしまっているのです。

 

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しかし、この試合のレフェリングの最大の問題点はこれらの大きなシーンというよりも、それ以上に試合中に何度も訪れた細かいシーンの部分です。

韓国というチームは伝統的に、良くも悪くもファウルを恐れないチャージを多くするチームです。その為、激しいフィジカルコンタクトや際どいシーンが増えるのは仕方ないのですが、この試合の最大の問題はそのようなシーンのほぼ全てが韓国に有利な判定となっていた事です。

上で挙げた5つの判定のうち、①に関しては、まあPKを取られてもしょうがないんじゃないかなと思いますし、他のジャッジについてもやましい事実はなく、ただの誤審なのかもしれません。しかし際どいシーン、いや、際どくもないシーンすら韓国有利の判定ばかりが続いたという前提を踏まえると、一見正当なジャッジに見えた①のシーンも「ファウルだったからPKにした」のではなく「際どいからとりあえず韓国PKにした」ように見えてきてしまいます。

ここまで続くと、もう審判の能力の欠如やただの誤審ではないものを疑わざるを得ません。

 

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ポルトガル戦、スペイン戦について。

 

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正直なところ、ポルトガル戦については試合を単体で見るとポルトガル戦に関してはギリギリもギリギリホームアドバンテージの範疇なのかな、と少し思っていました。2人退場は珍しい事ですが全く無い事でもないですし、ジャッジが韓国寄りとはいえどもイタリア戦、スペイン戦ほど露骨とは思いませんでした。

そしてイタリア戦に関しても、こんな事を言うのも辛いですが、イタリアにも(韓国の買収があったであろう事は重々理解した上でも)若干の非はあったと思います。そもそもイタリアにとってはグループを2位で通過してしまった事がケチの付き始めでしたし、88分のソル・ギヒョンの同点ゴールはパヌッチのクリアミスが招いた点だったという要素がある事、そしてクリスティアン・ヴィエリジェンナーロ・ガットゥーゾが大きな決定機を逃したという要素は確かにあったなど、苦しいながらも韓国を打ち砕くチャンスはあった事も事実でした。

 

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ただ、それに対してスペイン戦はもっと無茶苦茶で、個人的にはイタリア戦よりもスペイン戦の方がヤバい試合だったと思っています。

スペイン戦では前述のイタリア戦と同じ前提を孕みながら、何かがトチ狂ったとしか思えない不可解な判定でゴールを二度取り消されてしまっています。「正当に決めたゴール消されてどないして勝てっちゅーねん…」…スペインの選手はそう思った事でしょう。スペインは正当なゴールを2点も決め、韓国を無失点で抑えもしたのに敗退を余儀なくされた…私としてはイタリア戦以上にスペイン戦はクロだと思っていて、そしてまだホームアドバンテージくらいかな…と思っていたポルトガル戦も、イタリア戦とスペイン戦を踏まえると意図的なものがあったように感じています。

 

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③実際問題、2002年の韓国代表は躍進に値するチームだったのか?

 

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審判買収問題とは別に、2002年日韓W杯の韓国代表は非常に組織された実力あるチームで、躍進には十分値するチームでは一応あったと思います。フース・ヒディンクという名将の下で国内リーグを中断してまで合宿を行い、パク・チソンというニュースターも擁した当時の韓国代表は、ベスト4という成績を抜きにしても韓国代表史上最も強いチームであった事は事実でしょうし、ホームアドバンテージもありますから、少なくとも決勝トーナメント進出までは十分に妥当と言えたチームだったと言っていいと思います。ヒディンクの攻撃的な采配は多くの監督にも影響を与えるなど勢いは確かにあったので、イタリアも不調といえば不調でしたから、何もノーチャンスという訳では無かったと言ってもいいでしょう。

しかし、実力的に良い意味でベスト16くらいが妥当だったチームを、当時FIFAの副会長を務めていたチョン・モンジュン韓国サッカー協会会長(現代社長)を中心に、その確率を上げる為に禁断の所業に手を出してしまった…この事はイタリア、スペインという明確な被害者も生んでしまった残念な行動として、W杯の汚点だったとしか言えません。これさえ無ければ、韓国も「ちょっと怪しかったけど頑張った開催国」という認識で終われたはずの力は持っていたのに。

 

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今回のブログに関しては、何かと賛否両論だとは思います。しかし今回のモレノ氏のインタビューが話題になった事や、Jリーグジャッジリプレイなどでレフェリングへの関心も高まり、世界的にもVARの導入などが騒がれている中、一つの参考資料として振り返るには良い機会だと思いました。

私個人としては、まだまだ解決すべき問題はあるにせよ、VARの導入には概ね賛成です。その賛成の理由は一つではありませんが、非常に大きな理由の一つは日韓W杯の韓国vsスペイン戦であるという事を最後に付け加えさせてください。

 

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というか鄭夢準氏は承知の時点できな臭くはあったみたいだし…。

ではでは(´∀`)