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京都サンガFC、今季の躍進の中身を考える。

昔、自転車の鍵だけ盗まれた事ある。

 

どーもこんばんは

 

あれクッソ虚しいぞ。

 

さてさて、今週はJ1が中断期間ですので、久し振りにJ2…京都サンガFCの話をします。

 

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昨シーズン、何故か続投させてしまった布部陽功監督の下で低空飛行どころか離陸失敗状態のシーズンを歩み続けたサンガ。5月以降はボスコ・ジュロヴスキー監督が就任し、なんとかJ3降格という最悪の事態は免れたものの、J2でも間違いなく上位の戦力・予算を保持しながら19位というクラブ史上最悪の1年を過ごしてしまいました。

 

 

で、クラブ創立25周年となると共に西京極陸上競技場で最後のシーズンとなる今年、クラブはJリーグでの指導経験の無い中田一三監督を招聘。「布部氏の失敗を踏まえているのか?」とも言わんばかりの人事に加え、中田監督のTwitterでの奔放な言動も重なってサンガファンは今シーズンの行く末に不安ばかりを抱いていました。大丈夫か、コレ…と。実際このブログでもそんな感じのブログを何本かアップしちゃっていますし、布部氏という前例があるからこそ、サンガファンが開幕前に抱いたファンは布部氏就任時以上だったかもしれません。

 

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そんな中で迎えた2月24日のアルビレックス新潟との開幕戦、0-0の引き分けでは勝利は出来ませんでしたし、選手の配置などに疑問が付くところはありました。

 

 

しかし、今までのサンガの序盤戦と違ったところはポゼッションサッカーという「中田監督の目指す方向性」というものがピッチの上でしっかりと現れていて、これは「とりあえず適当に蹴って、とりあえず適当に競って、とりあえず適当に押し込む」事で何の上積みも見込めないサッカーを繰り返したインスタントサッカーとも言えよう布部時代からは遥かに進歩した点と言えました。新潟戦、そして柏レイソル戦、モンテディオ山形戦のマッチレビューは選手の配置や攻撃の流れについて少し厳しめの感想を書きましたが、それは逆に中田サンガではベース戦術はしっかり構築されていたからこそ「ここを少し変えれば上手くいきそう」というビジョンがハッキリと良い意味で欠点を浮き彫りに出来るサッカーを今年のサンガは見せていたからで、まずそこが昨季の当たりの目が1しかないサイコロを振り続けたサンガとの大きな進歩だったと思います。実際、各サッカーメディアでサンガの変化が頻繁に取り上げられていましたが、サンガのサッカースタイルが話題になるのなんて大木武監督時代以来ですしね。

 

 

そして第8節栃木SC戦に勝利すると、3バックから4バックに戻して第9節ツエーゲン金沢戦を勝利したサンガは、ポゼッションという骨組みに肉が付き始めた事で本格的な躍進を見せます。第8節栃木戦以降は6勝2分1敗と完全に波に乗り、第16節終了時点で首位山形と勝点差3の4位。特に5月…令和になってからは4勝1分と未だに負け無しで、贔屓目無しに見ても素晴らしい成績ですし、昨季の今頃は最下位争いでハアハアゼエゼエ言っていた事を思えば同じチームとは思えない進歩です。

勿論、この好調がいつまで続くのかはわかりませんが、少なくとも現段階では自動昇格すら狙える位置に付けているサンガ。前置きが長くなりましたが、今日は今のサンガの好調の要因を分析してみます。

 

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まず、今季のサンガのポゼッションスタイルを語る上で欠かせないのは昨季途中にベガルタ仙台から獲得した庄司悦大の存在です。大木武監督率いるFC岐阜時代にパスサッカーを体現していた庄司は昨季途中に入団し、田中マルクス闘莉王やカイオにクロスを放り込むサイドアタッカーへのパサーとしてサンガのJ2残留に大きく貢献しましたが、今季はチーム全体としてパス回しの意識が高まり、その上で庄司をセントラルMFの一角やダブルボランチの一人ではなく、アンカーとして庄司をフリーマンのような独立したポジションに置く事で「パサー」に留まらず「レジスタ」「司令塔」としての能力を存分に発揮させています。

開幕直後は配置の都合もあって、横パスでリズムを作る、チーム全体の流れを構築する仕事がメインでしたが、センターFWに一美和成というポストプレーも出来るFWを起用するようになった事で、庄司からの縦パス→一美を経由→小屋松知哉や仙頭啓矢が抜け出すというような連動性のある攻撃パターンも使えるようになった為、庄司の仕事は更にやりやすく、そして彼の能力が更に活かせるようになっています。

 

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これに加えて、セントラルMFを担う重廣卓也、福岡慎平の2選手は庄司をある程度司令塔としての仕事に専念させられるだけの運動量、そして自身らがアタッカーにもなれる力を持っている事から、逆三角形型の現在の中盤の相互性を高めて大きな効果を発揮しています。

また、開幕当初はパスサッカーをする割には両ウイングが開き過ぎてチャンスに繋がりにくい…なんて場面も多かったですが、今の小屋松、仙頭は中に切れ込む動きを積極的に見せる事で、ボールを溜める事も出来る一美との攻撃陣の連携に於いて高いケミストリーを発揮出来ており、サイドの空いたスペースには黒木恭平、石櫃洋祐といった攻撃的なサイドバックがしっかりとフォローするというシステム化された攻撃がバッチリハマっていると言えるでしょう。

その意味でも、一美をセンターフォワードで起用するようになった事でどこか「惜しい」停滞感が募りつつあった今季のサンガの攻撃は今、一つの答えを見出しているのでは無いでしょうか。今季のサンガのキーとなる試合は明確な方向性を示した開幕戦の新潟戦、そして一美を先発で使い始めた第8節栃木戦の2試合と言えるでしょう。開幕当初にセンターFWで起用されていた宮吉拓実は、今季のサンガの戦術でセンターFWとなると余り適性が無く、その部分のミスマッチがサンガの攻撃の停滞感を産み出す一つの要因となっていましたが、あくまでこれは選手のタイプの問題で、宮吉自身の能力がより発揮されるポジションで起用されるようになったここ数試合では良い働きを見せてくれています。

 

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今季のサンガは最近のサンガではお目にかかれなかったようなシステマティックなサッカーを魅せています。恐らくこれに関しては、さすがに監督経験の無い中田監督が一人で創れるようなものではないでしょう。2002年にサンガに天皇杯優勝を齎したゲルト・エンゲルス氏、ガンバ大阪U-23で結果を残した實好礼忠氏、FC東京ユースの監督として一時代を築いた佐藤一樹氏などJリーグ一豪華なコーチ陣」とも言われるようなスタッフ陣の貢献と効果は凄まじく大きく、彼らが中田監督をサポートする体制が抜群に機能した賜物です。

勿論、これは中田監督の貢献が薄いと言っている訳ではなく、この体制を成功させる為には監督という立場の中田監督がリーダーシップを発揮するだけで無く、明確な方向性、チームとして目指す部分を明確にする必要があり、その点早々からポゼッションスタイルという方向性を明確に打ち出した中田監督の方針が導いた成果である事は間違い無いです。同時に、自身が監督としてはまだまだ未熟である事、経験が浅い事は外部がガヤガヤ言うよりも中田監督自身が一番自覚していると思います。だからこそ、コーチ陣の意見や提案をフラットな考えで受け入れ、取捨選択して取り入れる柔軟性を持ち合わせており、これは結果的に「監督経験が浅いからこその利点」だと言っても良いでしょう。現段階で中田監督の良い所を挙げるとすればそれは、「確固たる方向性とスタイルを明確に打ち出した上で、そこに至るプロセスを築くに当たっての柔軟性」という部分ではないでしょうか。

 

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そもそもサッカーとは勝負事で、競技は違いますが春先は調子が良かった東京ヤクルトスワローズが16連敗なんてやらかしたように、サンガだって好調が落ち着いた暁にはスランプに陥る可能性だって十分にある訳です。しかし元々、今年のサンガは「結果を求める」よりは「改革元年」という意味合いの方が強い一年でもありますし、西京極での最後の年を新たなサンガの船出の年としている以上、仮に今季の最終成績が今ひとつにおわったとしても終わったとしても成果としては一定以上のものは既に得ているのではないでしょうか。

 

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あの時は思ったよね、どうせならいっそチャリごといけよって。

ではでは(´∀`)