罪な夢〜ジュビロ磐田、名波浩監督の辞任に想う…+今年と去年の磐田低迷の理由を考えてみた〜

阪神はなぜ急に調子が狂った…。

 

どーもこんばんは

 

 

 

さてさて、ACLに参加した4チームを除き、J1リーグは昨日の第17節をもって前半戦の日程を消化し、折り返し地点に入りました。

まずはその順位表を確認しておきましょう。

 

1位 FC東京(36)

2位 川崎フロンターレ(31)

3位 横浜F・マリノス(30)

4位 大分トリニータ(29)

5位 鹿島アントラーズ(28)

6位 北海道コンサドーレ札幌(27)

7位 セレッソ大阪(26)

8位 名古屋グランパス(25)

9位 サンフレッチェ広島(24)

10位 ベガルタ仙台(22)

11位 ヴィッセル神戸(21)

12位 浦和レッズ(21)

13位 ガンバ大阪(20)

14位 清水エスパルス(19)

15位 湘南ベルマーレ(17)

16位 サガン鳥栖(16)

17位 松本山雅FC(16)

18位 ジュビロ磐田(14)

 

※川崎、鹿島、広島、浦和はACLの都合で1試合未消化。

 

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うっはぁ…2位から9位までの勝点ラインが美しい……という事はさておき、リーグ戦はFC東京が序盤から首位を走る構図で進んでおり、その後を僅か1敗で巻き返してきた川崎、シーズンを通して好調をキープしている横浜FMそして予想外の大躍進となった大分が追走しています。

下位に目を向けると、既に4チーム(5回)監督交代が行われる激しい順位争いが行われていますが、その中でも神戸、G大阪、清水辺りが少し調子を取り戻しています。そんな中、この前半戦17試合を終えたタイミングで5チーム(6回)目の監督交代が、最下位に沈む静岡方面から聞こえてきました。

 

 

 

ジュビロ磐田名波浩監督、辞任。

 

 

 

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事の顛末を改めて振り返ると、昨シーズンは16位で、J1昇格プレーオフの末にギリギリでJ1残留を決めた磐田でしたが、今季は開幕直後から低迷。常に降格圏と降格圏ギリギリを彷徨い続けた結果、今節磐田は川崎に1-3で敗れ、その後鳥栖が清水に4-2で勝利した為最下位転落となってしまいました。

その試合後、名波浩監督が磐田ゴール裏に赴き、サポーターのコールリーダーと言葉を交わしたシーンが話題になりましたが、試合後の記者会見で名波監督が辞任を発表し、その後ジュビロ磐田も名波監督の退任を正式に発表。後任監督は現時点では未定となっています。

 

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名波浩監督の磐田の監督としてのキャリアを振り返ると、当時指導キャリアが無かった状態で2014年、ペリクレス・シャムスカ監督解任に伴い、シーズン途中から監督に就任。そのシーズンは余りにも劇的な形でJ1復帰を逃したものの、翌年はジェイ、アダイウトンカミンスキーと外国人選手を活かしてJ1復帰を達成しました。

J1復帰後は2016年は残留争いを強いられましたが、中村俊輔川又堅碁らを迎え入れた2017年は6位と大躍進を果たしました。このまま更に上を…!と期待された2018年でしたが、怪我人の多さも影響してシーズン後半戦から一気に残留争いに巻き込まれ、最後はプレーオフまで引っ張ってのギリギリでのJ1残留という結果に終わるなど、計5シーズン指揮を務めてそれなりの長期政権とはなりましたが、結果的に成績は2017年を除いてパッとするものではありませんでした。

 

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まず最初に思うのが、ネットなどで言われているほど、名波監督がいわゆる「ダメ監督」という程では無かった事は確かだと思います。実際J1昇格と、J1での躍進は一度収めている訳ですし、2017年の大きな武器となった守備の部分の構築はそれなりに出来ていたのではないでしょうか。2015年のJ1昇格は、その豪華な外国人選手のおかげ…という見方もありますが、監督には外国人選手の能力をチームの成績として還元する役割があるので、別に名波監督が何もしていなかった訳ではないでしょう。

昔…昔といっても1年前くらいですが、このブログを始めた頃に「各クラブ歴代最高監督&ワースト監督」なる企画をやりましたが、少なくともワースト監督のところにカウントされるような監督では無かった事は確かです。

実際のところ、名波監督は人望が厚く、カリスマ性に溢れているという話は色々なところでされており、そういえばここまで低迷しだしたチームならもっと内部に近い監督批判記事なんかも出てきそうなのに、それが今回の場合は殆ど見かけないという事は、選手との信頼関係は築けていた…というよりチームをマネジメント出来ていた事のある種証明とも見受けられるもので、芸能事務所みたいな情報統制を敷いている訳でもないでしょうから、オフ・ザ・ピッチも含めたチームマネジメント能力としては、名波監督はダメ監督どころかむしろ有能と言って差し支えない部分と言えます。

 

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じゃあ名波監督は優秀な監督だったのか?…と言うと、チームマネジメント能力は確かに優れていたけれどそこは優秀とは言えない事も事実でした。

戦力面に関しては、名波監督にも不運なところはあります。2016年に巻き込まれた残留争いは、キーマンとなっていた小林祐希の欧州移籍以降徐々に成績が下降した事も一つの要因で、特に2018年はレギュラークラスの選手が次から次へ、もう次誰が怪我するかの賭けすら成立しそうな勢いで怪我人が続出。一瞬上手く行きかけたものが何らかの事情だ悉く吹き飛ぶという不運は確かにありました。しかしそれは不運なだけでなく、名波監督の戦術的な引き出しが余りにも少な過ぎた事も一因で、特に攻撃の迫力不足は日に日に深刻化していきます。

 

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名波監督体制の磐田の攻撃は、基本的に個に委ねる形を取ると同時に、前線にはスピード系の選手を多く置く傾向がありました。2015年と2016年は、FWとしての能力からポストプレーまでなんでもござれのジェイが君臨しており、ジェイが2列目も活かすようなプレーを可能としていたので余り大きな問題としては取り上げられていませんでしたが、2017年と2018年以降はまさにこのスタイル光と陰が浮き彫りになりました。

2017年に関しては、ボランチと前線の間に中村俊輔を配置し、そして当初の予想よりも中村俊輔のパフォーマンスが見事だった事で、中村を起点としたスピードを活かすカウンターがバッチリとハマった事で上位進出を果たします。しかし翌年からは中村もフル稼働出来なくなり、これまで中村やジェイに活かされていた選手はスピードが空回りする事が多くなってしまって…。2018年に名古屋から獲得した田口泰士も優秀なゲームメーカーではあるものの、基本的に低い位置で組み立てていくタイプという事もあって、前線とのズレは広がるばかり。

よく悪い守備を表現する際に「守備が間延びしている」と良く言いますが、ジェイ、(トップフォームの)中村を欠いた上でこの力に委ねるにあたって、磐田は余りにも攻撃が間延びしていました。この辺りはもう少し、監督としてどうにか出来なかったのかな…と少し思います。それなりに長い期間監督を務めた割には、最終的に磐田が何を、どこを目指して、どういう形を志向していたのかが最後までさっぱり見えませんでしたし。

ですので、名波監督の最終的な評価と言えるのは、まさしく名波監督本人が会見で言っていた言葉通りで「チームマネジメントは抜群に優秀だったけど、勝たせる監督では無かった」という事なんでしょう。正直、今季の京都サンガFCがそれで成功しているように、優秀で経験豊富なヘッドコーチを一人置く事が出来ていたら、名波ジュビロはもう少し良いものになっていたのかも…なんて。

 

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ジュビロ磐田史上最高の選手は?」

この問いを磐田のファン・サポーターに投げかけたら、その多くの答えは「中山雅史」か「名波浩」が占める事でしょう。クラブにとって、クラブのレジェンドが指揮を執り、黄金期を築く事は最終到達目標とも言えるもので、大きな夢でもあります。間違いなく、名波浩が率いるジュビロ磐田Jリーグを制覇する」事は磐田サポ全てが最も理想とする、夢見ていた道のりでしょう。一方で、レジェンド監督の登用は大きなリスクを伴い、それはクラブとしての正常な判断をも奪いかねません。下手すればレジェンドとの関係が悪化する可能性もあるし、そしてどうしても誰もが、前述のような夢を追ってしまうから。

以前見た名波監督のインタビューによると、名波監督は当初、昨季限りでの辞任を決意していたそうです。それをフロントが慰留した事で今季も指揮を執る事になりましたが、その経緯もあってフロントは名波監督を切れなくなっているだろうし、そして名波監督自身もそれを重々理解していたんだと思います。

 

「名波だから、きっとなんとかなる」

「名波なら、ここから巻き返してくれる」

「名波となら、最後は優勝まで持って行ける」

「なんてったって名波浩なんだぜ!」

 

恐らくフロントはこんな感じで、名波監督以上に名波監督への信頼が妄信的に、というよりはむしろ願望に近いものになっていたのかもしれません。これは名波監督の下で2017年という良いシーズンを過ごした経験も、この妄信に拍車をかけてしまったのでしょう。

フロントからの厚い信頼が、半ば妄信に近いものになっている…名波監督はそれに気付いた上で、最後に磐田の為に出来る事が自分を解任出来ないフロントに代わって自ら退く事だったのかもしれません。

 

 

 

今回の名波監督とジュビロの5年に及ぶ旅はレジェンド監督の難しさとリスクを改めて感じるものでした。清水の大榎氏や名古屋の小倉氏とは違って、良いシーズンもあったからこそ尚更。結果的に磐田サポにとっては「監督交代は正しい判断でも滅茶苦茶辛い」という切ない状況でしょうし、精神的なダメージは相当でしょう。

ただ、5シーズン続いた事は事実で、別に愚将という訳では無かったんですから、今度は名波氏がOBではないチームで、そして優秀なヘッドコーチを付けた上で、もう一度監督としてのチャンスが巡る事を祈ります。

 

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でも野球なら日常茶飯事っていう…。

ではでは(´∀`)