ロシアW杯観戦記〜あれから1年…《海外ド音痴、ロシアに翔ぶ。〜英語もまともに話せない私のロシアW杯観戦記〜》2019年再編集版〜第7話 Your name

【ロシアW杯観戦記再編集版、第1話、前話はこちら↓】

 

 

 

ホテルへ向かう道とは異なり、ホテルから空港に向かう道のりは随分スムーズなものであった。やはり人間とは学習の生き物である。とはいえ、いくら道を覚えても地下鉄の所要時間が1時間ほどある事に変わりはない。この期間は当然Wi-Fiは使えず、電波的には孤立した状況になっているので、暇つぶしを兼ねて自分なりにいくつかロシア語を覚えようとした。

基本的に友人は恐ろしくロシア語がペラペラである為、既に通訳はしっかり熟せるくらいの勢いではある。ただ万が一の事を考えた時、友人とはぐれる可能性も無い訳ではないのだ。元々語学系が得意でない私にとって、1時間という短時間の割にはそれなりに覚えた。

 

地下鉄は地下から地上へと躍り出て、深圳の曇り空の下をただひたすらと空港へ向かって走り続けていく。

昨日の夜はバタバタしていた事などもあってあまり意識していなかったが、深圳空港というのは実に近未来的な内装をしていた。深圳の「中国のシリコンバレー」と呼ばれるような環境にはあまり接して来なかった度だが、ここに来て初めて深圳の近未来感に触れる事になった。

 

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深圳の空港で昼食をとる。…とはいえ、朝食が比較的遅く、しかもまあまあガッツリ食べた事とあってそこまでお腹が減っていた訳でも無かった為、肉料理を単品で頼んだのだが、ここで店員と「セット頼めや(意訳)」「いや単品でいいから」というような押し問答を言葉なくジェスチャーのみで繰り広げた。

 

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余談だが、フードコートの入口にブルース・リーがいらっしゃった事は中国に来た感を純粋に感じた瞬間でもあった。

 

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さて、Wi-Fiに関してたが、前日は現地の電話番号が無くて使えなかったのだが、Wi-Fi使用条件は現地の電話番号or当日の搭乗券を有している事である。その為、出国検査などを終えればWi-Fiは再び使えるようになるのだ。だがここから飛行機に乗ればロシアまでまた11時間、外界からは閉ざされたような状態になる。LINEの送信ボタンを押す事に慈しみを感じたのは人生でもこの時くらいだったかもしれない。

出発ロビーまで行けば、ちらほらと我々と同じような境遇と思われる外国人も見かけるようになった。特にメキシコ代表ユニフォームを身に纏ったおじさん2人は既にチャントやら何やらを熱唱して完全にロシア気分。アジア系では無さそうな顔は他にもいたので、ユニフォームを着ていないだけでW杯の為にロシア行きの飛行機に乗る客があの便の大半だったように思う。

 

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バスに乗り、飛行場の奥へと進めばジャンボが目に入る。このロシアW杯観戦記は思っていたより「旅行準備編」と「中国編」が長くなってしまったが、この2つは所詮前フリに過ぎない。11時間後、モスクワの地に降り立ったその時がこの旅の本編だ。飛行機に身を委ね、次に地上を踏む時は日本とは全てが異なる世界であろう。返せるLINEを一通り返し、私をどっぷりと携帯依存症に陥れたスマホの電波と暫しの別れをすれば、お待たせしました、ようやくロシアW杯観戦記本編突入です。

 

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しかし恐怖は最初から訪れる。大抵の飛行機は「緊急時の対処」などを伝える簡単なVTRが流れるが、中国南方航空である為、当然音声は中国語で字幕は映画だ。とはいえ、英語は難しい単語を使っていないし、落ち着いた状態で見られる為に意味はそれなりに読む事が出来る。しかし此方のVTR、まるで通信速度制限でもかかったかのようによく止まり、そして画面がやたらとザーザーだったのだ。もう言葉は途切れ途切れ。おいおい、このVTRってオフライン再生出来る仕様だろーがよ…。不安は募る。しかもこのVTRの内容がまともに伝わらないまま始まった機内上映の映画は実にスムーズに再生され、一切の滞り無く上映されているのだ。…いや、そっち綺麗に流せるなら先に注意事項の方をなんとかしてくれ…。

 

 

 

飛行機は離陸し、深圳からロシア、モスクワへと飛び立った。隣を見るとやはり友人はドキュメンタルを見ている。ただ、この密室空間の中でちょこちょこ噴き出している友人より凄まじかったのは中国人は基本的に機内で常に歩き回っている事。私だってトイレに行く為に歩く事はある。だが彼らは違った。完全に機内でお散歩をしているのである。「正気か…」なんて少し思いながら、前回小さなダメージを背負ったコーヒーでは無くコーラをちびちびと飲み続けながらフライトに身を委ねた。

関空から深圳に向かう飛行機はそこまで大きい飛行機では無かったが、この深圳からモスクワに行く飛行機はジャンボジェットだった為、機内にはオーディオなども揃っていた。音楽やら映画やらが観れるのだが、これらは日本語翻訳にも対応していて、更に日本の映画や音楽も揃っていた。しかも「ミックス。」や「三度目の殺人」など、この時点でDVDが発売されて月日がそんなに経っていない作品もラインナップされていたので、既に映画館で観ていたから観なかったものの、これは確かにありがたいとは思っていた。

 

しかし…これはもう仕方のない話ではあるのだが、日本語翻訳は恐らくGoogle翻訳的なもので翻訳したんだと思う。その結果、実にシュールな結果に陥った作品があった。

 

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「貴方の名前」→「Your name」→「君の名は」という事だろう。間違ってはいない。間違ってはいないからこそ、シュールは加速していく。更によくよく見ていくとシュールどころはこれだけに留まらない。

 

6曲目、「オス先輩の主題曲」…。正式には「奥寺先輩のテーマ」である。

奥寺先輩と言えば、声を長澤まさみが担当した作品屈指の美人キャラである。そんな奥寺先輩がオス先輩……なんで野獣先輩感のある名前になってしまったんだ…。

 

そして、もうこればっかりはどうしようもないし、まぁ、訳せばそうなるよな…とは言え、これに関しては突っ込まずにはいられない。

 

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前世。

 

 

 

 

 

…まぁ、そんなこんなで穏やかなのかなんなのかよくわからない11時間のフライトを過ごす。機内食も、朝食のオムレツは衝撃的な味(悪い意味で)だったが夕食はそれなりに美味しく頂き、そしていよいよモスクワが近づいてくる。

 

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現地時間で20:00過ぎ、ロシアW杯にてロシア代表がサウジアラビア代表を5-0で下す衝撃的な開幕を迎えた頃、遂にモスクワ、シェレメーチエヴォ国際空港へ降り立った。ロシアに着くまでに7話も使ってしまったが、ここからが真の「ロシアW杯観戦記」の始まりである。

そう言えばどこに座っていたんだろう?と思っていたメキシコ代表ユニフォームを着た陽気なメキシカンのダンスを眺めながら、日本人にとって距離以上の距離がある国の国境線を踏み越え、今、人生の目標とも思えたFIFAワールドカップという舞台にその身を飛び込ませたのだ。

 

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つづく。