J2最終戦、柏レイソルvs京都サンガFCの試合はなぜ13-1というスコアになってしまったかを真面目に考える。

時は11月24日、DAZNで各地の結果が伝えられる時、ありとあらゆる会場の実況が絶句や二度見のようなリアクションを繰り返すという光景が生まれました。

 

そりゃそうでしょう。だってプロサッカーで本来見る事のないスコアがドーンと表示されちゃったんですから。

 

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11月24日、明治安田生命J2リーグ第42節、千葉県柏市三協フロンテア柏スタジアムで行われた、既にJ1昇格とJ2優勝を決めた柏レイソルと、逆転でのJ1参入プレーオフ進出を狙う京都サンガFCの試合は13-1というこの世界にいた誰もが予想の出来ないスコアとなりました。

これは、1試合の最大点差試合として1998年1stステージ第6節のセレッソ大阪vsジュビロ磐田戦(磐田が9-1で勝利)を上回るJリーグ最多記録であり、個人の1試合でのゴールに関しても柏のマイケル・オルンガが記録した8ゴールという数字は当然Jリーグ記録を更新するものです。

この試合の結果はすぐに各媒体で話題となり、最終節という注目の集まる状況だった事も影響してか、Jリーグファンは勿論、普段サッカーを余り観ない人達にも大きな衝撃を与えました。ネット上では京都の監督である中田一三監督にちなんで「十三スコア」などと言われたり、各地の実況・解説のリアクションをまとめたツイートがバズったり、ドラえもんのこんなワンシーンが話題になったり。

 

 

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…実際、私はガンバ大阪京都サンガのファンです。

という背景もあって、相手が柏だから厳しいとは思いながらも、柏に勝利さえすればプレーオフ進出の可能性は現実的にあった(実際に山形が敗れた為、勝っていれば京都がプレーオフに進出していた)という背景もあったので、奇跡の勝利を祈りながらDAZNの中継を観ていましたよ。段々途中から、もう何が起こってるのかわかんなくなっちゃって…。

昨日はもう、マッチレビューなんか書く気も無くなりまして、凄く投げやりというかヤケクソというか、物凄く適当な状態で更新してしまいました。もうずっと放心状態でしたし、これを書いているのは月曜日ですが、まだショックというか衝撃は拭い切れていません。

 

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とはいえ、「仮にも京都は今年首位にも立った事のあるチームでしょ?」「仮にも京都はJ1昇格を最後まで狙える位置にいたのになんでこうなったの?」という感想というより疑問に近いを持った方も多いと思います。各会場の実況・解説の方も「何が起こったのか…」的な事を仰ってましたし、一応サンガファンとしてブログで勝手な事を書いている当ブログとしても、マッチレビューを適当に書いてしまった以上、どこかでこの試合で「何が起こったのか」を検証する必要はあると思いました。という訳で今回は、何が原因で13-1というスコアになってしまったのかを書いていきます。

「今季のサンガを振り返る」という趣旨のブログはまた今度更新しますので、その時は是非そちらもご覧下さい。

 

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まず、この結果に至る最大の要因となったのはこの日のサンガのメンバー構成でした。……とは言っても、これは中田一三監督の采配を批判…とかではなく、何かを優先させる為にはどこかを削らないといけないという判断に基づいたもので、もし仮に自分が監督だったとしても同じような決断をしたような気がするし、このメンバー構成にした時点で起こりえるリスクも理解した上での判断でしょうから、中田監督を責めようが無い部分でもあります。しかし、それが原因というよりは伏線になった事は確かです。

第41節の千葉戦に於いて、サイドバックの黒木恭平がイエローカードを貰ってしまい、これが累積4枚目の警告という事で柏戦に出られない事は確定していました。この黒木という選手は、開幕から最終節を除く41試合にスタメン出場。これは黒木がサンガの中で不動のレギュラーだった、絶対に欠いてはならない選手だったという証左であり、選手個々の実力以上にチームのキーマンとしての役割を担っていた事を物語っています。同時に、サイドバック石櫃洋祐も負傷で長期離脱していた事で、サンガはレギュラーのサイドバックを左右ともに欠いた状態でこの試合に臨む事になったのです。ただでさえ主力を欠いた状態のサンガは、今季はセンターバックとしての起用が主だった本多勇喜を左サイドバック安藤淳を右サイドバックとして起用する事になります。

そもそも、DFラインの選手層が明らかに薄い事はサンガを観ている殆どの人が見て取れた事だと思いますし、そもそも夏場で一番補強すべきはDFだっただろうよ、と。そう考えれば、何もこの柏戦が急な逆突然変異だったというより、この柏戦に至る伏線はずっと前から敷かれていたものだった…とも考えられます。

 

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なにより、この日のサンガの背景には「絶対に勝たなければならない」という事情がありました。負ければ終わり、引き分けも厳しいけれど勝てばプレーオフに行ける……「京都は仮にもJ1昇格の可能性を残しているようなチームだったのに13点も取られたの?」という意見に対する回答としては「むしろサンガが勝てばプレーオフ進出の可能性を繋げる状態だったから」という回答が適切なような気がします。

要するに、絶対に勝たなければならない=攻めなければいけないという事で、ベンチ入りメンバーには攻撃的な選手を多く登録し、この日のDF登録は左サイドバックの冨田康平のみ。この判断に関しては、ギャンブル性は強くてもギャンブルを仕掛ける必要もサンガにはあった為、この判断自体を責める事は出来ません。

 

ですが冒頭でも述べた通り、結果的にこの事が最大の原因に繋がってしまいました。

 

この試合を左右したポイントは大きく3つ。一つは開始早々の6分に喫した先制点です。

柏という相手が強力なだけに、単純に柏に先制点を取られる事の意味の重さは当然ありますが、今季のサンガはポゼッションを主体とした攻撃的なチーム…というイメージの割には、良くも悪くも「先行逃げ切り型」のチームでした。今季のサンガは19勝を挙げながらも、実は逆転勝利は第8節の栃木戦のみ。先制点を取られると滅法弱いチームという前提があった事から、勝利必須の試合で柏相手に10分にも満たない時間で先制点を奪われた事実が攻め急ぐ気持ちと焦りを生んだ事は確かでしょう。

そんな中で14分に左SBの本多が負傷退場してしまい、ここで冨田に交代。冨田は守備より攻撃に長所を持つサイドバックです。ここでオルンガ、クリスティアーノという柏の超強力攻撃ユニットを全く止められなくなってしまって、まずこれが前半の4失点を招きました。

 

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そしてこの試合の全てを決めたのは、ただでさえ手薄だったDFラインで本多に続いて田中マルクス闘莉王までもが負傷退場してしまった事。前半終了間際に1点を返したサンガでしたが、前述の通り左サイドバックの冨田1人しかDFをベンチに入れていなかったサンガのDFラインは無理矢理な配置転換を強いられた事で完全に崩壊する火種を作ってしまうだけでなく、前半だけで負傷者に交代カードを2枚作ってしまった為、ビハインドを取り返す…「采配」に使う事が出来るカードは1枚しか残されていない事態に陥ったのです。絶対に勝たなければならない状態で大量ビハインドを背負い、しかも修正する為の交代枠はハーフタイムの時点で1枚しか無い………「ここから逆転しろ」、もはやそう言う方が酷な状況は既に出来上がってしまっていました。

 

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結局、サンガは後半開始と共にFWのエスクデロ競飛王を投入し、中盤の福岡慎平を右SBへ、右SBの安藤淳をCBへスライド。早く点を取らないといけないサンガはどんどん前がかりになっていきましたし、攻撃的なSBである冨田、本来はMFの福岡の両SBも前がかりになっていきました。

しかし試合前、試合中の全てのプレッシャーが焦りとなって押し寄せたサンガは、攻め込むには攻め込んだもののボールロストを連発。そうして柏に個人能力をフルに活かしたカウンターを繰り広げられる事になるのですが、前がかりになるチームとは対照的にCBの2人だけはオルンガ、クリスティアーノという明らかにレベルのおかしい2人を抑えて前に出られなくなってしまった事でバイタルエリアはスカスカに。その結果、カウンターパスどころかカウンタードリブルを仕掛けられまくるハメになったサンガは後半だけで9失点…この日、サンガが喫した13失点を改めて見返せば、失点に繋がる場面はどれも似たようなシーンであるように感じると思います。それを修正するにも交代カードはもう使えないし、そもそも前がかりになるしか点を取る術もない。選手もスタッフも、それをわかっていたとしてもどうする事も出来なかった……後半の45分はそんな展開でした。

 

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長々と書きましたが、なぜ13-1というスコアになったかをざっくりと纏めると

 

・絶対に勝たなければいけないというサンガの背景

・DFが2人も負傷退場し、ハーフタイムまでに交代枠をそこで2枚も使ってしまった

・攻撃に焦る攻撃陣と、オルンガとクリスティアーノの脅威に下がるしかなかったCBの間で完全に間延びした

・単純に柏が強すぎる

 

主にこの4点だったと思います。Twitterで誰かが言っていたのですが、サンガが既に昇格も降格も無いチームなら逆に13失点を喫する事も無かったでしょう。サンガが孕んでいた全ての要素が、ものの見事に全て悪い方向に働いた…それがこの「13-1」という歴史的なスコアに繋がってしまったのです。

しかし「終わり良ければ全てよし」的な考えでいけば最悪な結末を迎えたサンガですが、今年をトータルで見た時、昨年の事も思えば少なくとも「失敗」では無かったシーズンでした。そのシーズンの振り返りや、そもそもこの試合のDFスカスカ問題に繋がる伏線は近日中にブログに書いて更新したいと考えています。その時は見てね。