雨の万博と最後の聖戦〜令和初のJリーグ閉幕を前に印象に残るシーズンを振り返ろう企画・第4回 2006年J1優勝争い〜

2019年のJリーグも残すところあと1節となり、相変わらずの混戦模様となっている。

今年、2019年は言い換えると令和元年。となれば、平成に産声を上げたJリーグに於いて「令和初の王者」「令和初の昇格チーム」「令和初の降格チーム」が誕生するのだ。

そこで今回からは、過去のJリーグの歴史の中から印象に残った、大混戦のJリーグ優勝争い、昇格争い、残留争いを振り返る企画を進めていこうと思う。贔屓のチームを持っている方には良い思い出もあれば悪い思い出もあるだろう。ノスタルジーを楽しむものとして、暇な時にでも読んで頂きたい。

2019のJリーグはラスト1試合で、横浜F・マリノスFC東京の2チームが、優勝の座を争って日産スタジアムでの直接対決に挑む事となった。マリノスがホームで、かつFC東京は4点差以上での勝利が求められる非常に厳しい状況となったが、この試合が文字通りの「決勝戦」となったという事実に変わりはない。

…過去に今年とよく似たシチュエーションがあった。2006年である。第4回ではそんな2006年の優勝争いを振り返っていこうと思う。

 

2006年のJ1チーム

鹿島アントラーズ(前年3位)

浦和レッズ(前年2位)

大宮アルディージャ(前年13位)

ジェフユナイテッド千葉(前年4位)

FC東京(前年10位)

川崎フロンターレ(前年8位)

横浜F・マリノス(前年9位)

ヴァンフォーレ甲府(前年J2、3位)

アルビレックス新潟(前年12位)

清水エスパルス(前年15位)

ジュビロ磐田(前年6位)

名古屋グランパス(前年14位)

京都パープルサンガ(前年J2、1位)

ガンバ大阪(前年1位)

セレッソ大阪(前年5位)

サンフレッチェ広島(前年7位)

アビスパ福岡(前年J2、2位)

大分トリニータ(前年11位)

 

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序盤戦〜中断期間前

 

開幕前から時代と勢力図の移り変わりは感じられる構図になっていた。開幕前の優勝候補としては、もちろん鹿島や磐田、マリノスがどこまで巻き返すだとか、セレッソや千葉といった昨季の優勝争いに最後まで絡んだチームの躍進も当然予想されてはいたのだが、優勝争いの大本命予想は前年度王者のガンバ、前年2位で天皇杯を制した浦和の2チームに集中していた。昨季の成績に加え、ガンバは加地亮明神智和播戸竜二マグノ・アウベスなど、浦和は小野伸二相馬崇人黒部光昭、ワシントンといった大型補強を実施したから当然と言えば当然なのだが、Jリーグ初期にはお荷物とも言われたこの2チームが揃って優勝候補本命に躍り出た事が勢力図の変化を感じさせられる。

さて、序盤戦のJリーグだがまず最初に飛ばしたのは岡田武史監督率いるマリノスだった。しかし第5節で浦和に敗れると、そこから一気に急ブレーキがかかり、夏には岡田監督の辞任にまで至る。結局のところ、第5節でマリノスを止めた浦和とガンバがトップ争いをリードする事になったのだが、ここで思わぬ伏兵が現れた。川崎フロンターレである。J1昇格2年目となる彼らはジュニーニョ我那覇和樹の2トップに中村憲剛のチャンスメイク力が加わった圧倒的な破壊力で優勝争いの中枢へと食い込んでいく。そして第11節、首位の浦和が千葉に敗れると、福岡に勝利した川崎が何と首位に浮上した。この年はドイツワールドカップイヤーの為、第12節で約2ヶ月の中断期間に入るが、この時点で首位に立っていたのはガンバでも浦和でもなく川崎だったのだ。

 

第12節終了時点順位表

1位 川崎フロンターレ(27)

2位 浦和レッズ(26)

3位 ガンバ大阪(25)

4位 鹿島アントラーズ(22)

5位 ジェフユナイテッド千葉(20)

6位 アルビレックス新潟(20)

7位 清水エスパルス(19)

8位 横浜F・マリノス(18)

9位 ジュビロ磐田(17)

10位 FC東京(17)

11位 大分トリニータ(17)

12位 大宮アルディージャ(14)

13位 名古屋グランパスエイト(11)

14位 ヴァンフォーレ甲府(11)

15位 サンフレッチェ広島(10)

16位 アビスパ福岡(8)

17位 京都パープルサンガ(8)

18位 セレッソ大阪(6)

 

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中断期間後〜後半戦

 

W杯中断期間が挙げて暫くは、前半戦と同様に川崎、浦和、ガンバの3チームが激しいデッドヒートを繰り広げる。そして第16節から9戦無敗を記録したガンバが首位に立つ期間が増えるのだが、ここでこの3チームに加えて新たに清水も加わってきた。川崎と清水の躍進はこの年の大きなサプライズで、川崎はJ1昇格初年度の昨季に8位を記録するなどのポテンシャルから健闘こそ予想されていたものの、優勝争いをするほど…とは見られておらず、清水に至っては昨年は15位というギリギリのところで残留を決めているし、それも清水が残留決めたというよりは下の3つ(※1)が余りにも酷すぎたと言った方が正しい。だが、清水はクラブOB長谷川健太監督が率いる1年目をある意味では「捨てた」事で若手選手の才能が開花し、躍進を遂げた。…とはいえ、やはり優勝争いの経験が著しく不足していた事も影響していたのか、清水は第23節からの8試合で1勝4敗3分と一気に失速。しかもその4敗の中には第24節浦和戦、第29節ガンバ戦の直接対決が含まれていた事も大きく響き、まず最初に優勝争いからの離脱を余儀なくされてしまう。

ここからは文字通りガンバ 、浦和、川崎の三つ巴の優勝争いが繰り広げられる。この時、最も視界良好に見えたのはガンバだった。遠藤保仁明神智和橋本英郎、二川孝弘という後に「黄金の中盤」と呼ばれるMF陣を活かすべく、加地亮山口智サイドバックに配置して従来の3-4-1-2から4-4-2にシフトしたが、このシステムが抜群にハマり、それは第24節では川崎との直接対決を完璧な試合展開で4-0で制すほどだった。しかし、翌節からは加地亮が、第27節からは遠藤保仁が…4バック成立に欠いてはならない選手が負傷離脱を余儀なくされ、3-4-1-2に戻すしかなかったガンバは川崎に勝利してからの4試合を1分3敗と失速してしまい、またしても浦和に首位の座を譲った。もしこの時、遠藤の長期離脱が無ければ……これはガンバファンにとって大きなタラレバとなっている。

では川崎はどうだったのか。川崎にも初の優勝争いというプレッシャーが大きくのしかかり、第23節からの3試合で11失点を喫し、首位から遠ざかってしまう。それでもガンバの躓きにも助けられて何とか盛り返したが、第28節で首位追撃の最大のチャンスと言えた浦和との直接対決を2-2のドローに持ち込まれてしまうと、第30節ではFC東京との「多摩川クラシコ」で今や伝説となった大逆転負け(※2)を喫し、最後は第32節の清水戦に3-4で敗れて優勝の可能性が消滅。大健闘を見せながらも、圧倒的な攻撃力の裏で整い切れなかった守備力が仇となった。

川崎と清水が脱落する中でも、ガンバだけはなんとか首位の浦和に喰らい付いていたのだが、第32節で浦和が下位の甲府にきっちり勝利を収めたのに対し、ガンバは残留争いを強いられていた福岡相手に1-1の引き分けに終わってしまう。この結果、浦和は残り2試合で1勝でも出来れば、逆にガンバが1度でも勝利を逃せば優勝となった。そんな状況下で、Jリーグは運命の第33節を迎える。

 

2006Jリーグディビジョン1第32節

浦和レッズ3-0ヴァンフォーレ甲府

2006年11月23日15:04@埼玉スタジアム2002

浦和得点者:ワシントン(46分、68分)、山田暢久(64分)

 

2006Jリーグディビジョン1第32節

清水エスパルス4-3川崎フロンターレ

2006年11月23日15:04@日本平スタジアム

清水得点者:藤本淳吾(17分、47分、79分)、チョ・ジェジン(52分)

川崎得点者:中村憲剛(36分)、谷口博之(48分、89分)

 

2006Jリーグディビジョン1第32節

アビスパ福岡1-1ガンバ大阪

2006年11月23日15:05@東平尾公園博多の森球技場

福岡得点者:藪田光教(7分)

G大阪得点者:前田雅文(3分)

 

第32節終了時順位表

1位 浦和レッズ(68)

2位 ガンバ大阪(63)

3位 川崎フロンターレ(61)

4位 清水エスパルス(57)

5位 ジュビロ磐田(55)

 

※1 2005年の下位3チームは16位柏レイソル、17位東京ヴェルディ1969、18位ヴィッセル神戸

※2 川崎は49分の時点で4-1と3点をリードしていたものの、その後退場で2人少なくなった結果1点差まで追い上げられ、最後はアディショナルタイムに一気に逆転されて4-5で敗れた。

 

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第33節

 

第33節、首位の浦和はアウェイ味の素スタジアムFC東京と、2位のガンバはホーム万博記念競技場で京都との対戦となった。対戦相手の力…という意味ではガンバが圧倒的に楽な相手と言える。この年の残留争いはシーズンを通してセレッソ、福岡、京都の3チームが16位以下をぶっちぎっており、どこが残留するかというよりもどこが入れ替え戦に進めるかを争う構図となってしまっている程に力の差があったのだ。そんな中で京都は、この試合で勝たなければJ2降格が決まる。勝たなければ優勝は出来ないガンバと勝たなければ残留出来ない京都…似ている文面でも、その意味は大きく異なる。一方の浦和はというと、FC東京は第20節からの6連敗で一気に順位を落としたとは言え、6連敗を脱してからは悪くない成績を収めていたし、特に味の素スタジアムでは前述の川崎のみならず、ガンバにも劇的な逆転勝利を収めていた。ジンクスめいた意味で言うなら、浦和にとってあの状況での味の素スタジアムは結構な恐怖があったのかもしれない。試合は両会場ともに14:00過ぎにキックオフを迎える。

 

FC東京と浦和の試合は一進一退の展開を見せる。両チームとも、互いに攻め合い、両者ともに前半から多くの決定機を作ったが、最後の最後のところでなんとか守備陣が耐え、ゴールネットは揺れる事なく前半を終えた。

一方、両チームとも崖っぷちの中でのガンバと京都の試合では、負けたら降格という余りにも悲壮な覚悟を持って突っ込んできた京都が牙を剥く。先制点を奪ったのは京都の10番、パウリーニョだった。ガンバはウィルス性肝炎により長期離脱中の遠藤のみならず、夏場の6試合連続ゴールなどでここまで既に16ゴールを挙げて日本代表にも招集された播戸竜二、守備の要であるシジクレイを欠き、どこか攻撃に迫力と安定感を欠いていた。それでもなんとか、前半のうちにマグノ・アウベスのゴールで同点に追い付く。だが、このままでは浦和が勝とうが負けようが、ガンバの優勝は消滅する。そしてそれは京都にも同じ事が言えた。冷静さはどうあっても維持できる状況にいた東京とは全く違った空気が万博には流れていた。

 

後半、ガンバが勝ち越しに成功する。二川孝弘のスルーパスに抜け出したマグノ・アウベスがこの日2ゴール目となるゴールを決めたのだ。しかし……夏には4-1でボッコボコにしたはずの京都は、あの時と明らかに違った姿を見せてガンバゴールへと襲い掛かる。「このパフォーマンスをいつも出来ていたら余裕で残留出来たのに…」…誰もがそう思うほどの迫力を見せた京都は80分、橋本英郎からボールを奪ったアンドレがスルーパスを送ると、抜け出したパウリーニョがGK松代直樹との1対1を制してゴールに流し込んだ。どちらのチームも引き分けが許されないという状態で2-2になったゲームは、ここから更に悲壮な形相を伴う激闘へともつれ込む。

 

FC東京と浦和のゲームはというと、試合の流れは前半と大きくは変わらない。結局のところ、両チームともゴールを奪い切れずに0-0のスコアレスドローで90分を終えた。この時、浦和ベンチからはガンバと京都の試合が2-2である事が伝えられており、最後の方の浦和はそれを加味してプレーしていたとも捉えられる。

そして万博競技場…屋根の無いスタンドに冷たい雨の降りしきるスタジアムは最初からどちらかが泣く結末しか残されていなかった。しかし最後の最後で神通力が働いたのは残留への望みを繋ぎたい京都ではなく、優勝への希望を残したいガンバの方だった。アディショナルタイム寺田紳一が繋いだボールを受けた家長昭博のクロスにマグノ・アウベスがヘディングシュート。ハットトリックとなるゴールが決まり、歓喜に沸く青と黒の選手達とピッチに倒れ込む白のユニフォームの選手達…。余りにも色濃いコントラストを見せる芝生の上、豪雨の中でラストチャンスを掴んだのはガンバだった。同時に、京都のJ2降格も決定した(※3)。

最終節の舞台は埼玉スタジアム2002で浦和とガンバの直接対決となる。2003年はマリノスと磐田の他に鹿島も絡んでいたから、最終節が文字通りの決勝戦というシチュエーションになったのは2000年2ndステージ以来の事となった。

 

2006Jリーグディビジョン1第33節

FC東京0-0浦和レッズ

2006年11月26日14:03@味の素スタジアム

 

2006Jリーグディビジョン1第33節

ガンバ大阪3-2京都パープルサンガ

2006年11月26日14:05@万博記念競技場

G大阪得点者:マグノ・アウベス(34分、48分、89分)

京都得点者:パウリーニョ(9分、80分)

 

第33節終了時点順位表

1位 浦和レッズ(69)

2位 ガンバ大阪(66)

3位 川崎フロンターレ(64)

4位 ジュビロ磐田(58)

5位 清水エスパルス(57)

 

※3 余談ではあるが、京都は前回の降格時(2003年)の時も、土砂降りの中の万博でのガンバ戦に敗れて降格が決まっている事から、サンガファンの間では悲劇的な意味合いとして「雨の万博」と呼ばれている。

 

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最終節

 

なんとか最終節に望みを繋いだとはいえ、ガンバが置かれた状況は尋常じゃない程に厳しかった。ガンバが優勝する条件は「浦和に3点差以上で勝利する事」だったが、この年の浦和は浦和を除く17チーム全てが40失点以上している中で、浦和だけが40点どころか30点以下となる28失点と文字通りの堅守を見せており、シーズンを通して3点差での敗戦はゼロ。それどころかホーム埼玉スタジアムで無敗という状況だった。ガンバは播戸、シジクレイがスタメンに復帰し、遠藤もベンチ入りを果たしたが、圧倒的不利は否定しようがない。

それでも、このシチュエーション、そしてこの2チームの直接対決というものは特別な意味を持っていた。Jリーグ初期にはいわゆる「雑魚」という扱いだった両者は、2005年ではワンツーフィニッシュを飾った。2006年シーズンはこの2チームによるゼロックス杯と万博記念競技場での開幕戦で幕を開け(※4)、磐田、鹿島、マリノスといったかつての強豪が足踏みをする中、ジーコジャパンで挑んだドイツW杯やその後発足したオシムジャパンにも多くの選手を供給(※5)。イビチャ・オシム監督が「ナショナルダービー」と形容する程にまでなったカードは、この時には既にかつての「ヴェルディ川崎vs横浜マリノス」「鹿島アントラーズvsジュビロ磐田」にも匹敵する意味合いを含んでいた。東の浦和と西のガンバ 、赤と青というチームカラー、攻めのガンバと守りの浦和という対立構造など、特別なカードとしての要素を全て満たしていたのが2000年代後半に於ける「ガンバvsレッズ」であり、今でも両チームのファン・サポーターがこの一戦に特別な想いを抱く所以である。

当時のJリーグ最多観客数となる62240人の観客が見守る中(※6)、運命の「決勝戦」が幕を開ける。

 

「先制点」を取れれば何かが起きる、浦和もリズムが狂う可能性がある…それを希望にガンバは果敢に攻めた結果が実る。21分、右サイドを抜け出した播戸の折り返しに、マグノ・アウベスがヒールシュートで合わせて先制点を奪う。あと2点、あと2点さえ取れれば…しかし浦和はその祈りを打ち砕いた。27分にシジクレイを振り切ったポンテのゴールで同点に追いつくと、前半終了間際には鈴木啓太のパスを受けたポンテのクロスをワシントンが叩き込んで逆転。1点ビハインド、それはガンバにとっては即ち4点ビハインドを表す余りにも重い失点だった…。

後が無くなったガンバは、54分に橋本を下げてウィルス性肝炎から復帰した遠藤を投入して反撃を試みる。しかし逆に59分には三都主アレサンドロのクロスをこの年のMVPに輝く田中マルクス闘莉王が折り返し、ここにワシントンが詰めて3-1。事実上5点ビハインドとなったガンバは反撃に出るものの、ゴールは78分にセットプレーから山口智のヘディングで1点を返すのが精一杯だった。紅に染まった埼玉スタジアムは試合終了の笛が鳴り響くと共に地響きすら凌駕するような歓声が木霊し、浦和はクラブ史上初のJリーグ制覇を達成したのだった(※7)。

 

2006Jリーグディビジョン1第34節

浦和レッズ3-2ガンバ大阪

2006年12月2日14:04@埼玉スタジアム2002

浦和得点者:ポンテ(27分)、ワシントン(44分、59分)

G大阪得点者:マグノ・アウベス(21分)、山口智(78分)

 

※4 ゼロックス杯では浦和が3-1で勝利。リーグ開幕戦は1-1の引き分けだった。

※5 同年のドイツW杯に浦和は三都主アレサンドロ小野伸二坪井慶介、ガンバは遠藤保仁宮本恒靖加地亮と共に3人ずつ選手を供給している。W杯メンバー以外でも、浦和は山岸範宏田中マルクス闘莉王長谷部誠鈴木啓太都築龍太田中達也、ガンバは山口智、二川孝弘、播戸竜二といったメンバーが日本代表に招集されていた。

※6 2019年12月4日時点でのJ1リーグ最多観客動員記録は2013年第33節の横浜F・マリノスvsアルビレックス新潟(@日産スタジアム)の62632人である。

※7 年間勝点では2004年にも1位を飾っているが、この時はチャンピオンシップでマリノスに敗れた為、準優勝扱いになっている。

 

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2006年のJ1リーグ

 

1位 浦和レッズ(72)

2位 川崎フロンターレ(67)

3位 ガンバ大阪(66)

4位 清水エスパルス(60)

5位 ジュビロ磐田(58)

6位 鹿島アントラーズ(58)

7位 名古屋グランパスエイト(48)

8位 大分トリニータ(47)

9位 横浜F・マリノス(45)

10位 サンフレッチェ広島(45)

11位 ジェフユナイテッド千葉(44)

12位 大宮アルディージャ(44)

13位 FC東京(43)

14位 アルビレックス新潟(42)

15位 ヴァンフォーレ甲府(42)

16位 アビスパ福岡(27)

17位 セレッソ大阪(27)

18位 京都パープルサンガ(22)

 

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最終節で浦和に敗れたガンバは、3位川崎が勝利した事で結果的に3位にまで転落。当時は日本勢に与えられたACL出場枠が2枠しかなかった(※8)事からACL出場権も逃し、最終節で2位に滑り込んだ川崎が2007年のACL出場権を手にする事となった。

清水や大分といった近年低迷していたチームが上位に進出した一方で、近年好成績を収めていた鹿島、マリノス、千葉といったチームが不調に終わる。特に千葉はドイツW杯に伴う中断期間前は5位に付けていたものの、イビチャ・オシム監督が日本代表監督に引き抜かれる形で退任してからは、ナビスコカップこそ優勝したものの一気に低迷。オシム監督の退任は2009年の降格の一因とまでされている。

残留争いに関しては、前述の通り福岡、セレッソ 、京都が絶望的に勝てず、早々と降格圏となる16位以下を3チームで固めて入れ替え戦出場権を争う構図になっていた為、15位以上のチームは残留争いにも対して絡んでいない。なんとか入れ替え戦に進出した福岡も、J2で3位の神戸に敗れて結局降格を喫した。予想外とされていたのは昨シーズン、ラスト1分のところまで首位にいたセレッソの大不振で、2001年にも「前年に優勝争いをしたのに降格」というシチュエーションを見た事から「セレッソは優勝争いをした翌年は降格する」というジンクスめいた言説も囁かれるようになった(※9)。一方、戦力値的に降格間違いなしとも言われていた甲府は、大木武監督の築いたパスサッカーとFWバレーの破壊力を活かして大健闘。川崎やガンバといった上位チームにも勝利し、第30節終了時点で残留に成功していた。

 

※8 当時のACL出場権は前年度のJリーグ王者と前々年度の天皇杯王者に与えられていた為、2007年のACLには2006年のJリーグ王者と2005年度の天皇杯王者に出場権が与えられていた。しかし、2006年のJリーグで優勝した浦和は既に2005年の天皇杯を制していた為、繰り上げで2位の川崎が翌年のACL出場権を手にしている。

※9 セレッソは2010年にJ1に復帰し、2013年にも優勝争いに絡んだ。しかしその翌年である2014年にもJ2降格を喫した為、このジンクスは現在進行形で語られている。

 

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その後…

 

最終節で優勝決定戦を戦った浦和とガンバは、その後も「ナショナルダービー」という冠に自ら色を添えるように大舞台で何度も対戦した。まず、最終節の翌月には天皇杯決勝で対戦。この時は浦和が永井雄一郎のゴールで1-0で勝利を収めて浦和が2冠を達成してシーズンを終えたが、翌年のゼロックス杯とナビスコ杯準々決勝ではガンバが快勝を収める。また、2007年には浦和が、2008年にはガンバがアジアチャンピオンズリーグを制覇しており、特に2008年の準決勝ではアジアの舞台でナショナルダービーが実現した(※10)。この成績から、浦和とガンバの名はアジアにも轟く事になるなど、文字通り一時代を築くカードにまで成長している。

浦和とガンバの件しかり、前年の2005年とこの2006年は、Jリーグの勢力図の変化を決定的なものにした1年と言える。鹿島に関しては2007年から3連覇を達成したが、かつての強豪であるマリノスと磐田はここから長い低迷期に陥り、磐田に至っては2013年にはJ2降格すら味わっている(※11)。一方、この年に躍進した川崎と清水はガンバ、浦和、鹿島の3チームと共に2000年代後半のJリーグで常に優勝争いに絡む存在となっていった。

 

※10 万博で行われた1stレグは1-1のドロー、埼スタでの2ndレグではガンバが3-1で勝利し、ガンバが決勝に進出している。

※11 降格は2013年だが、その前に2008年には16位としてJ1J2入れ替え戦出場を余儀なくされ、仙台に勝利して何とか残留を決めている。

 

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今年の最終節のシチュエーションはどこかあの時と似ている。首位の横浜F・マリノスが、満員になる事が予想されるホーム日産スタジアムで、僅かな望みに懸けるFC東京の挑戦を受ける形になる。FC東京がこの時のガンバが起こせなかった奇跡を起こすのか、それともマリノスがこの時の浦和のように大観衆の声援を背に15年ぶりのリーグ制覇を果たすのか…。チケットは完売…運命の決戦は12月7日、14:00キックオフだ。