What is "GAMBAISM"〜2019年のガンバ大阪を振り返る〜第3話 GAMBAISMとは?

2019年のガンバ大阪振り返りブログ「What is "GAMBAISM"」、第1話「崩れゆく幻想」、第2話「ひとり2ステージ制」はこちら↓

第3話の前にこちらから読み始めてもらえると幸いです。

 

 

 

完全に勝利の流れから2点差を追いつかれた第21節神戸戦アディショナルタイムに取った先制点さえ守り切れなかった第22節広島戦、数的有利ながら最下位磐田にラストワンプレーで追いつかれた第23節磐田戦…ガンバファンにとって絶望的な感情しか湧かなかった8月だったが、ガンバが昨季のように深刻なまでの残留争いには巻き込まれなかった大きな要因があった。浦和、名古屋、湘南辺りが大スランプに陥った外野要素もあったが、なんやかんやでこの8月…負けたような感情を抱く試合ばかりでも何気に負けてはいなかった事である。8月は一勝も出来なかったが4分1敗。その1敗も最終的に優勝したマリノス相手のものだった事を考えると、一応勝点1は取り続けた事は結果的には小さくなかった。特に第24節鹿島戦の引き分けはそれなりにポジティブな捉え方を出来るドローゲームだったように思う。後味が悪すぎただけで、神戸戦と広島戦も内容に関してはさほど悪いものでも無かった。

だが磐田戦の消化不良感とマリノス戦の後半の内容を考慮してか、宮本恒靖監督はルヴァン杯準決勝FC東京戦で再びシステムを4-4-2に戻して挑む。マリノス戦の後半で良いパフォーマンスを見せたという事もあったが、これには3-1-4-2の時にアンカーで起用して余り機能したとは言えなかった井手口陽介をどうすれば活かせるか…という部分もあったように思う。4-4-2はひとりひとりのプレーエリアが割とはっきりするシステムなので、選手個々の役割はある程度整理されていた。結果、FC東京にはアウェイゴールの差で勝利してベスト4進出を決め、残留争いの大一番となった第26節鳥栖戦では終盤の渡邉千真のゴールで大きな勝利を収めた。湘南や磐田がかなりの勢いで失速していた事も加味すると、残留自体はこの鳥栖戦に勝った時点で少なくとも自動降格の可能性は回避出来ていた。しかし第27節のセレッソ大阪戦では再び岐路に立たされてしまうような完敗を喫する。鳥栖戦で負傷退場した小野瀬康介の代わりに右サイドハーフに入った新加入のアスレティック・ビルバオのレジェンド、マルケル・スサエタは好パフォーマンスを見せたが、FC東京戦、鳥栖戦に続いて採用した4-4-2は機能不全に陥り、もう観ているのが辛くなるほどの完敗としか言えなかった。

 

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4バックをオプションのプランに残す事自体が問題とは思わない。けどその考えが少しでもあるなら、夏にレンタルで退団したオ・ジェソク米倉恒貴は残そうとしても良かったでしょ…と。結局、第28節札幌戦からガンバは再び3-1-4-2に戻す事になる。しかしこの札幌戦で5-0の圧勝を収めてからは、いわゆる「2ndステージのガンバ」がある程度完成に辿り着いた。宇佐美貴史、セントラルハーフに配置した井手口陽介が機能するようになった事は非常に大きく、ここからの7試合でガンバは5勝1分1敗で乗り切る事が出来た。だがブーストをかけられるようになった時にはもう遅く、ぱっと見上位のようには見えても上位争いにはまともに絡めない7位という順位でシーズンを終える。言われているほど悪くは無い、でも順位ほど良くもない、それが今年のガンバを表す状態だった。

 

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今年のガンバはチームとしてやる事がハッキリしてはいなかった。終盤戦は宇佐美、アデミウソンの2トップが高いクオリティを見せ、倉田秋や井手口の機動力に小野瀬、福田湧矢、藤春廣輝が絡み、それを矢島慎也遠藤保仁がコントロールするという形の攻撃がハマってはいたが、あれはあれで良かったとは言えどもそれがチームとしての型だったかと言えばそうではなく、個人のクオリティに依拠した部分が強かったと言わざるを得ない。良いサッカーといえば内容的も悪くないサッカーが終盤戦は出来ていたが、選手配置とゲームプランと最低限の約束事を除けばチームとしての戦術があったとは言いにくい。勿論、約束事すら無かったレヴィー・クルピ体制などと比較すれば十分な進歩だったとは言えるのだが…。結局、個人に依拠した部分が大きかったからこそ、夏の選手の大量入れ替えがそのまんまスクラップ&ビルド状態に至って、シーズンのバイオリズムも不調→好調→不調→好調とぐわんぐわんしていた一因だろう。

 

ガンバが強かった頃と言えば西野朗監督が率いていた時代か長谷川健太監督が率いていた頃の事を指す。この時はチームとしての明確な戦い方というものは確かにあった。特に西野監督時代の戦い方の幻影は今もガンバが追おうとしているもので、「GAMBAISM」というスローガンの「ISM」の部分が指すのが西野ガンバのスタイルである事は想像に難くない。

攻撃的とか守備的とか、別に無理にどちらかに振り切る必要は無いけれど、今年のガンバは「何を優先とするのか」も今ひとつ見えていなかった気はする。宮本監督も監督キャリアはまだ浅い。その辺りも手探り状態と言えば手探り状態なのだろう。ならば尚更、コーチには参謀と呼ぶべき経験者を配置した方が良かったと思うし、フロントも松波正信強化部長就任以降は経験不足感が甚だしい。今のガンバやガンバフロントに見え隠れしている「どこかズレている感」は早急に何とかしなければならない。昨季も今季も、結果的にシーズンの終わり方は悪くはなかった。だがその終わり方に胡座をかいた結果が今季序盤の不振だとすれば、来季にその轍を再び歩む事は許されない。そしてその事を今のフロントがどこまで真剣味を持って理解しているのかが問われるオフシーズンとなるのだ。

 

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ガンバが今季掲げた「GAMBAISM」は夢のようで、だが継承するほどのGAMBAISMとやらを感じる場面は少なく、実体や輪郭が垣間見える事も殆ど無かった。そもそもGAMBAISMって何なのか?そもそも、「ガンバが居るべき位置」という言葉は最近よく聞くけれど、西野監督時代や長谷川監督の頃が良かっただけで本来はこっちが居るべき位置だったりするのか?その答えはシーズンが終わった今もわからないし、継承する前にそれを理解出来る日が来るかどうかさえ見えていない。ただ現実としてあるのは、「小野瀬康介残留」という言葉に喜んでしまっていた事、要するに国内クラブからの引き抜きに怯えるような時代が訪れてしまっていた事である。

GAMBAISMという今年のスローガンは結果的に多くの意味を孕んだ言葉になったと思う。的外れだったとも言えれば、どこか皮肉めいた正論にもなっていた。今年の大きな成果の一つは凝り固まっていた主力メンバーから世代交代の兆しが見えた事。結局、今年のガンバ大阪をスローガンに絡めて表現するとすれば「GAMBAISMってなんぞや?」という言葉に集約される。一年を通じてわかったGAMBAISMは継承するものでは無く、それがガンバにとっての何なのか、ガンバにとってそれが何を意味するのかを探すシーズンだったのかもしれない。少なくとも今年は一つのターニングポイントになる可能性を秘めた年であった事は確かだ。

これから始まる新しい時代に「GAMBAISM」という言葉はどう響くのだろうか。春先は的外れに見えたが、ある意味に於いてはGAMBAISMというスローガンはフロントの予期しないところで正しい意味を映し出していたのかもしれない。

 

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完。