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ACL広島問題を考える〜後編・広島のクラブ規模と今のACLの存在意義〜

夜マックって実質夕方からいけるのね

 

どーもこんばんは

 

今更知った。

 

さてさて、今回は以前更新したACL広島問題の続きでございます。


 

 

前回、サンフレッチェ広島がターンオーバーを敷かざるを得なかった理由として

JリーグACLを並行して戦う事の難しさ

②広島のクラブ規模

③近年のJリーグ勢にとってのACLの存在意義

…の3点を提示し、前編では結局①を語っただけで終わってしまったので、今回は②③を解説させて頂きたいと思っています。

ですので、初めてこのブログに辿り着いた方は是非前編を見て頂けると…というより、前編で話した事を前提に今回のブログを進めて行きますので、先に前編をお読み頂くようお願いします。

 

 

 

それでは前編の続きから参りましょう。

 

 

 

②広島のクラブ規模

 

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今年のACLに出場する広島以外の3チーム、川崎、浦和、鹿島は、元々充実した戦力を有していて資金力も豊富。クラブの立ち位置としても、わかりやすく言うと「選手を獲られる側のチーム」ではなく「選手を獲る側のチーム」です。

実際に川崎と浦和は積極補強を敢行しましたし、鹿島は今季に関しては守備陣に不安が残るとはいえ、J1クラブの主力を2人獲得した事も、この3チームが選手を獲得する側のチームである事を示していると言えるでしょう。

 

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じゃあ一方の広島は、というと、前述の3チームと比較すると圧倒的に資金力で劣っているどころか、比較対象を川崎、浦和、鹿島の3チームではなくJ1全18チームの中で見ても、間違いなく下から数えた方が早いチームで、クラブのこれまでの歴史が物語るように広島は明らかに「選手を獲られる側のチーム」となってしまっています。

勿論、毎年のように主力選手を引き抜かれながらも昨季のように好成績を残している事は高く評価されるべきですが、選手層の問題はそう簡単に解決出来るものでもありません。今季は目立った主力の流出はありませんでしたが、それでもリーグとACLを並行するには正直無理があるスカッドで、今季はJ2で活躍した選手など補強も一応頑張りましたが、同時にあれが広島というクラブの規模の限界である事も事実です。

 

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この選手層と過密日程の中で、リーグとACLを両方全力で戦えば、最終的にどちらもヤバい成績になりかねないどころか、Jリーグに至っては降格の可能性まで現実味を帯びてくる…と考えるに至るのは自然な流れとも言えます。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがありますが、広島が二兎を追った先にあるのはゼロではなくマイナスかもしれない…その事を意識せざるを得ないのがサンフレッチェ広島というクラブ規模の限界であり、それを誰よりも自分達自身が一番理解しているが為に、広州恒大戦のようなメンバー構成になったのではないでしょうか。

その選手層の中で、広島は現在青山敏弘稲垣祥林卓人と主力が3人離脱していますから、これ以上怪我人を増やしたくないという考えもあるでしょうし。

 

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③近年のJリーグ勢にとってのACLの存在意義

 

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今回の広島の件に関してTwitterで、「広島がリーグかACLを捨てるというのなら、ACLで本気を出して欲しい」というような意見がありました。気持ちはわかりますが、広島サイドからすればリーグを捨ててでもACLを選ぶという事は多分ありえない選択肢なんだと思います。これには近年のJリーグ事情と、ACLのそもそものプライオリティーが絡んできます。

 

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まずはそもそも、ACLって世界的にどういうレベルの大会なの?」という点があります。

例えば、もし仮に日本という国がヨーロッパにあったとして、レベル差の拮抗したJリーグを勝ち抜いた先にあるのがヨーロッパ王者を決めるUEFAチャンピオンズリーグだとしたら。それはきっとJリーグチームにとって「仮にJ2に落ちる事になったとしてもチャンピオンズリーグに全てを注ぎたい」という事になったでしょう。それはグループステージからFCバルセロナレアル・マドリードユベントスなどといった世界の名門と戦える事も一つでしょうが、何よりもUEFAチャンピオンズリーグが「世界最高峰の舞台」として確立されている事が挙げられ、そんな大会で決勝トーナメントまで行けたとしたら、そこで儚く散って、仮にJ2降格を喫したとしてもそれは素敵な思い出となり、クラブの財産となる事は間違いありません。

しかし、そうなるとACLの位置付けは、どちらかと言えば「アジア王者を目指す」というよりも「勝てばクラブW杯に出られる」という予選的な意味合いが強かったのではないでしょうか?

勿論、唯一ACL優勝だけが欠けていた昨季の鹿島のように、ACLを制してアジア王者になる事も大きなモチベーションである事に変わりはありませんが、それよりもACLを制する事でクラブW杯に出られる、クラブW杯に出る事が出来れば、バルサやレアルのようなチームと戦えるかもしれない…という思い入れの方が強いと考える方が自然なので、ある意味で今のACLは「優勝以外意味の無い大会」のようなポジションになりつつあって、ACLという大会を戦う事のロイヤリティーは年々失われつつあるような気がします。そこを考慮すると、本気を出したところでACL制覇は難しい広島が、それなら最初からACL自体捨ててしまおうじゃないか、となる事にも合点がいきます。

加えて、クラブW杯は大会開催方式の大幅な変更により、2019年度のは開催されない方向である事が現時点で既定路線です。その為、ACLを戦う最大の目的が揺らぎつつあるような状況に陥っているので、ACLを制するメリットは優勝すればアジア王者になれる事しか無くなってしまい、まずはそれを目指せる余裕のあるチームというのが限られてきますから、その点で今季の広島はACLに出すのは無理があったチームであると言わざるを得ません。

 

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更に、2017年にDAZNが参入して以降、Jリーグのプライオリティーが格段に向上し、ACLで優勝する事よりもJリーグで上位に入る事の方がメリットが多くなってしまった事も、ACLかリーグのどちらを取るかでACLを捨てる理由になっている事も事実です。勿論Jリーグが発展してくれている事は手放しで喜ばしい事なのですが、ACLに関してはこの部分がネックにもなっています。

最も大きいのが賞金総額で、2017年以降、Jリーグの賞金額はグッと上がりました。ACLの優勝賞金が4億5000万円である事に対して、Jリーグで優勝すれば理念強化配分金と合わせて13億円+その後2年で5億5000万円と3年で総額18億5000万円が得られ、理念強化配分金を加味すれば、得られる金額はACL優勝とJリーグで3位の金額が同じくらいとなり、ますます無理をしてACLを戦うメリットが無くなっている事は現実として認める必要があります。

 

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例えば、韓国や中国、オーストラリアや中東諸国のリーグのチームにとっては、大会のプライオリティーは間違いなくACL>自国リーグとなっています。ですから、彼らはリーグ戦のメンバーを落としてでもACLに全力を注ぐなど、ある意味でACLを本来あるべきポジションに置いているとも考えられますね。

一方でJリーグのクラブにとっては、ACLがクラブW杯に繋がる大会で無くなってしまった以上、昨季の鹿島のように「唯一欠けているタイトルを獲得したい」だとか、少なくともお金の心配をする必要はないヴィッセル神戸の「とにかくアジアNo.1クラブになりたい」というような動機でも無い限りACL>Jリーグになる事はまず無いと思います。

これは前編で述べた、Jリーグが少しの失速で降格まで転がり落ちかねないほど拮抗したリーグである事、そして大会の価値が今のJリーグACLを追い越してしまった事が理由で、広島の露骨なターンオーバー問題は前編で述べた①と今回述べた②③の全てが絡み合って起こった問題と言えるでしょう。

この問題を解決しようと思ったら、AFCACLの価値を上げて貰う以外に方法も無いんですけどね…。

 

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前編でも述べたように、今回の広島の判断を私は肯定しようとは思いません。しかし、肯定はしたくないけれど理解は出来るというのも偽らざる感情であり、いざACLに出る事になって今回のような決断をするチームは、何も広島だけではないと思います。

一部では「辞退しろ」「本当にACLに出たがっているチームに譲れ」なんて声もありますが、それもシステム的に無理のある話だと思いますし、「出たくても出られなかったチームに失礼」という声はあったとしても、プロサッカーチームという団体は一つの企業である以上、仁義より実利を優先する必要に迫られる事は致し方ないとも言える事。無論、何度も言っているようにこの件を肯定するつもりはないので、広島に批判が集まる事は仕方ないですが、広島としてもそれは百も承知でしょう。ただ、広島はACLを軽視している訳ではなく、Jリーグと天秤に掛けた結果Jリーグを優先した、と考えるべき…という事が最終的な結論だと思います。

 

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タブレットの充電の減りの速さよ

ではでは(´∀`)