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大迫依存症解決のヒント…?〜日本代表3バックの是非&3-4-2-1のベストメンバーを考えてみた〜

コパ・アメリカ開催時の生活リズムという永遠の難関

 

どーもこんばんは

 

 

 

さてさて、本日のテーマは先日キリンチャレンジカップの2試合を終えた日本代表です。

 

 

 

6月5日にトリニダード・トバゴ、6月9日にエルサルバドルと対戦した日本代表は、森保一監督がサンフレッチェ広島監督時代にメインシステムとして採用していた3-4-2-1を森保ジャパンに於いて初めてテストしました。

どちらかと言えば格下との対戦となった2試合でしたが、良い場面は無い訳では無かったものの、トリニダード・トバゴ戦では0-0のスコアレスドローに終わるなどこの2試合の印象としては消化不良感が否めませんでした。少なくとも、「よし!このまま3-4-2-1をメインにしていこう!」というほどの手応えが掴めなかった事は確かでしょう。

 

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4バックと3バックを併用していたジーコジャパンのドイツW杯以降、過去にはアルベルト・ザッケローニ監督、そして西野朗監督が3バックの導入を試みましたが、どちらもフィットさせるには至らず、結局のところ従来の4-2-3-1に戻すという結果に終わっています。

…で、今回のブログでは、そもそもこの3バックを今後も続けていくべきなのかどうか、そして今の森保ジャパンで3バックを使う場合、どういう人選がベストなのかを考えていきたいと思います。

 

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まず、擁護的に見るにしても批判的に見るにしても、この2試合はシステムの可否を判断するには少し難しい部分がありました。というのも、トリニダード・トバゴにしてもエルサルバドルにしても、この後に控えるCONCACAFゴールドカップ(北中米カリブ海選手権)でメキシコやアメリカのようなチームと戦った時の対策なのか、かなり自陣低い位置にブロックを組みんで引き分けに持ち込む戦法を取ってきた事で、テスト云々以前に良くも悪くも公平なジャッジがしにくい事情はあったと思います。この2試合で3バックを語るには、その事を頭に入れておく必要があります。

その上で言わせてもらうと、守備に関してはある程度効果的にハマっていたと考えられます。GKと3バックの面子は2試合とも変えずに戦いましたが、全体的にラインを高く保ち、中央に位置取る昌子源を残して、左右のどちらかのCBは高い位置と攻撃意識を持ち続ける事が一つのポイントではありましたが、エルサルバドル戦では冨安健洋と畠中槙之輔のパスが起点となってゴールが生まれ、エルサルバドル戦での2ゴールはある意味でこのシステムの理想的な形の一つだったと言えるでしょう。無論、相手のレベルや出方を見た時に、高い位置取りを取れた事は当然と言えば当然なのかもしれませんが、少なくとも3バックを導入してすぐの試合でこの部分の強みを示せた事は小さくは無いと思います。

 

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攻撃に関しては、特にトリニダード・トバゴ戦では大迫勇也中島翔哉、堂安律の間での連係がスムーズに運べばシュートシーンまで繋がったものの、一方で一つ何かが詰まった時に一気に手詰まりというか、交通渋滞状態にも陥っていました。また、両サイドの長友佑都酒井宏樹は常に高い位置を取り続ける事でチーム全体の押し上げや純粋なサイド攻撃という意味では機能していたものの、前述のようなシーンになった時は中央に固まる3人とサイドに開きすぎている2人の間が間延びし、攻撃が頓挫するシーンが見受けられていたように感じます。

その点、エルサルバドル戦に関してはセンターフォワード永井謙佑という「動き回るタイプのFW」を置いた事で交通渋滞問題は比較的解消され、また両サイドにも原口元気、伊東純也というDFよりもFW寄りの選手を入れた事で、間延び問題もトリニダード・トバゴ戦より発生する事は無かったのではないでしょうか。相手のレベルを抜きにして考える訳にはいかないにしても、トリニダード・トバゴ戦を経てのエルサルバドル戦では3バックを機能させるに当たっての選手の運用が比較的スムーズに進んだと言っていいと思います。

 

…とはいえ、それも90分続いた訳ではなく、少しずつ体力が落ち始めると中々機能しなくなります。そこでエルサルバドル戦では後半途中から永井の負傷という理由はあるにせよ大迫勇也を投入し、同時にシステムを従来の4-2-3-1に戻したところ、センターフォワードの大迫のところでボールを収め、そこに堂安や中島、久保建英の絡む今の日本にとって1番しっくりくる形が出せて攻撃の再活性化に繋がりました。

ただ個人的に、エルサルバドル戦のマッチレビューでも書きましたが、この3バックを習得する意義というのはメインシステムにする事というよりも大迫依存問題を解消するヒントのように感じました。

 

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大迫という選手は誰がどう見ても間違いなく、今の日本に於いてNo.1のFWです。それは単純な得点能力などのストライカーとしての能力のみならず、2列目を活かすポストプレイヤーとしての働きなども大きな要因の一つで、NMDトリオと呼ばれる中島翔哉南野拓実、堂安律を活かすという意味でも大迫の重要性は無くてはならないものとなっていましたし、NMDトリオを前面に押し出した森保ジャパンの4-2-3-1に於いて大迫の存在はNMD以上に重要と言えるものでした。

それを日本代表が痛感したのが1月のアジアカップで、対戦相手とのレベル差もあって勝利こそ収められたものの、大迫を負傷で欠いた攻撃陣の迫力は大幅にダウンしており、そして大迫が復帰した準決勝のイラン戦では逆に2列目が活き活きとしたプレーを見せていたほど。あの大会では大迫の存在の大きさ、そして同時に今の日本が大迫を失った時の影響…如何に日本が「大迫依存症」に陥っているのかを思い知らされる結果になってしまっていました。

 

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しかし、3バックを採用したこの2試合で、大迫が出ていたトリニダード・トバゴ戦と永井が大迫の代わりに出ていたエルサルバドル戦だとエルサルバドル戦の方がチームとして機能していたという事実があります。

これは選手の実力よりも3-4-2-1システムの性質と選手のタイプ大きく影響していて、基本的にポストプレイヤータイプの大迫のスタートポジションはゴールに背を向けた形になる事が多く、4-2-3-1であれば2列目の選手が大迫を追い越していく…大迫がボールを落とせる位置にボランチがフォローに入る事で大迫自身がゲームメイクの役割を担う事になってポストプレイヤーの能力も大きく発揮されます。一方で、この2試合での柴崎岳小林祐希がそうだったように、攻撃的ボランチが深い位置でゲームを作る今回の3-4-2-1だと大迫のフォローが必然的に少なくなり、トップ下2枚と噛み合いにくくなる可能性が出てくる為、それならばゲームメイクはボランチに全部任せて自分も前を向き続けた方が攻撃陣の連動性が生まれやすくなる…要は、3-4-2-1システムのワントップは大迫のようなポストプレイヤータイプより、今回の永井や鈴木武蔵など、純粋なストライカーやラインブレイカータイプのFWの方が適性があるのです。事実、森保監督がこのシステムで広島で躍進していた時のワントップは純粋なストライカータイプである佐藤寿人、ラインブレイカータイプである浅野拓磨がワントップに位置していた訳で。

私個人の考えとしては、日本代表のメインシステムとすべきなのが大迫をワントップにした4-2-3-1である事は間違いなく、3バックはあくまでオプションの一つとして捉えるべきでしょう。ただ、大迫依存症に苦しむ今の日本代表にとって、もしアジアカップの時のように大迫が欠場した時のオプションとしての3-4-2-1はアリなんじゃないかな…とエルサルバドル戦を観て思いましたね。

 

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…ではここで、大迫が欠場した時に3-4-2-1を採用するとしての個人的なベストメンバーを考えてみます。

 

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ここでキーとなるポジションは

①3バックの中央

②3バックの両サイド

③両サイドハーフ

④ワントップ

…の4ポジションとなります。以下、解説していきます。

 

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①3バックの中央

求められるタイプ→ディフェンスリーダータイプ

候補選手→吉田麻也昌子源

 

3バックの中央というのは実に重要なポジションで、特にラインコントロールなどの統率力は4バックでのそれ以上に1人の選手にかかる責任が大きくなってきます。ブンデスリーガアイントラハト・フランクフルトでこのポジションで活躍している長谷部誠が代表活動を継続していたら正に適任だったと言えるでしょう。

今の日本代表であれば、例えば吉田麻也はディフェンスリーダーとして大きく飛躍し、現在所属しているプレミアリーグサウサンプトンでは、戦術的には異なっても3バックの中央でプレーする事も多いです。ですがこのシステムなら、どちらかと言えば吉田は3バックのサイドに置きたい気もするので、今回の2試合で良い働きを見せた昌子を起用したいところではないでしょうか。ただ、長谷部が居なくなった今、このポジションを務め上げられそうな選手は吉田か昌子の2人のみかもしれません。

 

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②3バックの両サイド

求められるタイプ→ビルドアップ能力に優れ、ボール回しや攻撃への参加が期待出来るCB

候補選手→吉田麻也、冨安健洋、畠中槙之輔槙野智章、中山雄太、杉岡大暉、三浦弦太

 

冨安健洋と畠中槙之輔は先週の2試合で十分な働きを見せました。特に畠中は彼自身の能力も勿論、ロティーナ監督の東京ヴェルディや今の横浜F・マリノスでのプレーも大きく影響しているでしょう。その他の選手で言えば、今季はスランプ気味で代表からも外れたとはいえ、三浦弦太なんかはこのシステムでも上手くいくのではないでしょうか。

 

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③両サイドハーフ

求められるタイプ→サイドバックタイプよりはサイドハーフタイプ

候補選手→原口元気、伊東純也、関根貴大柏好文小野瀬康介

 

守備意識がある事は必須ですが、このポジションは長友佑都酒井宏樹、室屋成といったサイドバックタイプよりも原口元気や伊東純也のように、4-2-3-1だと4ではなく3に入るような選手の起用の方がベターと思われます。現在のJリーグで、代表に選ばれていない選手の中から選ぶとすれば柏好文小野瀬康介辺りがこのポジションには向いているのではないでしょうか。

 

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④ワントップ

求められるタイプ→ポストプレイヤー系よりも、自身が積極的に前に飛び出していくタイプ

候補選手→永井謙佑鈴木武蔵、鎌田大地、豊川雄太、北川航也、古橋享梧、鈴木優磨、藤本憲明

 

ワントップの解説については前述の通りです。これまでに森保ジャパンに招集された選手の中で言うと、今回招集されていた永井謙佑鈴木武蔵、鎌田大地、北川航也辺りが該当すると思います。Jリーグにも良い感じの可能性を見せている選手は多いので、3-4-2-1を試すならこのポジションは結構幅広く試してみて欲しいです。

 

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…まぁ、結論をまとめると、この2試合で3-4-2-1は4-2-3-1に変わるメインシステムにして欲しいと思えるほどの可能性を示せた訳ではありませんでした。ただ、今回試した事でヒント的なものは見えた部分もあるので、テストした事自体は無意味ではなかったのかなーというのがこの2試合を見てよざっくりした感想ですかね。

 

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朝観戦なら深夜観戦の方がいいよぉ…。

ではでは(´∀`)