みなさま
あけましておめでとうございます。
本日第100回天皇杯決勝戦でございます。
さぁ、川崎フロンターレとの決勝戦ですよ。あけおめブログもこのネタに捧げます。
今回は決勝戦のマッチプレビューに加えて、第100回大会となった今大会……ガンバ大阪、過去に経験した4(+1)回の天皇杯優勝を振り返っていきます!
天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会決勝
2021年1月1日14:40@国立競技場
準決勝はどちらも「らしさ」を発揮して共に2-0で勝利。準決勝から決勝までは中4日で連戦という訳でもないですし、コンディション的にはリーグ戦よりは良い状態で迎えられるのはどちらも同じだと思います。気がかりなのは川崎は登里享平の欠場が確定的で、ガンバも井手口陽介と昌子源が復帰出来るかが定かでないところですが、お互いに状態はJ1最終節の時点よりは良いんじゃないでしょうか。
川崎というよりもガンバの感じを見ると重要なのは試合開始20分。川崎の優勝決定戦となった第29節の試合がまさにそうでしたが、この20分を0-0でやり過ごせるかどうかがガンバにとっては間違いなく鍵になります。逆に言えば第29節のように早い時間帯で川崎に先制を取られればワンサイドゲームになる可能性も決して少なくありません。宮本恒靖監督がラインの高さをどのくらいに設定してくるかは試合開始までわかりませんが、0-0の状態を長く保てるかどうかはかなり重要になりますね。勿論先制を取れるに越した事は無いですが!
なんといってもこの試合はリベンジマッチとして最高の舞台です。タイトルマッチでもありますからね。この先何度優勝しようと、これから何度優勝しようと「第100回大会の王者」を飾れるチャンスは今回だけ。歴史に名を残す最大のチャンスを何としても掴んで欲しいです。
ガンバ大阪、過去に優勝した天皇杯振り返り!
第88回大会(2008年)
監督:西野朗(7年目)
J1リーグ:8位
ナビスコ杯:ベスト4
クラブW杯:3位
4回戦 vs甲府○2-1(山口智、佐々木勇人)@万博記念競技場
5回戦 vs磐田○3-1(佐々木勇人、山口智、山崎雅人)@ヤマハスタジアム
準々決勝 vs名古屋○2-1(中澤聡太、ルーカス)@神戸ユニバー記念総合競技場
天皇杯JFA第89回全日本サッカー選手権大会決勝
2009年1月1日14:02@国立競技場
この年のガンバと言えばJリーグ史上に残る鬼畜スケジュールの下でのシーズンを過ごす事になった。ACLでは優勝という快挙を果たしてクラブ史にとって輝かしい一年になったものの、遠藤保仁や播戸竜二の長期離脱、バレーの退団等もあってリーグ戦では8位に低迷。クラブW杯ではマンチェスター・ユナイテッドと伝説の撃ち合いを演じてみせるが、前年度王者にも関わらず天皇杯を獲らないと2009年のACLに出られない状況となった。
Jリーグチームが対戦可能なスケジュールのうち、ゼロックス杯とナビスコ杯決勝を除く全試合を戦い、更に代表組を多かった当時のガンバのチーム状況は西野朗監督曰く「野戦病院」さながらの状態だったが、それでも名古屋と横浜FMに粘り強く勝ち進んで決勝に駒を進める。途中からフランサと李忠成を投入して攻勢を強めてくる柏の前に苦しむ時間も長かったが、PK戦が近づく延長戦、116分に最後に決めたのは同年非常に苦しんだ播戸だった。西野監督に「ヒーローになってこい」と送り出されたFWは、最後の最後にゴール前の混戦から押し込む「らしい」シュートでネットを許すと一目散にベンチの西野監督の下へ。初の天皇杯制覇はACL連覇を目指す意地と情念の中で掴み取った優勝だった。
第89回大会(2009年)
監督:西野朗(8年目)
J1リーグ:3位
ナビスコ杯:ベスト8
ACL:ベスト16
2回戦 vs流通経済大学○5-2(佐々木勇人、明神智和、ペドロ・ジュニオール、播戸竜二、ルーカス)@万博記念競技場
3回戦 vs福岡大学○6-1(遠藤保仁、ルーカス③、加地亮、下平匠)@万博記念競技場
4回戦 vs鳥栖○3-1(ルーカス、ペドロ・ジュニオール、明神智和)@広島ビッグアーチ
準々決勝 vs鹿島○2-1(山崎雅人②)@茨城県立カシマサッカースタジアム
準決勝 vs仙台○2-1(ルーカス②)@国立競技場
天皇杯JFA第89回全日本サッカー選手権大会決勝
2010年1月1日14:02@国立競技場
G大阪得点者:ルーカス(6分)、遠藤保仁(77分、90+2分)、二川孝広(86分)
名古屋得点者:中村直志(40分)
2008年とは異なり、望んだ形ではないにしてもACLもナビスコ杯も比較的早い段階で敗退。前半戦はホーム公式戦6連敗など難しい時期を過ごしたが、日程がリーグと天皇杯だけに絞られると余裕も出来て後半戦は僅か2敗しかしなかったペースで3位でシーズンを終える。天皇杯では第33節の直接対決で逆転優勝の夢を絶たれた鹿島に「カップ戦男」でお馴染み山崎雅人の活躍でリベンジを果たし、GKが2人欠場したにも関わらず準決勝がデビュー戦となった木村敦志が活躍して決勝進出。対戦相手は前年からブレイクした名古屋だった。
試合は1-1ながらも、俗に言う「黄金の中盤」が試合を支配する美しい試合を展開してみせる。そして77分、基本的にはパサーのイメージが強い遠藤がドリブルで相手をごぼう抜きにしてミドルシュートを放って2-1。終盤には二川と遠藤が一発ずつぶち込んで終わってみれば4-1の圧勝となった。しかし刹那的なところで言えば、2010年は二川、明神が怪我で離脱する試合が増え、2011年は橋本英郎が長期離脱を余儀なくされた上で同年限りで退団してしまう。ある意味、黄金の中盤が然るべき場所で凄まじい輝きを放った最後の試合…という見方も出来るかもしれない。
余談だが、この試合は名古屋のDF吉田麻也にとって海外移籍前最後の試合でもあった。
第94回大会(2014年)
監督:長谷川健太(2年目)
J1リーグ:優勝
ナビスコ杯:優勝
2回戦 vs金沢○5-1(宇佐美貴史、倉田秋③、西野貴治)@万博記念競技場
4回戦 vs広島○3-1(佐藤晃大②、リンス)@広島ビッグアーチ
準々決勝 vs大宮○2-0(二川孝広、佐藤晃大)@万博記念競技場
準決勝 vs清水○5-1(宇佐美貴史②、パトリック②、リンス)@味の素スタジアム
天皇杯JFA第94回全日本サッカー選手権大会決勝
2014年12月13日14:04@日産スタジアム
G大阪得点者:宇佐美貴史(4分、85分)、パトリック(22分)
山形得点者:ロメロ・フランク(62分)
横浜FMと広島が激突した2013年大会の決勝を最後に国立競技場は取り壊し&建て直しへ。その為、決勝戦は横浜の日産スタジアムで行われる事になったが、決勝が国立競技場以外で行われるのは駒沢競技場で行われた1967年大会以来47年ぶりとなった。更に2015年は1月からAFCアジアカップが開催される為、元日ではなく年内に決勝が開催されるのも上記の1967年大会以来。異例ずくめの中での天皇杯決勝は、最後の結末も偉業だった。
J1復帰初年度だったガンバは序盤こそ苦しんだもののメンバーが固まりだすと大ブーストを開始し、最後は浦和を逆転してJ史上に残る逆転優勝を達成する(リーグに関しては此方のブログに詳細)。更に11月には広島を下してナビスコ杯も制覇していた為、この天皇杯を制すれば昇格チームとしては当然ながら史上初、Jリーグの歴史でも2000年の鹿島以来2チーム目となる三冠が懸かっていた。対する山形はJ2では6位に終わりながらも、プレーオフではGK山岸範宏の伝説のゴールもあってJ1昇格を達成。まさに最も勢いのあるチーム同士の対戦である。
とはいえ、やはり実力面ではガンバが大きく上回る。22分にまでに2-0にすると、後半には1点を返されるなど山形ペースの時間も続いたが、長年課題とされていた守備が長谷川監督就任後に大きく改善された甲斐もあって同点までは許さない。最後は宇佐美がトドメを刺して3-1で勝利したガンバ。「J1昇格即優勝」は2011年に柏が達成しているし、カップ戦でも事例はある。だが「J1昇格即三冠」はさすがに今後一生お目にかかる事はないだろう。
第95回大会(2015年)
監督:長谷川健太(3年目)
J1リーグ:2位
ナビスコ杯:準優勝
4回戦 vs川崎○2-0(大森晃太郎、倉田秋)@万博記念競技場
準々決勝 vs鳥栖○3-1(宇佐美貴史②、長沢駿)@万博記念競技場
準決勝 vs広島○3-0(宇佐美貴史②、長沢駿)@ヤンマースタジアム長居
天皇杯JFA第95回全日本サッカー選手権大会決勝
2016年1月1日14:16@味の素スタジアム
浦和得点者:興梠慎三(36分)
G大阪得点者:パトリック(32分、53分)
この年も2008年に匹敵する鬼畜スケジュールの中での戦いを余儀なくされたガンバ。ゼロックス杯やスルガ銀行CSにも出場し、ナビスコ杯でも決勝に進出。リーグは年間3位だったが、復活したチャンピオンシップでは準決勝で2位の浦和を倒してここでも決勝に進んだ。要するに、国内で戦う事が可能な全試合を戦ってしまったのである。加えてACLでもベスト4まで駒を進める恐ろしい試合日程となった。だが、ナビスコ杯では鹿島に惨敗、チャンピオンシップでは広島に大逆転負けを喫して準優勝続き。ガンバにとってはしんどい思いをしながら準優勝ばかりで終わるシーズンは是が非でも回避したかった。
一方、それは浦和も同じと言えば同じだったと言える。2012年に就任したミハイロ・ペトロヴィッチ監督は低迷していたチームを軌道に乗せたが、浦和というチーム柄もあってこの辺りに来ると「タイトルを獲れない」という側面が大きく出るようになった。2014年には最後の最後でガンバにまくられ、2015年は1stステージで無敗優勝をしながら2ndステージは広島の後塵を喫し、CSでは決勝にも進めていない。そして2015年は「ガンバ大阪vs浦和レッズ」のカードが公式戦で5試合も実現している。リーグ戦こそ1勝1敗だったが、ゼロックス杯とCS(有名な丹羽大輝のアレ)ではいずれもガンバが勝利。2000年代後半の第一次ナショナルダービー期が浦和にとって栄光の歴史なら、この第二次ナショナルダービー期は浦和にとって屈辱の歴史でもあった。
迎えた試合はナショナルダービーらしい激闘を見せる。1-1出迎えた後半、コーナーキックからパトリックが叩き込んで2-1としたガンバは浦和の猛攻を受ける。その構図はまるで浦和がガンバの猛攻を凌いで優勝した2006年大会と真逆ですらあった。アディショナルタイム、ガンバファン全員の心臓が止まった「金正也まさかの空振り事件」が発生。しかしなんとかこれも東口順昭のセーブで防いでガンバが劇的な2連覇を達成した。
試合後、2015年シーズンをもって退団する事が決まっていた明神のユニフォームで遠藤が天皇杯を掲げたシーンは後世に語り継ぐべき名場面。また、準々決勝の鳥栖戦はガンバにとって万博記念競技場での最後のゲームとなった。
おまけ
第70回大会(1990年)
天皇杯JFA第70回全日本サッカー選手権大会決勝
日産自動車サッカー部0(3PK4)0松下電器産業サッカー部
1991年1月1日@国立競技場
ガンバ大阪の初タイトルは一般的に2005年のJ1リーグとされているが、前身の松下電器サッカー部時代にも一度だけ優勝を勝ち取った事がある。今からちょうど30年前、Jリーグ開幕を3年後に控えた1990年大会である。
Jリーグの前身であるJSL時代、松下電器はそこまで強いチームではなく、関西のチームといえばヤンマーディーゼルサッカー部(C大阪の前身)という時代が長く続いた。そんな中でようやく辿り着いた決勝の舞台で対峙したのは、JSL時代の終盤には既にセミプロ化していた日産自動車サッカー部(横浜FMの前身)。この時の日産はGK松永成立、DF井原正巳、MF柱谷哲二、木村和司、FW柱谷幸一、水沼貴史、更にブラジル代表として1982年スペインW杯を戦ったFWレナトらを擁してJSL、天皇杯、JSL杯の3タイトル全てを2連覇中という化け物チームだったが故に松下の勝機は薄いと思われた。だが延長戦を含めた120分をなんとか0-0で乗り切ると、後に世代別日本代表やガンバユースでGKコーチを務めるGK慶越雄二がPKを2本セーブ。松下電器サッカー部として最初で最後のタイトルは、当時讀賣クラブと2強と呼ばれた日産を撃破しての優勝だった。当時のメンバーでは解説者としてお馴染みの永島昭浩がエースとして君臨しており、DF和田昌裕(現・G大阪取締役GM)、DF島田貴裕(現・G大阪ユース監督)、DF美濃部直彦(元・京都監督)、MF梶居勝志(現・G大阪施設管理担当部長)らがこの決勝戦に出場している。
ちなみに、少し意外だがこの試合は現在までに99回開催された天皇杯決勝戦の中で唯一PK戦での決着となった試合である。
言い忘れてたけど今年もよろしく!
ではでは(´∀`)