チケットがまるで取れねぇ
どーもこんばんは
さてさて、9月5日のルヴァン杯準々決勝セレッソ大阪戦を持ちまして、ガンバ大阪…真夏の地獄の15連戦がようやく終わりました。
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とにかく今はもう…お疲れ様と言いたいのが一番ですが、今回はブログとして、この15連戦を振り返ったり、この15連戦がガンバに与えたものなどを考えてみたいと思います。
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まずそもそもなぜこのような事態になったか、という事を今一度振り返ると……開幕戦を終え、ACLの兼ね合いで前倒しとなった3月3日の名古屋戦に向けて愛知県豊田市に向かっていたガンバでしたが、ここで選手とスタッフ合わせて5名の新型コロナウィルス陽性が発覚。名古屋戦と3月6日の鹿島戦が立て続けに延期となり、最終的に感染者は8名にまで増えた事でチームは3月10日に予定されていた大分戦の延期、そして2週間のチームの活動停止が併せて発表されました。
一定期間の活動停止を余儀なくされたチームは昨年も鳥栖と柏という事例がありましたが、ガンバの場合不運だったのは…今年は東京オリンピックが開催される影響で夏場に中断期間が設けられているので、3月の時点で試合日程がかなり詰まっていた事が一つ挙げられます。その結果、ガンバは6試合が未消化分として流れる事態になりました。
そして何よりガンバにとって追い討ちをかけたのは急遽ACLの日程が変更になった事。セントラル開催が予定されていたACLは当初は4月開催予定でしたが、これが急遽6月に変更となる事態に。Jリーグ側はガンバの延期日程はルヴァン杯のないミッドウィークに差し込んでいこうと考えていたとは思いますが、この延期でその青写真もパーになってしまいました。当然ながら4月は元々ACLを前提にACL出場4チームを省いた日程になっていましたから、4月に実現できた代替日程は同じくACLに出場する名古屋戦のみという事に。そうすると、ACLが急に割り込んできた6〜7月の日程を4〜5月、或いは7月後半にねじ込まないといけない事態になり、ガンバの延期日程は東京五輪の中断期間を全て使わなければならなくなった……これにより、Jリーグ史に残る過酷日程の15連戦は完成したのです。
更に言えば、一般的に言う15連戦は7月17日の福岡戦からですが…そもそも直前までガンバはACLで1ヶ月近い期間を灼熱のウズベキスタンで過ごし、ACLの6試合も中2日ペースで行われていたので、DAZNで配信されているガンバのドキュメンタリー番組「G大阪 WHO IS YOUR HERO」で宇佐美貴史が「俺らからしたら(ACLを含めて)21連戦ですよ」と語ったのは偽らざる本音ですし、実際にそうでしょう。それだけ過密日程という言葉では足りないほどのスケジュールをガンバが強いられていてのは確かです。
改めてその日程を振り返ってみましょう。
6月16日 天皇杯2回戦 vs関西学院大◯3-0(H)@パナスタ
6月19日 ウズベキスタンへ移動
6月25日 ACL① vsタンピネス◯2-0@タシュケント
6月28日 ACL② vs全北現代△2-2@タシュケント
7月1日 ACL③ vsチェンライ・U△1-1@タシュケント
7月4日 ACL④ vsチェンライ・U△1-1@タシュケント
7月7日 ACL⑤ vsタンピネス◯8-1@タシュケント
7月10日 ACL⑥ vs全北現代●1-2@タシュケント
7月12日 日本に帰国
7月17日 J1第21節 vs福岡◯1-0(A)@ベススタ
7月21日 J1第22節 vs神戸●1-2(H)@パナスタ
7月24日 J1第2節 vs鹿島●0-1(A)@パナスタ
7月27日 J1第3節 vs大分◯2-1(H)@パナスタ
7月30日 J1第4節 vs札幌◯2-0(A)@札幌厚別
8月3日 J1第5節 vs仙台◯1-0(A)@ユアスタ
8月9日 J1第23節 vs徳島●1-2(A)@鳴門大塚
8月13日 J1第24節 vs清水◯1-0(A)@アイスタ
8月21日 J1第25節 vsFC東京△0-0(H)@パナスタ
8月25日 J1第26節 vs横浜FC●1-2(A)@ニッパツ
8月28日 J1第27節 vsC大阪●0-1(H)@パナスタ
9月1日 ルヴァン杯B8① vsC大阪◯1-0(A)@ヨドコウ
9月5日 ルヴァン杯B8② vsC大阪●0-4(H)@パナスタ
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……とまあ、このように壮絶なスケジュールは試合日程だけではなく、例えばウズベキスタンの気候や試合会場と練習会場の絶望的なピッチコンディションの悪さ、更にACL帰国後の隔離措置の影響で、帰国後も7月27日の大分戦が終わるまで選手達は自宅に帰れない状態が続いていました。
このパトリックに関して書かれた記事に書かれている事や、ガンバの公式YouTubeが上げた動画での昌子源のコメントからはなかなかヘビーさが伝わってきます。21連戦(隔離期間込み)とは、それだけ「地獄」と表現するに相応しい期間でした。前述の大分戦の時、実況の方に「今日の試合が終わればようやく家に帰れます!」ってシベリアでも行ってたんかみたいな実況されてましたし…。
この15連戦のガンバの戦績は7勝7敗1分。ACLを含めた21連戦でカウントすれば9勝8敗4分です。この間の試合内容と言えば、勝利した試合も含めて殆どが芳しくないものでした。ほとんどの試合がサンドバッグ状態となり、東口順昭や昌子源、キム・ヨングォン辺りの個人でなんとかカバーしている状態で、攻撃は上手く回らないし攻守に於いて水も噴出。第27節の大阪ダービーでは良いところがまるでないまま敗れ去り、批判と不満が劣化の如く寄せられるのも仕方ない試合がずっと続いてはいました。内容的に比較的良かったのは敗れはしたものの横浜FM戦くらいでしょうか。
ただ、個人的には……色んな状況を考えると比較的よくやったというか、この状況ではこの結果が限界だったと思っていて、来季以降続投させるべきかどうかの議論であればまた話は別ですけど、少なくとも今現在はあまり松波正信監督を批判しきれない気持ちでいます。
今季のガンバは実際、積み上げがまるでない状況ですし、疲弊もあって試合を重ねる度にパフォーマンス低下が止まらない状況です。本来であれば練習で戦術を落とし込むなり、選手と選手、選手と監督の相互理解を高め、対戦相手に応じた練習もして…という事が求められますが、ガンバはこの連戦の中で強いられたサイクルというのは大体こんな感じだと想像出来ます。
土曜日 公式戦
日曜日 リカバリーor移動日
月曜日 リカバリーorOFF
火曜日 練習or前日移動
水曜日 公式戦
木曜日 リカバリーor移動日
金曜日 練習or前日移動
土曜日 公式戦
前日練習はやっぱりチームとしてのクオリティを高める事よりも対戦相手のことを気にする必要がありますし、アウェイゲームで前日移動となればその前日練習すら無い事になります。実際、昌子のコラムによると清水戦でデビューした特別指定選手の山見大登はゲーム形式の練習を一度も行わずに清水戦に、文字通りのぶっつけ本番で戦う事になったと。特別指定の山見とは違ってガンバに専念しているので状況は違いますが、恐らくこれは水戸から加入した柳澤亘にも近い事が言えるでしょう。
今の成績と内容だと「弱いんだから練習しろ」「オフ返上しろ」的な声も散見されていますが、このスケジュールでオフやリカバリーを蔑ろにするとそれはいよいよ崩壊を意味して今以上の大惨事が発生するでしょうから、ここは死守しておかなくてはなりません。そうなってくると、ちゃんと戦術的な事を落とし込む時間など皆無になってしまい、「松波監督が何をしたいのか分からない」と言われても、やりたい事があったとしても、松波監督は常にスケジュールに追われ、何事も選手のコンディションを最優先しなくてはならなくなってきます。なので現状、ガンバのコーチ陣が出来る事はコンディションなどの「管理」しかない…といったところでしょうか。
加えて今年のガンバは、15連戦の原因でもありますが……開幕戦の後で1ヶ月の活動休止を余儀なくされた事で、宮本恒靖監督の下で挑んだ沖縄キャンプでの積み上げが全部パーになってしまったんですね。これにより、公式戦と並行する形でチーム造りをイチから始めなくてはならなくなった……これは文字で書くより遥かに難しい作業ですし、宮本監督体制の時点からACLの都合による連戦は発生していましたから、松波監督が今陥っているスケジュール的な問題はこの時点で生じていたと言えます。
ガンバは宮本監督だった4月の時点でイチから構築できるトレーニングを設ける時間も、前の試合の改善点をフィードバックする時間もなかったので、ガンバは飛行機で言うなら両翼から火を噴いた状態で飛ぶしかなかったんです。どこかで着陸して翼を修復したくても着陸できる空港がどこにもないので、火を噴き出したまま空港まで飛び続けるしかない。そうすればそうするほど、改善点には手をつけられないまま、ただただ疲弊していきながらのフライトを余儀なくされていたとでも言いましょうか。
…なので個人的には、上で述べたように松波監督が来季も指揮を執るべきかどうかは別として、今の状況の責任を松波監督に負わせて劣化の如く批判するには少ししんどいのかな……と。そもそもこういう、成長も改善もトレーニングなんかマトモに出来ない状況になる事は15連戦が確定した時点でわかっていましたから、この時点でガンバからオファーが来た監督の立場になれば「練習も出来ないのに結果は求められるの?」という状況になってきます。結局そうなってくると、そんな時に監督を引き受けてくれる人物というのはチーム内部の人間しかいない訳で、松波監督はそれがハズレくじだとわかっていたも引くしかなかった。松波監督は今のところ評価されるべき監督とは言いませんが、少なくとも同情はされてもいい監督なんだろう…とは今思っています。
ともかく、15連戦はなんとかここで一区切りです。とは言っても連戦が普通のスケジュールになるだけで何の癒しになる訳でもないですが、ACLから続く21連戦という史上稀に見る鬼畜日程は終わっただけで、その結果に満足とはさすがに言えないですけど、今はただもう…お疲れ様でしたとだけ言いたいです。
そして4月に対戦した名古屋を含めて、3月に延期した試合に中断期間に付き合ってもらう形になった鹿島、大分、札幌、仙台、横浜FMにもありがとうございましたと……今言えるのはその2つです。
そんな中で昌子さんはカタールへ…。
ではでは(´∀`)