昨日、めちゃくちゃ迷ったんですよ。サンガを観に行くか、片野坂監督の初陣となるガンバを観に行くか。
それで今回はやっぱり12年ぶりのJ1…という事でサンガの方に行きまして。こんなにも期間が空くことって二度とないでしょうし…というか二度もあったら困るし。
つきましては、帰ってきたからDAZNでゆっくりとガンバ大阪vs鹿島アントラーズの試合を視聴しました。今回は普段のマッチレビューとはちょっと違う感じで、この試合の感想をブログに綴っていきたいなと。
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まずメンバーがこれ。
システムは大方の予想通りに3-4-2-1でした。
GKに石川慧を置いたのは東口順昭のコンディション面に問題があったとの事を踏まえると、むしろサプライズと言うべきだったのは柳澤亘をWBではなく3バックの一角として起用した事でしょうか。新加入選手としては石毛秀樹がシャドーの一角でスタメン。福岡将太がベンチに入っている中でのキックオフ。
勿論結果が一番大事なのは当然とはいえ、開幕戦に関してはチームとしてやりたい方向性がピッチの上である程度示されていればある程度はOKというか、少なくとも失敗では無いと思うんですよね。個人的に。特に監督が代わったシーズンなんてのは特に。無論、シーズン終盤になればそんなこと言ってられないですが、開幕戦に限れば方向性を提示した上で精度の問題で0-4とかで負けるよりも、勝てるならまだしも何がやりたいのかさっぱりわかんないまま0-1で負けていく方がリアクションには困るというか。
その点で言えば、前半は2022年のガンバ、片野坂ガンバのスタンス…みたいなものはピッチで示せてはいたのかなと。後半に関しては、やはりあれだけアタッカーが揃う鹿島のシンプルな攻撃を10人で受けなければならない状況になった事を考えると善し悪しを判断出来る範疇の話でも無くなってくるでしょうし…。結果が結果なので満足とは言わないですが、悲観というほどでは無いと思っています。
まず印象としては、大分時代でもそういう傾向ではあったと思うんですけどライン設定は比較的低めかなと。ハイラインというよりは、低い位置からビルドアップをして相手のプレスを引き込むような形でしょうか。片野坂監督の就任が発表された時点で、Twitterなんかでは大分サポから「最初はビルドアップミスからの失点が結構多くなる」と言っていましたが、それはその「引き込んで出す」みたいなデザインが浸透しきるまでは相手のプレスに引っかかりやすくなる事と、ラインを低く設定している分ボールを取られた時にピンチに直結しやすい…という2点によって引き起こされる現象なのかな…とも思いましたね。2失点目なんかは完全にそういう形でしたし。ただガンバに関しては、もうダメだ繋げない…となったらパトリックに蹴れるという選択肢がある分、大分よりもリスクは軽減できるような気もします。
それに対して中盤は、…まぁ、これは誰を使うかによっても変わってくる部分でしょうが、攻撃時は割と3-1-4-2的な形になっていましたね。倉田と石毛がIHに近いポジション取りというか。その上で倉田と石毛は結構サイドに開く場面も多くて、両WGがインナーラップを多く仕掛けたり。逆に中央はセジョンと少し降りてきた宇佐美で調節してボールの供給を行っていました。厳密なポジショナルプレーというよりはサイドのレーンでのポジションチェンジは割と頻繁に行われていたようにも見えて、これからはボールと立ち位置の出し入れの精度と練度を上げる事が重要になってくるのかなと。鹿島戦の前半で言えば右は石毛-小野瀬-髙尾、左は倉田-黒川-柳澤のセットで宇佐美をフリーマン的にしつつ、セジョンとパトリックは敢えてあまりに絡ませないようにする…みたいな意図でしょうか。倉田をボランチで起用したのも、守備時と攻撃時で中盤の形を変えたかったみたいな側面があったのかなーと見ていて思いました。
なので攻撃のデザインとしては、DFラインをあまり高く設定せずに引き込むようやビルドアップをしている事やサイドでの出し入れも含めて、なんというか…スライドパズル的な感じで絵をやり方なのかな、とは感じましたね。開幕戦で見えてきた片野坂ガンバの輪郭の印象はそんな感じです。
この試合に関して、という事で言うなら触れるべきポイントはあと二つあります。一つは石川の活躍。GKってやっぱり難しいんですよ。ポジションが一つしかないのに試合勘は最も求められるポジションだったりする中で、急な出番に対してあれだけのパフォーマンスを見せたのは日頃の準備の賜物という他無いですし、東口を含めてあれだけのパフォーマンスが出来るGKが複数名いる事にガンバファンは本当に感謝しなければならないです。ビルドアップには不安な部分もありましたが、それに関してはガンバがチームとしてまだビルドアップは不安定な状況ですからそこを減点の理由にするのは酷でしょうし。開幕戦特有のプレッシャーと新戦術への対応に加え、強烈なシューターが揃う鹿島相手にあれだけのパフォーマンスを見せられれば手放しで賞賛する他ないでしょう。
そしてもう一つは鈴木優磨の件ですよね…。
一番妥当な判定は両者にイエローだった…というのは前提として、最終的に鈴木が不問になったのは仕方ないと思うんです。鈴木のプレーは少なくともレッドカードに値するプレーではなく、カードが出たとしても最大でイエローというプレーでした。VARの規則的にイエローかカード無しかの判定を修正する事は出来ないので、結果として鈴木がお咎めなしになった事はVARの運用としては正しいと思っています。逆に鈴木にVARの結果でイエローカードを提示すれば、それはVARの過剰介入という事になってそれはそれで問題になってくる。最初の時点で鈴木にイエローが一番正しい判定だったとは思いますが、それが出来なかった以上、鈴木のファウルに対するVARの扱いはあれで正しかったと思います。
ただ、VARを用いてもパトリックの判定が変わらなかったのは…やっぱりガンバファンとしてちょっと疑問ですよね…。
角度もそうですが、あのプレーを見るとあのシーンがどういう流れで起こったか…という順序はまずわかると思うんです。パトリックの例の動きがあったその時点で鈴木は不可抗力では無い形でパトリックの膝をガッチリ掴んでいたのは明白になる訳で、その上であれが報復行為と言えるだろうか…と。ファウルに対してVARが適応されるのはレッドか否か、PKか否か、得点に直結したか否かの3点である以上、VARによって鈴木にイエローを出さなかったのは、それはイエローかノーカードの判断になるのでVARの対象には出来ないというのは正しい適用だと思います。一方で、パトリックの場合はレッドか否かという場面な訳で、その文脈の中に鈴木のプレーはある訳で、少なくともパトリックのレッドはイエローに減刑されるべき場面だったんじゃないかと。
鹿島サポの言う「じゃあパトリックの関川郁万への行為はどうなるのか」という前半30分の場面に関しては、実際にパトリックが主審に注意されていたのは確かですし、ファウルやイエローを取られてもおかしくはない場面だったとは思います。あれはあれでパトリックは気をつけるべきなのは間違いないですが、鈴木との交錯と比較するには性質があまりにも違い過ぎるし、あの場面で関川の落ち度は一切無い事は前提としても事故的な側面の方が大きい。よくある事とまで言うとさすがに関川に酷ですし、さすがにそこまでは言いませんが…少なくともプレーの中で起こり得る現象ではあったと思いますし、敢えて鈴木との交錯と比較するなら、鈴木の場合は流れとしては起こり得ないプレーだったのが違いでしょうか。パトリックの肘打ちで脳震盪を起こしたように書いている人もいますが関川が脳震盪を起こしたのは正確には着地の時ですし、パトリックが関川を倒したのは確かとはいえ、そこに退場相当のプレーがあったとは言い難かったかったから不問になった訳で…(もちろん関川に関してはすごく心配ですが…)。
確かにそれが主審のパトリックに対する心証に影響した部分は確かだと思うし、それは自然な流れだと思うんですよ。ただ、VARの導入ってそういう「心証でのジャッジ」であったり「二つのプレーを合わせてレッドカード」みたいな絶対性のない基準を排除する為に設けられたシステムでもある訳で。そういう意味ではちょっと納得はいかない部分ではありますよね。確かに鹿島は強過ぎたし、11人vs11人でも負けていた可能性は高いだろうなと思うほどの実力差はありましたが、こっちは次の試合にパトリックは出られない訳で…納得できない部分は否めないですよね…。
最後はうっすら後味も悪くなりましたが、片野坂ガンバが11月の最終戦の時にどんな姿になっているか、期待しながら今年一年を追っていきたいと思います。
※追記
パトリックの件に関してはnoteで別で書きました。このブログに加筆する形なので、重複している部分もあります。
ではでは(´∀`)