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カウンター永久機関〜明治安田生命J1リーグ第6節 ヴィッセル神戸vs京都サンガFC マッチレビュー〜

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日本、スペイン、ドイツ、日本、スペイン、ドイツ…

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは明治安田生命J1リーグ第6節、ヴィッセル神戸vs京都サンガFCの一戦です!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

2018年5月、アンドレス・イニエスタJリーグ参戦に列島が沸き返る中、我らがサンガちゃんはどこか蚊帳の外でした。

それもそのはず。あの頃のサンガにとって、神戸と戦える権利を得られるJ1は遠い国の話のようで、J1に上がることよりもJ3に落ちないことでハアハアゼエゼエ。イニエスタを拝む為には大人しくJ1の試合を観に行くか、或いはイニエスタJ2ツアーの実現を祈って神戸を呪う事しか出来ませんでした。

 

 

 

しかし今宵、2022年4月2日、今こそ胸を張って堂々と言えます。

 

 

 

イニエスタさん、初めまして。京都サンガFCです!

 

 

 

…とはいえ、お互いにそう悠長な事は言ってもいられないのが現状。サンガは開幕戦の浦和戦で大金星を挙げた後、続くC大阪戦のドローまでは順調だったものの…5試合を終えてみれば1勝2分2敗。開幕戦から勝利から遠ざかっている現状で、J1の苦味を味わっている最中です。

そして何と言ってもピッチ内外でゴタゴタが相次いでいるのが神戸ですよ。ACLの影響もあって数試合を前倒しで行っている神戸ですが、7試合を終えて0勝4分3敗…開幕7戦未勝利という惨状に、第5節清水戦を最後に三浦淳寛監督を解任。暫定監督としてリュイス・プラナグマ監督が就任し、今日はその初陣です。

 

更に、SDとして永井秀樹氏が就任した事で神戸は現在大炎上状態。セルジ・サンペールと藤本憲明が半年以上の離脱を余儀なくされる大怪我を負い、FWはリンコン以外の全員が離脱かコンディションに問題を抱えていて、その台所事情はまさしく血祭り。神戸からしたらこの状況を払拭出来るのは初勝利しかないでしょう。

 

8年ぶり、J1とすれば12年ぶりに実現した京都×神戸の関西ダービー…それぞれの噛む苦味を良薬と変えるチームはどちらになるでしょうか。

両チームスタメンです。

 

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サンガは前節FC東京戦からスタメンを4人変更。GKには上福元直人が第3節磐田戦となる復帰を果たし、インサイドハーフには松田天馬が武田将平に代わって起用されました。そしてこれまでの5試合ではメンデスとアピアタウィア久のCBコンビでしたが、今日は移籍後初先発となる井上黎生人と、今季は左SBでの起用が主立っていた麻田将吾のコンビになっています。また、GKマイケル・ウッドが移籍後初のベンチ入りとなりました。

リュイス監督の初陣となる神戸は前述の通り、怪我人続出という状況の中でシステムを4-2-3-1に変更。ワントップには大迫勇也が復帰し、ボージャン・クルキッチが左MF、初瀬亮が右MF、小林友希が左SBと選手個々の配置も結構いじってきました。槙野智章第10節横浜FM戦以来となる先発です。

 

 

 

本日の会場は兵庫県神戸市、ノエビアスタジアム神戸です。

本日は楽天証券DAYとして開催され、ハーフタイムにはユニフォームやタオルが当たる抽選会も。また、やはり日本でトップクラスのオシャレな街なだけに心躍るスタグルも多いノエスタですが、今日は神戸の有名な蕎麦屋で、昨年末に閉店した「しなの」が1日限定で復活。神戸の選手やサポーターも愛した味が帰ってきます。

今年の関西Jクラブ4チームは全て球技専用スタジアムを持っている事でも話題ですが、その中で最も古い歴史を持つのがこのノエスタです。当時の日本では貴重な大型球技場という事で、代表戦や日韓W杯の開催など多くの歴史を積み上げてきました。ちなみにサンガvs神戸というカードは両者ともホームでの勝率が良いカードです。サンガと神戸の前回の対戦は2013年のノエスタでのゲームで、J2昇格に王手をかけた2位神戸と一敗も出来ない3位サンガという痺れる構図の試合となりました。その試合結果は引き分けで、神戸の目の前での昇格は阻止しています。

 

 

本日は現地観戦!サンガとイニエスタの出会いを拝んできます。観戦日記はまた後日。

 

 

これまでの神戸は中央に重心を置いて、その流れでサイドに持ち出す形が目立っていましたが、新監督の方針のみならずサンペールがいない事も影響したのか、前半から初瀬とボージャンの両サイドがかなりワイドな立ち位置を取っていきました。その中で前半の途中からは初瀬と酒井高徳で右から崩し、左サイドのボージャンや中盤で比較的自由に動いていた山口蛍らがフィニッシュを狙うような形で攻め込んでいきます。

 

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一方、それに対してサンガは基本的には神戸のパス回しを構える形になりつつも、神戸が非常にワイドな立ち位置を取ってきた事から選手間には広大なスペースが生まれており、ボールを奪ったところから松田天馬武富孝介がカウンタードリブル気味に持ち運び、常にトップスピードで神戸DFと対峙出来るような場面を多く作っていました。

ただ、今日は武田がいない事で中盤で減速させられる選手がいない状況が続いた事で、序盤はサンガも神戸の攻撃のやり方によって生まれたスペースを狙おうという意識のあまり、前へと急ぎすぎてチャンスをフイにする場面もチラホラありましたが、24分に武富の負傷交代によって緊急投入された金子大毅がインサイドハーフに入ってからは金子のところで一呼吸置く事が出来て、ここからサンガはカウンターを無闇矢鱈とではなく効果的に繰り出せるようになっていきます。

 

28分には荻原拓也のCKに飛び込んだ福岡慎平のシュートがクロスバーに直撃すると、31分にはハーフェーライン付近で福岡がボールを奪うと、ボールは松田を経由して一気にピーター・ウタカまで。しかし菊池流帆を完璧に振り切ってのシュートは惜しくもGK飯倉大樹に阻まれます。

対する神戸も35分、サンガのビルドアップをカットした山口がアンドレス・イニエスタとのパス交換を繰り返しながらシュートに持ち込むも枠の上。両者共にスタイルをぶつけ合いながら攻め合った前半は0-0で終えます。

 

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後半最初の決定機はサンガでした。白井康介が右サイドに出したボールを宮吉拓実がワンタッチで中央に入れると、エアポケットのような状態でボールを受けた福岡が切り込みますがシュートまで至らず。

逆に49分、ルーズボールを山口が刈り取ると、山口・初瀬・イニエスタの3人でパスで崩して一気に左サイドのボージャンへ。イニエスタへの折り返しは繋がらなかったものの、サンガは荻原と福岡がぶつかる形になってこぼれたボールを初瀬が左脚で流し込んで神戸が先制。初瀬はプロ7シーズン目にしてリーグ戦初ゴールという事に。

 

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今季、先制点を奪われた試合は全て敗れているサンガ。54分にイニエスタのCKを菊池流帆が合わせ、これはGK上福元の好セーブで防いだものの、スタジアムの雰囲気含めてアゲアゲムードになった神戸に流れが傾いたかと思われました。

しかし56分、左サイドを駆け上がった初瀬のクロスをクリアすると、そこから2〜3回ほどのリフレクションを経て最後にボールを収めたウタカが右サイドを疾走。ウタカの独走に釣られた神戸DF陣を嘲笑うかのように逆サイドの荻原に展開すると、荻原のパスを受けた金子のシュートはブロックされましたが、そのこぼれ球を荻原がアクロバティックに叩き込んでサンガがすぐさま同点に!

 

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そして更なる大きな歓喜はその僅か3分後に訪れました。1点目同様にリフレクションを重ねながらも、それらをマイボールにしながら前線に邁進するように攻め込んだサンガ。金子→ウタカを経由して左サイドの荻原がアーリークロス一旦はGK飯倉が弾きますが、そのボールをファーサイド宮吉拓実が叩き込んであっという間の大逆転!!今年のサンガで唯一、2010年以前のサンガを知る男の今季初ゴールが炸裂します!!

 

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神戸は65分に汰木康也、72分にはリンコンと中坂勇哉を投入し、リンコン大迫勇也を2トップにした4-1-3-2に近い形にシフト。対するサンガも同じ時間に福岡を下げてメンデスを入れ、システムを3バックにするリード時にはおなじみの形に変更しました。こうなると、バランスが崩れても攻めるしかない神戸に対して、サンガは生まれたスペースに何度も何度も何度も…永久機関のようにカウンターを仕掛け続け、飯倉の攻守に阻まれたものの何度か決定機も訪れます。 

アディショナルタイム、サンガは山田楓喜、アピアタウィア久、本多勇喜を3人同時に投入。神戸のパワープレーも集中して耐え凌ぐと、クリアボールを巧みなポストプレーでマイボールにしたウタカから松田と本多でまたしても左サイドを粉砕。松田のマイナス気味の折り返しに、ファーサイドの山田が左脚を振り抜いて3-1!!!至上のクライマックス!!!

 

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山田はこれがリーグ戦初出場で、そのファーストタッチがゴールということに。程なくして試合は終了。サンガ、開幕戦以来の勝利です!!

…一方、リュイス新体制の初陣となった神戸は開幕から8戦未勝利となりました。

 

 

 

一言で言えば素晴らしかった。J2から上がりたてほやほや…冒頭でギャグ的な意味も込めて「イニエスタさん初めまして!」とか言いましたが、実際にメンバー表を見ただけで怖気付きかねないほどのスターを揃える神戸に五分の展開の中で先制を許せば、それだけでガクッと来てもおかしくはない訳で。そこからすぐ同点弾を奪えた事はもちろんですけど、そこからすぐにああいう場面を作れたようなリバウンドメンタリティなんていつ身につけたんだ…と。

それだけでなく、今日の勝利って…対戦相手のやり方と、それに対するサンガのリアクションという意味で開幕戦の浦和戦と似ていたと思うんですよね。

 

 

要は、良く言えばワイド、悪く言えば選手間の距離の広さと前がかり感が顕著だった神戸の攻め方が開幕戦の時の浦和と似ていて。序盤はサンガも、神戸のスペースへの意識が先行するあまりバタついた部分もありましたが、武富が悪かった訳ではないのは大前提として、結果的にあそこで金子がピッチに入ったのは相当大きかったと思いますし、おそらく曺貴裁監督もあのまま前半を終えればIHかWGの誰かを下げて金子を入れていたような気はします。ハイテンポな試合の中で、最前線のウタカに加えて浦和戦では武田、そして神戸戦では金子が一つの機関としてカウンターを整理する事で、特にビハインドになった神戸が手負いのような状態になってからは「カウンター永久機関」と化す事が出来た……と。

浦和戦と似たような勝ち方とあまり言い過ぎると良い響きではなくなってしまうかもしれませんが、裏返せばそれは浦和戦の勝利のロジックがガラガラポンじゃなかった事の証明でもある訳で、こういう"再現性を伴った勝利"をJ1の舞台でも出来たのはチームにとって大きな財産でしょう。

 

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リュイス新体制となった神戸にも言及しておくと、新監督の初陣ということも踏まえれば、極端にネガティブになる必要は無い試合ではあったと思います。右サイドでの初瀬と酒井の連係だったり、大崎玲央を守備に専念させて山口に攻撃面でもある程度の自由を与えたり。リュイス監督のアイデアや考えを、ピッチで表現できる段階にまでは持っていけていたと言ってもいいでしょう。

ただ、今日の試合であれほどのカウンタースペースが生まれたように、今神戸がやっている事は早急に完成度を高めないとかなりのハイリスクなのは確かです。推測ですが、少なくとも今日の感じだと…実力ではなく、鹿島・柏・名古屋・福岡・そしてサンガ…この辺りとは相当相性は悪い気はしました。とはいえ、今日の結果はサンガとのそういう戦術的な相性が多少働いた部分もあると思うので、向上する余地は十分にあるでしょうし、決して悪い印象では無かったですね。

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

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明治安田生命J1リーグ第6節

アビスパ福岡0-0サガン鳥栖

ガンバ大阪3-1名古屋グランパス

柏レイソル2-0ジュビロ磐田

川崎フロンターレ1-4セレッソ大阪

湘南ベルマーレ0-1サンフレッチェ広島

鹿島アントラーズ2-1清水エスパルス

ヴィッセル神戸1-3京都サンガFC

北海道コンサドーレ札幌1-1浦和レッズ

横浜F・マリノス2-1FC東京

 

 

1位 川崎フロンターレ(16)※1

2位 横浜F・マリノス(15)※1

3位 鹿島アントラーズ(15)

4位 柏レイソル(13)

5位 セレッソ大阪(9)

6位 FC東京(9)※2

7位 浦和レッズ(8)※1

8位 サガン鳥栖(8)

9位 ガンバ大阪(8)

10位 京都サンガFC(8)

11位 アビスパ福岡(7)

12位 北海道コンサドーレ札幌(6)

13位 サンフレッチェ広島(6)

14位 名古屋グランパス(5)※2

15位 ジュビロ磐田(5)

16位 清水エスパルス(5)

17位 ヴィッセル神戸(4)※1

18位 湘南ベルマーレ(2)

 

※1 8試合消化

※2 5試合消化

 

首位の川崎はホームゲーム25戦無敗を継続しており、引き分け以上でJリーグ新記録更新…という状況でしたが、C大阪に前半だけで3失点を喫する形でまさかの惨敗。無敗記録は25でストップし、浦和とG大阪と並ぶ最多タイ記録という事になりました。安定して上位につける横浜FM・鹿島・柏の3チームはいずれも勝利。特に鹿島は今日の試合で4連勝となり、横浜FMと柏はそれぞれのクラブ創立30周年記念試合を勝利で飾っています。福岡と鳥栖九州ダービーは0-0に終わりました。

下位では湘南と広島の未勝利対決を広島が制し今季、そしてミヒャエル・スキッベ監督体制での初勝利を記録。これで未勝利のチームは湘南、8戦未勝利の神戸、そして開幕から6試合連続ドロー、「6戦6分6得点6失点勝点6」という異常な記録を達成した札幌の3チームです。

 

 

スペインドイツって神戸すぎる組やの

ではでは(´∀`)