さぁ、さぁ!!!!!!!!!
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは明治安田生命J1リーグ第22節、ガンバ大阪vsセレッソ大阪の一戦です!
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2004年、万博記念競技場───西野朗監督の下で、後に黄金期を築き上げるアタッキングフットボールが確立されたあの時から、大阪ダービーはいつもその空気を青と黒に染め上げ、常に優勝を争い、セレッソが届きようもなかった数々のタイトルでもって力の差を叩き付ける日々が続いていました。
あの頃、少なくともホームでセレッソに負ける気なんてこれっぽっちもしなかった。ガンバの黄金期が終わり、セレッソが順位表で上に付けるようになっても、過去の偉業を数えれば常にガンバの方が上であり、そしてガンバがどんな状況だろうが「ダービーだけは別の次元で戦える」と思っていた………それをプライドと称するなら、2018年の勝利はそのプライドを盾にし、2019年の勝利はプライドが彼らを覚醒へ導いた……ある意味であの2つの勝利は、今振り返ると黄金期に重ねた数多の勝利以上に……あえてこの表現を用いるなら「BE THE HEAT,BE THE HEART」という言葉が似合う試合だったように思います。
2019年、ヤンマースタジアム長居、1-3で敗れたあの試合は、セレッソにとってはかつて万博でガンバが7-1で蹴散らした時のような意味があったのでしょう。チームとしては好調な季節の続くセレッソ。対して混迷から抜け出せないガンバ──いつからかダービーは、この2チームの現状というコントラストがプライドの上に乗っかるようになってきました。2022年5月、ヨドコウ桜スタジアムでガンバが演じた失態はその象徴のようなシーンだったと言えるでしょう。そして今、ガンバはこの大阪ダービーという舞台を史上最も深刻なシチュエーションで迎えようとしています。
それでも、それでもこれは大阪ダービー。1年の中で、優勝争いや残留争いとも別の次元の戦いだと言えるカードは34試合あるうちの2試合しかない。今のガンバは混迷ここに極まれり。常に明るい未来を展望する事は決して簡単ではなく、試合の度に顔色は暗く、どことなく肩には何かが重くのしかかっているように見えて……今のガンバは2021年とはまた別の過酷さを、ファンやサポーターにとっても底の見えない穴の中に落ちたような気分でしょう。イキイキした試合を見せるセレッソを横目で見ると尚更。
それでも…たとえスタイルが見えなくても、たとえプライドが砕け散っても、きっとそこに意地は残っているはず。迂闊に過去と比較するのが正しいかどうかはわかりませんが、少なくとも2018年、そして2019年のダービーはその"意地"が間違いなくありました。この際、この試合に関しては内容も戦い方もどうだっていい。理屈を超越した何かを、このパナスタピッチに叩きつけてくれる事を期待しています。
両チームスタメンです。
9連戦の最終戦となるガンバは、前節川崎戦からは6人、ターンオーバーをせずに挑んだ天皇杯鹿島戦からも6人スタメンを入れ替えており、システムは第20節湘南戦以来の3-4-2-1に戻しました。夏の新戦力である鈴木武蔵は早速先発起用で、食野亮太郎もベンチ入り。シャドーには石毛秀樹と第18節札幌戦以来のベンチ入り、スタメンとしては前回の大阪ダービー以来となる中村仁郎が入り、コンディション敵に出場が危ぶまれた小野瀬康介とクォン・ギョンウォンも間に合いました。なお、昌子源と山見大登はメンバーを外れています。奥野耕平は前節川崎戦の退場により出場停止です。
セレッソは前節横浜FM戦からはスタメンを4人変更。天皇杯名古屋戦で負傷退場となった原川力とアダム・タガート、前節退場処分を受けた山中亮輔は欠場となった一方、今日は西尾隆矢が第18節清水戦以来の先発となり、北野颯太が久し振りのベンチ入りを果たしています。
「"ROHTO"パートナーデー」として行われる今回のダービーではユニフォーム型うちわと「チョコレート効果アイス」が先着2万枚様にプレゼントされます。フルキャパで開催されるホームでのダービーは2019年5月以来ともあって、スタジアムでのイベントにはガンバレジェンドと呼ぶべきOB選手も多数出演。試合前には「ガンバTV番外編」と称して、MCのたむらけんじ氏と共に加地亮氏、丹羽大輝氏、中澤聡太氏、明神智和氏のトークショーを開催。更に昨季から一部試合で導入されているライブ解説サービス「GAMBATELL(ガンバテル)」の解説を橋本英郎氏が務め、スマートニュースのブースには播戸竜二氏がゲスト出演。多数出演っていうよりOB大集合!!
ルヴァン杯を合わせて、これでパナスタでの大阪ダービーは8試合目。過去7試合の成績は3勝4敗……ルヴァン杯を合わせると、昨季の対戦で遂にセレッソが勝ち越すという事態が発生しています。強いガンバを、強かった大阪ダービーの歴史を追うよりも、新たなガンバを、新たなダービーの歴史を築き上げるような一戦になる事を。
序盤から攻勢に出たのはガンバでした。5分には小野瀬康介のスローインから齋藤未月のパスを受けた鈴木武蔵が切り込んでシュート。これはキム・ジンヒョンの正面に飛んだものの、セレッソのボールホルダーに対して途切れる事なくプレスを仕掛け、ボール奪取に成功すれば3人くらいが連動してショートカウンターを繰り出す事でセレッソのラインを押し下げていく事で、攻撃のターンを常にガンバが握り続けるような展開に試合を持ち込んでいきます。
そんな中で16分、ガンバは右サイドでCKを獲得すると石毛のボールをファーサイドのクォン・ギョンウォンがヘッド。山なりになったボールはクロスバーに阻まれて得点には至りませんでしたが、このルーズボールをキム・ジンヒョンがカットした事で再び右からのCK。またしても石毛がファーに蹴り込むとまたしてもクォン・ギョンウォンが、今度はまたしてもではなく低い弾道のヘッドを叩き込んでガンバが先制!!!!E-1選手権は韓国代表として参加するクォン・ギョンウォンのゴールでガンバが先制します!!!!
その後も攻勢を続けていたガンバ。26分にも三浦弦太のフィードが跳ね返されたところを拾った石毛のパスに左サイドを抜けた黒川圭介のクロスを小野瀬が頭で合わせるも…枠の上。
しかし、この辺りまで続いたガンバの攻勢の流れの中で追加点を取り切れないでいると試合の流れはここからセレッソへと傾いていく事に。31分の鈴木徳真のシュートを皮切りに、ガンバはここからセレッソの幅と密集を使い分けたポジショニングに絡め取られるような形になっていきます。
34分には松田陸のクロスに山田がヘッド。42分と43分には立て続けに松田から加藤が合わせましたが、いずれもGK東口順昭の好セーブでなんとか阻止。ガンバとしてはリードはしたし、やろうとしている事を出せてはいたものの、前半の最後の方は劣勢に転じた中で前半を終えます。
ですが後半開始早々の52分、為田大貴がドリブルで持ち運ぶと、前半最後の方からの流れの中で後退させられる形になったガンバはズルズルとラインを下げられてしまう形になり、為田が加藤に当ててリターンを受けてからのスルーパスを最後は山田が決め切って同点。前半から握っていた、リードの立場を後半の早い時間帯で失う事となってしまいます。
前半の途中から、セレッソのプレス網とビルドアップの前に攻撃のターンは完全にセレッソに渡り続けて、ガンバは前進出来ないというかセレッソの人波を押し返さない時間が続いていました。この状況を打破すべく、ガンバは失点直後に中村を下げて食野を投入。立て続けに60分には鈴木と石毛を下げて坂本一彩と倉田秋を送り、セレッソとの中盤勝負は避け、バイタルエリアを回避しながらサイド攻撃に活路を見出そうと試みます。
試合の流れはやはりセレッソに傾いたままで、ガンバは耐えながら好機を狙う苦しい戦いを強いられます。しかし、ある意味で劣勢である事を受け入れたというか、そういうセッティングを前提にした片野坂監督の采配が効果を見せる場面もあり、ガンバもカウンター気味にサイドで2〜3人がボールに絡む好機は終盤にかけて生まれるようにはなっていました。
決定的だったのが79分、ガンバが前がかりになり始めてから獅子奮迅の活躍を見せた三浦がセレッソのカウンターの芽を摘むと、こぼれたところに入ったクォン・ギョンウォンの縦パス受けた食野がタメを作って黒川にスルーパス。グラウンダーの折り返しに走り込んだのは過去何度もダービーで仕事をしてきた倉田…でしたが、この最大の決定機にシュートはキム・ジンヒョンに阻まれ…。
結論から言えば、ガンバにとってのこの試合は悲劇そのものでした。アディショナルタイム、ガンバは右サイドで攻め込んだはずだった。片野坂監督の目論見はとりあえずこの段階に到達する事が一つあったはずで、劣勢の中で何とか前に押し返そうとし、サイドで、チャンスになりそうなエリアでパスを回そうとはしていた。けど……ネットが揺れた時、沸いたのは青黒ではなくスタンドの一角に位置取るピンク。崩れた真夏の方程式の解は、今の現実を映し出す結果に堕ちてしまいました。
5月のダービーのように、全ての希望が時間と共に失われていくようなダービーではありませんでした。
実際、前半20分までは完璧だった。誰かが何かを決定的に間違えたとは思わないし、ダービーらしい選手の意地も、気迫も、意思も感じることが出来た。ただ………そんな、ダービーとしてやる事をやった上でこの結末、…もうちょっとあっただろ、何もロスタイムじゃなくてもいいんじゃんか。もうそういうしかなかったというか。
セレッソに対して劣勢を受け入れるような采配を採らざるを得なかったとはいえ、そのやり方は功を奏したとは思うんですよ。中盤勝負ではミドルゾーンはセレッソに完全に制圧されていたから、ピッチにアルファベットの「U」の字を描くようにサイドからカウンターを仕掛ける…そのやり方は、セレッソに詰められるように攻め込まれたガンバにとって、打開策としてはすごくよく分かるし、食野が前線でキープ力を発揮した事で一定の成果は見せていた。でも、そういう流れで掴んだチャンスで最後ああなるなんて…。
この日のガンバは、ダービーをダービーらしくする為の要件は満たしていたと思うんですよ。精神論を語る訳じゃないですけど、確かにそこには気迫が宿っていた。意地も感じた。執念も見えた。
わかってるんですよ。精神論で今のセレッソとの差は埋められない。むしろここまで持ち込んだ事を褒めるべきなのかもしれない。でもそれなら、それなら何も、あんな皮肉な結末じゃなくてもいいじゃんか…………。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
明治安田生命J1リーグ第22節の分は、京都サンガFCvsサンフレッチェ広島のマッチレビューのページに掲載しています。
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多分本当の未来なんて知りたくないとアナタは云う
ではでは