4年前ロシア行ってたのな、わし…
どーもこんばんは
さてさて、本日10月20日です。いよいよ11月20日から始まるカタールW杯開幕まで1ヶ月となりました!!
前回大会から4年。皆様にとってこの4年は早かったのでしょうか、それとも長かったのでしょうか。
当ブログではここから1ヶ月、大会1ヶ月、なんならその後も1ヶ月くらい、カタールW杯の事やカタールW杯を観戦するにあたって役立つ情報のあれこれ。更には過去のW杯、更に日本代表のあれこれにまつわるブログをどんどん更新していきます!
それらのブログは下記のページに「RK-3カタールW杯観戦ガイド」としてまとめておりますので、是非ブックマーク等々してもらえると幸いです。
という訳で今回のテーマは此方になります。
「もし2022 FIFAワールドカップが日本開催だったら?」
これ、ぱっと見ファンタジー記事のように見えるんですけど、まあ今となっては実際ファンタジー記事なんですけど、全くのゼロから妄想した話でもないんですよ。
皆様覚えてますかね?何気に日本、2022年のワールドカップ開催地に立候補していた事を。
落選理由は色々ありますが、事実としては2022年のW杯招致レースは日本、韓国、オーストラリア、カタール、アメリカで争われた結果、周知の通りカタールの勝利という結果に終わりました。
という訳で今回は、もし「2022年日本ワールドカップ」が実現した場合に開催会場になる予定だったスタジアムを振り返っていきます。
オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。
↓
【もし2022年日本ワールドカップ招致が成功していた場合に開催会場になる予定だったスタジアム】
まずは2002年日韓ワールドカップの際に会場になった都市とスタジアムが以下の10会場です。
※( )内は2022年時点でのネーミングライツ
基本的な方針としては、小規模な改修を施しつつも、基本的には日韓W杯の際に建設されたスタジアムを中心にし、そこに数会場新設スタジアムを組み込む形の計画になっていました。
このうち、日韓W杯では宮城スタジアムでW杯を開催した宮城県が財政難を理由に立候補を断念。また、神戸市は日韓W杯で使用した神戸ウイングスタジアムがW杯後の改修により収容人数を大幅に減らしていた事もあって、神戸ユニバー記念総合競技場を会場として立候補する形になっていました。スタジアム単位で言えば、宮城スタジアムと神戸ウイングスタジアムを除く日韓大会の8会場が2022年大会でも立候補していた事になります。
そこに新たに立候補していたのが東京都と愛知県豊田市で、東京都は2会場を申請し、また大阪市は長居スタジアムにプラスして新設会場との2会場で立候補しました。ちなみに、大阪府吹田市も当時計画されていたガンバ大阪のホームスタジアム(後の市立吹田サッカースタジアム)で立候補する予定でしたが、FIFAへの届出を出すタイミングで計画が一時暗礁に乗り上げた事で立候補を断念。要は、場合によっては大阪府で3会場になる可能性もあったという…。
で、最終的に立候補した会場が、以下の11都市13会場でした。
大阪市:大阪エコ・スタジアム
各スタジアムの紹介は過去に当ブログでも度々取り上げておりますので、そちらを是非ご参照くださいませ↓
一応この13会場はあくまで"候補"の段階であり、正式決定を前にしてW杯招致が失敗に終わった為、そこの最終選考は行われないままとなってしまいました。
ただ、基本的にW杯の開催会場は10〜12会場が相場である事を思うと、立候補会場全てが基準を満たす事を前提とするならば、おそらく13会場がそのまま正式会場として認定されるか、2会場で立候補している東京都と大阪市から1会場ずつ(多分味スタと長居)を削った11会場での開催になったんじゃなかろうか、と予想されます。
……で、ここまで読んでくださった方の中で、比較的最近にサッカーを見始めた人は思った事でしょう。
(゚ω゚)「大阪エコスタジアム……?」
ではここからは大阪エコスタジアムとはなんぞや、というおはなし。
【幻の計画、大阪エコ・スタジアム】
※個人の役職は全て計画当時の役職です。
日本のW杯招致計画に於いて、一つのネックとして「開幕戦及び決勝戦の開催スタジアム問題」というものがありました。
2002年日韓W杯の際には横浜の日産スタジアムが使用されましたが、このスタジアムの収容人数は72327人。日韓W杯以降、W杯の開催規定には「8万人以上の観客収容能力があるスタジアムが国内に1つあること」という規定が加えられた事で、7万人規模の日産スタジアムが最大規模の日本は8万人以上のスタジアムが一つも無い状態でした。当初は2020年ではなく2016年の夏季オリンピック招致を目指していた東京都が、8〜10万人規模で後の新国立競技場とは異なる東京オリンピックスタジアムを建設する計画を推めており、そのスタジアムをそのままW杯の開幕戦・決勝戦の会場にする予定で日本W杯計画も組み立てられていましたが、2016年の招致はブラジルのリオデジャネイロに敗れる形であえなく失敗。後に2020年のオリンピック招致は国立競技場を建て替える形で推められたように、新設スタジアム建設はここで頓挫する事になりました。
一応、当時のFIFAのゼップ・ブラッター会長からは「横浜(日産スタジアム)での開催で問題ない」と言われており、新しい大型スタジアムを作らなくても開催を認められる確約は得ていたものの、それでも選考には少なからず影響は及ぼすと考えられた事もあり、W杯招致委員会の犬飼基昭委員長(JFA会長)はあくまで8万人規模のスタジアム建設を目指す事を表明していました。
そんな中でJR大阪駅北側の、俗に言う「梅田北ヤード開発計画」として「梅田北ヤードスタジアム構想」が浮上し、犬飼委員長の口から計画が公表されたのが2009年12月。2009年内のうちに大阪市に対し、Jリーグが大阪市をホームタウンとするセレッソ大阪を通じる形で提案しました(当時の鬼武健二チェアマンはC大阪の元社長)。
元々JリーグやJFAとしても、神戸ウイングスタジアムが規模を縮小して以降、4万人以上の規模の球技場を西日本に建設したい意向を強く持っており、そこにW杯招致、東京オリンピックスタジアム構想の頓挫、そして大阪駅北地区の開発計画の3つのタイミングが揃った事で計画が勧められる事になり、後に「大阪エコ・スタジアム」という仮称が設定されました。
ちなみに場所としてはこんな感じ。
「梅田北ヤード」と呼ばれる開発エリアは阪急梅田駅/JR大阪駅の北側のエリアで、「大阪最後の一等地」とも呼ばれているエリアになっていました。この梅田北ヤードも「先行開発区域」と「後発開発区域」の2ブロックに分かれており、前者のエリアにはグランフロント大阪が2013年から開業。このスタジアム構想は後者をベースに考えられていました。実際、2022年W杯招致の際には、この建設予定の大阪エコスタジアムを開幕戦及び決勝戦の会場とする事でFIFAに届出を出しています。
しかし、大阪府と大阪市は当時深刻な財政難に陥っており、府も市も出資に限界がある事から国に出資を求めて「西の国立競技場」としたい意見が多く、一方で協議委員の一人である橋下徹大阪府知事は民間からの投資を募るべきという意見を表面しており、どちらにせよ大阪府・大阪市として1000億円にも上る建設費用を捻出する事はこの時点で既に困難でもありました。
それでもJFAは大阪エコスタジアム建設をW杯招致の中核として計画を推め、実際に2010年7月のFIFAの現地調査の際には、平松邦夫大阪市長の案内で視察団が空中から建設予定地を視察。大会開幕前にW杯開催国で行われるのが通例になっているFIFA総会もグランキューブ大阪での開催を予定するなど、計画に一定の本気度は常に保っていました。
しかし、平松市長がW杯招致に失敗しても規模を縮小した上で観察したい意向を持っていた一方、大阪の財政難に加えて前述の通りこの区域が「大阪最後の一等地」とも呼ばれていた事から、果たしてこの場所を球技場として建設すべきなのかどうかという意見は当初からあり、実際に橋下知事は11月になって反対の意向を表明。結果的に日本は2022年のW杯招致に敗れるという結果になりました。平松市長はそれでも建設の意向を持っていましたが、平松市長が期待したJFAからの新たな提案はなく、"W杯開催"という大義名分を失った事で、橋下市長に加えて関西経済同友会やや北ヤード開発の総合アドバイザーも反対と同エリアの緑地化を提言。最終的には平松市長も緑化の提言に沿う事を表明した事で、大阪エコスタジアム構想は撤回・消滅となりました。
大阪エコ・スタジアムはスタジアムのスペックに関して具体的な計画が出る前に頓挫となりましたが、基本構想として予定されていた計画は以下の通り。
・屋根に太陽光発電パネルを設置
・音や振動による発電装置の導入
・ヒートアイランド対策として屋上、壁面、周囲を緑化
・4万人分のスタンドは仮設スタンドとして建設し、W杯後は仮設スタンドを撤去して4万人規模のスタジアムとする
・ラグビーやアメリカンフットボールも開催可能
・計画段階で既に決定していた2019年ラグビーワールドカップの開催会場としても利用する
で、実際問題として大阪エコスタジアムが完成した場合、どこのチームがスタジアムにしていたかと考えると……結果的にこれも発表されてないんですよね。
そもそも提案自体が、当時の鬼武チェアマンがセレッソ出身だった事もあってセレッソを通じて行われていますし、大阪市をホームタウンとするクラブはセレッソですから、メインはセレッソになる…と考えるのが自然といえば自然なんですけど、当時のセレッソは長居球技場(後のヨドコウ桜スタジアム)の第一次改修が終わったところで長居スタジアムとの2スタジアム体制を確立したばかりでした。なのでセレッソにとって、長居公園から本格的に移転する事は必ずしも旨い話とも言い切れませんでした。
じゃあガンバ大阪はというと、ガンバが使用する…という計画案は表には出てきていないのであくまで推測ですが、大阪市はセレッソのホームタウンでありながらも、風潮的には地域的なガンバとセレッソの境界線は梅田駅エリアとされており、梅田駅エリアはガンバとセレッソが混在する地域…みたいなエリアなので、現実味が皆無…という訳では無かったものの、当時のガンバは自分達が運営するスタジアムを自前で計画していた段階で、その計画が具体化するまでの暫定での本拠地としての活用意義はあったものの、恒久的な本拠地化はクラブとしても積極的にはならなかったでしょう。
それを考えると、旧国立競技場と同様に明確なホームチームを持たず、旧国立でのFC東京と東京ヴェルディ、静岡スタジアムエコパでの清水エスパルスとジュビロ磐田のようにガンバとセレッソの共同準ホームとしつつ日本代表戦を中心に開催しながら、当時大型スタジアムを持っていなかったセレッソとガンバに加え、京都サンガFC、ヴィッセル神戸辺りが一部の試合で使用する形になっていたように思います。
その後、W杯終了後の運用として考えられていた4万人規模の球技専用スタジアムは、ガンバ大阪が前述の独自計画の末に2015年に市立吹田サッカースタジアム(パナソニックスタジアム吹田)を完成させた形で結果的に実現する事になりました。セレッソも、規模としては大規模ではありませんが、長居球技場(ヨドコウ桜スタジアム)の大規模改修という形で自前のスタジアムを建設。元々建設予定地だった梅田北ヤードも2024年の一部まちびらきを目標に新たな都市開発が進んでおり、今では建設の必要性も建設する場所も無くなった状態になっています。
その計画の是非はともかく、幻となったスタジアムの計画の話はロマンがあっていいですよね。でも2022年の日本ワールドカップが、その決勝が関西である可能性があったと思うと……ちょっとその世界も見てみたかったな、という気もします。
ではでは(´∀`)