こんなはずではなかった────。
第33節、ホーム最終戦の相手がジュビロ磐田というマッチスケジュールが組まれたその時に想起した未来とは全く異なるシチュエーションに見舞われていた。
今は50番を背負うその後ろ姿は、もはやこのクラブにとって"レジェンド"という言葉ですら収めることが出来ない。このクラブの過去の全てを築いたと言っても過言ではない。彼のいたスタジアム、青黒の彼がいないピッチ、そして彼のいた時代は過ぎ、そこに残された17位vs18位という現実……記憶と現在が去来する度に、切なさを伴う居心地の悪さを感じていた。
良い時代はいつか過ぎる。
悪い時代は抗えど留まる時がある。
それを繰り返しながら世の中は廻る。
このクラブの全てだった男に屈辱を与える事でしか、この日のガンバに未来を語る資格はなかった。あの時代を見た全ての者が、美しい記憶と現実のジレンマを抱えながら挑んだこの90分を誇りに思う。
本日のスポーツ観戦日記は2022年10月29日にパナソニックスタジアム吹田で行われた明治安田生命J1リーグ第33節、ガンバ大阪vsジュビロ磐田の観戦日記です。
オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。
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秋晴れの太陽の塔。
秋晴れのパナスタ。
10月末に「ホーム最終戦」なんてフレーズが踊るのもどこか不思議な気分ではありますが。今季も佳境ということで。
まぁ、ガンバの場合はフランクフルト戦のチケット持ってますから、これが最後の最後という訳ではないものの。サッカー的にここから年明けまでは別れの季節という事で……ほんのりとした一抹の寂しさも抱えながらスタジアムin。
山見くん来年こそは…!
この試合は実にシビアなシチュエーションで行われていました(まあシビアな状況自体はまだ変わりませんが…)。
まず磐田は勝てなかったらその時点で降格が確定。ガンバも順位としては17位で、この試合で16位以下が決まる可能性もある。引き分けなんて言語道断。お互い追い込まれた状況でした。遠藤保仁の帰還を素直に楽しめるシチュエーションじゃなかったのは確かで、多くのガンバファンがほんのりと複雑な気持ちを抱えた中でその時を迎えました。
そしていよいよキックオフ。
前半は……まあ、低調な内容というか、語弊を恐れずに言えば残留争いに陥ったチーム同士の対戦……って感じの内容ではありました。
ただ、磐田はまず如何に昌子源と三浦弦太の2CBの間隔を狂わせようかを考えた攻め方をしてきて、ガンバは磐田のそういうやり方を理解してはいながらも前に出なければならない。そういうゲームの戦い方に於けるスタンスのジレンマを感じるような展開でもあった印象でしたね。
その辺のことはマッチレビューにたっぷり、はい、かなりたっぷり書いたのでそちらを是非。
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後半なんて……ね。序盤から磐田に攻められて。
観てない方はハイライトとか観てもらえればわかると思うんですけど、前半終了間際に小野瀬康介が大決定機を外したんですよ。そこでちょっと変な空気感にもなっていたというか。そんな中で後半…ですよね。奇しくも小野瀬が外した決定機を、右サイドと左サイドを入れ替えたような場所でヤットさんが──芝の影響でバウンドしたとか何とかあったとしても──何というか、あのシーンはあまりにも皮肉的なシーンだったというか、ガンバファンにとっては現実を手に入れる為には幻想を越えなければならない瞬間を見せられたような光景でした。
そしてその直後に訪れる食野亮太郎のゴール!!
この日のパナスタは完売。
フルキャパでは無かったんですけど(マッチレビューとかフルキャパって書いちゃってた)、ゴール裏の声出しエリアを除いてはお客が埋まったこのスタジアムで生まれるこのゴール、轟く歓声、全員立ちあがっちゃって、写真を撮っても誰かの手や頭が入っちゃうこの感じ……結局のところ、やっぱりこの瞬間の為にサッカー観てるんだなぁって感じがしますよね。
もちろん優勝とか残留とか、最終的な結果を追うのはいつもなんですけど。結局は現地で感じる、土踏まずの下から押し上げてくるような狂気を求めてるような気がします。
その後も安心できない展開の中で安心できない過去がフラッシュバックし続けましたが、更にここでパトリックのスーパーゴール!!
2点目以降、一緒に行ってたやつに「口数増えたね」って言われました。
この2点目は本当に大きかったですね………手負いになった磐田を刺す事が出来たというか。2-0になってからは油断していた訳ではないですけど、ちゃんと試合を見る事が出来たような気もしています。それまでは「エアハァ~」「ンォウ」とかどこから出てるのかわからない声よりも音に近いやつ出てましたし。
試合終了!!
2-0勝利!!
色々あった今年のホーム最終戦セレモニー、なんとか笑顔で進行出来てほんとよかった……
開幕戦でのパトリックと鈴木優磨のアレに始まり、宇佐美の怪我や相次ぐアディショナルタイム失点、悪夢の勝てない日々……この試合自体、パナスタでは4ヶ月ぶりの勝利なんです。良い思い出、楽しい思い出はかなり小さかった。それでも最後のホームで意地を見せて、みんなでガンバクラップを出来た……。
ガンバの2022年シーズンに関しては追々がっつり書いていく予定なので、とりあえず今日はそこまで総括的なブログを書くつもりは有りませんが、ここで見せた意地をなんとか、最後に鹿嶋の地で見せてほしい。残留争い云々の前に、同じ相手に5連敗する訳にはいかないですからね。今年の苦しみの全ての始まりだった相手で、今年のケリをつけてほしいです。
……そして。
性格的に、というか磐田の降格が決まったのもあるので来ないかなー…って思ってたんですけど。
勝手な考えですが、遠藤保仁を振り返るようなものをガッツリ書くブログは引退した後に書こうと思っているので、ここで多くの事を書こうとは思っていません。
それでもやっぱり貴方はパナスタが似合うし、貴方はやっぱりパナスタを映えさせる。このクラブの美しい過去の全ては遠藤保仁が築いたと言っても過言ではない反面、これからの未来は遠藤保仁なしで築いていかなければならない………。結果的に遠藤保仁のクラブのJ2降格をガンバが決めなくてはならない状況だった事は、良き現実は幻想を飛び越えて手繰り寄せないとならない、今ガンバが向き合わなければならないテーマを見ているようでした。
ヤットさん、またパナスタで!
ではでは(´∀`)