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【思てたんと違う選手権】絶対安パイだと思ってたのに衝撃のグループステージ敗退を喫した歴代の優勝候補国5選

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「思てたんと違ーう」

笑い飯西田幸治(2008)

 

 

 

日本代表がW杯に対してこれを叫びたくなったのは2006年と2014年でしょう。まぁ、2010年と2018年も良い意味で叫びましたが…。

しかし、それは仮に……もっとW杯優勝を争うと目されたチーム、そして大事なのは決勝トーナメントで、グループステージで敗れるリスクを想定すらしていなかったようなチームでそれが起こった時、思てたんと違う具合は更に更に更に大きくなるのです。

 

日本は今大会、とんでもないグループに入れられました。そりゃとんでもないグループだよ……だってスペインとドイツと一緒なんだよ?という事は、日本が、あるいはコスタリカがグループステージを突破する為には、スペインかドイツのどちらかに「思てたんと違ーーーーう!!!」と叫ばせなければならないのです。

という訳で今回は、前回のミッションインポッシブル系グループステージ突破チーム特集に続き、歴代W杯のグループステージで、グループステージ敗退なんて想像さえもしていなかったのにグループステージで大会を去った、思てたんと違った国々を振り返っていきます。

 

 

※正直なところ昔々の大会に関しては力関係の感覚とかあまり理解出来てないので、基本的にはフランスW杯以降辺りからの選出になる事を予めご了承ください。

 

 

 

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CASE1:スペイン代表(1998年フランスW杯)

監督:ハビエル・クレメンテ

 

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【試合結果】

第1戦 vsナイジェリア●2-3(得点者:F・イエロ、ラウール)

第2戦 vsパラグアイ△0-0

第3戦 vsブルガリア○6-1(得点者:F・イエロ、L・エンリケ、F・モリエンテス②、キコ②)

 

1位 ナイジェリア(6)±0

2位 パラグアイ(5)+2

3位 スペイン(4)+4

4位 ブルガリア(1)-1

 

【主要選手】

GK1 アンドニ・スビサレッタ(バレンシアCF)

DF6 フェルナンド・イエロ(レアル・マドリード)

FW10 ラウール・ゴンサレス(レアル・マドリード)

DF12 セルジ(FCバルセロナ)

MF21 ルイス・エンリケ(FCバルセロナ)

 

 

日本ではしばしば「無敵艦隊」と称される事の多いスペイン代表だが、日本でこの愛称が定着したのはクレメンテ監督率いるフランスW杯に向けたスペインが31戦無敗を記録したところから定着した。ティキタカの印象が強い近年のスペイン像と比べると守備やフィジカル面も重視されたチームだったが、イエロやエンリケジョゼップ・グアルディオラといった90年代のスペインの英雄達が充実期を迎えたところにラウールという新星も加わり、グアルディオラこそW杯は負傷で逃したが、それまでのスペインは「どうしてもベスト4に行かない強豪国」という位置付けだったにも関わらずW杯優勝の有力候補で、当時黄金期を迎えていたナイジェリア、南米の実力国パラグアイ、前回大会4位のブルガリアが同郷する死の組に組み込まれながらも本命視に揺るぎはなかった。

しかし初戦のナイジェリア戦、イエロとラウールが共に美しいゴールを叩き出して2-1でリードしていたスペインだったが、終盤に差し掛かる頃に名手・スビサレッタの痛恨のミスで同点に追いつかれると、直後にはロングスローのこぼれ球をオリセーがW杯史に残るゴラッソを叩き込んでスペインは敗れる。ナイジェリア視点では伝説の試合であり、そしてスペイン視点では悲劇の始まりだった。続く第2戦では名GKチラベルトを中心に勝点1上等で守りを固めたパラグアイから遂にゴールを奪えずスコアレスドロー。最終戦ブルガリア相手に全ての鬱憤をぶつけるかのような圧勝を果たしたが、他会場でパラグアイが勝利した事で敗退が決定。無敵艦隊は屈辱の結末を迎えた。

 

CASE2:フランス代表(2002年日韓W杯)

監督:ロジェ・ルメール

 

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【試合結果】

第1戦 vsセネガル●0-1

第2戦 vsウルグアイ△0-0

第3戦 vsデンマーク●0-2

 

1位 デンマーク(7)+3

2位 セネガル(5)+1

3位 ウルグアイ(2)-1

4位 フランス(1)-3

 

【主要選手】

MF4 パトリック・ヴィエラ(アーセナル)

MF7 クロード・マケレレ(レアル・マドリード)

MF10 ジネディーヌ・ジダン(レアル・マドリード)

FW12 ティアリ・アンリ(アーセナル)

FW20 ダヴィド・トレゼゲ(ユベントス)

 

 

言うまでもなく本命だった。自国開催の前回大会を制したフランス代表は、前回大会のチームは若手メンバーが多かっただけに更なる充実期を迎えたフランスはEURO2000でも優勝を飾り、直前のシーズンとなる01-02はFWの軸のアンリとトレゼゲがそれぞれイングランドとイタリアで優勝と得点王を獲得。中盤にはヴィエラマケレレ、DF陣にはリリアン・テュラムマルセル・デサイー……そして何より、開幕の2週間前のCL決勝で"伝説のボレー"を決め、当時の世界No.1プレーヤーだったジダンが君臨していた当時のフランス代表は、同国史上はおろかサッカー史に残るほどのオールスター集団で、彼らが優勝候補本命である事に疑いの余地はなかった。

しかし攻撃のキーマンであるロベール・ピレスが負傷でメンバー入りを逃すと、大会直前の韓国との親善試合でジダンまでも負傷してしまう。それでも戦力値が頭抜けているのは変わらず、本命視はまだ揺るがなかった。だが5月31日、当時は前回王者が戦う事になっていた開幕戦で、これがW杯で初めての試合となるセネガル相手にまさかの黒星を喫する。続くウルグアイ戦では前半のアンリの退場もあって0-0に終わり、いよいよ崖っぷちに追い込まれた第3戦ではジダンを強行出場させる文字通りの背水の陣で挑んだ。しかし前がかりな猛攻は空回り。歯車が壊れたチームは結局、デンマークに鮮やかなカウンターを2発叩き込まれ、史上最強メンバーを揃えたレ・ブルーは勝利はおろか、ただの1点も取れずに大会を去った。

日韓W杯と言えばフランスと並ぶ本命扱いされていたアルゼンチンも、それがW杯史上稀に見る死の組だったとはいえ敗退を余儀なくされた。決勝に進んだドイツとブラジルは名前だけ見れば自然だが、大会前の時点でこの2チームの期待値は過去の大会と比べるとそれほど高くはなかった。

 

CASE3:イタリア代表(2010年南アフリカW杯)

監督:マルチェロ・リッピ

 

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【試合結果】

第1戦 vsパラグアイ△1-1(得点者:デ・ロッシ)

第2戦 vsニュージーランド△1-1(得点者:V・イアクインタ)

第3戦 vsスロバキア●2-3(得点者:ディ・ナターレ、F・クアリャレッラ)

 

1位 パラグアイ(5)+2

2位 スロバキア(4)-1

3位 ニュージーランド(3)±0

4位 イタリア(2)-1

 

【主要選手】

GK1 ジャンルイジ・ブッフォン(ユベントス)

DF5 ファビオ・カンナヴァーロ(ユベントス)

MF6 ダニエレ・デ・ロッシ(ASローマ)

MF8 ジェンナーロ・イヴァン・ガットゥーゾ(ACミラン)

MF21 アンドレア・ピルロ(ACミラン)

 

 

「前回王者がグループステージで敗退する」という現象は前述のフランスのインパクトが強かったが、続くドイツW杯のブラジルがグループステージは突破した事でフランスが異常だっただけと思われていた。しかしこのイタリアから、この現象がジンクスになり始める事となる。

確かに南アフリカW杯のイタリアは、前述のフランスとは異なり優勝を果たした前回大会のチームから見劣りしていて、W杯優勝を置き土産に退任したリッピ監督をEURO2008終了後に再任させるなど過渡期と混迷期を迎えており、ブッフォンピルロの両軸がコンディション問題で最終的に1試合しか出られなかったという事情もあって期待値がそれほど高い訳ではなかった。しかし組み合わせには恵まれたので決勝トーナメント進出は有力視されていたが、ラッキーグループとも思われた中でパラグアイ、果ては全敗必至とも言われたニュージーランドにまで引き分けた状態で最終節を迎えてしまう。

勝てば突破、引き分けでも他会場次第では突破出来たイタリアだったが、初出場となったスロバキアとの試合でこれまで代名詞だった守備が崩壊。3-1で迎えたアディショナルタイムファビオ・クアリアレッラの美しいゴールで1点を返したが、アップセットに大歓喜に沸くスロバキアの陰でアズーリはかつてない屈辱を味わう事となった。

余談だが、全敗必至と言われたニュージーランドは敗退こそしたが3引き分けと無敗のまま大会を去った。優勝したスペインはグループステージで1敗を喫していた為、最終的にニュージーランド南アフリカW杯で唯一無敗のまま大会を終えたチームとなった。

 

CASE4:スペイン代表(2014年ブラジルW杯)

監督:ビセンテ・デル・ボスケ

 

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【試合結果】

第1戦 vsオランダ●1-5(得点者:X・アロンソ)

第2戦 vsチリ●0-2

第3戦 vsオーストラリア○3-0(得点者:D・ビジャ、F・トーレス、F・マタ)

 

1位 オランダ(9)+7

2位 チリ(6)+2

3位 スペイン(3)-3

4位 オーストラリア(0)-6

 

【主要選手】

MF6 アンドレス・イニエスタ(FCバルセロナ)

MF8 シャビ・エルナンデス(FCバルセロナ)

MF14 シャビ・アロンソ(レアル・マドリード)

DF15 セルヒオ・ラモス(レアル・マドリード)

MF21 ダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)

 

 

この世の全てを制圧するほどの勢いだったペップ・バルサをベースに南アフリカW杯を制したスペイン。バルサの黄金期の後でレアルも復権を果たすと圧倒的な強さでEURO連覇を達成。2度のEUROとW杯を連続で制したのは史上初で、前回大会のメンバーからプジョルは去り、ビジャやF・トーレスはピークを過ぎてはいたが、シルバやブスケツが前回大会より存在感を増しただけでなく、ジョルディ・アルバやコケが新たに加わったチームは、戦力値だけなら南アフリカW杯の時のチームすら上回っていたかもしれない。実際に優勝予想はブラジルとスペインに集中していた。だが、ペップバルサの終焉とジョゼ・モウリーニョの襲来から生まれ始めた歪みは、ブラジルに完敗した前年のコンフェデ杯決勝から少しずつ表面化し始めた。

全ては初戦だった。いきなり前回大会の決勝カードの再現として注目された試合は、ジエゴ・コスタが倒されて得たPKをX・アロンソが決めたところまでは良かった。しかし前半ATに今や伝説となったファン・ペルシーのダイビングヘッドで追い付かれると……その後の展開は見るも無惨という言葉がこれほどまでにしっくりくる試合はなく───スペインは敗れるというより、完全に切り刻まれるように1-5で砕け散ってしまった。

歯車は狂ったのではなく完全に壊れた。第2戦、聖地・マラカナンでのチリ戦の時には、もはや前回王者や優勝校の姿はそこには無く、あまりにも呆気なく0-2で敗れたスペインのW杯はたった2試合で運命が決まった。敗退が決まった国同士の対決となったオーストラリア戦は3-0で勝利したが、スペインの選手は得点に喜ぶ気配もなく、重ねた勝利と掴んだ勝利は虚しさを増大させただけに終わってしまった。この大会以降、スペイン代表もEURO2020まで混迷の時代に突入する事になる。

 

CASE5:ドイツ代表(2018年ロシアW杯)

監督:ヨアキム・レーヴ

 

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【試合結果】

第1戦 vsメキシコ●0-1

第2戦 vsスウェーデン○2-1(得点者:M・ロイス、T・クロース)

第3戦 vs韓国●0-2

 

1位 スウェーデン(6)+4

2位 メキシコ(6)-1

3位 韓国(3)±0

4位 ドイツ(3)-1

 

【主要選手】

GK1 マヌエル・ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)

DF5 マッツ・フンメルス(バイエルン・ミュンヘン)

MF8 トニ・クロース(レアル・マドリード)

MF10 メスト・エジル(アーセナル)

MF13 トーマス・ミュラー(バイエルン・ミュンヘン)

 

 

「優勝は出来ないが、絶対にベスト4には行く」───それが国際大会に於けるドイツ代表のイメージだった。それが自信でもあり悩みでもあったドイツが、その呪縛を遂に解いたのがブラジルW杯だった。しかし無慈悲なまでの強さを見せた前回大会から4年、呪縛から解かれたドイツ代表は良くも悪くも全くイメージの異なるチームへの変遷を遂げていく。

ドイツが入ったグループEはハードなグループと言われたが、実際にはドイツの1位と韓国の4位は固く、メキシコとスウェーデンの2位争いに注目が集まっていた。だが迎えたメキシコとの初戦、これまで初戦で負けるようなヘマと無縁だったドイツは、これまでドイツが数多の国を泣かせてきたようなカウンターで喫した失点を取り返せずに敗れ去る。決勝の会場でもあるルジニキ・スタジアムから始まったドイツのロシアW杯だったが、ドイツがこの場所に帰ってくる事は無かった。

それでもドイツは続くスウェーデン戦で、数的不利ながらアディショナルタイムのクロースの劇的FKで劇的逆転勝利を収め、なんとか望みを繋いで最終戦に挑む。相手は2連敗で敗退が決まっていた韓国だった。だが、スウェーデン戦で取り戻したはずのゲルマン魂を再び失ったかのようなことごとくチャンスを逃し続けていく。他会場の動向的に、ドイツは勝つだけで良かった。しかしこのシチュエーションこそ得意だったはずのドイツは目に見えて壊れ始めていく。アディショナルタイム、セットプレーから得点を決めたのはドイツでは無く、韓国のキム・ヨングォンだった。得点の認定を待つVARはまるで、ドイツ敗退へのカウントダウンを見ているかのようだった。ノイアーを前線に上げて最後の攻撃を仕掛けたドイツだったが、最後はそのノイアーからボールを奪ったチュ・セジョンのロングフィード無人のゴールへ走るソン・フンミンに渡り───。

異常な完成度を誇ったグアルディオラバイエルンがレーヴ率いるドイツ代表に与えた影響は良くも悪くも大きく、大会前の時点からその功罪については議論されていた。そして何より、ミロスラフ・クローゼを筆頭に前回大会まではいた絶対的なストライカーがいなかった事の影響が、特に韓国戦ではダイレクトに表れてしまった。

 

 

最後の韓国のガンバ感。

ではでは(´∀`)