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【日本代表】それは本当に油断だったのか……カタールW杯第2戦 コスタリカ戦の敗因を考察してみつつ、スペイン戦の簡単なプレビューと予想スタメンやってみるやで。

いやね、ほんと。

 

友人とのLINEですら緊急会議みたいになってますわ。

 

なんの話かって?

 

コスタリカ戦の話だよ。

 

 

 

日本0-1コスタリカ

 

 

 

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えぁぐっ………。

 

 

 

 

 

 

……ヤッチャッタ。

まぁ、一言で言えばそうなってしまうのでしょう。

 

前回の考察記事はね、まあもうイキイキとした気持ちで書きましたよ。嬉々としてというか。イ嬉イ嬉として。……私は何を言ってるんだ?

 

 

兎にも角にも、ドイツ戦での熱狂で取り戻したかけたこの国のサッカー人気に用意された日曜夜7時という舞台にやってしまったこの惨劇を巡って、当然ながら様々なところで様々な論戦が繰り広げられています。

という訳でこの試合は…まぁ、ドイツ戦だけ嬉々として書いて終わりという訳にもいかないので。コスタリカ戦のポイント…「日本は油断したのか?」「日本に慢心はあったのか?」「じゃあ何が日本を狂わせたのか?」みたいなところを考えてみたいと思います。

 

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コスタリカ戦のポイントはこんな感じだと思われます。

 

①ターンオーバーは適切だったのか?

②前半の停滞と攻撃の単発感

③後半の攻勢と、失点に繋がったその弊害

日本は油断や慢心があったのか?

 

 

 

①ターンオーバーは適切だったのか?

 

まずすごく議論されているポイントですね。

日本はドイツ戦のスタメンから5人を変更してきました。これが要は、ドイツ戦で勝った事で生じた慢心だとか「日本が余裕こいてる」と言われたりもしていますね…。

 

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ドイツ戦からの変更点としては右SBが酒井→山根、遠藤と組むボランチが田中→守田、2列目が久保-鎌田-伊東→相馬-鎌田-堂安、ワントップが前田→上田…という5人の変更でした。

ただ、個人的には…結果的にターンオーバー的な形になったのであって、森保監督としてはそこまでターンオーバーの意図はなかったように思います。結果として伊東を45分は休ませられる、みたいな事を全く考えていなかった訳ではないでしょうけど、それはある種の副産物みたいなもので、ターンオーバーありきで考えていなかったとは見ています。

ドイツ戦やスペイン戦は、どう転んでも日本が劣勢で戦う事になるから、それに応じた選考を考える必要がある。一方で、コスタリカ戦は、これまでの状況・傾向…そしてコスタリカのストロングポイントを考えた時に、少なくとも日本はボールを持てる時間が長くなる…要は構えるコスタリカをどう崩すかを問われるという試合展開になる事が予想されていました。つまるところ、コスタリカ戦ドイツ戦とは違う前提の上で物事を考える必要があった。今の日本は一つのセットでしか戦えないチームでもなければ、一つのセットで一網打尽に出来るチームでもない。それを踏まえた時に、右を伊東じゃなくて堂安にする事、ワントップを前田や浅野ではなく上田にした事は自然な判断だったと思いますし、結果的には酒井が欠場という形になった訳ですけど、酒井が出場可能だったとしても右SBは山根だったと思います。なので、スタメンを大幅に変えてきた判断は別に間違いではなかったと考えています。

 

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ただし、その上で言うなら……基本的に私は三笘はジョーカーで使って欲しい派ではあるんですけど、相馬はコスタリカ戦の中で頑張ってくれた選手の一人だったと思っているのと同時に、コスタリカ戦に関しては伊東をベンチにした以上、三笘が先発で良かったとは思います。

例えば…どうしてもドイツ戦との比較になってしまうんですけど、ドイツやスペインのように明らかに実力に差がありすぎる相手の場合、試合は基本的に劣勢になるので、それこそドイツ戦でやったようにジョーカーを一気に投入していく事で試合自体の落差をつける、いわゆるラッシュをかける事で展開を急転させる事が出来る。ただコスタリカ戦は、少なくとも日本が一方的な劣勢になる事は考えにくく、トータルで言えば押す時間の方が長くなる事は試合前から予想できた。その状況で伊東と三笘を同時に投入するようなラッシュをかければ、別に劣勢でもなかったのに試合を急転させようとする事でバランスは微妙に乱れてしまう。そして実際に───まぁ、それは後述しますが。なので、スタメンの変更自体は間違いじゃないですけど、左サイドの人選は三笘で良かったように思う事、左SBは長友よりも伊藤の方が、おそらくスタート時のプランには適していたように思う事、そして鎌田をベンチにするかボランチにするかはともかくとして、コスタリカ戦のセットならトップ下も久保の方が良かったのかな、とは思います(コンディション的にダメだったならともかく)

 

 

 

②前半の停滞と攻撃の単発感

 

で、そんな中で迎えた前半でしたが……前半はコスタリカはとりあえず最低限の事をしよう、という考えだったように見えました。最低限とはとにかく前半を0-0で折り返す事。なので完全に割り切ったブロックを組んでいましたし、コスタリカボールになっても、カウンターを仕掛けるよりマイボールにして日本に攻撃させない事をコスタリカボールの時にも考えていた。上手かったのはワントップのジョエル・キャンベルだけ常に残しておく事で、日本のDFラインを上げさせすぎない、コンパクトにさせない事だけは徹底して、それゆえに前半から選手間の距離が間延びしていたところはありました。

個人的にはこのコスタリカ戦は、トップ下に久保を置いて東京五輪6月のガーナ戦のような形にすると思っていたんですよ。おそらく堂安や相馬はそのイメージでこの試合をプレーしていたような気がします。例えばその時であれば、久保が堂安と近い位置でプレーしながら山根(酒井)と絡んでサイドを崩すようなやり方をしていたし、実際に山根は堂安の動きに対してそういう合わせ方をしようとしていた。逆に相馬(三笘)は右サイドの小回りのある連携とは離れたところでガンガン行くような形でプレーして、ある種の左右非対称的な展開を狙っていた。一方、鎌田は久保ほど近い距離でのプレーを得意とはしていないし、それこそ伊東と三笘がサイドに張ったドイツ戦のように左右対称的な形の方が活きる選手。要は、この日の日本の距離感は堂安には広すぎて鎌田には狭すぎた。その結果、前半の鎌田にロストが連発したのは本人がそこの違和感に支配されていたような気もします。

それは上田に関しても同じで、基本的に上田はポストプレーをそれなりにやれる選手ではあるんですけど、それをストロングポイントにしている選手ではないだけに、フォローする側がシステムとして機能している事が条件になってくる。そこが希薄になっていた事で、上田は上田で違うパニックに陥っていたように見えました。

 

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①②に関しては、その要因というか、日本にとっての不運として考えられる要素があって…

 

 

コスタリカ戦後にYouTubeで現地取材しているサッカージャーナリストの座談会的な動画で言及されていたのですが、トレーニングパートナーとして帯同させる予定だったU-19日本代表が、コロナウィルス陽性者発生の影響によりキャンセルする事態になってしまった事で、トレーニングやコンディショニングの計画を変更せざるを得ない状況になってしまったと。この影響は確かにあったと思います。

 

 

 

③後半の攻勢と、失点に繋がったその弊害

 

前半途中からシステムを3-4-2-1に変えたのはおそらく、一時期は日本の武器ですらあった左右非対称がこの試合では歪みを呼び起こしていた事を考慮して、そこを揃えて左右対称的に戻そうとした部分はあったと思います。とりあえず前半は前半のメンバーで乗り切って、3-4-2-1になって少し持ち直した事で上田と長友を下げて浅野と伊藤というシステムに合った選手を後半から投入しました。

そう考えると、後半の采配は流れを変えるというよりは、前半に生じた不具合の調整と表現した方が正しかったと思います。こうなってくると、前半はやや迷い子的なプレーにもなっていた鎌田が活き始めてきました。実際、後半開始早々から守田がいきなりチャンスを迎えましたし、後半はほぼほぼ一方的なくらいの試合展開には持ち直せていました。61分の遠藤のシーンや70分の伊東のシーンはファウルにされてしまった事が悔やまれるほどのシーンだった………日本はいわゆる「ここで取っておかなければならない時間」は思っていたよりも長く作れた反面、自分達で長く作れたその時間に点を取り切れなかった……そうしてくると、ドイツ戦のドイツがそうだったように、やっぱり歪みは生じてくるんですよね…。

 

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この時間帯で、日本は明らかに前がかりになっていました。

日本が高い位置でボールを持てて、途中出場の伊東が少しずつスペースを作れるようになり始めたし、左では三笘が持ち前の突破力を見せられるようになり始めた。その中でWボランチも両WBも位置がめちゃくちゃ高くなり始めたんですよね。まあ、両WBは三笘と相馬(→伊東)だったのでともかくとして、遠藤も守田も相当前に出るようになっていました。

逆に守備はというと、後半のコスタリカは「一発狙い」の姿勢を明確にしてきました。それは「一発しか狙っていない」という守備的な姿勢と同時に「一発は狙っている」という攻撃的姿勢でもあり……。そこに対して、ボランチとCBの間がだいぶ間延びするようになっていってしまいました。ラインが低いというよりは、DFラインがそれについて行ったらまずいほどボランチより前のラインが上がってしまっていた。試合が終わった今となってはこれを「ミス」として形容する事も出来るけど、あの試合のあの状況であればこのまま取り切ってしまう方が先決になる気持ちも間違いではありません。

ただ、これが日本をじわじわと難しい立場に追い込んでいきました。失点後でしたが、試合中にテレビ朝日の解説の内田篤人氏が「3バックだけでビルドアップをやっている」って言っていたんですけど、まさにそういう状況がずっと続いていたし、3バックの3人はそれぞれ、GK権田を含めた3人しかフォローのいない状況でのプレーをしていました。一番印象的だったのは失点の少し前くらいのシーンで、3バックとDFラインの間にボールが入ってコスタリカのカウンターになりそうな場面を、猛然と前に飛び出した板倉がカットした場面があった。あのプレー自体は板倉の本当に素晴らしいプレーではあったんですけど、本来であればあのプレーはボランチのどちらかがあそこにいたはずで、あのプレーの処理に当たったのが板倉だった事が、あの時点でのチームの前傾姿勢を物語っていたように思います。要は、点を取りきれていたら良かったけれど……3バックは次第に神経戦のような戦いを強いられていく自体になっていってしまった。その歪みが3バックに与えた消耗は、多分画面越しに伝わるよりも遥かに大きなものがあったんじゃないかと想像していて、伊藤が三笘にパスを出せなかった場面が話題になりましたけど、色々な意味で3バックの3人は強迫観念的なものにも駆られていたんじゃないでしょうか。

失点に直結した吉田のプレーは、彼ほど経験も実績も実力もあるCBが絶対にこの舞台でやってはいけないプレーだったのは間違いないです。ただ、あれを単発的な吉田のミスと断罪は出来ないというか、それに至るまでの伏線は確かにあった。そもそもあのプレー自体、伊藤や守田の前後の対応に三笘のロストが重なって生じた訳で、よく「3つの悪い事が重なったら死ぬ」とか言うように、あのミスに至るまでの流れは決して不自然とは言えなかったように思いました。

 

 

 

④日本は油断や慢心があったのか?

 

まぁ、よく言われるやつですね。ドイツ戦というこの国のサッカー史に永遠に残るほど輝かしい90分があった上でのコスタリカ戦という事を思えば、こういう言われ方をする事を選手達はある程度受け入れなければならない部分は確かにあるし、こういう言われ方をする事は致し方ないでしょう。

 

ただ、個人的には油断や慢心は無かったと思いますし、あるとすればむしろその逆だったように思いました。

 

 

その評価が正しいのかどうかは別として、今の日本代表の国際的な評価と印象は、少なくとも日本人が感じているよりは低くないと思うんですよ。ドイツかどこかの新聞が抽選会の結果を受けて書いていた文言なんですが、スペインとドイツの同居するE組での突破は厳しいと前置きした上で、組み分けを度外視して考えれば「日本がベスト16に行く事自体は今や別にサプライズでもない」みたいな事を書いていたんですけど、多分世界的な日本代表の位置付けって実際にこのくらいだと思うんですね。

コスタリカはこのグループで唯一勝てる相手は日本と捉えていたと同時に、おそらく日本を自分達より格下・ないしは同格のつもりでは考えていなかったように思います。彼らは予選で、自分達より格上に当たるアメリカやメキシコをどう倒してW杯に行くかを考えている。コスタリカは日本に対して、それと同じスタンスで挑もうとしてきました。よく使う表現で言えば、日本はこの試合を"リスペクトされた"立場で戦う事になった訳です。

 

 

 

アジアではよく慣れた立場だとしても、日本にとってW杯という舞台でこのような舞台に立たされた事はありませんでした。要は、試合前の時点で、これは日本だけでなく全体的に共通の展望として「日本優位」という立場に置かれるような形になっていました。そんな状況はこれまでの日本がW杯という舞台で経験した事なんて無かったし、ましてや対戦相手にその評価を前提にしたようなスタンスを取られるような状況は、これまでの日本が体験したことのない、いわば未知の領域でした。日本は自分達が立たされた舞台での振る舞い方を掴めなかった。この状況での正しいスタンスが感覚としてわからなかったんです。特に、後半…日本は上で書いたように、コントロールを失ったかのように前がかりになっていってしまいました。本来であれば、コスタリカにとって嫌なのは日本に「別に0-0でも良いんだぜ?」的な顔をされる事で、この立場に慣れているチームはそういう振る舞いが出来る。産みの苦しみとはよくいいますが、この試合の日本には脱皮の苦しみがあったのではないでしょうか。

ましてや、近年は代表人気の低下が叫ばれていて、例えば吉田なんかはそれを危惧するコメントを出したり、或いはそれに対して自分達がどう働きかけていけるのかを主将として色々考えている事を示唆もしていましたから、選手もそういう危機感は共通して抱いていたと思います。それがドイツ戦の勝利により一気に国内は代表フィーバー、W杯フィーバーに至った。一夜にして全てがひっくり返ったかのような国内の空気は代表チームにも伝わっていたでしょうし、そしてそんなW杯バブルのような空気が急に生まれた中で、このコスタリカ戦は日曜日の夜7時にキックオフする───。日本に油断も慢心もなかった。けれど、都合が良すぎるほど出来すぎた舞台は日本にとってあまりにも知らない世界で、拭えない違和感に戸惑い、焦り、そしてコントロールを失ったかのように前がかりになっていった。そう考えればむしろ、日本に必要だったのはある意味で「慢心できるほどの余裕とふてぶてしさ」だったのかもしれません。

 

W杯に於いて、日本はこれまで「日本優位」という見方をされながら試合に入る事なんてまず無かった。格上みたいな立場に祭り上げられる事なんてなかった。その立場の振る舞い方を最後まで掴めなかった……そういう意味でいえば、これは日本サッカーの成長という表現も出来て、JFAが2022年に向けて掲げた「新しい景色を2022」というスローガンが具現化した瞬間だったのかもしれません。

日本がもう一つ上のステージに上がる為には、この苦しみを突破しなければならないんです。日本がもう一つ上のステージに上がりたいのなら、新しい景色を見ている場合じゃないし、新しい景色を見るのではなく、自分達が誰かの見る新しい景色の一部になっていかなければならない。その壁を突破する事は本当に困難で、日本より格上として認識されているメキシコやスイスですらそこに苦しんでいる……前回のブログでは「ドイツ戦を最終回にしてはいけない」という表現をしましたが、コスタリカ戦で日本が迷い込んだ袋小路の奥底を考えてみると、ドイツ戦は一つの章の最終回であり、コスタリカ戦から始まる新しい章をどうやって描いていくのかを考えていく必要があるのだろうと感じました。

 

 

 

では簡単に…ですが、スペイン戦のマッチレビューをば。

 

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現在入っている報道で推測すると、スペイン戦は酒井に加えて遠藤が欠場濃厚で、代わりに冨安が復帰出来る可能性が高いと。となると、基本的にはドイツ戦に近い設定になった上での3バック採用、4バックの場合は長友の右SB起用と板倉をボランチ共通する形になる可能性が高いのかな、と思っています。逆に長友吉田板倉はそのままの4バックで、冨安をアーセナルと同じ右SB起用にして可変的にやっていく可能性もありますし。

個人的には、ドイツやスペインのように、相手が格上であるなら尚更、伊東か三笘のどちらかはベンチスタートにしてほしいという気持ちがあるんですね。ドイツ戦がまさにそういう展開だった訳ですけど、チームとしては日本とスペインには大きな差がある。そういう相手に勝つ為は、試合の中での"段差"みたいなものを用意しておく必要があると思うので、そういう段階的な選手起用は必要になってくるのかなと。

それと……スペイン2位狙い説は眉唾物として捉えるべきでしょうが、一部報道で出ていたように、もし本当にセルヒオ・ブスケツが日本戦の出場を回避するなら日本にとっては相当ありがたい話です。EURO2020ではコロナの影響があって、ブスケツは最初の数試合を欠場しましたけど、ブスケツ復帰前とブスケツ復帰前のスペインにはかなりの差がありました。「ブスケツ級の実力」と「ブスケツ級の存在感」はイコールではなく、前者ならスペインクラスにもなるとゴロゴロいますが、後者はやっぱりスペインですら出てくるものではない…。なのでエンリケ監督、ブスケツ休まそう…?な…?

 

 

もっかい堂安久保ライン見たいなぁ…

ではでは(´∀`)