ムバッペもハキミもパナスタで見たぜ!
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは2022 FIFAワールドカップカタール大会 準決勝、フランス代表vsモロッコ代表の一戦です!!
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世界を狂気で包み込むフットボールの祭典も残すところは4試合。もう最後の1週間になりました。クライマックスとは全てが決まると同時に、W杯が終わるという事。本番の熱狂と終幕の寂しさに酔いながら、残る4試合を噛み締めていきたいところです。
W杯史上3チーム目、そして実現すれば実に60年ぶりとなる連覇という壮大な夢に向かって突き進むフランスと、小さな夢を1試合ごとに、それは自分達ですら想像していなかった大きな夢に膨らませていったモロッコと……この構図はW杯の準決勝としてなかなか興味深く、そして美しい構造になったような気がしています。
サッカーとはある意味、ある国にとっては一つの意地を見せるツールという側面ですらあったように思います。モロッコが辿ってきたグループステージからの軌跡…スペイン、ポルトガル、そしてフランス。この流れは今、シンデレラストーリーのように、才能という巡り合わせと自分達の努力で作ったガラスの靴で全力疾走するモロッコにとって、これ以上ないほどに出来すぎた道が出来ている感覚を覚えているのではないでしょうか。旧宗主国であるフランスとの対戦、彼らの中ではジャイアントキリング以上にバックグラウンドへの挑戦とでもいえる意味合いが孕んでいる事でしょう。躍進やダークホースの一歩先へ……全ての背景が血肉となった彼らの夢は、どこか先ではなく一つ一つ目の前にやってくるものなのでしょう。
一方のフランスは、少し遠いところに置いた目標に常に手を伸ばしていました。前回王者である彼らは、いわば"前回以上の成績を残すことが絶対に出来ない唯一のチーム"な訳です。だからこそ、彼らは21世紀に誰もが果たせなかった快挙への道は、クラブチーム化が叫ばれ全てが複雑になりゆく現代サッカーの中で逆風に立たされることもあったと思います。ただ今思えば、フランスとアルゼンチンはそれぞれの英雄を武器にしながら、ある意味ではこの競技を最もシンプルに考えていたのではないでしょうか。だからこそ、そんなスタンスでモロッコを迎え撃つ彼らの姿もまた、楽しみであり、そしてロマンティックなのでしょう。
さぁ、W杯は残り3試合。この一戦で、この大会のマッチスケジュールは全て決まります。向かい来る者か迎え撃つ者か、世界が今、二つのドラマがぶつかる瞬間に全てのロマンを懸けています。
両チームスタメンです。
フランスは準々決勝イングランド戦からはスタメンを2人変更。CBは今日はウパメカノではなくコナテがヴァランとコンビを組む形になっており、インサイドハーフは今日はラビオが欠場でベンチにも入っていない為、フォファナが今日はこのポジションで先発起用されています。
対するモロッコも先発は2人変更しました。ポルトガル戦は4バックスタートでしたが、今日はダリを先発に起用した事で5バックスタートです。モロッコにとってフランスは元宗主国ですが、レグラギ監督をはじめ、フランスに何かしらのルーツが多い人物が非常に多いのも見どころの一つでしょうか。
本日の会場はカタール、アル・ホールのアル・バイト・スタジアムです。
試合会場がドーハ近辺に集中している今大会ですが、唯一少し北部に位置する開催都市なのがアル・ホール。かつては真珠産業で栄えた港町であり、ダイビングや釣りなどのレジャーを楽しめる地域としてドーハ市民にも休日の行き先として人気が高い場所です。スタジアム砂漠の中に佇むように建てられており、遊牧民のテントをイメージしてデザインされたそのビジュアルはザ・中東。それゆえに、カタールW杯関連の広報物のカバーデザインに使われる事も多いですね。
このスタジアムでは開幕戦のカタールvsエクアドルの試合が開催されており、準決勝まで試合日程が組まれるなど、決勝を行うルサイル・アイコニック・スタジアムに次ぐ扱いを受けており、キャパシティーもルサイルスタジアムに次いで多い数字となっています。いわばこのスタジアムは準メインスタジアム。そんなアル・バイト・スタジアムで行われるカタールW杯の試合も今日が最後の試合となりました。フランスは準々決勝イングランド戦に続いて2試合連続、モロッコは伝説の始まりとも言える初戦のクロアチア戦以来2回目のアル・バイト・スタジアムでの試合となっています。
カタールW杯で使用される全スタジアムの紹介はこちらからどうぞ!
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堅い試合が予想されましたが、試合は想定外なほどに早く動きます。4分、モロッコは5バックでリトリートなディフェンスライを敷き、意図的に低いラインを保ってプレーしていました。そこでビルドアップの流れから、ヴァランが楔を打ち込むような縦パスを送ると、構えるかパスカットするか中途半端になったDFの対応をグリーズマンが見逃さずに巧みにターン。グリーズマンの折り返しに詰めたムバッペのシュートは阻まれますが、エリア内で大混戦になったところに最後に上がってきたのはテオ・エルナンデス!豪快かつアクロバティックなシュートでフランスが幸先よく先制します。
モロッコも10分にはウナヒが可能性のあるミドルシュートを放ちますが、このシュートはGKロリスがファインセーブ。しかし試合は基本的にフランスが優勢に進めており、17分にはジルーのシュートがポスト直撃。モロッコが主将であるサイスが負傷退場というアクシデントを抱えると、36分にはミドルゾーンでのボール奪取からチュアメニが絶妙なスルーパス。抜け出したムバッペがGKヤシン・ブヌとの1対1を制したかに見えましたが…ここはカバーに入ったエルヤミクがクリア。その後のジルーのシュートも枠を逸れ、モロッコは最大の危機を脱します。40分にはセットプレーからヴァランがチャンスを迎えましたが、これもゴールには至らず。
すると今度はモロッコが牙を剥きました。サイスが負傷交代となった際にMFのアマラーを投入して4バックにシステムを変えていたモロッコは前半アディショナルタイム、右からのコーナーキックをツィエクが蹴ると、ファーサイドにいたエルヤミクが衝撃のオーバーヘッドキック!しかしこれはロリスのビッグセーブの後にポストに辺り、フランスは一度心臓が止まった瞬間を乗り越えて前半終了。フランスリードで後半に向かいます。
後半開始と同時にモロッコはマズラウィを下げてアティヤットアラーを投入。前半同様4-1-2-3システムで、フランスに対してサイドからの攻略を目論んでいきます。モロッコはミドルゾーンで肉弾戦的なプレス戦に持ち込むと、そこからサイドで強みを作ろうと早く攻め立てるようになって、そこから折り返すシーンを度々作るなど後半はモロッコペースで進んで行きました。フランスはグリーズマンが効いた位置で守備に参加したこともあって決定的なピンチになる前に防いでいたとはいえ、グリーズマンが守備に吸収されてしまう状況に。
良い流れが向いていたモロッコは66分にエンネシリとブファルを下げてハムダラーとアブクラルを投入して勝負に出ると、この連戦の中でのインテンシティーとは思えないほどの前からの守備で、フランスがコントロールが度々乱れたところを突いて攻撃を試みます。
しかしフランスはその後のリカバーも巧みでした。76分、モロッコはハーフェーライン辺りでボールを奪って一気にカウンター。ハムダラーは一気にGKロリスとの1対1まで持ち込もうとしましたが、シュートに至るより前にクンデのスーパーカバーに遭って千載一遇のチャンスもチャンスにしきる事が出来ず…。
するとフランスは79分、モロッコに押され気味な展開の中で、前線の運動量を担保すべくデンベレを下げてコロ・ムアニを投入して活性化を図ります。すると文字通りその直後でした。同じく途中出場のテュラムの落としを受けたムバッペがエリア内に侵入すると……昨日のメッシがどこか脳裏によぎるのは偶然か、密集地隊の中であまりにも冷静で美しく、モロッコからすれば冷酷なほど鮮やかなボールタッチで守備陣を切り裂きラストパス。これにファーストプレーのコロムアニが押し込んでフランスが決定的な2点目!!
モロッコも最後に意地の反撃を見せます。アディショナルタイムにも決定的なチャンスを得たモロッコでしたが、ゴールラインギリギリのところでまたしてもクンデにブロックされてゴールならず。
王者としての矜持を見せつけたフランス、挑戦者として、最後まで勇敢に戦い抜いたモロッコ………W杯の妙味が詰まったような90分を制したフランスがアルゼンチンの待つ決勝戦に駒を進めました!!
熱い試合でしたね。立ち向かうモロッコ、迎え撃つフランスということで、一つ一つの激しいデュエルやフランスの総合力の高さ、そしてモロッコの守備に重心を置きつつ、守備一辺倒ではなく出るところは出ていくスタイル……お互いの強さ、お互いの勝ち残ってきた理由が詰まっていた90分でした。モロッコは今大会で初めてビハインドを背負った中でどう戦うかなと言ったところで、そこからフランスを押し返そうとしていく迫力には凄まじいものがありましたし、しかしそこで最後の一歩をやらせなかったフランスも素晴らしかった。
特にフランスは…モロッコのインテンシティーの高いプレッシングや会場の雰囲気にも気圧されたのか、ちょこちょこボールロストだとか危ない場面でのミスは結構多かったんですよね。ただそんな中で、76分のクンデのシーンが典型でしたが、フランスはミスのリカバーが常に完璧だったように感じました。まぁ、ミスしないに越した事はないんですけど。ただ、いきなりポグバとカンテの代役を任されたチュアメニのような若手選手達にとって、絶対に誰かがリカバーしてくれる環境は非常に心強かったと思います。そして…なんだか随分サッカーに於ける初歩的なことを言っているような気はしますが、複雑化してきた現代サッカーの中で、結局「突き詰めれば最後はシンプルになる」みたいなところは今大会の大きなテーマの一つだったのかなと。フランスもモロッコも、シンプルにサッカーの魅力を感じさせられた素晴らしいチームで、美しい試合だったと思います。
さぁ、決勝はアルゼンチンvsフランスになりました。
アルゼンチンvsフランス
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2022年12月14日
・共に勝てば3度目のW杯優勝
・アルゼンチンはマラドーナ以来36年ぶり
・フランスは勝てば連覇達成で、連覇達成となれば史上3チーム目かつ1962年のブラジル以来60年ぶり
・前回W杯でもベスト16で対戦。この試合を大会ベストゲームに推す声も多い
・メッシvsムバッペのW杯決勝
なんというか、あまりにも出来すぎた決勝ですよね。メッシの戴冠を目指すアルゼンチンと、遂に連覇に王手をかけたフランス……そしてメッシとムバッペのW杯決勝……。
今大会も、実に濃い軌跡をここまで辿りました。さて、さぁ!何よりも、何よりも濃い90分はこの先にあります!
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
12月14日(大会21日目)
フランス2-0モロッコ
12月15日(大会22日目)
2022 FIFAワールドカップカタール大会 3位決定戦
2022年12月17日18:00(24:00)@ハリーファ国際スタジアム
運命的な決勝、ねぇ…
ではでは(´∀`)