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J1リーグ監督名鑑2023☆PART3

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遅ればせてエスパーニャ

 

どーもこんばんは

 

さてさて、いよいよ2023明治安田生命J1リーグの開幕も近付いてまいりました!

 

という訳で今回も毎年恒例、J1監督名鑑やっていきます。今回がオーラスですね。

毎年恒例、監督名鑑ですけど別に戦術的志向は大して語っておりません。肩肘抜いてお読みくださいませ。

 

 

 

Part1→札幌鹿島浦和FC東京川崎

Part2→横浜FM横浜FC湘南新潟名古屋京都

Part3→G大阪C大阪神戸広島福岡鳥栖

 

 

Jリーグ開幕ガイド作りました!是非覗いていってください!

 

昨年更新した歴代ベスト監督&ワースト監督をクラブ別に考えてみた連載はこちら

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

ダニエル・ポヤトス

(ガンバ大阪)

 

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生年月日:1978年6月23日

国籍:スペイン

現職:2023年〜(新任)

Jリーグ最高成績:J1リーグ17位(2021徳島)

過去に率いた主なチーム:U-19バーレーン代表(2013〜2014)、レアル・マドリードU-19(18-19〜19-20)、パナシナイコス(2020.8〜2020.10)、徳島ヴォルティス(2021〜2022)など

 

 

近年混迷を極めるガンバの変革を託された気鋭のスペイン人監督。2シーズン率いた徳島では入国制限による入国の遅れや主力の大量流出といった困難もあって結果としては芳しいとは言い切れなかったが、そこで見せたサッカーは内容の濃いものを築き上げ、その実績を買われてガンバの監督に引き抜かれる形となった。ロティーナ監督(東京V→神戸)、リカルド・ロドリゲス監督(徳島→浦和)、アルベル監督(新潟→FC東京)のように来日するスペイン人監督の流れは出来つつある。ガンバにとってスペイン人監督の就任は初めてで、欧州出身監督でも1999年にフランス人のアントネッティ監督が退任して以来24年ぶりとなる。

プロ選手としてのキャリアはない分、早くから育成年代の指導者としてのキャリアを開始しており、エスパニョールのユースチームやU-19バーレーン代表の監督を歴任。ディエゴ・シメオネ監督の下でアトレティコ・マドリードの分析コーチを担った後、レアル・マドリードU-19の監督も務めた。監督として挑んだUEFAユースリーグでも好成績を収めており、夢は「レアル・マドリードの監督」とも語っている。なお、徳島ではリカルド監督が浦和に引き抜かれた事でリストアップしたというイメージがあるが、実際にはレアルの下部組織を率いていた頃から徳島はコンタクトをとっていたらしい。ポゼッションサッカーの構築を徹底して取り組む一方、試合に於いてはを「スタイルはあくまで手段に過ぎない」と捉えており、東口順昭曰く「(縦に速く)行ける時は行け」との指示が出ている辺りに柔軟性と幅も感じさせる。カタールW杯の日本vsスペイン戦の前には、スペインメディアから日本サッカーの印象に関しての取材も受けていた。

徳島の監督に就任する際の入国制限で来日出来ない時間が長く続いた事が有効的に働いたのか、長尺でさえ無ければサッカー用語を中心とした日本語の単語はかなり操れるレベルにまで達しており、徳島時代から試合中の指示も日本語で行っている様子が度々中継マイクに拾われていた。ガンバでも練習中から積極的に日本語で指示をしており、日々の練習はポヤトス監督の「イキマショウ!」の一言から始まる。ちなみに宇佐美貴史との最初の会話は「タカシ!脚、元気?大丈夫?」だったらしい。マルセル・サンツヘッドコーチとはパナイシコス時代からタッグを組んでいるが、レアルの下部組織で監督を務めていたポヤトス監督に対し、マルセルコーチはFCバルセロナの下部組織で長く働いていた。

 

 

 

小菊昭雄

(セレッソ大阪)

 

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生年月日:1975年7月7日

国籍:日本

現職:2021年8月〜(3年目)

Jリーグ最高成績:J1リーグ5位(2022C大阪)

過去に率いたチーム:セレッソ大阪(2012.12※代行)

過去の主な実績:ルヴァン杯準優勝(20212022C大阪)

 

セレッソでのキャリアも数えるところ26年目。アルバイトから監督まで辿り着いた文字通りの叩き上げキャリアを持つ指揮官にとって昨シーズンはまさに飛躍の一年で、2年連続のルヴァン杯決勝進出に加え夏場には優勝争いにも絡み、最終的には5位でチームをフィニッシュさせた。長きに渡るセレッソでのコーチ業では小林伸二、クルピ、ユン・ジョンファン、ロティーナといった名将の哲学に触れて各人のスタイルを吸収しており、そういう意味ではセレッソにとってサラブレッド的な監督と言えるだろうか。コーチ時代は主に選手を親身にサポートする役割が多かったが、監督に就任以降は一定の距離感をとる事とある程度のドライさを出す事も意識している。

スカウト担当だった時に仙台まで通い詰めて香川真司を発掘・口説き落とした逸話は度々語られるところで、そのエピソードは香川の著書でも詳しく触れられている。そもそも小菊監督がセレッソに入った経緯は大学時代の友人が偶然にも当時の社長(鬼武健二氏)の息子だった事から紹介を受けて面接を受けたところに始まっており、セレッソではトップチームの監督・コーチにスカウトから強化部、U-15やU-12までありとあらゆる役職に就いているが、意外にもU-18部門でだけ仕事をした事がない。曺貴裁監督(京都)とは曺監督C大阪のコーチを務めていた時に頻繁に食事を共にした仲で、吉田孝行監督(神戸)は滝川第二高校時代の1学年下の後輩にあたる。昨年の神戸戦は先輩後輩対決として期待されたが、小菊監督がコロナ感染によりベンチ入り出来なかったので直接対決は持ち越しとなった。

劇的勝利を飾った大阪ダービーの試合後にロッカールームで叫んだ「みんな最高ォゥ!!」というフレーズは当時のセレッソの好調ぶりと劇的勝利の連続も相まって一躍話題となり(これ以前の試合でもちょいちょい言ってた)、しまいにはグッズ化にまで至った。しかし後に流行語となる「ブラボー!」同様に若干一発ギャグ化しつつもあり、小菊監督が「みんな…」で溜めると選手も「来るぞ、来るぞ…」と言い始めるようにもなっている。

 

 

 

吉田孝行

(ヴィッセル神戸)

 

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生年月日:1977年3月14日

国籍:日本

現職:2022年6月〜(2年目)

Jリーグ最高成績:J1リーグ9位(2017神戸)

過去に率いたチーム:ヴィッセル神戸(2017.8〜2018.9,2019.4〜2019.6)、V・ファーレン長崎(2021.1〜2021.5)

★OB監督(在籍:2008〜2013)

 

すっかり「困った時の吉田孝行」状態。神戸の選手として引退した後にコーチとして入閣し、1度目はネルシーニョ監督が途中解任された2017年、2度目はリージョ監督が途中解任された2019年とスクランブル的な監督就任を繰り返して自身も2度とも途中解任の憂き目を見た。そういう経緯もあって2019年の解任時にチームを離れた際には「さすがに3回目はない」と思われたが、長崎の監督/コーチ業を経て2022年から強化スタッフに復帰すると、2度ある事は3度あるとはよく言ったもので……。

しかし3度目となった今回の就任では最下位のチームを引き継ぐという過去の2回よりも遥かにハードなミッションとなった中で、賛否を呼んだACLでのターンオーバーを含めて徹底的にJ1残留を最優先にした戦い方を模索。特に第30節G大阪戦を勝利してからは4連勝で一気に盛り返し、圧倒的なV字回復でJ1残留を決めた。2022年シーズン終了直後に受けた続投要請を受け入れるまでには1ヶ月半に及ぶ話し合いがクラブとあったというが最終的には続投を決断。第一次体制の時から謳われ始めた「バルサ化」に自らケリをつけにいく格好となる。

現役時代は今なお伝説として語り継がれるようなゴールをいくつか決めている。最も代表的なゴールが横浜フリューゲルス最後の試合となった天皇杯決勝の決勝ゴールで、この試合にはフリューゲルスの選手として元監督の三浦淳寛、現SDの永井秀樹も出場していた。神戸移籍後にも、同じ誕生日で世代別代表・横浜FM時代の盟友である松田直樹氏が亡くなった直後の試合での得点も多くの人の記憶に残っている。また、2010年の神戸の降格危機では負ければ無条件で降格が決定する最終節で2ゴールを奪っており、気がつけば選手・監督の両方で奇跡の残留の立役者となった事になる。

 

 

 

ミヒャエル・スキッベ

(サンフレッチェ広島)

 

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生年月日:1965年8月4日

国籍:ドイツ

現職:2022年〜(2年目)

過去に率いた主なチーム:ボルシア・ドルトムント(98-99〜2000.2)、U-18ドイツ代表(2004.8〜2005.10)、レヴァークーゼン(2005.10〜07-08)、アイントラハト・フランクフルト(09-10〜2011.3)、ギリシャ代表(2016〜2018)など

過去の主な実績:UEFAカップベスト8(06-07・07-08レヴァークーゼン)、天皇杯準優勝(2022広島)、ルヴァン杯優勝(2022広島)など

Jリーグ月間最優秀監督賞(2022年4月,2022年8月)

☆J1優秀監督賞(2022)

 

J1で3位、2つのカップ戦で決勝進出、そして広島にとって初のカップ戦タイトルとなるルヴァン杯制覇を達成し、文字通り望外なほどの1年を送った広島の立役者はドイツの名将だった。中位予想が多かった広島を高い強度を基調としたプレッシング戦術で躍進させ、自身もJ1優秀監督賞を受賞。裏地が水色のポロシャツや、試合後は結果に関わらずピッチ上で円陣を組んで「明日は休み!」で締める光景はすっかりお馴染みとなった。常にポジティブな姿勢を貫き、野津田岳人が語るところによると、決定的なミスを冒した選手も良い感じにネタに昇華させてフォローする接し方が大きな助けになっているとも。昨年は一貫して3バックを採用したが、今季は4バックにも取り組んでいる。

過去にはドルトムントのユースやU-18ドイツ代表監督を務めつつ、2000年代前半に高齢化とタレントの枯渇が著しかったドイツの育成改革を担って後の黄金期到来に大きく寄与するなどドイツでは育成の重鎮としても知られるだけに、日本屈指の育成組織を誇る広島との相性は良く満田誠や川村拓夢らをブレイクに導きつつ、育成のスペシャリストゆえにベテランの活かし方も心得ている事は選手起用からも伝わる。怪我により短命に終わった選手キャリアは下部組織からシャルケ04一筋だったが指導キャリアはドルトムント中心。奇しくもちょうど20年前に日本で開催された2002年日韓W杯では、戦術担当コーチとしてドイツ代表の準優勝に大きく貢献した。

試合後に長谷川健太監督(名古屋)のインタビューにニッコニコで乱入する、練習見学に訪れた片野坂知宏氏と食事まで行っちゃう、時たまユースチームの指導までしちゃうなどフットワークが異常に軽い。また、練習見学に訪れたファンにお菓子を配ったりファンが投稿した『ONE PIECE』をモチーフにしたイラストをコーチ陣と再現したりルヴァン杯優勝記念シャツを着たまま新幹線で広島に帰ってくるなどお茶目な一面も。ガラタラサイなどトルコでの監督経験もある為、トルコキャンプ中はトルコメディアの取材や現地ファンからのサイン要求も多かったとか。

余談だが、コーチ兼スキッベ監督の通訳を務める松尾喜文コーチは、かつて広島で一時代を築き現在は札幌でコーチ兼ペトロヴィッチ監督の通訳を務める杉浦大輔コーチとケルン体育大学の先輩後輩の関係性で、スキッベ監督招聘にあたってもポイントになっていたとの事。

 

 

 

長谷部茂利

(アビスパ福岡)

 

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生年月日:1971年4月23日

国籍:日本

現職:2020年〜(3年目)

Jリーグ最高成績:J1リーグ8位(2021福岡)

過去に率いたチーム:ジェフユナイテッド千葉(2016.7〜2016.12※暫定)、水戸ホーリーホック(2018〜2019)

過去の主な実績:J1昇格(2020福岡)など

★J2月間最優秀監督賞(2020年9月)

【当ブログ選出 クラブ別ベスト監督ランキング企画 水戸1位福岡1位

 

就任1年目から福岡の5年周期ジンクスをきっちり守って昇格を果たし、J1に復帰すれば5年周期ジンクスをギタギタに破壊して8位に大躍進を果たした最大功労者。残留争いに絡む事なく一桁順位でフィニッシュさせた2021年とは異なり、2022年は最終節まで残留が確定しない苦しいシーズンとはなったが、8戦未勝利&自動降格圏に転落して迎えた第30節の清水戦での直接対決を制してからは5試合で勝点10を獲得。1年目から徹底してきたソリッドなサッカーのベースが最後の最後で再び助けになった。ルヴァン杯ではクラブ史上初の準決勝進出にも導いている。

昨季はルヴァン杯準々決勝神戸戦ではチームにクラスターが発生した事でベンチメンバーを4人しか登録出来ず、それもGKを2人登録せざるを得なかった中でGKの山ノ井拓己のFW起用に踏み切った采配は大きな話題となった。また、第28節名古屋戦では福岡が決めたゴールを巡って生まれた混乱の収集を図るべく、選手に守備放棄を指示して名古屋に得点を決めさせた判断が全国ニュースで何度も取り上げられるほどのトピックとなるなど、2022年は何かと長谷部監督の決断が話題になる事が多かった。川崎の鬼木達監督S級ライセンス講習の同期で、海外研修は共にドイツに赴き、2週間ほど同部屋で生活した間柄。

現役時代はV川崎(現:東京V)や神戸で活躍。2003年に千葉で現役を引退した後はプロゴルファーに転向。ゴルファーとしては大成出来ず、2006年から神戸のスカウトとしてサッカー界に復帰した異色のキャリアを持つ。福岡のファン感謝祭での子ども相手に記者会見をするという企画で「暗い気持ちになったらどうしますか?」と聞かれた際には、「音楽を聴く」「家族と話す」「たまに試合に負けたら海を見に行く」と答えた。

 

 

 

川井健太

(サガン鳥栖)

 

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生年月日:1981年6月7日

国籍:日本

現職:2022年〜(2年目)

Jリーグ最高成績:J1リーグ11位(2022鳥栖)

過去に率いた主なチーム:愛媛FCレディース(2015〜2017)、愛媛FC(2018.5〜2020)など

 

毎年恒例となった主力流出にも見舞われ、前任の金明輝監督に関する騒動など揺れる中での監督就任となり、川井監督自体もこれまでのチームで好成績を出した人物ではなかった事から降格候補に挙げる人も多かったが、開幕から徹底したポジショナルプレーを実践して大躍進。終盤こそ失速したが、それでも戦術的な完成度の高いサッカーで残留争いと縁のない事でシーズンを過ごし続けた鳥栖の軌跡は多くの称賛を浴びた。これに関しては鳥栖というクラブ自体がクラブとしてのベクトルを明確化・徹底させた事で、実績に関わらず「次に呼ぶべき監督」の輪郭をハッキリさせられる状態にしていた構成も大きく、川井監督もクラブのそのアプローチにバッチリ応えてみせた。実際、選手達に対して「残留」というワードは一度も使っていないと云う。

愛媛県在住の小林有吾氏が手掛ける人気サッカー漫画「アオアシ」のスピンオフ作品、「アオアシ ブラザーフット」は愛媛FCをモデルとした作品になっているが、登場する剣崎誠監督のモデルは川井監督であり、同作には愛媛時代に川井監督の下でプレーした川村拓夢(広島)との実際のエピソードも参考にされている。鳥栖でも実践されているポジショニングに関する考え方には、愛媛時代に思案した「メッシを止める為にはどうすればいいか」という部分から始まっているとの事。選手達のプライベート的な部分も大事にしており、練習は内容と質を濃くする事で時間を短縮し「そのほかの時間をプライベートにしてほしい。なぜなら、僕がそういうタイプの選手だったから」と語っている。なお鳥栖は長年に渡ってこれまでヘアカラー禁止だったが、2023年シーズンより川井監督提案もあってヘアカラーが解禁された。

昨季から鳥栖の監督を務める川井監督だが、鳥栖が福田晃斗の獲得リリースを出した際、川井監督の就任をまだ発表していなかったにも関わらず間違えて川井監督の写真をアップしてしまった事で発表より先に就任がバレた。

 

 

 

完!

 

 

たっぷりたらこ

ではでは(´∀`)