「マリノス!!」なのか
「レイソル…」なのか
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは明治安田生命J1リーグ第17節、セレッソ大阪vsヴィッセル神戸の一線です。
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勝点差的に独走というほどではないですが、開幕から首位を快走中の今年の神戸。躍進というよりは、吉田孝行監督にとってチームとして上手い整理のポイントを見つけたというか、ようやく戦力に見合った数字を残せるようになった…と言うべきでしょうか。ただし、今季の神戸のインテンシティーの高さは暑くなってくるこれからの季節を心配されているのも確かで、ここからはそういった部分との折り合いの付け方も重要になっていきます。今日の試合を含めて試合数が少ない立場なので暫定とはいえ、試合前の時点で横浜FMに首位を奪られた訳で尚更でしょう。
そういう「戦力と戦術の整理」「ハードワーク」の観点で言えば、近年はそのバランスの合わせ方が上手く成立し続けているのがセレッソです。首位の横浜FMとは勝点差10。セレッソは立場的にはまだ優勝戦線に足を残せている状況でしょうから、それだけにここで神戸を叩く意味は途轍もなく大きくなるはずです。
セレッソの小菊昭雄監督、神戸の吉田孝行監督は滝川第二高校時代の先輩後輩の関係でもあります(小菊監督が1学年上)。昨季終了後には2人でお疲れ様会を開いたというほどの仲の2人。昨季の対決は小菊監督が新型コロナ感染により直接対決とはならなかっただけに、期するものは様々ある事でしょう。注目の上位対決です。
両チームスタメンです。
セレッソは前節名古屋戦からスタメンを4人変更。キム・ジンヒョンや山中亮輔が新たに負傷となった中でGKには前節がJリーグ初出場となったヤン・ハンビン、左SBには第2節福岡戦以来の先発となる舩木翔が入りました。右MFにはジョルディ・クルークス、ボランチには今季初先発となる喜田陽が先発起用。ヤン・ハンビン、舩木、喜田は水曜日の天皇杯から続けての先発です。
前節となる川崎戦が台風の影響で中止となり、火曜日にFCバルセロナとの親善試合を挟んでの試合となる神戸は直近のリーグ戦となる第15節FC東京戦からはスタメンを2人変更。山川哲史が負傷離脱となってしまいましたが、代わりに酒井高徳が第12節横浜FC戦以来の先発復帰。井出遥也も第11節名古屋戦以来の先発復帰となりました。アンドレス・イニエスタはベンチ外となりましたが、今日はセルジ・サンペールが今季のリーグ戦で初めてのベンチ入りとなっています。
本日の会場は大阪府大阪市、ヨドコウ桜スタジアムです。
3月には初めての日本代表戦会場にもなったスタジアム。2018年まではヤンマースタジアム長居と併用、むしろサブ本拠地の扱いでしたが、2021年にリニューアルオープンして以降はセレッソは完全に此方のスタジアムを本拠地とするようになりました。隣接するヤンマースタジアム長居では先月はTWICEとKing Gnuのコンサートや陸上の重要な大会が行われていたので、長居公園内で棲み分ける形にもなっていますね。ラグビーのNTTドコモ レッドハリケーンズ大阪も本拠地としています。
本日はヤンマーのスポンサーマッチという事でナップサックやステッカーが来場者プレゼントとして配布される他、お笑い芸人の見取り図が来場すると共に選手入場にも参加しています。まさか南大阪のカスカップルでやってくるとは…。本日の試合はチケット完売となっており、ヨドコウ桜スタジアムでの最多観客動員記録を更新する試合となりました。
お互いに開始早々にチャンスを一つずつ作った両チーム。その後はどちらかといえばセレッソがボールを握る時間が長くなりつつもラインは低めで、高い位置からショートカウンターでより多くの攻撃機会を作り出していたのは神戸の方でした。
ただ、セレッソ守備陣も最後の部分は上手くブロックを固めて神戸にシュートはあまり打たせないように守れており、最初の決定機を生み出したのもセレッソ。21分にカピシャーバのクロスをファーサイドの香川真司がヘッドを放ちましたが、ここはGK前川黛也がスーパーセーブで阻止します。
ただ時間経過と共に神戸が押し込み続ける時間が長くなったことで、前半の最後の方は基本的には神戸ペースの展開になり、セレッソはややサイドのドリブル突破からのロングカウンター的な形の攻撃にせざるを得なくなっていきます。ただセレッソも左右に揺さぶりながら隙を窺ってくる神戸の攻撃に対して進藤と鳥海のCBコンビが中心となって焦れずに対応。守備が崩れることなく緊張感と集中力の高いまま前半を終えます。
神戸は後半から井出遥也を下げて佐々木大樹を投入。そして試合は後半から一気動きます。
後半の立ち上がりから押し込んだのはセレッソでした。左サイドから攻め込んでスローインを得ると、スローインを投げた舩木翔がリターンを受けてからクロス。ここにジョルディ・クルークスが飛び込んでセレッソが先制!クルークスは移籍後、J1リーグ初ゴールという事に。
51分には右サイドでボールを持った佐々木の横パスを大迫勇也を介して武藤嘉紀が持ち出して折り返すと、山口蛍が相手DFをも利用したような巧みなボディコントロールからシュート!これが決まって即同点!堅い前半とは裏腹、後半は怒涛の展開となります。
スリリングな展開はまだまだ続きます。
56分にはセレッソDFのミスを突いて抜け出した大迫のクロスに武藤が怒涛のスプリントで追いついて飛び込む決定機を迎えますが、DF舩木のカバーもあって惜しくも押し込みきれず。逆にセレッソもその直後、人数をかけて攻め込んだところからこぼれ球を拾った舩木のクロスに毎熊晟矢が飛び込みますが枠を捉えられず。さらにその直後には今度は神戸が攻め込み、佐々木が狙い澄ましたシュートを放つも…ここはヤン・ハンビンがスーパーセーブ。そのプレーで得た初瀬亮のCKに頭で合わせた佐々木のヘッドはゴールに吸い込まれますが、今度は齋藤未月のポジションがオフサイドと判定されてノーゴール。まあ壮絶な50〜60分。
セレッソは為田大貴、上門知樹、北野颯太、加藤陸次樹ら前線のタレントを入れ替え、一方の神戸も昨季までセレッソに所属していたジェアン・パトリッキを投入して勝ち越しゴールを狙いにいきます。
さすがにお互いに疲労も見え始める段階になった中で押していたのは神戸でした。89分には左サイドに流れた大迫のクロスがファーサイドの武藤の足に収まりシュートを放ちましたが、このシュートはGKヤン・ハンビンがきっちりセーブ。
張り詰めた緊張感、壮絶な試合展開…アディショナルタイム、その衝撃なクライマックスは突然訪れます。
パトリッキのクロスに走り込んだ佐々木のヘディングシュートは枠を捉えられずにボールアウト。そのゴールキックをヤン・ハンビンが蹴り出すと、処理に当たったGK前川のロストを見逃さなかった北野が放ったロングシュートが無人のゴールに転々と転がって…!
あまりにスリリングな90分の結末は若手ホープ・北野のJ1初ゴールというメモリアルを添えた衝撃のクライマックス!セレッソ、神戸を撃破で上位戦線に食い込みました!
まぁ〜…壮絶な試合でしたね。全体的な印象としては、ざっくり言えばセレッソが粘り勝ちした…という印象でした。試合を通じてセレッソも神戸も高い集中力で対峙出来ていたと思いますし、その上でセレッソがやや構えた展開になる事、神戸がサイドから押し込む展開になる事はベターと言いますか、比較的予想に近い展開になっていたと思います。
セレッソがまず大きかったのは焦れなかった事。基本的に神戸が外から入ってくるのに対して、今日のセレッソの守備陣には「行かない勇気」みたいなものがあったように思います。そこは進藤と鳥海が本当に良い仕事をしましたし、神戸も後半に入ると大迫が積極的にサイドに流れる事で攻撃を流動化させていく工夫を見せた事で神戸ペースに試合を戻しましたが、そもそも神戸としては本来フィニッシャーや中央のポストプレーに専念させたかった大迫がサイドに流れざるを得ない展開に持ち込んだことがまずセレッソにとっての一つの成果だったように思います。
試合としては神戸が押した展開だったと思いますし、神戸のパフォーマンスが悪い訳でもなかった。大迫をサイドに追い出した事はセレッソの成果だとしても、大迫のみならず武藤もいる神戸はそこから武藤への展開でチャンスを作っていましたし、セレッソにとって苦しい試合だった事は確かでしょう。ただセレッソは神戸の攻撃に対して焦れずにしっかり対応して集中力を保ち続けた上で、自分達の流れが来た時に一気にラッシュをかけた。チームとして「行くべき時」「行かない方がいい時」の意思疎通は共通して持てていて、その2つのタイミングを正しく適切に使い分けていた。全体のバイオリズムをチームとして上手くコントロールしながら試合を進める事が出来ていたんじゃないでしょうか。
素晴らしい試合でした。面白かったです。
ではでは(´∀`)