RK-3はきだめスタジオブログ

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良かれ悪かれの回復〜2024明治安田J1リーグ第17節 京都サンガFC vs セレッソ大阪 マッチレビューと試合考察〜

 

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6月でございます。

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビュー2024明治安田J1リーグ第17節、京都サンガFC vs セレッソ大阪の一戦です!

 

 

 

京都サンガFC 30周年企画ブログのまとめページはこちら!随時色々と更新しております。

 

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4月最後の試合で神戸に勝利したサンガにとって、5月は神戸戦の勢いを元に逆襲の1ヶ月とする事を目論んでいました。

しかし5月最初の試合となったFC東京戦に敗れてからというもの、本来J1の先輩として立ち回りたかった町田戦で惨敗を喫し、あれよあれよと5月は悪夢の5連敗。広島戦のあまりに悲惨な結末の後の名古屋戦こそドローに持ち込みましたが、結局5月は一度も勝てないままで……。監督の進退問題も騒がれ、最下位という場所から見上げる生活が示す降格危機は、今のサンガをリアルでもって蝕んでいます。

6月、サンガには新たに大熊清氏がGMとして就任しました。それがこれまでやってきた事を貫いて継続する事であっても、これまでの事をガラッと変えて浮上を目指すでも、いずれにしても順位と数字が映す現状が変わらない限りはサンガはJ1には残れない…それは世の定理です。サンガとセレッソは今年で共に30周年を迎えましたが、お互いに資金難とは異なるベクトルのなかなかもどかしいクラブ運営で歩んできました。しかしセレッソは成績の安定化と共にクラブとしての波も落ち着いてきた。波を平にする為にはまず、この浮き沈みをなるべく高いところで留めなければならない。刹那を永遠に望むなら、それに足る行動をし、それに基づく結果を出さねばならない。今日の試合でサンガに迫られる事はきっと多岐に渡ります。

両チームスタメンです。

 

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前節は名古屋と引き分け、どうにか連敗を5で止めたサンガは名古屋戦と同じ11人をそのまま先発で組んできました。ベンチメンバーでは喜多壱也が外れた一方で一美和成が加わり、今日は山﨑凌吾、宮吉拓実、平賀大空とベンチはFW4人体制。ク・ソンユン豊川雄太にとっては古巣との対戦です。

セレッソは1-1のドローに終わった前節広島戦からメンバーを一人変更。前節はジョルディ・クルークスが先発していましたが、負傷離脱していたカピシャーバが第10節横浜FM戦以来となる復帰しました。ベンチメンバーは前節と変わっておらず、香川真司登里享平は今節も欠場。ベンチに入った清水圭介は古巣対決です。

 

 

 

本日の会場は京都府亀岡市サンガスタジアム by Kyoceraです。

村田製作所のスポンサーデーとして開催される今日はお馴染みのハーフタイム抽選会の他、先着1万名様にバンダナフラッグがプレゼント。更に「シャレン!」の取り組みでサンガOBの原一樹氏、そして言わずと知れたサンガレジェンド、松井大輔氏が来場。また、サンガの試合にプライベートでも度々訪れている森脇健児氏も来場し、トークショーの他にピッチ内でのタイムトライアルといった企画が実施されます。

今日のJ1はこのカードのみナイトゲームとして開催されますが、サンガにとってホームでのナイトゲームは今季初めて。その為、グッズショップではペンライン等の光るアイテムも販売開始となりました。

 

 

本日は現地観戦でございます!

何気にホームゲームでは2戦連続ですね。観戦日記はまた後日に!

 

 

立ち上がりのペースを掴んだのはサンガでした。

キックオフの流れから攻め込むと、川﨑颯太のパスを受けた原大智の折り返しに豊川が反応。このシュートはミートせずGKキム・ジンヒョンの正面に抑えられましたが、直後にも福田心之助や豊川が立て続けにシュートまで持っていく場面を創出。キックオフからまずは最終ラインを押し上げてセレッソ陣内でゲームが運べるようなシステムを作ろうとしたサンガは名古屋戦同様にそれがそれなりにハマり、前線で松田天馬と平戸太貴、豊川と川﨑が良い距離感を持てたこと、そこに対して金子大毅や原が上手く顔を出す事でリズムは掴めていました。

 

 

 

しかしセレッソは12分にルーカス・フェルナンデスが強烈なミドルを放つと、ここはク・ソンユンがセーブしたものの試合の流れはセレッソへ。

今季のセレッソはWGとSBにインサイドハーフを絡めた3人でカットイン、或いはポケットを取るような動きを多用してリズムを作っていましたが、今日は左は登里が怪我とはいえ、毎熊晟矢はいる右サイドでもカピシャーバとルーカスが大外に張り、まずはシンプルにそこにボールを受け、彼らが斜めにドリブル突破を試みるシンプルな形を徹底してきました。サンガも23分には佐藤響のボール奪取から攻め込み、スローインを経て平戸がミドルを放ちますがこれも決まらず。

 

 

 

サンガも途中まではセレッソのシンプルなサイド突破に対してカピシャーバには福田、ルーカスには佐藤が対峙し、そこにCBがカバーできる体制を取るオーソドックスな対応は出来ていました。しかしサンガのリズムが良い時はもっと前に出ていける福田と佐藤が完全にWGの対応に忙殺されていた事、そしてボール保持時に受け手として機能していた金子もバイタルエリアのケアに注力しなければならない状態になった事で、サンガはずっとセレッソのターンのような状態を繰り返される形に。

33分、サイドに意識の行ったサンガに対しルーカスが中に切り込むと奥埜博亮のスルーパスをヴィトール・ブエノが折り返して最後はレオ・セアラがフィニッシュ。セレッソ先制。

 

 

先制された事で結果的にサンガボールのキックオフから試合を再開できたサンガはキックオフの流れから再び立ち上がりのリズムを作ろうとし、実際に原や川﨑が立て続けにシュート。前半アディショナルタイムには佐藤のマイナス気味の折り返しを松田がスルーしたところに走り込んだ豊川がシュートに漕ぎ着けますが、この一発はキム・ジンヒョンがファインセーブ。サンガの時間、セレッソの時間がハッキリしていた前半はビハインドで折り返します。

 

 

しかし後半はサンガが、宮本優太を中心としたDFラインからでも、少々強引にまずは前線に付けたこと、そこで原や豊川がピッチを縦に引き伸ばすように相手のラインを押し下げる動きをした上で、川﨑や平戸、松田がそれにしっかりと追随した事で局面を翻し、原や豊川が押し下げた少し後ろの中盤のスペースに川﨑や平戸が入ることでリズムを作れるようにはなっていきました。

55分、宮本→金子と繋ぎ、前半からは局面が変わったことで高い位置を取れるようになった福田がインサイドにスルーパス。見事に抜け出した原が迎えた決定機こそキムジンヒョンが阻止しましたが、フォローに入った川﨑の折り返しを最後は松田が押し込んでサンガ同点!!松田はリーグ戦では2022年9月の神戸戦以来となるゴール!!

 

 

1-1になってからは試合はかなりシンプルかつオープンな展開になっていきました。サンガとしてはありがたい状況ではあり、同点に追いついた時のようなリズム感を後半も確かに継続してはいましたが、やはりどうしてもアタッキングサードでの崩しの精度とアイデアは足りず。一方守備では前半以上に強烈なタレントの突破力を押し出してきたセレッソのカウンターを受ける場面もありましたが、64分のカピシャーバのミドルはもうカピシャーバお見事と言うしかないとして、それ以外はサイドではクロスはある程度良しと割り切る形で守れており、そしてクロスボールが入れどもレオ・セアラを相手に宮本が完璧な対応を披露。お互いにオープンな割にはフィニッシュまで辿り着く機会は少ないまま試合は終盤へ。

 

 

 

両監督とも70分過ぎまで交代カードを切らずに先発メンバーを引っ張っていた中、サンガは72分に豊川を下げて一美、77分に川﨑と松田を下げて平賀大空と福岡慎平を投入。セレッソも70分にカピシャーバとブエノを下げて為田大貴清武弘嗣を送り込みます。

最初にこの交代が効果を発揮したのはさんがでした。左サイドに入った平賀が持ち前のエネルギッシュさと創造性を発揮し、左サイドで何度も突破を試みてチャンスメイク。最大のハイライトは86分、左サイドで福岡のスローインを受けた平賀は日本代表DF毎熊をキックフェイントで手玉に取ってクロス。これを一美がキムジンヒョンと交錯の末に押し込んでサンガ逆転…かと思われましたが、一美のキムジンヒョンに対するチャージがファウルとなってゴールは認められず。

 

 

逆にセレッソはオープンになってきた展開の中で、途中から入った清武が減速という選択肢を駆使してチャンスメイクする場面もありましたが、その頃にはレオセアラも下げていた事からフィニッシュできる選手がおらず攻撃は不発。

結局勝てなかったと捉えるべきか、それとも全敗中のホームで追いついてのドローゲームで初勝点を得た事をポジティブに捉えるべきか…そこはともかく、試合は1-1で終了。サンガは開幕から7試合続いていたホームでの連敗はどうにかストップさせました。

 

 

 

第15節広島戦を最も顕著な例として、第7節磐田戦の後半からのサンガにとって深刻な問題は「これまでやれていた事すら出来なくなっていた」というところでした。「やろうとしている事ができない」というのはある意味では伸び代とも解釈できますが、これまでやれていた事が同じメンバー、同じスタッフであるにも関わらず出来なくなっていたという点に問題がありました。あくまでそこにフォーカスした場合、広島戦の大惨敗を経た前節名古屋戦と今節の2戦連続ドローでは、相手との噛み合わせの部分もあるでしょうけれど、最低限その「元々やれていた部分」の回復は多少できていたように思います。

それ自体が良いかどうかは人それぞれの意見や好みもあるでしょうが、基本的にサンガはオープンな展開になっていない状況であればとにかくハーフコートゲームのような状況を作り出すこと、即ち最前線の選手が相手DFを押し下げて、そこに中盤の選手と最終ラインがしっかりと滞在した上でセカンドボールを回収しやすい状況を作れるかどうかが全てな部分があります。試合開始時、失点後など、サンガから攻撃を開始できる状況だった時にはある程度そういうフェーズに持って行けるところに回復した事は名古屋戦と共通した救いと言えるでしょうか。それこそ得点シーンや、キックオフ直後に豊川のシュートまで持ち込んだ場面なんかは、良い時のサンガの攻撃リズムの中にあったような攻撃だったのかなと。名古屋戦然り、相手がそこまでラインを高くしようとしてくるチームじゃないからそういう場面を作りやすい状況があったという側面はあるでしょうが、この2試合でそういう場面をいくつか作れるような状況に戻したというところは良かったのかなと。

 

 

 

守備に関しては、セレッソがあそこまでシンプルにルーカスとカピシャーバのシンプルな突破に寄せた攻撃にしてくるとは予想外ですはありました。今季のセレッソはその突破力に加えてSBを噛ませてインや大外などサイドでいくつかのパターンを提示するような攻撃を強みとしていましたし、左に関しては登里が離脱しているのでそういう傾向になる事も想定できましたが、この日は毎熊のいる右サイドでもそれを徹底しているように見えた。ただいずれにしても、曺貴裁監督が試合後の会見で「彼らが結局どこでゴールを取るかと言えば、中央(レオ・セアラ)です」と語っていたように、カピシャーバもルーカスも最終的な選択肢は予想しやすかったので、サイドで両WGがシンプルに突破してきた時に「無理にWGから取り切らなくていい」という意識で守備ができていた事はよかったです。

ただWG対応には焦れずに集中できていた弊害として、それこそ先制点の場面のようにふとルーカスが中に切り込んだり、奥埜やブエノが絡んだ時に保たれていた守備の均衡を自ら崩してしまう部分は散見されていました。この日のセレッソはスタンスとしては「個で殴る」といった側面が強く、サンガもそれに適した守備の対応をやれていた一方で、個で殴れる選択ができるチームは相手にそういうズレが生じた時にそこを確実に捉えられるだけのクオリティを有している。先制点はまさしくそういうゴールだったなと。ここはこのチームがずっと課題として抱えているところで、攻撃でも守備でもシングルタスクになってしまっている部分であり、攻守ではなく攻→攻、守→守の時間の中でのフェーズの切り替えがなかなかできないという問題がやはり今回も出てしまったと言える部分ではあるでしょう。

そう考えれば、名古屋戦にしてもセレッソ戦にしても、良くも悪くも曺貴裁京都らしいサンガに戻ってきた感はあるんです。いくつか作った好機のような良い部分も、失点シーンのような悪い部分も。これは去年も少なからず見られた現象なんですが、おそらく普段サンガの試合をあまりに見ていない人が名古屋戦と今日の試合を見たら見れば「あれ?京都って成績の印象ほど悪くないじゃん」って思う人は少なからずいて、実際にSNSYouTubeのハイライトのコメント欄にはそういう投稿もいくつか見受けられるんですね。一方で毎試合サンガを見ている人に取っては、その悪い面がいつも同じだったりするところでフラストレーションを抱える。だから進歩したか?と言えば正直な感想で言えばそうではなくとも、悪い面だけを残して良い面が消え失せていたここ何試合かの最悪の状態から回復した感覚は確かにある。その部分をどう解釈すべきか…というのは人それぞれとしか言いようがない部分はあるのかもしれません。

 

 

ただ、今日に関しては個人の煌めきは随所に見られました。松田のゴールに関しては名古屋戦と今日の試合で、中盤と前線の間に入る選手としてのハードワークが報われたような気持ちになりましたし、金子や川﨑の顔の出し方もよかった。何より、前述のようにセレッソは最後はレオセアラで仕留めようとする中でレオセアラに対する宮本の対応は完璧と言って差し支えないものでした。後半なんかは特にそうですが、宮本がレオセアラに対してあれだけやれたおかげでサンガの守備陣は「クロスなら上げられてもOK」という気持ちで守備をやれたと思いますし。交代選手にしても、それぞれが投入された目的をしっかり踏まえたプレーを見せてくれたのは素晴らしかった。特に平賀に関しては毎熊を手玉に取ったシーンもそうですが、純粋に見ていて心が踊るようなプレーを見せてくれましたね。私は今日はサンガゴール裏寄りのメインで見ていたので平賀のプレーエリアは真正面だったんです。それだけに平賀が終盤に見せてくれたいくつかのプレーは、文字通り「お金を取れるプレー」と呼ぶべきものでした。

あとはなんやかんやで清武を見れるとちょっと嬉しい。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

2024明治安田J1リーグ第17節

サガン鳥栖0-1FC東京

サンフレッチェ広島2-0ジュビロ磐田

鹿島アントラーズ3-2横浜F・マリノス

FC町田ゼルビア1-3アルビレックス新潟

湘南ベルマーレ1-2ガンバ大阪

浦和レッズ1-1ヴィッセル神戸

京都サンガFC1-1セレッソ大阪

東京ヴェルディ5-3北海道コンサドーレ札幌

川崎フロンターレ2-1名古屋グランパス

柏レイソル0-2アビスパ福岡

 

1位 FC町田ゼルビア(35)

2位 鹿島アントラーズ(35)

3位 ガンバ大阪(31)

4位 ヴィッセル神戸(30)

5位 サンフレッチェ広島(26)

6位 FC東京(26)

7位 名古屋グランパス(26)

8位 浦和レッズ(25)

9位 セレッソ大阪(25)

10位 アビスパ福岡(25)

11位 東京ヴェルディ(24)

12位 柏レイソル(22)

13位 横浜F・マリノス(20)

14位 川崎フロンターレ(20)

15位 アルビレックス新潟(19)

16位 ジュビロ磐田(18)

17位 サガン鳥栖(14)

18位 湘南ベルマーレ(14)

19位 京都サンガFC(11)

20位 北海道コンサドーレ札幌(11)

 

 

はぁ…

ではでは(´∀`)