RK-3はきだめスタジオブログ

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選択の余地を問え〜2024明治安田J1リーグ第30節 横浜F・マリノス vs 京都サンガFC マッチレビューと試合考察〜

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ルメールを見てきた

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第30節、横浜F・マリノス vs 京都サンガFCの一戦です!

 

京都サンガFC 30周年企画ブログのまとめページはこちら!随時色々と更新しております。

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

8月31日に予定されていた鹿島との試合が台風の影響で中止となった為、今日でいよいよサンガにとってのラスト10試合が始まります。

前半戦は言うまでもなく悲惨な日々を辿ったサンガでしたが、夏場からはチームとしてのバランスの調整、不調だったり出場機会が少なかった選手の台頭、そして新戦力の活躍…それらが絡み合い、少なくとも最悪の状況は脱し、降格圏の外で最終コーナーを回ろうとしています。

 

 

とは言っても、勢いに左右されやすい軌跡を辿ってきたチームがここから夏場の勢いのまま、夏場の勢いを地力に溶かして12月まで走れるかどうか未知数ではあります。代表ウィーク明けの試合を苦手としているサンガにとって、結果的に台風で通常の代表ウィークより1週間も間隔が空いている影響が小さいとは言えない。その中で対峙する相手はサンガ名前に何度も立ちはだかり、そして彼らもまた不振からの好調へと転じた横浜F・マリノスです。

考えてもみれば、曺貴裁監督は「自分達が目指していかなければいけない、追いつけるように努力しなければならないチーム」の例としてマリノスを意識するようなコメントをこれまでに何度も残していました。サンガとして、そのジャッジに複数の論が交差するこのタイミングで、現体制の集大成ともなるような試合をトリコロールにぶつけられる事が出来るのか。近い目標に手をかける為、遠い目標に照準を与える為、ここを新たなるターニングポイントとしてまだ苦しい記憶の方が色濃いシーズンを鮮やかに彩ってほしいところです。

両チームスタメンです。

 

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結果的に3週間空く形となったサンガですが、3-0で快勝した前節FC東京戦からのスタメン変更は一人のみで、米本拓司のところに川﨑颯太をスタメン起用。基本的には福岡慎平をアンカー起用した好調のここ何試合かのメンバーを全面的に踏襲していますが、パリ五輪からの帰国後はベンチスタートが続いていた川崎のスタメンは第23節浦和戦以来。また、負傷離脱していた豊川雄太が第20節柏戦以来の復帰をベンチ入りで果たしています。

マリノスは8月24日に行われた前節C大阪戦からのメンバー変更はありませんが、直近のルヴァン杯第2戦札幌戦からはスタメンを2人変更。ボランチを上島拓己から畠中槙之輔ボランチを山根陸から喜田拓也に変更しています。

 

 

 

本日の会場は神奈川県横浜市ニッパツ三ツ沢球技場です。

フライデーナイトJリーグとして行われるこの試合。普段は日産スタジアムをメインのホームスタジアムとしながら平日開催やカップ戦を中心に三ツ沢を使用しているマリノスですが、今季はACLを勝ち上がった事による兼ね合いで平日開催のゲームが多かった事もあって例年よりも三ツ沢開催のゲームが増えています。サンガにとっては2022年にJ1のレベルを突きつけられた舞台がここであり、マリノス戦のみならず横浜FCとの対戦も通じて三ツ沢には色々な思い出がちらほら。スタンドからピッチの距離が近いこの場所で、横浜に駆けつけたサポーターと熱狂の渦を作るような90分を!

また、今日は毎年恒例のフェアプレーデーという事で、試合前には喜田拓也、川﨑颯太の両主将がリスペクト宣言を行いました。

 

 

後半戦はバランスを調整しながら戦えるようになってきたとはいえいずれにしても高い位置でハイプレスを繰り出しやすい陣形を組みたいサンガは立ち上がりからそういうプレッシングを敢行する事でリズムを作ろうとしていました。

ある程度その狙いは実践出来ていた中で、前半9分の時点で福田心之助に対する西村拓真のアフターチャージがVARの末に退場となり、サンガはアディショナルタイムを入れれば90分に近い時間を数的有利で戦うことに。

 

 

 

20分には福田のクロスに原大智、22分にはサイドからのスルーパスに抜け出したエウベルとお互いに一度ずつ決定機を迎えましたが、試合が動いたのはその直後の23分でした。

右サイドでボールを受けた福田を川﨑がオーバーラップで追い越しますが、そこではうまくサイドを守られた事で福田と川﨑は一度プレーをキャンセル。しかし2人は攻撃をやり直し、福田がバックパスを宮本に入れると宮本の縦パスは中央で貰い直した川﨑へ。その川﨑が腰を捻りながら出したスルーパスに反応したトゥーリオがGKを惹きつけてからパスを出すとエリアスの7戦7発弾!!福田と川﨑の選択の連続、トゥーリオのエッチなチャンスメイク、エリアスの決定力…サンガの攻撃クオリティが向上した要因を全て詰め込んだようなゴールでサンガ先制!

 

 

前半は基本的にはサンガのリズムで試合が進んでおり、サンガも闇雲に突破、闇雲にクロスではなくショートパスも織り交ぜながらプレーの選択をしっかりと行う形で攻撃ができていました。

しかし30分の佐藤響のシュートがGKポープ・ウィリアムの好セーブに阻まれると38分、ヤン・マテウスのシュートこそ鈴木義宜がブロックしますが、そのCKが畠中槙之輔がワンタッチ挟んだことで微妙にコースが変わり、クリアしようとした鈴木のヘッドが無情にもオウンゴールになってしまい同点に…。

 

 

 

前半終了間際にはまたも福田のクロスに原がヘッドで合わせますが、ドンピシャのクロスとヘッドはGKポープのスーパーセーブに遭って得点に至らず。前半は1-1の同点で後半へ。

 

 

後半は前半よりもオープンな展開ではありましたが、その中でもチャンスはサンガの方が多く作っていました。49分には福田、52分にはエリアスがそれぞれチャンスを迎えましたがいずれも決まらず。しかしその中でマリノスもどうにか長いボールを強力な3トップに付けて力業で攻め込もうとしてきましたが、サンガもマリノスが攻め込んだ後に陣形が崩れるタイミングをしっかりとカウンターで狙う姿勢は出せていました。

 

 

 

53分、マリノスはカウンターで攻め込むとアンデルソン・ロペスがクロス。しかしこれを福田が懸命に弾き返すと、このボールを拾った佐藤がゆっくりとドリブルで中央沿いにボールを持ち運ぶと、たまらず釣り出される形になった喜田拓也を嘲笑うかのように絶妙なスルーパス!抜け出した原は一度は永戸勝也の対応に遭うも、永戸を完全に無力化させる圧倒的なストライドを駆使したターンで永戸どころかエドゥアルドまで含めて蹂躙右足一閃!!スーパーゴールで勝ち越し!!

 

 

マリノスは状況を打開すべく67分にヤンマテウスとエウベルを下げて井上健太と宮市亮を投入。しかし投入したばかりの宮市が負傷退場により天野純との交代を余儀なくされるアクシデントもあって、むしろマリノスの方が単調な攻撃にならざるを得ない時間が続いていました。それに対してサンガは何度かアタッキングサードまで踏み込まれていたとはいえ、今日は特にチャレンジする選手とカバー(ステイ)する選手の役割分担がしっかりと出来ており、最後のCBのところに辿り着くまでに上手く攻撃を潰せている状態に持ち込んでいきます。

 

 

 

サンガは75分に平戸太貴とトゥーリオを下げて米本と3ヶ月ぶりの復帰となる豊川を投入。マリノスも渡邊泰基や植中朝日を送り込んで猛攻を仕掛けようとしますが、ここまで来るとサンガが数的有利の状況を活かせるようになり、前線で多彩な攻撃を仕掛けられるよかな状態になっていきました。86分に豊川の左CKを鈴木が合わせた場面こそ喜田のスーパークリアに阻まれ、その後も途中出場の三竿雄斗や豊川が好機を作り、3点目を取れないもどかしさはありながらも常に優位な状況に自分達を置く戦いを実践していました。

マリノスも終盤はパワープレーを敢行してきた事で不安を抱く場面はちょこちょこ出てきたものの、その中でもしっかりと対応し、逆に前線にボールが入った時も時間を上手く使ってゲームセット!サンガ3連勝!!残留は大き過ぎる1勝です!!!

 

 

 

先日、こういうブログを書いたんですよ。

テーマはざっくりと言えば「なぜサンガは好調に転じたのか?」というところなんですけれども。

 

 

ここで書いたのは、まず守備の面でプレスに行くのか、ステイして守るべきなのかをゾーンごとに調整するようになった事でチャレンジ&カバーの役割分担が明確になった…その上で元々強みにしていたハイプレスを常時やるものではなくカードとして使えるようになったという事、攻撃ではボール奪取からのカウンターという攻守一体化の一本槍で戦っていたところから、攻撃フェーズと守備フェーズで独立した振る舞いをできるようになったことで、局面に応じた選択を選手が下せるようになったというところを主に書きました。

 

 

もちろん過密日程のマリノスがトータル90分に達する時間を10人で戦った…という事実はこの試合を語る上で重要なポイントではありましたが、それでも今日はなぜ後半戦にサンガが急に勝てるようになったのか、どの部分がどう良くなったのかのなみたいなポイントが全て出ていました。

例えば守備面に関しては、やはりマリノスは3トップの馬力が尋常じゃないのでそこに苦しむ場面があったのは仕方ないとして、それでも上手くサイドで守備の時間を作りながら中の態勢を整える。誰かがプレスに行く時はその次の事をしっかりと準備してやる。逆にマリノスがGKを絡めたビルドアップを始めれば、それはこれまでの強みであるハイプレスというカードをしっかり切る…そういうプレスの使い分けはすごくしっかり出来ていましたし、セーフティーファーストと少々リスクを冒してでも取りに行く場面のコントロールが抜群に出来ていました。そこは守備陣の手綱を声で常に握り続けた鈴木のDFリーダーとしてのマネジメント能力と、CBの相方としてそれに完璧に応えた宮本の任務遂行能力があまりにも素晴らしすぎた。あのアタッカー陣を相手にどのチームにとっても難解なミッションを完璧にやり切ってくれた事は圧巻のパフォーマンスだったと評するべきでしょう。

攻撃に関しても、上述のハイプレスを仕掛けられる時間以外はちゃんと攻撃の時間と守備の時間は別物として捉えて、攻撃時はボールホルダーの位置を踏まえた選択をすることで攻撃の幅を増やせた。1点目なんかすごくわかりやすくて、福田があそこで突破やクロスをキャンセルする選択をしたこと、オーバーラップしてパスが来なかった川﨑が貰い直す選択をしてそれに準じた動きをやったこと、そこからのトゥーリオとエリアスのプレー…この福田と川﨑の選択の連続からブラジル人2人のクオリティで差し切ったゴールはまさしく後半戦のサンガが良くなったポイントそのものでしたし、2点目にしても…あのゴールはそもそも原がスーパーすぎるんですけど、その前の佐藤のプレーも素晴らしかった。少し焦らして喜田を手玉に取るようなあのプレーは見事という他ない。一辺倒、一本槍になりがちだったサンガがペース配分、ペースの調整を覚えることで、これまで武器だった要素もより効果的に使えるようになった。それを感じさせられる勝利だったと思います。

 

 

ルメールかっこよかった

ではでは(´∀`)