RK-3はきだめスタジオブログ

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三種の配球〜2024明治安田J1リーグ第32節 川崎フロンターレ vs アルビレックス新潟 マッチレビューと試合考察〜

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首相も決まったという事で

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第32節、川崎フロンターレ vs アルビレックス新潟の一戦です。

 

 

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

川崎フロンターレ黄金時代の終焉を感じさせたのは昨季も同様でしたが、今季はそれがより深刻化しているところは衆目の一致するところでしょう。開幕から勝星が遠く、ルヴァン杯を含めた公式戦4戦無敗で少し流れを掴んだか…と思えば、前節は名古屋を相手に敗れ去り、気が付けば京都にも順位で抜かれた15位に。降格圏となる18位磐田とは僅かに勝点差が5点しかない以上、今の川崎は明確に残留争いを戦っているチームです。ACLでは初戦を幸先良く制し、川崎としてはACLに注力する為にも残留争いにけりをつけなければならない…そういう立場になりました。

対する新潟は…やはり彼が持つ確固たるスタイルは今季も健在で、松橋力蔵監督は川崎に対して「スタイルが似ている」と評しましたが、その徹底ぶりは新潟の方が上と言えるでしょうし、予算規模と踏まえれば今の立ち位置は見事な一言。一方、新潟は新潟で合う相手、合わない相手がハッキリしてしまっている部分もあり、彼らも川崎ほどではなくとも残留争いから抜け出すには至っていません。

お互い「最悪」から1秒でも早く逃れる為に重要な6ポイントゲーム。新潟は以前から川崎キラー的なところがありますが今回もそれを発揮できるかどうか。川崎は苦しいことばかりの2024シーズンに歯止めをかけるポイントを作れるかどうか。注目のフライデーマッチです。

両チームスタメンです。

 

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川崎は0-2で敗れた前節名古屋戦からはスタメンを4人変更しており、今日は橘田健人が欠場でファンウェルメスケルケン際が出場停止となった事で右SBには左SBやCBでの起用が主立つ佐々木旭を起用。川崎はここ最近は主に4-2-3-1でプレーする試合が多かった中で今日はシステムを4-4-2に変更しており、脇坂泰斗を右サイドとした上で河原創とリーグ戦では第24節柏戦以来のスタメンとなる山本悠樹を持ってきました。

対する新潟も4-4-2を採用。神戸と激闘を繰り広げながらも敗れた前節からは出場停止の宮本栄治を秋山裕紀に変更し、前節はCBに千葉和彦が起用されていましたが今日はトーマス・デンに戻しています。

 

 

 

本日の会場は神奈川県川崎市、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuです。

 

 

今日の試合はフライデーナイトJリーグとして本日唯一の試合開催となりました。いかんせん川崎市は豪雨となっている為、用意されていたイベントのいくつかは中止となりましたが……雨の中集った観客のためにも尚更エキサイティングな試合を見せたいところ。ちなみに今日の試合では  川崎市市制100周年記念事業をモチーフとしたユニフォームも配布されます。

今シーズンからネーミングライツを導入したスタジアムですが、Uvance(ユーバンス)は川崎の親会社である富士通の新ブランド。近年では将来的にこの場所を球技専用スタジアムに大規模改修を行う計画もまとまり、12月にはこのスタジアムで中村憲剛引退試合の開催も決定するなど様々なトピックが用意されています。

 

 

 

お互いにボールを握ってプレーしたい志向の強いチーム同士の一戦ともあり、お互いにボールを動かしながらどこでギアを上げるか、どこでスペースを突きに行くかを探り合うような試合展開となりました。

そういうややスローペースな入りとなったゲームが動いたのは14分。新潟が最終ラインからボールを動かしながらラインを上げていく中で縦パスを入れるとこれを河原がカット。河原はダイレクトでロングスルーパスを送ると、エリソンが相手DFを引きつけたところに抜け出したマルシーニョがGK小島亨介と1対1の場面を迎え、そのまま小島がマルシーニョを倒す形になって川崎がPK獲得。これをエリソンが小島にコースを読まれながらも決め切って川崎が先制!

 

 

 

先制した直後にも川崎はマルシーニョ、河原が立て続けにGK小島の好セーブに阻まれるところまで辿り着くようなシュートチャンスを構築。

すると18分には山本からのパスを受けた脇坂がエリアスに当てると、エリアスのポストプレーからマルシーニョが受けてスルーパス。エリアスとマルシーニョのところでタメを作れた脇坂が再び飛び出して決め切って川崎追加点!今季苦しんだ川崎にとって、光明になるような川崎っぽいパスワークからのゴールで早くも追加点。

 

 

 

試合としてはやはり川崎のペースで、システムは4-4-2ですが攻撃時はアンカー気味に低い位置での配球を担う河原、それぞれ中央の左寄りと右寄りでボールを受けられる位置に入りアタッカー陣の動きを引き出そうとする脇坂&山本の絡みが上手くハマっており、そこでチャンスに繋がるような場面は何度も生み出せていました。

新潟も23分に小野裕二のボールキープからのスルーパスに抜け出した谷口海斗が好機を迎えましたが、佐々木のアプローチとチョン・ソンリョンの好セーブに阻まれてゴールならず。28分にも長倉幹樹がゴール前の混戦からシュートに持ち込みますが、今度は高井幸大によってブロック。新潟もボールを動かしながら徐々に最終ラインを敵陣内に留めておく状況が作れるようになると、そこをスタート地点としてパスを打ち込んでいけるようにはなっていきましたが、それに対しては川崎も今日は新潟にスペースを与えずに対応し、ボールを奪えば河原や山本に当ててカウンターを展開できる状況を常に確保していた事で上手くゲームを勧められる形に。

前半は川崎の2点リードで終えます。

 

 

 

後半も基本的には同様の試合の流れで、新潟も時間と共に攻撃機会そのものを増やす事はできるようになっていましたが……それがシュートシーンにまではなかなか繋がらず、逆に前がかりになってきた新潟に対してロングボールや長いスルーパスが面白いように入り始めると、そこでマルシーニョや山田新にチャンスが訪れる場面は増えていきました。

 

 

 

すると64分、自陣から高井幸大が前がかりになった新潟のバイタルエリアにボールを送り込むとスペースに走り込んだ山本がこれを受け、相手DFと対峙してスペースとタメを作ってからエリソンにスルーパス。エリソンがこれを決めて3点目を得ると、直後には相手のビルドアップの乱れをついたエリソンのパスから山田、更に73分にはCKの混戦からエリソンのシュートがディフレクションしたところを山田が押し込んでなんと5-0。

 

 

 

新潟は終盤こそ途中出場の太田修介が同じく途中出場の星雄次のクロスにドンピシャで合わせて1点を返しましたが反撃するには時既に遅く。

これまでの鬱憤の全てを爆発させるような快勝劇を見せた川崎が残留争い脱出に大きな3ポイントを手にしました!

 

 

 

川崎からすればスコアが物語っていますが、この試合展開ながらクリーンシートで終われなかった事を除けば完璧な試合展開だったなと思います。今日の人選及び戦い方があくまで対新潟というところを踏まえたものなのか、或いはこれからも継続してやっていくシステムとメンバーのつもりなのかはわかりませんが、結果も内容も素晴らしかったなと。

新潟はボールをゆっくりと動かしながら前進し、相手を焦らしたところで歪みを起こし、それがスペースになったところで谷口や長倉がそのエリアを攻略する戦い方でを得意としていますが、今日の川崎は4-4-2の陣形を組みながら正面から対峙する形を作った事で上手くスペースとスピードを消しながら戦う事が出来ていましたし、その点で特にサイドのエリアを無力化させていた佐々木と三浦の両SBは前へのチャレンジを控えめにしながらスペース管理を行う素晴らしい仕事をしていたと思います。まず今日の川崎は新潟の津波をどう潰すかを前提にしたところから組んで、その上で新潟にとっての苦しい状況、回り回って川崎に主導権が勝手に転がってくる状況をどう作るか…というところで上手く立ち回っていた印象です。

 

攻撃面に関してはまず守備で川崎が前述のスタンスを採っていた訳ですから、攻撃のスタートラインはいつもの川崎と比べても低い位置から始まる形になっていました。そこで守備陣は中盤に低い位置から配球役をこなせる河原、自らボールを持ち運べるプレーメーカーの山本に早くボールを付ける形にできましたし、この2人が流れを作るとチャンスメイクをこなせる右サイドの脇坂が真ん中に入って絡んでいく…と。川崎はあの守備の形をすると攻撃時間というよりも攻撃距離が長くなって、そこがどう転ぶかな…という部分がありましたが、ゲームメイクができる3人の中盤、それもそれぞれタイプが異なる中盤を置いていた事、それに対してエリソンがポストプレーを担い、マルシーニョと山田が抜けて行く形を作れていたので、河原が直接そのまま出しても良し、脇坂を経由して組み立てても良し、山本である程度のところまで持ち運んで時間とタメを作っても良しという選択肢の確保ができていた…ここはすごく大きかったです。

同時に新潟からすれば、最初はゾーン気味に守ろうとしたとは思いますが…脇坂山本河原は引いたら引いたでいくらでもボールを動かしてきますし、エリソンがポスト役になったところでリトリートしてスペースを潰してもエリソンに脇坂やマルシーニョが絡むコンビネーションで打開されてしまう。じゃあエリソンや出し手の中盤3人を潰しに行こうものなら裏に抜けたマルシーニョにスルーパスを出されてしまう…といった具合に、新潟からすれば「じゃあどれが正解なんだよ!」という具合に個々の意識にバラつくと同時に自分達の中で統率が全く取れなくなってしまったところはあったのかなと。後半は新潟が前係になって攻めようとした事から上述の川崎の守備から攻撃の連動がより色濃く出て、それに伴い新潟の守備の迷いも更に露呈した。川崎の狙い、新潟の誤算…その意味で3点目に至る仮定は今日の象徴的なシーンだったと思います。お見事でした。

 

J1第32節分のうれしはずかしじゅんいひょうのコーナーはガンバ大阪 vs 東京ヴェルディマッチレビューページに記載しています

 

 

なんでカープ今日に限って勝つん

ではでは(´∀`)