2ステージ制なら優勝争い中と聞いて…
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第36節、京都サンガFC vs 川崎フロンターレの一戦です!
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30周年を迎えたサンガの物語として、実に美しい軌跡だったと思います。
2024年のサンガにとって、大きすぎるターニングポイントとなったのは間違いなく5月19日、雨の亀岡、その雨足よりも強く冷たい0-5というスコア…その瞬間でした。狂った歯車が遂に崩壊の時を迎え、チームは変わることを余儀なくされた。しかしてその決意を抱き、トータルでは決して褒められたシーズンではなかったとしても、サンガを変えた広島相手に土をつけることで一つの物語を一周させた…前節のサンガの勝利はそういう勝利だったと思います。
そしてサンガのシーズンを変えた相手がサンフレッチェ広島だったのだとすれば、サンガのシーズンを開幕させた相手が川崎フロンターレでした。
1分1敗で迎えた開幕からの3試合目、川崎フロンターレに勝利したところから京都サンガFCの2024年は始まった。そこから気配に約束された悪夢のような季節を過ごし、広島戦という大きなターニングポイントがあり、そこからの驚異的なV字回復を見せた末に広島を倒して第36節まで辿り着いた。ラスト3試合で再び相対する川崎フロンターレ…振り返れば、曺貴裁監督はJ2にいた2021年から鬼木達の川崎フロンターレに勝つことを目的として歩み始めた。広島戦で変わった物語を広島戦に帰結させ、川崎戦から始まったシーズンに川崎戦でケリをつける。さあ、勝てば残留です。歓喜のこの場で、あの物語の先に!
両チームスタメンです。
サンガは前節広島戦からはメンバーを2人変更。広島戦で負傷退場した金子大毅のところには広島戦と同様に福岡慎平が入り、累積警告で出場停止となった川﨑颯太のポジションには米本拓司が第28節FC東京戦以来の先発となりました。GKク・ソンユンは前節の出場停止からは復帰してベンチに入っていますが、前節での活躍を踏まえて今日は太田岳志が連続で先発しています。
川崎は敗れた前節鹿島戦からは半数近い5人変更してきましたが、3-1で快勝した直近のACL上海戦からは家長昭博とマルシーニョを入れ替えた以外の変更はありません。最近は4-4-2を採用することの多かった川崎ですが、今日は上海戦と同様に瀬川祐輔をトップ下に置いて4-4-2にも4-2-3-1にも変形できる布陣です。
本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by KYOCERAです。
サンガスタジアム by KYOCERAにきましたよ〜!!すっごーい!!(すみぺ) pic.twitter.com/LYLnvsDZlV
— 上坂すみれ_official (@uesaka_official) 2024年11月9日
本日の試合は大和証券スペシャルデーとして開催され、ハーフタイム抽選会では普段は販売されていない大和証券ロゴ入りのユニフォームパンツをセットにしたユニフォームセットが当たるそうで。グッズショップではPUMAフェアが開催され、場外では絵本や紙芝居を楽しめる子供向けイベントも。また、京都を舞台としたアニメ「甘神さんちの縁結び」とのコラボ企画が実施され、同作に出演する声優の上坂すみれ氏、本渡楓氏のトークショー、主題歌を歌うももいろクローバーZからのビデオメッセージが上映されます。フォトスポットのキャラクターのポーズもエリアス仕様!
立ち上がりはサンガも川崎もベーシックな狙いは提示しつつも、お互いにそれが成就するまでには至らないもどかしい展開となっていきました。
しかしハイプレスをかけながらショートカウンターをサンガと、ショートパスを繋ぎながら前進していきたい川崎という構図だった事もあって、サンガも守備を攻撃に結びつけることには苦労していましたが、より苦しい立場でプレーすることになっていたのは川崎の方といった流れに。序盤はサンガの守備が上手くハマったというよりは、川崎がサンガにミドルゾーンで捕まるような展開になって進んでいきます。
しかし20分を超えた辺りからはサンガが中盤での攻防戦をサイドアタックに絡められるようになっていきました。
22分にはショートカウンターから米本が一歩中に斬れ込んでクロスを入れ、ここにエリアスが反応しますがシュートは僅かに枠外。29分には今度はエリアスの横パスから走り込んだ米本がミドルを放ち、これも外れますが少しずつクローズドな試合に引き金は引かれていきます。
それに伴い、今度は川崎もサンガのDFラインに対してその背後を狙うようなアクションを出し手も受け手も明確にするようになったことで、川崎の攻撃も少しずつ流動性を生み始めていきましま た。
前半アディショナルタイムにはお互いに決定機を迎えました。
サンガはペナルティエリア内でパスが回り、混戦状態になった中で最後は佐藤のクロスにトゥーリオがヘディングシュートに持ち込むもGKチョン・ソンリョンがセーブ。その後もう一度エリア内に侵入する機会がありましたがシュートにまだは持ち込めず…。逆に川崎も左サイドからエリソンが決定的なクロスボールを入れますが、今度は土壇場で佐藤響がクリア。前半は0-0で終えます。
後半開始と共に両チームが動きます。サンガはイエローカードをもらっていたアピアタウィア久を下げて宮本優太を投入。対する川崎は一気に3枚替えを断行。山本、遠野、エリソンを下げて大島僚太、家長昭博、山田新を送り込みます。
後半はサンガが攻勢を仕掛けました。50分にはエリアスが平戸のCKからシュートに持ち込み、53分には平戸がFKを放つも惜しくもチョンソンリョンに阻まれてゴールならず。55分にも原がエリア内で決定的なパスを出しますが、エリアスとは僅かに歩幅が合わずGKが処理。ただ後半はより平戸が高い位置でのプレー機会が増えて、それに伴いエリアス、トゥーリオ、原が受け手としてアクションを起こせる場面が増えたことで連動を生み出せるようになっていきました。
しかし先制したのは川崎でした。
59分、サンガは米本がエリアスにスルーパスを試みます。このスルーパス自体は両者のビジョンがハッキリしていて良かったのですが、脚を伸ばした三浦颯太にカットされるとこれを拾った大島がワンタッチで絶妙なフィードを供給。一発で高くなっていたサンガ守備陣の背後をとった山田新がGK太田との1対1を仕留めて川崎先制…。
川崎が先制してからはサンガも前へのアクションは起こしていくものの、よりシュートチャンスに迫っていったのは川崎という展開になっていきました。それでも最後のところで宮本や鈴木がどうにか粘ってサンガも凌ぐと、68分には米本を下げて豊川雄太を投入し、システムを4-4-2ないしは4-1-2-3に近い形に。
そして72分、平戸のCKを原がフリック。そのボールをトゥーリオがシュートに漕ぎつけると、ブロックに入った橘田健人のプレーがハンドと判定されてPK!トゥーリオのキックはGKチョンソンリョンに阻まれますが、GKが先に動いたとして蹴り直しに。これをキッカー変更の末にエリアスが決め切ってサンガ同点!!!!
周南はオープンな展開となり、サンガにも川崎にもシュートチャンスが訪れる綱渡りのような展開になっていきました。
84分には巧みなボディコントロールで相手を振り切った豊川のスルーパスに抜け出したエリアスが決定機を迎えますがチョンソンリョンが連鎖セーブ。アディショナルタイムには川崎がよりカウンターで得点機会を迎えますが、サンガもシュートまではどうにか阻止して耐え切り、終盤にはトゥーリオを下げてルーカス・オリヴェイラを投入した勝点1でもOKの姿勢を見せてゲームセット。お互いに不完全燃焼感はありましたが、痛み分けではなく勝点で並ぶ両者にとって大きな勝点1。サンガより1時間遅れで行われていたジュビロ磐田の試合結果により、サンガと川崎のJ1残留が決定しました!!
試合としては、前述のように両チームともに消化不良感はあったように思います。
お互いに出来ること、出来ないところ、得意なところ、苦手なところがハッキリしているチームでもありますから、良く言えばそれが噛み合った、悪く言えばそれ以上の方策を見出せなかったとあうところで事で前半はクローズド、逆に後半は一転してオープンになるという極端なゲーム展開になった部分はあったのかなと。川崎がやろうときている前進はサンガのプレッシングによって中盤で詰まる状態になりましたし、サンガはそこからショートカウンターで…というビジョンこそあったものの、一度スピードを止められた時の仕切り直しがクロスに頼るしかない…というところで。
平戸がインサイドハーフというよりもトップ下に近いポジション取りでプレーできた後半の最初の方にサンガが良いリズムを作れた時間があったというのも考えてみればその裏返しではあったように思います。川崎も、途中からは山本や橘田、大島を中心に如何に前がかりになったサンガの背後を突くか…という方向にシフトチェンジして、実際に川崎の先制点はその狙いが大島僚太の魔法によってピンズバでハマったものでしたが、彼らからしても打開しきれなかった側面はありましたし。消化不良、不完全燃焼、でも最後のところはどうにか粘った…みたいな感覚は両チーム共通だったんじゃないでしょうか。
さて、サンガはこれで残留が決まりました。毎年恒例のくっそ長い総括ブログはまたシーズンが終わってから書くとして…。
後半戦の印象だけで今シーズンをジャッジする事は危険…それはサンガファンなら誰しもが理解している事だと思います。前半戦の不調は一時的な不振ではなく、強みと表裏一体で覆ってきた歪みが露呈したと表現するべきものでしたから。シーズン前にクラブが掲げた「史上最高で最強のサンガ」とはかけ離れたものでしたし、派手な推移のアニバーサリーイヤーではありましたが華々しいアニバーサリーイヤーだったとはとても言えない。クラブも監督も、そこに向き合う必要は間違いなくある…と。
ただ一方で、これまでのサンガの歴史…これまでのサンガの歴史を振り返った時、サンガが残留したシーズンというのはいずれも「前半戦で勝点を稼いで逃げ切ったシーズン」でした。去年もそうでしたし、一昨年もそうだった。逆に、降格するシーズンのパターンは前半戦で滑り散らかして、それを挽回できないまま、残留圏内に浮き上がれないまま月日が過ぎていく……2000年も、2003年も、2006年も、2010年も。だからこそ今季の前半戦を見た時に「ああ、このパターンか…」と、特に2010年に重ね合わせた人は多かったんじゃないかと思います。
しかしながら、サンガはそこから這い上がった。その形や内容の賛否は人によって様々な答えがあるでしょうが、数字だけは誰に対しても平等。その数字が表す結果は残留だった訳です。これまで抗えず、呑まれ続けてきた「いつものパターン」に今年のサンガは抗った。ましてやこのクラブはJ2降格という概念が出来てから4年連続でJ1を戦うことができなかったクラブでしたが、その負の歴史を跳ね返した。シーズンの総合的な評価はまた別としても、30周年という節目の年にこのクラブが自分達の歴史をその手で変えてみせた事は確かです。
無論、もっと悠々と残留したかった。そこにドラマティックを求めたくはないですが、こういう展開になってしまったからにはこの残留の軌跡でさえも肥やしにしていかなければなりません。2024年のサンガにとって、あのホームでの0-5が大きなターニングポイントになったように、サンガが陥った負のスパイラルから抜け出した軌跡が永く続く歴史のターニングポイントとなるように、これからの自覚を抱いて走り抜く姿を追っていきたいと思います。ラスト3試合。一つでも上の順位を!
プレミア12もはじまるね
ではでは(´∀`)