RK-3はきだめスタジオブログ

気ままに白熱、気ままな憂鬱。執筆等のご依頼はTwitter(@blueblack_gblue)のDM、もしくは[gamba_kyoto@yahoo.co.jp]のメールアドレスまでご連絡お願いします。

結合〜2024明治安田J1リーグ第36節 ジュビロ磐田 vs ガンバ大阪 マッチレビュー&試合考察〜

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20241112095723j:image

 

金曜日はGLAYのライブに行きました。

 

クッソ楽しかったです。

 

以上、一言日記でした。

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビュー明治安田J1リーグ第36節、ジュビロ磐田 vs ガンバ大阪の一戦です!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

季節は巡り、11月。

思っていたより続いた残暑が嘘みたいに過ぎ、気が付けば普通に寒い。そんな季節にやってきました。しかしてジャパン・フットボールはここからが熱狂。灼熱の季節。そんな手垢のついたようなフレーズを声高々に叫べるような秋を今のガンバは過ごしてます。

10月最初の札幌戦、妄想でもやりすぎな試合展開から始まったストーリーはサポーターの想像すら超え、一度は鈍化してしまったその歩みのスピードを再び加速化していった。天皇杯優勝という大きな目標を手にしたガンバはここから、ACL出場権を目指す……上昇志向な目標に手をかけてシーズン最終盤を過ごせる事がこれほどまでに幸せなことかと、今のガンバファンは身に染みて感じている事でしょう。

 

 

対する相手は磐田。18位の彼らは今、17位と18位の境目という最も重要なボーダーラインに指をかける苦しい時期が続いています。ここからの残留争いは手負いの獣のような道筋。意地と根性が見せつける力と濁流は予想もできないパワーを持つ……しかし、上位に行きたいと言うのであれば、そういう相手を一つ一つ確実に斬っていかなければなりません。再び走り出したこの歩幅を止めない為にも、目の前の敵を一つずつ、それがどんな形であったとしても薙ぎ倒す、追い越していく…それを最後までやり続けたチームが最後に歓喜に辿り着きます。さぁ、いざ!ガンバ大阪2024の真価を!

両チームスタメンです。

 

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20241112092037j:image
f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20241112092041j:image

 

ガンバは直近の試合となった天皇杯準決勝横浜FM戦からのスタメン変更は1人のみ。横浜FM戦で負傷退場となった山田康太のポジションに坂本一彩が入っています。ベンチメンバーは若干入れ替わっており、中野伸哉は第31節京都戦以来、そして怪我から復帰したイッサム・ジェバリは第25節FC東京戦以来のメンバー入りとなっています。なお、山下諒也はトップチーム昇格は果たしていませんが、地元にしてユース時代を過ごした磐田との古巣対決です。

磐田は0-2で敗れた前節神戸戦からはスタメンを4人変更。前節は植村洋斗と中村駿のボランチで挑みましたが、今日は出場停止から復帰したレオ・ゴメスと第25節新潟戦以来の先発となる上原力也のコンビでスタートします。

10月28日、ガンバ大阪6代目代表取締役社長を務められ、市立吹田サッカースタジアムの建設実現に尽力し、長谷川健太監督体制で2014年の三冠を始め、J2とスーパー杯を含めれば実に6度の優勝を成し遂げた時代のトップだった野呂輝久氏がご逝去されました(10月30日付のガンバ大阪公式リリース)。それに伴い、ガンバ大阪はこの試合では喪章を付けて試合に挑んでいます。改めて野呂元社長のご冥福をお祈りします。

 

 

 

本日の会場は静岡県磐田市ヤマハスタジアムです。

 

 

今日の試合では17LIVEとのコラボ企画で上位に入賞したライバーのキックインセレモニー、ピッチ周回イベントを実施。シーズン終盤戦という事で特別フォトカードのプレゼントやフォトスポットの展示も行われます。また、ガンバ側でも現地にたこ焼きくくるが出店する他、いま大阪で話題沸騰のスポット「グラングリーン大阪」にてパブリックビューイングが実施。秋空の下で最新スポットとお酒とスポーツを楽しめる企画が実施されます。

ヤマハスタジアムといえば、ガンバ大阪というクラブにとっては様々な辛い思い出が蘇るスタジアムです。あの2012年のトラウマを忘れたファンはいない事でしょう。それを抜きにしても、ガンバはヤマハスタジアムでのリーグ戦で最後に勝利を収めたのは2011年(ルヴァンやエコパ開催では勝利しています)。過去を一つずつ変えていった今年のガンバだけに、ここでも一つ一つを塗り替えていきたい!

 

 

最初のチャンスはガンバでした。2分、左サイドから黒川圭介がドリブルで侵入し、クロスはやや中途半端になりましたがこぼれ球を拾った倉田秋が放ったミドルシュートクロスバーに直撃。

とはいえ前線で良いリズムでプレーできていたガンバは遠い距離ながら正面でフリーキックを得ると、宇佐美のシュートは壁に直撃してコーナーキックに。鈴木徳真が蹴ったボールは中央の喧騒を嘲笑うかのようにファーサイドに流れ、ドフリーで走り込んだダワンがきっちり合わせ切ってガンバ先制…かと思われましたが、オフサイドポジションの倉田がGKの視界を遮る形でプレーに関与したとしてオフサイド。ゴールは取り消しに。しかしこれは激動の試合のほんの序章に過ぎず…。

 

 

 

17分にVARが介入して岩田がバンド獲得の機会を得た場面こそノーハンドで難を逃れたものの、23分に自陣でのミドルゾーンでルーズボールの応酬になった刹那、拾った松本昌也のスルーパスに抜け出したクルークスのクロスが黒川圭介に当たってディフレクション。難しい軌道のボールとなりましたが、これを渡邊りょうが見事に右足でヒットさせて磐田先制。

しかし直後の27分、左CKを鈴木徳真がニアサイドに蹴り込むと、倉田を超えたボールに半田陸がジャンプ一発叩き込んですぐさま同点!!

 

 

ただ、ここからの時間はガンバにとって「今季の良いガンバ」と言えるような時間帯が増えていました。

宇佐美がやや落ちた位置でプレーするのはいつも通りにしても、今日はそれが宇佐美は左、ダワンは右で並列気味な形になり、それを鈴木が合間を縫うような形に。そこに対し、WGの倉田と山下も大外をスタートラインにしながら左右のSBと左は宇佐美、右はダワンの立ち位置と上手く連動するような形でポジションを調整させていました。

その妙味が出たのが前半アディショナルタイム。中央でボールを持った宇佐美は倉田とポジションを入れ替わる形でサイドにドリブルで流れ、磐田守備陣を引きつけてから再び中央へ。宇佐美のドリブルコースと倉田の中央への移動でぽっかり空いた大外のエリアに宇佐美がヒールパスを出すと、ドフリーで走り込んだ黒川はワンタッチでクロスボール。ファーサイドに猛然と飛び込んだのは山下諒也!待望の移籍後リーグ戦初ゴールは、かつてU-18までを過ごした磐田の地で!

 

 

立ち上がりは慌しかったものの、時間経過と共にガンバが支配できるようになった前半はガンバが逆転に成功して後半に向かいます。

 

 

後半も概ねガンバペースで進んでいきました。

62分、セットプレーの流れから左サイドでボールを持った宇佐美がドリブルで切り込みマイナス方向にパス。これに反応した半田のミドルはリカルド・グラッサにブロックされますが、その処理の最中にグラッサの手に当たったとしてPK獲得!これを今季、PK成功率100%の宇佐美が川島永嗣との注目の対決をバッチリ仕留めて3-1!

 

 

前述したように、今日のガンバは宇佐美がいつもよりも角度を持って落ちてきたような、少し4-1-2-3っぽい形になりつつも、宇佐美-倉田-黒川とダワン-山下-半田の左右のユニットがそれぞれ良い連動を起こし、中央のエリアを鈴木と最前線の坂本がきっちり埋める形でゲームを支配していました。その上で前がかりになってくる磐田に対して勝負は急がず、ボールを動かしながらスペースを狙う2点リードの立場を活かした攻撃スタンスに。

67分には右サイドに流れていた宇佐美が巧みなボールタッチで半田にパスを託すと、その半田が前線の山下に向かって縦パス。相手DFの間で受けた山下はこれをスルーパスに変えるような巧みなターンとドリブルコースでぶっちぎり、最後はGK川島との1対1を背負って4-1…かと思われましたが、まさかのオフサイド判定によりゴールは認められず。まあでも、3-1か4-1の差や。今日のガンバの感じなら大丈夫、問題ない…そう思っていた矢先、喫驚仰天、震天動地。衝撃のドラマは幕を開けます。

 

 

 

磐田は71分に高畑奎汰とペアショット、更に鈴木海音や西久保駿介の投入で、クルークスを起点としたパワープレー戦術に明確にシフトしていきます。ガンバは77分には山下と倉田をアラーノと福田湧矢に変更してWGを入れ替え、基本的には現在のペースを維持していこうとする狙いに。

しかしおそらくパワープレーをやらせれば今のJ1でも上の方にいるであろう磐田の圧力を前にどんどん押されていき、特にCBの中谷や福岡はクルークスの高精度クロスに飛び込むペイショットとジャーメインへの対応というかなり難しい仕事を強いられる事に。

 

 

 

87分、クルークスのクロスに一度は中谷がジャーメインに競り勝つも、こぼれ球を上原力也がエリア内に押し戻し、ペイショットのところでクリアしきれなかったところを上原に押し込まれて2-3。

そしてガンバはクリアボールの収めどころを作るべく宇佐美を下げてジェバリ、より中盤でアップダウンを効かせる為に鈴木を下げて美藤倫を投入するも、一度圧を強めた磐田を跳ね返しきれないまま…アディショナルタイム、一度は跳ね返したセットプレーのボールが再びクルークスに渡るとファーサイドにクロス。グラッサの折り返しを鈴木海音が押し込み磐田同点。勝ち確定…そう思った試合はまさかの展開に。

 

 

しかし同点で、ある種一つの目標が達成された磐田が見せた一瞬の圧力の緩みを見逃さなかったのもまたガンバでした。

同点に追いつかれた直後、ルーズボールを拾った黒川が美藤に繋ぐと美藤は鮮やかに中央を直進。坂本へのスルーパス、アラーノの足元、ジェバリへの展開…3つの選択肢を磐田守備陣に突きつけるようなコースで迫り、最後はジェバリへのパスを選択。これをジェバリがワンタッチではたいて最後は坂本一彩!!!!!押し切った磐田を最後に刺したのは途中出場の2人のクレバーなプレー、そしていつもは途中で下げているけど今日はピッチに残したポヤトス監督の期待に120点の回答で応えた坂本の大勝利ゴール!!!!!

 

 

GAME FINISHED!!!!!

衝撃的な展開を制し、4位浮上!天皇杯決勝前のラストゲーム、その結末は衝撃の劇的勝利となりました!!!!!

 

 

 

いやー…ね。こんなんばっかりですよ。ここ1ヶ月。おっそろしいゲームですわこれ、ええ。なんなら、ガンバ関係ないルヴァン決勝ですらこんなゲームでしたし。そういえばあれハセケンだったな…。

ざっくりと言えば、まずここまで劇的な試合になった事はファンとしては非常に楽しかったですし、エキサイティングでした。ただ同時に劇的な展開になってしまった事が反省材料であり、一方で試合全体として"良い時間"の方が多かった事も確か。慌ただしい序盤戦、試合を支配できていた中盤戦、磐田の圧に押されてしまった終盤戦…その3つのフェーズで構成された試合だったので、両手放しに肯定するのも少し違うとはいえ、かといって変に「勝っただけ」と悲観的に捉える必要もないゲームでしたし、終盤の展開はともかくトータル的には内容もポジティブなゲームだったなと思います。

 

 

一言で言えば、基本的に今日のガンバは戦術的なベースをしっかり築いていて、その上に高いクオリティの技術を上乗せしつつ、それを磐田の出方を踏まえて発揮する事が出来ていたなと。

前述のように、今日のガンバは俗に言う5レーンというよりは横枠が少し広めの3レーン的なプレーをしていたように思います。宇佐美-倉田-黒川の左、ダワン-山下-半田の右、鈴木-坂本の中央と言った具合に。磐田は3バックというより5バックに近い形で引いて守ってくるので、基本的に前線のスペースは消されている状態からガンバの攻撃は始まりますが、左右のユニットが良いポジショニング、良い連動、良いローテーションを行っていく事で、相手の守備者と守備者の間隔に歪みを生じさせるアプローチが出来ていました。重なりすぎたら大外が空くし、離れすぎたらポケットが空く。2点目の山下のゴールに至る流れや山下の幻のゴールにも似たような事は言えると思いますが、しっかりと伏線を張り、相手が引っかかったタイミングをしっかり見て決定的なパスを出す。操るようにボールを動かす事がしっかり出来ていましたし、調整役の鈴木、ボールの受け手としてのポジショニングをキープしていた坂本という存在が磐田守備陣に警戒ポイントを絞らせなかった。同点になってからラスト10分くらいまでの流れはほぼ完璧だったと言ってもよかったんじゃないでしょうか。

終盤に関しては……正直、磐田のパワープレーに関しては物理的な問題のような側面もあると思うんです。基本的に今季のガンバはチームとして空中戦を得意とするタイプではなく、空中戦に抜群の強さを誇る三浦弦太もいない。試合終了間際の単なるヤケクソパワープレーならやりようもあるのでしょうが、磐田の場合はパワープレーに適したターゲットが2枚もあり、上質なクロッサーもいる訳で、パワープレーが強さを誇れる条件を満たせているチームなんですよね。そこに放り込まれ続けた時に失敗したクロスボールですらボディーブローみたいになってしまう訳です。そこでクリアボールを収められるジェバリ、そこに対してフォローに走れる美藤の投入は4点目がなく3-3で終わったとしても適切な手当てではあったと思いますが、物理攻撃に耐えるにもやはり限界はある。そこでどうやってゲームをクローズさせていくか…というところは悩みどころではありますね。

 

 

 

ただそれでも、今日のガンバの「技術」と「判断」の研ぎ澄まされっぷりとそこの結合は、磐田の強すぎた圧が一瞬緩んだ最後の瞬間…4点目の瞬間にも表れていたように、どの状況でも自分達にとってベストの選択がどれかを選ぶ判断力を持ってプレーできましたし、その選択を実行に移すだけの技術を持っていた。思考力と表現力…その2つがしっかり合わさった状況でプレーし続けられた、それも普通ならもう全てがどうでもよくなってしまうほどの状況に迫られた3-3の後でさえ。ある意味では磐田からすればどこまでも冷酷なほどのムーブを起こせていた。そこがこの日の素晴らしいポイントでしたね。

さあ、天皇杯決勝です!「復活のガンバ」……2024年にそのフレーズを付けるのに、これほどふさわしい舞台はありません。2020年にあと一歩叶わなかったあの夢を、2015年から途絶えていたあの夢を。天敵を斬って国立競技場の空に、宮本恒靖から受け取る天皇杯宇佐美貴史が掲げるその姿も。妄想のように出来すぎたその姿はすぐそこまで近付いています。

 

 

さあ国立だ!

ではでは(´∀`)