さてさて、遂に2024明治安田J1リーグが閉幕しました。
特例的な措置だった2021年を除けば、J1が初めて20チーム38試合制のリーグを戦う事になった今シーズン。アジアカップから始まり、パリオリンピックを経て、長い日常のサバイバルはここに決着しました。当サイトではここから2024年のJリーグの閉幕企画を更新していく所存です。
という訳で今回は毎年恒例企画、J1全20クラブの満足考査です!
毎年恒例ですね。
例えば、ひとえに「5位」と言っても、それが「優勝を目指したクラブの5位」なのか「降格候補と目されていたクラブの5位」なのかによって、その5位の意味は大きく変わってくる訳です。という訳で、この満足度考査ではそのクラブの戦力や開幕前の期待値・目標を踏まえた上で、各クラブの満足度を【大満足】【満足】【普通】【不満】【超不満】の5段階で考えていこうや…と。
あくまで完全に独断と偏見ですので、実際に当該クラブのファンである方からすれば「??」と思う部分もありますが、その辺は他クラブのファンからはそう見えてるのね、くらいの感覚で思ってもらえれば幸いです。
今回がオーラス。降格クラブを含む下位チームです。
【スタメン表の表記】
★→2024年度の新加入選手(ルーキー含む)
□→レンタルバック選手
☆→途中加入選手
▼→途中退団選手
Par4→新潟・柏・磐田・札幌・鳥栖
【オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。】
↓
16位 アルビレックス新潟
勝点42:21勝9分8敗・得点61 失点36 得失点差+35
ルヴァン杯:準優勝
天皇杯:3回戦敗退
監督:松橋力蔵(3年目)[来季:退任決定→上野優作?(リストアップ)]
チーム得点王:谷口海斗(10得点)
胸スポンサー:亀田製菓(製菓メーカー)
ホームスタジアム:デンカビッグスワンスタジアム(新潟県新潟市)
満足度→普通
昨季は残留争いに絡む事なくシーズンを終えられたとはいえ、言っても現実的に新潟の目標はまず残留を確保する事だったと思いますし、その上で今季はカップ戦ファイナルという結果も備わった訳ですから、トータル的には及第点くらいのシーズンではあったんじゃないかなと思います。
新潟の場合、既に来季に向けても苦しい移籍市場の立ち上がりとなっているだけに不安にはなりますが……アルベル監督→松橋監督の流れでプレーモデルをしっかりと確立した事で、逆に誰が抜けたならどういう選手を獲ればいいのかみたいな部分の整理もすごくしやすい、そういう土壌を作れたことが今の新潟の特徴だと思うんですよね。今季で言えば小野や宮本がそうでしょうし、圧倒的に点を取れる選手はいなくともそこそこ点を取れる選手を数枚揃えたことも特色でしょう。ただ、新潟にとって計算外の展開になった時、或いはスタイルの噛み合わせが悪い相手と戦った時の脆さが今季は顕著でした。チームとして攻撃の手数は作れたけれど、守備もベースとするものは悪くないけれど、そのベースと違うものをぶつけられた時の対処は大きな課題なんだろうなと思います。
17位 柏レイソル
勝点41:9勝14分15敗・得点39 失点51 得失点差-12
天皇杯:ラウンド16敗退
監督:井原正巳(2年目)[来季:退任決定→リカルド・ロドリゲス(就任決定)]
チーム得点王:木下康介(10得点)
胸スポンサー:日立製作所(電気機器メーカー)
ホームスタジアム:三協フロンテア柏スタジアム(千葉県柏市)
満足度→不満
個人的には、今季柏がやっていたサッカーってそこまで悪いものではなかったと思うんです。井原監督体制での柏は中盤でのプレッシングに於ける、強度の出力の出し方が上手いチームだと思っていましたし、それをそのままカウンターに繋げられるサヴィオという異能がいて、フィニッシュに持ち込める細谷や木下のような選手もいた。守備陣のタレントも含めて、そういう意味では意外と理に適ったメンバーが揃っていたとは思いますし、順位ほど悪いチームでもなかったような印象はあるんですよね。
逆に言えば、だからこそこの順位になってしまったのはどうして?みたいなところを突き詰める必要が彼らにはあると。結局のところ、そのサッカーを90分やり続ける事がチームとして困難だった結果が終盤の5戦連続アディショナルタイム被弾に繋がり、そしてそれ以外の戦い方がほぼ出来なかったので、スタイルの噛み合わせが悪い相手からほぼ勝点を取れなかった。器用そうな選手は揃えている割には不器用的になってしまった印象は拭えないですし、試合の中での瞬間最大風速をキープできた時間がそのまま勝点に繋がるような状態だったのは悩みどころでしょう。
来季の監督の人選を見ると、まあスタイルは大きく変貌を遂げる形になるはず。それがどういう道筋を辿るのか注目です。
18位 ジュビロ磐田
勝点38:10勝8分20敗・得点47 失点68 得失点差-21
ルヴァン杯:2回戦敗退
天皇杯:2回戦敗退
監督:横内昭展(2年目)[来季:退任決定→ジョン・ハッチンソン?(就任濃厚)]
チーム得点王:ジャーメイン良(19得点)
胸スポンサー:ヤマハ発動機(輸送用機器メーカー)
ホームスタジアム:ヤマハスタジアム(静岡県磐田市)、静岡スタジアムエコパ(静岡県袋井市)
満足度→不満
やっぱり去年が補強禁止という状況の中、図らずして副産物として既存戦略の底上げという効果と共にJ1昇格を果たす事が出来た…と。その上で今年は、昨年に補強をしていない事から予算を今年に回せた事もそうでしょうし、磐田の場合は2022年に既存戦力ベースで降格した過去もあったので、より去年底上げした土台に上乗せしていきたい…みたいな意図はあったと思います。
降格という結果に陥った訳で当然なんですけど悩ましいシーズンではありましたね。19得点を叩き出したジャーメイン良を筆頭に個々では良いインパクトや高いパフォーマンスを残した選手は少なくなかったですし、ハードワークを根底に置きながら最後は少々無理矢理な形でも得点機会を作れる武器を持っていた磐田は、例えば残留した京都や湘南と比べるとずっと勝てない期間はそんなに多くなかった。試合ごとのゲームプラン的はそれなりに組めていたと思うんですけど、強度とパワーを押し出した結果として散発的になってしまった、J1クラブを相手にした時に今年の磐田は単調になってしまった事が、大型連敗にはそんなに至らないけど一つの勝ちから流れを作り出せる訳でもないという難しい状態になってしまったのかなと。
磐田ってこれで2021年から5シーズン連続で違うカテゴリーで戦うんですよね。これが例えばもっと小規模な新興クラブであれば落ちてもすぐにJ1に上がれていることを評価するべきなんでしょうけど、さすがに磐田をその評価軸で測るわけにもいかないですし…。
19位 北海道コンサドーレ札幌
勝点38:9勝10分19敗・得点43 失点66 得失点差-23
ルヴァン杯:ベスト8
天皇杯:ラウンド16敗退
監督:ミハイロ・ペトロヴィッチ(7年目)[来季:退任決定→岩政大樹(就任決定)]
胸スポンサー:石屋製菓(製菓メーカー)
ホームスタジアム:札幌ドーム(北海道札幌市)
満足度→大不満
よく粘ったと思います。夏以降の戦いぶりは17位以上に入っていてもおかしくない、それに値する戦いぶりを見せていたと思いますが…8連敗を含む3度の6戦以上の未勝利を取り戻すにはあまりに遅すぎた。一時期は近いところにいた京都や湘南と比較すると、その印象はやっぱり拭えないです。
今季はやっぱり核となるような選手が数人抜かれてしまい、そのポジションに対する穴埋め補強の動きが迅速だったのは良かったんですが、鈴木と髙尾は状態が後半戦まで上がらず、近藤も前半戦は欠場も多かった。それをこれまでのツケと表現する事もできるんでしょうが、札幌は元々長所と短所をトレードオフにしたようなチームだっただけに一つの穴と一つの綻びが時間経過と共に大きくなってしまった印象です。サンガファンの立場で京都と比較すると嫌味っぽく聞こえてしまう気もするので申し訳ないんですが……5〜6月頃まで同じ位置にいた両チームですけど、京都はなんやかんやで穴と綻びを縫い合わせる作業は既存戦力でやり切ったと思うんです。少なくとも既存のチームで補修まではやり切った上でエリアスを上乗せできた。ただ札幌の場合はその補修作業を夏補強組の大﨑に完全に任せる形になってしまった。それをやり切った大﨑は凄かったんですが、スポンジの上にどうにか生クリームを塗るところまではやってエリアスをイチゴにできた京都及び元々生クリームまでは塗れていた湘南と、夏補強で生クリームを塗ってそこからイチゴを探した札幌の差はある種、リスタートの遅れみたいなところにあったのかなと…。
あと、便宜上札幌の項に書きますが……これは札幌というよりは残留争い全体の傾向に関する個人的な考察として一つ思うところがあって。
開幕前の時点で、私としては「札幌は残留争いはするけど残る」と予想していたんです。というのも、個人的に残留争いは「守備はそこそこ出来るけど絶望的に点が取れない」か「そこそこ点は取れるけど守備崩壊を起こしている」の二択なら後者の方が残りやすいと思っていて。理由はいくつかありますが、めちゃくちゃざっくり言うと結局のところ…残留争いを強いられているチームって堅守を売りにしても無失点ってやっぱり難しいんですよ。そしてそういうチームが0-1になった時に逆転できるか、追いつけるかというところはそれよりも遥かに難しい。点が取れるチームなら0-1になっても打ち合いに持ち込めたりしますが、ある程度守れるけど全く点が取れないチームは0-1になった時点で勝ち筋がほぼ無くなるんですよね。そもそも戦術と組織である程度カバーできる可能性がある守備に対して攻撃はクラブの体力に依るところもあるので、相対的に残留を争うようなチームにとって守備より攻撃の方がハードルが高い。そこで少なくとも得点力はある程度期待できる札幌は、残留争いのライバルになり得るチームと比べた時に他のチームに無い武器を持っている、そこが札幌の美点になると予想していたんです。こう聞くと単純すぎることを言っているようですが、1つの座を巡る優勝争いと違って残留争いの椅子は17つあり、要は上一つではなく下三つを避ける戦いなので、美点が一つでも武器になる…と。
ただ、これ結構過去と比較してもレアケースだと思うんですけど…今年の残留争いってほとんどのチームがFWに困らなかった、ほとんどのチームがある程度得点取れていたんですよね。京都や湘南が一番わかりやすい例ですが、柏や新潟、降格した磐田に鳥栖もそうでした。それゆえに、むしろ優勝争い以上に残留争いの方が「ある程度得点を取れることを前提とした争い」になった事で得点を取れていた選手がマルセロ・ヒアンの負傷離脱を含めてことごとくいなくなった鳥栖から真っ先に脱落し、得点は期待できるというこれまでのシーズンなら稀有な特徴を持っていた札幌の立場が特別なものではなくなってしまった。ここは今季の残留争い全体の傾向として興味深いポイントだったなと思います。
20位 サガン鳥栖
勝点35:10勝5分23敗・得点48 失点68 得失点差-20
ルヴァン杯:3回戦敗退
天皇杯:ラウンド16敗退
監督:川井健太(3年目)→木谷公亮(第26節〜)[来季:退任決定→小菊昭雄(就任決定)]
チーム得点王:マルセロ・ヒアン(14得点)
胸スポンサー:木村情報技術(情報通信業)
満足度→不満
終わってみれば自然な運命ではあったと思います。
近年の鳥栖の躍進の印象っておそらく2021年の金明輝体制以降の3シーズンだと思うんですが、そこからの3シーズン…特に2021年と2022年が典型ですが、基本的に鳥栖は残留争いに於いては先行逃げ切り型…もっと言えば前半戦は見応えのある戦術的なサッカーで敵チームを混乱させて勝点を積み上げる。後半戦は研究・対策されて勝点が伸びなくなるけれど、前半戦の貯金で残留争いに絡まず乗り切る…という部分が大きかったと思います。で、これまでのシーズンの鳥栖って毎年のようにめちゃくちゃ選手が抜かれていった訳ですけど、今季は例年と比べると明らかに少なかったんですよ。レギュラークラスで引き抜かれた選手って岩崎と小野くらいじゃないかと。抜ける主力が2人というのはそりゃ痛いですけど、これまでの鳥栖と比較しても常識的な数ですし。ただこれまでの鳥栖ってある意味、マンネリと対策が確立された状態でシーズンが終えて、選手流出が望まず事であったとしても、結果的に「キャスティングを大きく入れ替わる事でマンネリを解消しつつ確立された鳥栖対策を掻い潜る」みたいな効果があったように感じていて。図らずとも鳥栖は流出を前提にしたルーティーンになっていたんじゃないかと。
そういう意味では、対策されたままの状態で新シーズンに入ってしまったところはあったんじゃないかなと…。そういう悪循環に入ったシーズン途中に核を一気に抜かれるのは、もうちょっと考えられる最悪の展開としか言いようがなかった…。
Par4→新潟・柏・磐田・札幌・鳥栖
ではでは(´∀`)