RK-3はきだめスタジオブログ

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基点回帰〜2025明治安田J1リーグ第2節 京都サンガFC vs 浦和レッズ マッチレビュー&試合考察〜

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外はYUKI

 

どーもこんばんは

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第2節、京都サンガFC vs 浦和レッズの一戦です!

 

Jリーグをもっと楽しめる(かもしれない)、2025Jリーグ開幕ガイド作りました!是非お使いくださいませ!

 

J1戦力診断シリーズ

Part1→鹿島、浦和、柏、FC東京

Part2→東京V、町田、川崎F、横浜FM

Part3→横浜FC、湘南、新潟、清水

Part4→名古屋、京都、G大阪、C大阪

Part5→神戸、岡山、広島、福岡

 

J1順位予想はこちらから

J2順位予想はこちらから

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オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ!

 

 

 

2022年2月19日、12年前に浦和レッズによって止められたJ1での針が再び動き出したのは、このサンガスタジアムでピーター・ウタカのゴールで浦和を撃破したその瞬間でした。

長く続いたJ2生活で蝕まれた鬱屈とした不安が解き放たれる…その感覚はまさしくBreakthrough。あの日のスタジアムにはまさにそれがあったと思います。

 

 

あの日から3年の月日が経ちました。

去った英雄もいれば、新たな救世主も降り立った。別れを選んだ象徴もいれば、日本代表入りも果たした新たなシンボルが君臨しようとしている……いくつかの出会いと別れを繰り返して2025年、クラブ創立30周年を迎えた京都サンガFCは、その歴史の中で誰も知らない4年目のJ1を迎えます。

このクラブの歴史の転換点はいつも浦和レッズだったような気がします。このクラブが「J1で粘っているJ2クラブ」ではなく「京都ってJ1のクラブだよね」と言われるような、無意識に思わせるような……まだ見ぬ景色をいつか見た景色に帰る為の旅の途に立ち、歴史が知らない冒険に連れて行ってくれる、そんなシーズンへの夢を抱かせるようなフットボールを、そんなゲームを期待しています。さぁ、ホーム開幕戦です!

両チームスタメンです。

 

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サンガは0-2で完敗した開幕戦の岡山戦からはスタメンを2人変更。浦和からレンタル中の宮本優太が契約で出場できないので右SBには鹿島から獲得した須貝英大が入り、アンカーはジョアン・ペドロから福岡慎平に変更。中盤から前は好調に転じた昨季終盤と同じ形になりました。リザーブには初めてサンガスタジアムのピッチを踏む奥川雅也、そして昨年6月の大怪我から帰ってきた麻田将吾が復帰しました! ク・ソンユンと福田心之助は開幕戦に続いて今日もベンチ外となっており、エントリーメンバー20人は宮本と麻田を入れ替えたのみとなっています。

対する浦和は前年度王者と引き分けた開幕戦の神戸戦からスタメンの変更はありません。2列目は金子拓郎、松本泰志、サンガの天敵マテウス・サヴィオの新加入トリオが顔を揃え、左SBには海外から復帰した元サンガの荻原拓也が先発。リザーブも神戸戦からは石原広教を外して松尾佑介を入れた以外の変更はなく、元サンガの井上黎生人も名を連ねています。

 

 

 

本日の会場はサンガスタジアム by KYOCERAです。

雪が降り頻る中での一戦となりました。今季からは亀岡市を挙げてサンガ応援幟を掲示した他、場内のタペストリーから場内ビジョンによる映像演出にも新たな取り組みと工夫を加えています。また、スタジアム東広場には西京極陸上競技場時代の「サンガフレンズスクエア」を継承するエリアとして新たに「フレンズ広場」がオープンしました。

また、この浦和戦で14718人の観客を集めた事によりクラブ通算来場者数が450万人を突破しています。

 

 

本日は現地観戦です!スポーツ観戦日記はまた。いやー、寒かった…。

 

 

 

 

立ち上がりから出足が明確に良かったのはサンガの方でした。ファーストシュートこそ1分も経たないうちに松本に放たれるも、一度ロングボールで敵陣内でのコンパクトな陣形を作れば、そこからはボールホルダーへのコースを消しながらのプレス、そこに対して別の選手が第2、第3のコースをケアしていく、3トップを中心とした良いプレスの連動を展開し、早い時間でサンガが浦和陣内でプレーできる状況を作り上げます。

開始早々にはエリアスがニアで平戸太貴の左CKを頭で合わせますがGK西川周作が好セーブ。

 

 

 

浦和は早い時間にボランチ起用されている渡邊凌磨が負傷退場するアクシデントが発生し、タイプの異なるグスタフソンとの交代でプラン変更を余儀なくされた部分はありましたが、14分には平戸のクロスにマルコ・トゥーリオ、27分にはエリアスのパスに原大智が反応して好機を迎えるなど、サンガがやりたいリズムとテンポの中で主導権を握っていきます。

一方の浦和はハイプレスのサンガの背後を狙おうとロングボールを多用するようになりますが、浅いボールに対してはウィリアムがしっかりと弾き、深いボールに対しては鈴木義宜がカバー。とは言っても金子とサヴィオの圧倒的な個人能力を前にぶっちぎられる場面は何度か作られましたが、30分のCKからの金子の決定的なシーンはカバーに入ったエリアスがブロックして失点回避。

 

 

 

そして前半アディショナルタイムでした。自陣からのFKをウィリアムが蹴り込むと、原が落としたボールを拾ったエリアスが平戸に繋いで絶妙なクロス。これをファーサイドトゥーリオが頭で合わせて先制…かと思われましたが、競り合いの過程で荻原を押した事がファウルと判定されゴールは取り消しに。

直後にはトゥーリオの突破から平戸を介して原がシュートに持ち込むも、シュートはあまりヒットせずに前半終了。押し込みながらも0-0で前半を終えます。

 

 

後半も立て続けにエリアス、平戸がシュートシーンを作るなどプレスで押し込んだところから福岡と平戸で収めどころを作る戦い方で優勢に試合を進めたサンガと、ロングカウンターから両サイドの個人能力を発揮していく浦和の攻防は前半と同じような形で継続されていきました。

後半開始から降り注いだ雪が止み始めた60分、右サイドでトゥーリオを軸にウィリアム、須貝を絡めたパスワークを見せると、中央に入ってトゥーリオのパスを受けた福岡が絶妙なクロス。ホイブラーテンの頭を通り越えたボールは紫の救世主、エリアスの頭にヒットしてサンガ先制点!!サンガ史上最高のエースストライカーになり得る可能性を秘めた男の一発がサンガの2025年をこじ開けて1-0!

 

 

スコアが動いた直後に松本を下げて原口元気を投入した浦和は、直後にチアゴサンタナポストプレーから右サイドを突破したサヴィオの鋭いクロスに原口が飛び込む決定機を迎えますが、この場面はJ1で初の開幕レギュラーを掴んだGK太田岳志が好セーブで阻止。しかしサンガと少し前半から後半頭のペースを維持できなくなると、原口を潤滑油にサンタナという起点に繋ぐやり方が回り始めた浦和のサイドからの圧力が強くなり始めていく形に。

その結果、73分には浦和陣内でうまくボールを収められなくなったところを回収したトゥーリオのバックパスがウィリアムを通り越してサンタナへのスルーパスのような形になってしまい、サンタナは飛び出したGK太田をかわして冷静にゴールイン。サンガは勿体無い形でリードを吐き出す格好に。

 

 

同点になった直後にサンガは川﨑颯太とエリアスを下げて米本拓司とサンガスタジアムデビューとなる奥川を投入。81分には平戸を下げてアピアタウィア久を投入し、システムを3-4-2-1に変更して陣形を変えることで試合をオープンな展開に持ち込もうと試みます。浦和もその辺りのタイミングで金子とサンタナを下げて松尾佑介と長倉幹樹を投入し、ある意味ではサンガの土壌に浦和も乗っかるような形に。

終盤には原とトゥーリオを下げて長沢と中野を送り込むと、86分には福岡のFKに長沢が合わせるも枠外。88分にはカウンターから福岡のスルーパスに奥川がシュートまで持ち込むもGK西川がシャットアウト。そのこぼれ球を福岡が執拗なプレスでマイボールのスローインにしたところから左サイドでパスワークを展開し、最後は福岡のクロスに長沢が地面に叩きつける完璧なヘッドで合わせるも…これまた西川が見せたスーパーセーブの前に勝ち越し点を奪えず。

 

 

 

長沢のシュートで得たCKをアピアタウィアがモノにしきれなかったサンガはそこから浦和の猛攻を浴びる場面も出てきましたが、3-4-2-1への変更もあり中央を固めていた事でなんとか弾き返して対応。ラストプレーで荻原に放たれたシュートはGK太田が防ぎ、こぼれ球を繋がれてサヴィオが入れたクロスに合わせたグスタフソンのシュートが枠を逸れたところで試合終了。

失意の開幕戦から一転、熱気あふれるスリリングなゲームを見せたサンガでしたが、それゆえに悔やまれるドローという結果になりました。

 

 

 

「良いゲームだった」「岡山戦の惨劇があったから相対的によく見える」といった2つの論の対立はSNSでも見受けられますが、個人的には純粋に良いゲームはやってくれたと思います。だからこそ勝ちたいゲームで勝てたゲーム、勿体無いゲームではありますけど、浦和相手にその次元に持ってきた事は成長と呼ぶべきポイントだとも思いますし。

基本的に、今のサンガの最大公約数と呼べるサッカー、布陣は去年の後半戦の形で一定の完成形は見せている思います。違うことをトライしようとしてハマらなかったのか初手からプランに狂いが生じたのかはともかく、開幕戦はそれとは異なる展開になったのに対し、今日は「良い時(=去年の後半戦)のプレーに戻せた」というのが一番シンプルな感想でしょうか。

 

 

サンガにとって、試合をサンガのペースで進める為の条件は「最終ラインを高い位置にキープした状態を固定させる事」で、そういう状況をどれだけ早く確立できるかが全て…の部分があります。今日はやはり立ち上がりからロングボールを入れつつ、そこに対して3トップが連動してコースを切りながらボールホルダーにアタックしていく連鎖を生む事が出来ていましたし、ハイラインでコンパクトにした事で一つ一つのプレス距離を短縮できるので、インサイドハーフの川﨑や平戸のスペースを埋める動きを含めてを連続的に行う事ができる。そこで今まではショートカウンター一本槍だったところを、平戸とトゥーリオを起用して福岡をアンカーに置いてからはそこからボールを動かして流れを作れるようになった……前線でボールを持って仕切り直せるようになった事は、サンガにとってハーフコートゲームの時間を担保できる事にも繋がる訳ですから、サンガのやりたい事をアシストする効果にも繋がっていると。特に福岡の働きは獅子奮迅でしたし、いざハイプレスを仕掛けた後の攻撃のデザインは組めていたんじゃないでしょうか。

守備に関しても、サンガのハイプレスに関してはむしろ攻撃評価の方で考えるべきとして……岡山戦ではDFラインがぐちゃぐちゃになっていましたが、前述したように今日はウィリアムがハイラインを護持する為に高い位置で跳ね返してサンガのターンを継続させる、鈴木がそれを超えるロングボールを蹴られた時に広範囲をカバーしながら味方がプレスバックする時間を作る…といったように、鈴木を中心にDFラインの闘争を図りながらCBの役割分担ができていました。今日に関してはプレスも無闇にアタックするというより、例えば左サイドのサヴィオに対して右SBの須貝が縦のコースを切り、川﨑がフォローに入ったところでチャレンジしに行くような意識付けは岡山戦は別としても去年より向上していた部分になるのかなと。金子とサヴィオに千切られた部分は責めようがない部分もありますし。

 

 

 

一方で失点シーン…あのシーンに関してはトゥーリオのミスと言えばトゥーリオのミスではあるんですけど、あの場面はウィリアムのミスという側面もあるというか、GK太田の対応を含めて構造上の欠陥と表現した方が正しいような気はします。なので単なるミス…で消化すべき問題という話でもないんですよね。そこを見逃さなかったサンタナが素晴らしかったのはあるとして、ハイライン戦術の弊害みたいな部分はあったなと。

基本的に、サンガがやるビルドアップというのは一般的に定義される「後方から組み立てていく」とは少し感覚が違うと思うんです。いわばハイラインに設定した最終ラインの高さを護持する、いわばこのラインより後ろにはボールも人も入れない為に、最終ラインを固定する為のビルドアップみたいな要素がある。ビルドアップの目的が一般的な定義とは異なるんですよね。なのであの失点シーンを含めて「サンガがビルドアップでGKを使おうとしないのはなぜ?」というコメントは少なからず見受けられましたが、それは前述したようにビルドアップの目的が「後方からの組み立て」ではなく「最終ラインの護持」にあるので、GKに戻してしまうと当然DFの選手も太田からのパスコースを確保する為に下がらないといけないので、必然的にライン設定には少しの変更が生じる事になる訳です。

それを踏まえた上で失点シーンを振り返ると、トゥーリオがボールをキープした時に本来ならウィリアムはトゥーリオからのパスを受ける為に後ろに引いて角度とコースを作るべきなんですけど、おそらくウィリアムは監督の指示でもある「ハイラインを護持すること」に意識が行っていてそれが最優先になってしまったんじゃないかと思います。一方、トゥーリオはサンガのサッカーにも慣れてきたので、そのくらいのアドリブは対応しているものとしてバックパスを出した。ウィリアムの位置を確認できていなかったという部分はトゥーリオの落ち度ですが、ウィリアムがコースを作らなかった事、優先順位に囚われる形になった事はウィリアムのミスでもあり、チーム構造の弊害でもあったんじゃないかなと。

加えて言うなら、GKの太田にしてもあの状況でバックパスは来ないものとして動いている中で、サンタナへのスルーパスのような形になってしまった時の対応が中途半端になってしまった部分はあります。サンガほど極端なハイラインを敷くと、そのハイラインの裏に出た時の対応ってすごく難しいんですよ。思い切って飛び出して、ハイラインの裏のスペースを広範囲でカバーできるという点では上福元直人がべらぼうに上手かった。逆にク・ソンユンはそこまで広範囲的なカバーが出来る訳じゃない事を自覚しているのか、去年の鳥栖戦みたいな事にならない限りは開き直って構えて対応する事を選んでいるんですよね。あのイレギュラーな状況で太田を責められないのは前提ですが、サンガの戦術とこの状況に対峙した上での太田の対応は少しどっちつかずになってしまったのかなと。

もちろん大前提として…どこかに注力すればどこかが薄くなるというのはどんな監督がどんなサッカーをやろうがどこかで避けられない事だと思うので、サンガの構造や戦術が悪いのではなくサッカーでは起こり得るものとして考える必要はある。それだけに起こり得るエラーをどうケアするのか…はチームとして考える必要があると思います。

 

 

 

原点回帰と言えば少し違う気もするんですが、この日のサンガは岡山戦で手放したように見えた「本来の持ち味」「本来の良さ」が発揮され、それを発揮できるようなフィールドに浦和を引き摺り込んだゲームでした。いわば曺貴裁京都にとっては勝ちパターンと言える展開だったんですよね。その意味で言えば、昨季の良かった形をしっかりと取り戻した事はポジティブな要素として、サンガの得意なフィールドに持ち込める相手か、試合かに左右されるサンガが持ち込めたゲームで勝点2を取り逃がしたという事は結構痛い。

浦和側に「勝点1を拾えた試合」というコメントがあったようなゲームを落とした事実には向き合いつつ、去年の後半戦の形を維持し、そこに正しく積み上げていく事はやっぱり大事で、そういう意味では後半に看板3トップをそのまま入れ替える形で投入した長沢、中野、奥川の1トップ2シャドーが良い動きを見せた事、サンガの強度が落ちたタイミングでシステムを変えてスペースと走力を別角度で担保したシフトチェンジというカードを作った事は良かったと思います。今日の試合は到達点ではなく今日のパフォーマンスが「サンガとして今日のパフォーマンスは基準としてやらなければならないもの」と捉えられるようになれば未来は明るいし、逆に今日のパフォーマンスが出来過ぎなるものなら落とした勝点2が響く展開になってしまう。そこを超えられるかどうかが、サンガがこれまでの立場から一段階上に行く事になるでしょう。いずれにしても、現地で観た者としてはスリリングで面白いゲームでした。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

2025明治安田J1リーグ第2節

柏レイソル1-1川崎フロンターレ

横浜FC1-0ファジアーノ岡山

清水エスパルス2-0アルビレックス新潟

名古屋グランパス2-2ヴィッセル神戸

京都サンガFC1-1浦和レッズ

鹿島アントラーズ4-0東京ヴェルディ

FC東京0-1FC町田ゼルビア

ガンバ大阪2-1アビスパ福岡

セレッソ大阪1-2湘南ベルマーレ

サンフレッチェ広島1-0横浜F・マリノス

 

前年の上位3チームは横浜FMとの接戦をジャーメイン良のPKで制した前年2位の広島が開幕2連勝を達成すると、その広島に開幕戦で敗れた前年3位の町田はFC東京との東京ダービーを西村拓真の移籍の初ゴールで勝利。一方、前年王者の神戸は大迫勇也の2ゴールで逆転しながらも終盤に追いつかれて2戦連続ドローとなっています。

開幕戦では昇格組対決となった横浜FCと岡山の試合を櫻川ソロモンのゴールで制した横浜FCが今季初勝利。そして清水は前半で数的優位を手にしたことも追い風になって新潟を下して2連勝。開幕戦を制したチーム同士の対決となったC大阪と湘南の試合は湘南が制した事で、開幕2連勝のチームは広島、清水、湘南の3チームとなりました。また、今節では横浜FC、鹿島、町田、G大阪が初勝利を飾った一方、東京Vと福岡の2チームは開幕2連敗となっています。

 

 

吹雪いてたぞまじで

ではでは(´∀`)