RK-3はきだめスタジオブログ

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固めてズラして差し込んで 〜2025明治安田J1リーグ第15節 浦和レッズ vs ガンバ大阪 マッチレビュー&試合考察〜

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みなさんはナショナル家電残ってますか…?

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第15節、浦和レッズ vsガンバ大阪の一戦です!

 

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不穏なシーズンスタートは道筋への不安を煽り、掴んだきっかけは両手の隙間からすり抜けていった。その割には何度かきっかけとなる場面は訪れ、そして今日に至る………安定していないと言うべきか、浮き沈みが激しいと言うべきか、きっかけを上昇気流に乗せ切れないと言うべきか。その戦いはどことなく掴みどころのない道のりとなっています。

きっかけはそう何度もやってきません。例えば監督が解任になった時が顕著であるように、低迷したチームにはよく「きっかけを掴めなかった」という文言が用いられがちですが、本当にまったくきっかけを掴めなかったチーム、シーズンは実はそう多くない。ほとんどのチームは掴んだきっかけを上昇気流に乗せられないまま低空飛行を強いられていく…。要はきっかけという火種が燃え広がらずに終わりがち、という事。ガンバは、今季、少なくともそのきっかけになり得る勝利は2度あって、その2回とも活かしたとは言えないでしょう。一方、スタートダッシュに失敗した浦和はそれを活かして上位戦線に立ち戻っている。それでもガンバは京都戦の勝利を皮切りに湘南戦で見せたパフォーマンスで、再びきっかけを気流に乗せるチャンスを得ました。

この舞台はナショナルダービー。かつてそう言われた組み合わせです。それに足る時代は歴史の中の一部であったとしても、そんな時期があった事だけでも思い出となり、伝統となる。理屈と理論よりも奥底にある本能を引き摺り出すような熱湯と熱情に期待したいところです。

両チームスタメンです。

 

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ガンバは前節湘南戦からの先発変更は2人。湘南戦は両WGに岸本武流とファン・アラーノを起用しましたが今日は山下諒也と食野亮太郎をスタメンに復帰させており、スタメンとしては2試合前の第13節京都戦と同じ11人という事になりました。ベンチメンバーは1人のみ入れ替えており、唐山翔自から名和田我空を登録しています。

5連勝中の浦和は前節東京V戦からのメンバー変更はなし。ベンチ入りメンバーは二田理央を大久保智明に入れ替えています。浦和は5連勝の始まりとなった第10節町田戦以降は、前節東京V戦よりボランチの一角がサミュエル・グスタフソンから松本泰志に代わった以外は同じ先発で固定しています。

 

 

 

本日の会場は埼玉県さいたま市埼玉スタジアム2002です。

浦和はクラブW杯に伴う日程変更も重なった事で、4月16日の京都戦から埼スタ5連戦としてホームでの連戦が続いており4戦4勝。その最終戦がこのガンバ戦という事になります。気が付けば埼スタは開場24年目。日本最大のスタジアムが刻んだ歴史にも四半世紀が経とうとしています。

やはりナショナルダービーの舞台としても真っ先に思い浮かぶ舞台は埼スタでしょう。心無しか、ガンバが勝つにしても浦和が勝つにしてもアイコニックな勝利は当時の万博記念競技場よりもこの埼スタの方が多かった気がします。この場所で培った歴史、この場所に刻んだ記憶、この場所で育んだ思い出……今日というが、その歴史の新たな"アイコニック"となるように!

 

 

 

浦和は開始早々にアクシデント。開始9分の時点で絶対的守護神である西川周作接触のないところで負傷となり、牲川歩見との緊急交代を余儀なくされます。

とはいえ、序盤は大きなアクシデントが起こる中でも両チームともに落ち着いた立ち上がりとなりました。基本的には両チームとも堅実な4-4-2ブロックを築きながら果敢にプレスをかけるというよりは自陣をしっかり固める形で対応。その中でもサイドをそのまま抜こうとする浦和と早い段階で中央に差し込もうとするガンバというアプローチの違いはありましたが、試合のテンションとしては両者とも似たような形の時間が続き、拮抗しているがゆえに両者がチャンスを作れないというよりも与えない時間が続いていきます。

 

 

 

最初の決定機はガンバでした。35分、右サイドの深い位置でルーズボールをマイボールに変えた山下諒也が右サイドを抉ってマイナスに折り返し。走り込んだ食野亮太郎がダイレクトでシュートを放ちますが、この場面はカバーに入った石原広教のブロックにより阻まれます。40分にも同様に右サイドで鈴木徳真が引っ掛けてグラウンダーのボールを入れると、一度は相手にクリアされたボールに反応した満田誠がシュートを放ちましたが…今度はGK牲川がファインセーブ。

浦和もこの時間帯辺りからはサイドの早い位置からWGが対面の相手を引き連れるようにカットインを狙うようになってきましたが、ガンバも浦和のそういうアクションに対してもポジションを上手く保ちながら守備対応をこなしてきました。40分にはショーのコーナーを受けた渡邊凌磨のクロスにダニーロ・ボザが飛び込みますがシュートは枠外。

 

 

 

お互いに睨み合うような、お互いに組み合って噛み合って崩れなかったような前半。どっちが先に音を上げるかのような試合展開の中で緊張を保ったまま前半終了。0-0のまま後半に向かいます。

 

 

 

後半は開始2分足らずでマテウス・サヴィオと山下がそれぞれ決定機を迎えましたが、前者は枠外、後者は再び牲川のファインセーブでゴールならず。

しかし53分でした。インサイドに裏抜けを見せた宇佐美の動きを見逃さなかった福岡将太がロングフィードを放り込むと、これを収めた宇佐美が落として左サイドでボールを持った食野。ガンバの左サイドに浦和守備陣を寄せると、フォローに入った黒川ではなくファーサイドへ柔らかいクロスを選択した食野のボールに走り込んだ山下がGKの逆を突くヘッドを流し込んで先制点!!隙の少ない試合で隙を抉った宇佐美と福岡の機転から、ここに至るまでに決定機を逃してしまっていた食野と山下が創造したゴールで遂にスコアが動きます!

 

 

62分には左サイドでボールを持った宇佐美の巧みなボールタッチから鈴木とのワンツー。これを受けた食野が食野らしい強引な突破からシュートに持ち込むもシュートは相手がブロック。そのプレーで得たCKもこぼれ球を鈴木が抑えの効いたミドルを放ちますが、ここも浦和守備陣にブロックされて追加点は奪えず。しかし何度か浦和の鋭さにピンチに陥る場面はありながらも、後半のガンバは浦和を押し込みながら高い位置で創造性を発揮してチャンスを創る場面が増えていました。

浦和の決定機は68分でした。直前に関根貴大、荻原拓也中島翔哉を3枚同時に送り込んでいた浦和はサヴィオのスルーパスにポケットを抉った中島の折り返しに走り込んだ関根が合わせますが、シュートはどうにか枠外に逸れて失点を回避。

 

 

 

ガンバは74分に食野と黒川を下げて岸本武流と久々の出場となる江川湧清を投入。岸本は右で入れて山下を左にスライドし、80分には満田を下げて倉田秋を送り込んで中盤での強度を維持しようと試みます。81分にはセットプレーの流れから山下のクロスに中谷進之介が頭で合わせますが、ガンバは追加点が取れそうで取れない時間が続いています。

その後は79分に石原を下げて髙橋利樹の投入で2トップに変更した浦和に対し、ガンバも山下と宇佐美を下げて中野伸哉と南野遥海を投入。守備固めをしつつカウンターのポイントを残す形で試合終盤へ。

 

 

 

終盤は浦和のクロス攻勢にヒヤッとする場面こそありましたが、自陣でしっかりと跳ね返しながら耐え忍んで試合終了!ガンバがこれで3連勝!浦和の6連勝と、そしてスコルジャ監督に対する連敗を5で止めました!

 

 

 

素晴らしいゲームでしたね。実にプロフェッショナルの矜持を見せるゲームだったと言いましょうか。

この試合はガンバも浦和も、お互いにチームとしての土台をしっかりと持った上でプレーできていました。両者共に守備時は4-4-2ブロックを強固に保ち続けると同時に、押し込まれた時は割り切って引いて守る、比較的高い位置での非保持になればコンパクトな陣形を保つ…といった具合に。そういう守備の土台をお互いに担保した上で、両者とも攻め急がずに機を伺うプレーを続けていた事で、いわば「チャンスが作れない」というより「チャンスが起こる機会を与えない」という状況になっていました。イタリアでしたかね…「お互いが完璧な試合をすればスコアは0-0で終わる」みたいな言葉が外国にあったと思うんですけど、今日はそれに近い状態の試合だったんじゃないかと。

 

 

その中で攻撃に関しては両チームともに「隙を見せたら負け」という状況の中で、ややサイドを突破する事を選んでいた浦和に対し、序盤から中にどうやって差し込むか、中とサイドの出し入れを上手くやれるかどうかのデザインのところでガンバの方が良いものを出せていたと思います。前半から半田が右サイドでボールを持てば食野が中へのアクションを起こし、逆にヒュメットがよりニアへ、宇佐美が半田のフォローか食野と入れ替わるようにファーへ…という流れを生み出せていた。土台をボランチより後ろにガッチリ固めた中で、前線はボールホルダーに対して近いところにも遠いところにも誰かがいるという状況を試合を通じて作れていました。

その最たる例がまさしく先制点の場面で、あそこは宇佐美が背後へのランで抜け出す事で相手DFに揺さぶりをかけつつ、食野に落とした時にも黒川がアクションを起こし、ヒュメットがニアサイドにいた事で食野→黒川→ヒュメットのラインか宇佐美に戻して作り直すようなパターンを予想される。それでガンバの左サイドに守備陣を寄せてから、最も遠いところにいた山下にクロスを送る……。守備の隙の無さはスコルジャ監督率いる浦和はリーグ屈指ですから、前半の食野と満田、後半の山下の決定機のようにミスを如何に突けるかが焦点だった中で、ミス待ちではなく相手をずらして、近い選手と遠い選手を使い分けた攻撃で制した事はチーム、そして個人個人のクオリティと判断を示した素晴らしいゴールでしたし、そのゴールに繋がるような土台を90分間守り続けた事…ポヤトス監督は試合後に「美しいゲーム」と評しましたが、本当にその言葉に値するだけのナイスゲームでした。

何より大きいのは…今日の先発は京都戦と同じだった訳ですけど、京都戦はオープンなゲームを制しきる形になって、逆に今日の浦和戦はクローズドなゲームで焦れずに戦い抜き、隙を見逃さず、隙を見せず、そして相手の隙を生み出す戦いで勝ち切った。チームとしてどちらの方が良いのか?はともかくとして、ほぼ同じメンバーで2種類の勝ち方が出来た事の意味は大きいです。チームとして、どういうタイプの相手に対してもベースを持ちながら異なるアプローチをできる。これは出場が決まったACL2に於いてもすごく大事な事ではないでしょうか。素晴らしかった。宇佐美誕生日おめでとう!!!!!!!

 

J1第15節分のうれしはずかしじゅんいひょうのコーナーはFC町田ゼルビアvs京都サンガFCのマッチレビューページに記載しています

 

 

万博、三菱行ったのにパナ行けてない

ではでは(´∀`)