RK-3はきだめスタジオブログ

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ゆえに〜2025明治安田J1リーグ第21節 柏レイソル vs 京都サンガFC マッチレビュー&試合考察〜

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今日からB'z UNITEです。

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第21節、柏レイソル vs 京都サンガFCの一戦です!

 

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未来なんて誰にもわかりません。残り18試合、サンガは全勝するかもしれない。或いは全敗するかもしれない。可能性の話の結末は12月になるまでわからない……現時点での歩みがシーズンの総括を保証してくれるものではないですし、ここから後味の悪い成績に陥るチームもいくつもあった。ここまでの道のりにサンガは慢心も満足もしてはいけない。それは確かです。

しかしサンガが暫定ながら首位に立った新潟戦の後、曺監督はこういう言葉を残していました。

 

やっぱりこの時点で首位にいるのは全然満足するものではないし、何か自分たちが達成したことではないですけど、自分たちが歩いてきた道のりは間違ってなかったと肯定できるものであると思うので、そこに甘んじないで、また険しい道を自分たちで進めるように選手と一緒にやっていきたいと思います。

 

ここから先、いつの間にかサンガが中位に落ちてしまう事もあるかもしれません。勝負事は努力だけで夢は叶わない。仮にJ1の20チーム全てが世界最高の20チームで100%のクオリティを出したとしても優勝できるのは1チームだけで、3チームは降格する。相対的な順位づけがされるフィールドの上では、自分達の努力が全てを肯定してくれる訳ではありません。

だからこそ、今この場所にいるという事…少なともそれはこれまでの20試合を、20試合でやってきた自分達の努力を肯定してくれる何よりの証であり、意味がある。その意味を一つずつ食べてクラブは丸く、大きくなっていく。そして「常勝」と呼ばれるようなクラブを作る為には、2025年を天の気まぐれではなく千年の都のような時代の一歩目とするには、肯定された自信と掴んだ意味を結果に変えないといけない。この20試合で掴んだ自信と意味、ここからのサンガはそれを結果に変えていく為の戦いになります。

対戦相手は柏レイソル。今シーズンの前半戦、その旋風を象徴する2チームは多くの人がこの2チームを挙げる事でしょう。サンガにとっての2週目の始まり、いきなり上位を争う6ポイントゲームになりました。夏を迎えようとする頃、このポジションで、このシチュエーションで戦う瞬間がかつてあったでしょうか。サッカークラブにとって、プラスのターニングポイントは誰しもが得られる岐路ではない。この年を思い出ではなく分岐点とする為の冒険の本番はここから先の舞台です。

両チームスタメンです。

 

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前節第20節は浦和戦だったので4月に消化済みだったサンガは天皇杯を含めれば中10日、天皇杯を除けば3週間ぶりのリーグ戦となる中で、前節FC東京戦からはスタメンを3人変更。3トップを平賀大空-長沢駿-ムリロ・コスタから松田天馬-原大智-マルコ・トゥーリオの3トップに変更。松田と川﨑颯太以外は直近の天皇杯奈良戦にも出場しています。負傷離脱が続いていて奈良戦で復帰した原はリーグ戦では第15節町田戦以来、復帰戦の退場処分もあり出場停止も重なったマルコ・トゥーリオは第10節湘南戦以来のスタメン。山田楓喜はまだメンバー入りしていませんが、奈良戦でデビューしたレオ・ゴメスはベンチに名を連ねました。

柏は3-0で勝利した前節東京V戦と全く同じ11名を先発に起用し、ベンチメンバーも前節は野田裕喜だったところを田中隼人に入れ替えた1人のみとなっています。熊坂光希が長期離脱を強いられたボランチのポジションには前節と同じく大卒ルーキーの中川敦瑛を山田雄士と組ませる形で配置しました。小屋松知哉は古巣対決。新加入の小見洋太、馬場晴也、瀬川祐輔は前節同様にベンチスタートです。

 

 

 

本日の会場は千葉県柏市三協フロンテア柏スタジアムです。

Jリーグで唯一、指定管理でも親会社でもなくクラブが直接保有しているスタジアム。Jリーグの舞台では長らくお馴染みのスタジアムですね。今月は 「Jリーグ気候アクション月間」という事でフードドライブやヒノキの間伐採といった催しも開催。また、熱中症対策の一環として来場者にはレモン味のかき氷が配布されます。なお、試合前にはゲストとして柏OBにしてスタッド・ランスに所属する伊東純也と関根大輝が来場。

サンガにとってこのスタジアムは一言では済ませたくないほどに多くの思い出があります。その場所の思い出を塗り替え得るような上位直接対決というシチュエーション。その結末や如何に!

 

 

 

鹿島敗北の報を両チームが受け取って挑む試合は原大智のシュートが号砲を鳴らすかのように幕を開けました。

とはいえ、サンガはファーストプレーでアクションを起こしてからは序盤は柏の猛攻にかなりさらされる形になり、ワイドにWBを張らせながらポケットへの縦への動き、ミドルゾーンでの横へのスライドを組み合わせながら色彩豊かな攻撃を見せてくる柏を前に防戦一方の展開。逆にボールが相手陣内に入った際は、ハイプレスというよりはどちらかといえばコース切りを念頭に置いたプレスを狙っていましたが、ピッチを縦、横に引き延ばすようにポジションを取る柏を前にボールの取りどころをなかなか設定できません。

 

 

 

20分、左サイドで三丸、小屋松、渡井のパス交換から渡井のスルーパスに抜け出した小屋松の鋭いライナー性のクロスに小泉佳穂が合わせて柏先制。柏が猛攻を見せる中でGK太田岳志やDF陣のナイスカバーで耐えていたチームにとってはそれが崩れる形の失点に。

 

 

しかし25分でした。サンガにとっては猛攻の中で失点したことにより飲み込まれてしまいそうな気配があった中で今日初めてくらいの敵陣でボールを握るチャンスを作ると、福田心之助が縦パスをポケットに入ったトゥーリオに当てるとリターンを受けてクロス。原大智の存在自体をフェイントに影から飛び出してきた米本拓司が合わせてサンガ同点!!

 

 

28分にはペナルティエリア内で柏が久保藤次郎が斜めに差し込んだボールを小泉が収めたところから渡井がシュートに持ち込むもGK太田がビッグセーブ。更にそのCKをデザインする形でマイナスに振れた渡井がまたしてもシュートを放ちますが、原大智が身を挺したブロックにより阻みます。

しかしハードな試合展開はまたしてもサンガにとって困難な状況に。31分、左サイドからのサイドチェンジを受けた久保がインサイドのポケットにスルーパスを送ると、一気にオーバーラップを仕掛けた原田亘の折り返しがディフレクションしたところに垣田がアクロバットなシュートで合わせてまたしても柏勝ち越し…。

 

 

ただ試合の展開はその後も柏が一方的に攻め込む展開は変わらず。サンガもマイボールになる瞬間はありながらも、サイドから中央にボールを繋ごうとする事でパスがズレて柏の選手に突かれる場面が多く、それがそのままカウンターに繋がる状態に。柏の攻撃の猛威という以上に前半はサンガが攻守に於いて使いたいゾーンでのプレーをさせてもらえず、サンガの個々の選手の担当エリアがぐちゃぐちゃになるようなムーブを繰り返す事で蹂躙。

前半アディショナルタイムには川﨑のクロスを原が落としたところに反応した須貝がシュートに持ち込みますがGK小島亨介がセーブ。前半はサンガが1点ビハインドで終えます。

 

 

 

サンガは後半からトゥーリオと松田を下げて奥川雅也と長沢駿を投入。原を左にスライドさせます。

すると後半も柏に攻められる場面こそいくつかありましたが、前半のような厚みのある攻撃ではなく1トップ2シャドーで攻撃を完結させたがるようなカウンター気味の展開になった事で潰した後のセカンドボールをサンガがかなり確保できるようになったと共に、前半の柏が見せた"縦の深さ"と"横の幅"をサンガも長沢と奥川で担保できるようになっていきます。53分、左サイドで鈴木のパスを米本が落とすと、これを拾った原のクロスに反応したのは長沢!!相手DFを一瞬で剥がす職人の動きぶり!!原のオンザボールの技術、長沢のオフザボールの技術が詰まった得点でまたしても同点!!

 

 

62分には左サイドを小屋松が突破して残したボールを受けた三丸が山なりのクロスを入れるとファーサイドで久保が決定的なヘディングシュートを放ちますが、この場面はまたしてもGK太田が異次元セーブを披露。後半は前半と比べるとイーブンな展開に戻せたとはいえ、柏ペース自体は継続された状況のサンガは65分に福田と米本を下げて佐藤響とパトリック・ウィリアムを投入し、川﨑と福岡のボランチ、原と奥川のシャドーの3バックとした3-4-2-1のミラーゲーム配置にシフト。68分には宮本が負傷退場により麻田将吾を投入。

 

 

 

ここから試合は更に混沌とした様相を呈していきます。

74分、柏は右サイドでCKを獲得。柏の選手がエリア内にほとんど入ってきていない状態で守備陣形をサンガが準備できていないタイミングで小泉が蹴り込むと、それゆえのパニックか鈴木義宜とGK太田が味方同士で交錯する形に。唯一2人の背後に走り込んでいた原田は一度足元に収まりすぎたところからなんとか押し込んで柏がこの日3度目のリード。とうとうスコアは3-2。

 

 

それでもここから折れないのが今年のサンガとでも言いましょうか、だから上位に行けているとでもいいましょうか…。

80分に柏のパスワークから渡井が迎えたチャンスをどうにか凌ぐと、82分にはGK小島亨介に阻まれながらも奥川が可能性のあるシュートを見せて反撃体制に出ます。そして84分、左サイドから少し内側に向けてドリブルした佐藤と入れ替わるように斜めに走った奥川がボールを受け取ると、DF3人を引き連れながら反転して柔らかいクロスボール。ボールの先には長沢…かと思われましたが、長沢の存在自体を撒き餌にするかのようにボールは長沢を超えて走り込んだ川﨑へ!!ややトラップは大きくなったもののどうにか自ら押し込みとうとう3-3!!!

 

 

壮絶な試合でしたね…試合終わってからドッと疲れが来るような。見ているだけでもハイになるような試合でした。

前半に関しては完敗の内容でした。今季のサンガは後半勝負ができるチームですので「後半からどうにか修正できるんじゃないか」という感覚は持って見れてはいたんですけど、立て直したところで3点差ぐらい拡げられたらどうしようもない訳で、そこでゲームオーバーになってしまう可能性は十分に考えられる状況だったなと。

今季のサンガの好調の要因の一つはこれまでのパイプレスをセーブする事でカードとして使えるようになる、逆に言えばプレスの出力を相手のラインの高さに応じて変えられるところ。ただこれはあくまで縦に対する話であって、横に揺さぶられた時の守備者のポジショニングには不安を抱えているんですよね。例えば本来であればサンガはサイドに追い詰め切るか、相手がボランチやトップ下を介してバイタルエリアで何かを作ろうとした時に中盤の工房に持ち込んで強さを見せる訳ですが、今日の柏はシャドーとWBがサイドで常に数的優位を作りつつ、彼らが時折斜めにドリブルしていく事でサンガに横ズレのスライドを強いてきた。そこで大外のスペース、インサイドのコースをこじ開けられてしまう場面がすごく多かったなと。実際、この試合の映像を見ると柏はバイタルエリアのスペースをほとんど使ってこなかった。柏が元々そういう流麗なパスワークと幅を取るポジショニングにこだわったチームである事は前提にしても、サンガが戦いたいエリアを徹底的に回避しながら弱いエリアで2対1を作れるような状況になるシステムを構築してきたなと思います。サンガはサンガで、ボールを持ってもバイタルへのルートを阻害されてボールを失う場面が頻発していましたし。

 

 

 

一方、後半は長沢と奥川を投入してきた。前半の松田はバイタルエリアでの攻防とそこでボールを取った時のアクションに長けた選手で、逆にトゥーリオはどちらかと言えば縦よりも横のスペースをどうにか出来るタイプの選手だった訳ですが、そこに相手DFを押し込んで縦の深さを提供する事ができる長沢の投入と、長沢が縦に引き伸ばした事で生じるFWの少し後ろのポジションでクオリティを発揮できる奥川の投入は実に理に適っていました。

もちろんサンガの得点に長沢がゴール、奥川がアシストという形で絡んだ事が最も大きいのですが、柏が横への揺さぶりでサンガを翻弄したのが前半なら、後半のサンガは縦へフィールドを引き伸ばす事でオープンな土壌に持ち込んだ。これにより柏はボールを持った時の攻撃距離が伸びて、かつサンガの背後のスペースも生じてはいましたから、どうしても攻撃がカウンター気味になっていったんですよね。3点目そのものはミスとしてもそれ以外に失点しそうな場面はいくつかあったとはいえ、前半のようにずっと柏のターンというような攻撃を続けられるよりはずっと良い。その後にシステムを3-4-2-1に変えてミラーゲーム式にして対面の相手をはっきりさせた事を含めて、後半の修正と策により柏が保持の際に時間を作れない状況に追い込んだところはどうにか試合をイーブンに近いところまで戻して勝点を拾えた要因でしょうし、あの曺貴裁監督の采配は見事だったなと。

 

 

個人的に、サンガの歴史の中で…ここまで後半勝負が出来た時代ってあんまり記憶にないんですよね。それは曺貴裁京都でさえも。今日のような物凄い劣勢でハーフタイムを迎えたところからこの試合展開に持ち込めた事もそうですし、逆にあれだけ劣勢だった前半にも1点はもぎ取れた辺りも評価されるべきところで。「今年の京都は一味違う」とはよく言われる話ではありますが、結果や内容以上に今日のような劣勢でも取られたらすぐに追いつける、劣勢でも後半に勝負を仕掛けて勝点を持ってこれる辺りに一番その言葉がしっくり来るような気がしています。曺監督が試合後に長沢と奥川を指して言った「彼らが良い選手だからこそ、サブにいる価値がある」という言葉はそれそのものだと思いますし。

この試合展開と、上位直接対決というこのシチュエーション……そこで勝点1をもぎ取って京都に帰れる。こういう事ができるようになった。それがものすごく感慨深い事だなと。川﨑の咆哮、ガッツポーズを見た時にひしひしと感じましたね。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

2025明治安田J1リーグ第21節

町田ゼルビア2-1鹿島アントラーズ

アビスパ福岡3-2アルビレックス新潟

セレッソ大阪2-1東京ヴェルディ

柏レイソル3-3京都サンガFC

川崎フロンターレ1-2ヴィッセル神戸

横浜F・マリノス0-1ファジアーノ岡山

名古屋グランパス1-1清水エスパルス

横浜FC0-4サンフレッチェ広島

ガンバ大阪2-0FC東京

浦和レッズ(7月23日19:30)湘南ベルマーレ

 

 

1位 鹿島アントラーズ(41)

2位 柏レイソル(38)

3位 サンフレッチェ広島(36)※1

4位 ヴィッセル神戸(36)※1

5位 京都サンガFC(35)

6位 浦和レッズ(34)

7位 セレッソ大阪(33)※2

8位 川崎フロンターレ(32)※1

9位 FC町田ゼルビア(31)

10位 アビスパ福岡(29)

11位 ガンバ大阪(28)

12位 清水エスパルス(27)

13位 ファジアーノ岡山(27)

14位 名古屋グランパス(24)

15位 東京ヴェルディ(24)

16位 湘南ベルマーレ(22)※1

17位 FC東京(20)※1

18位 アルビレックス新潟(19)※1

19位 横浜FC(19)

20位 横浜F・マリノス(14)※1

 

※1 1試合未消化

※2 1試合消化試合数が多い

 

後半戦としては2試合目となるゲームとなりました。

首位固めを果たしたい鹿島は敵地で町田との試合に挑みましたが、前半に失った2点ビハインドを挽回できないまま試合終了。首位鹿島追撃に燃える柏と京都の直接対決は柏が3度リードして京都が3度追いつく壮絶な同点劇となり勝点1を分け合った一方、広島と神戸はそれぞれ敵地で勝利して共に京都を抜いた3位、4位に浮上しています。

下位争いは今節は試合のなかった16位湘南を除き、15位東京V以外の全チームが敗北を喫する形になりました。一時期残留争いに巻き込まれかけていた福岡や名古屋が勝点を積み上げて中位に戻りつつある一方、今季2度目監督交代を断行した横浜FM大島秀夫暫定監督の下で岡山に敗れています。

 

 

いち、に、さんがー

ではでは(´∀`)