
さてさて、遂に2025明治安田J1リーグが閉幕しました。
来年から秋春制が始まるJリーグにとっては通年制、即ち1月にシーズンが始動し、12月に解散していき、そして年越しと共にシーズンを終えて新シーズンを迎えるルーティンの中で過ごすラストシーズン。長い日常のサバイバルは鹿島アントラーズの優勝という形でここに決着しました。当サイトではここから2025年のJリーグの閉幕企画を更新していく所存です。
という訳で今回は毎年恒例企画、J1全20クラブの満足考査です!
毎年恒例ですね。
例えば、ひとえに「5位」と言っても、それが「優勝を目指したクラブの5位」なのか「降格候補と目されていたクラブの5位」なのかによって、その5位の意味は大きく変わってくる訳です。という訳で、この満足度考査ではそのクラブの戦力や開幕前の期待値・目標を踏まえた上で、各クラブの満足度を【大満足】【満足】【普通】【不満】【超不満】の5段階で考えていこうや…と。
あくまで完全に独断と偏見ですので、実際に当該クラブのファンである方からすれば「??」と思う部分もありますが、その辺は他クラブのファンからはそう見えてるのね、くらいの感覚で思ってもらえれば幸いです。
それでは、優勝した鹿島アントラーズから振り返っていきましょう!!
【スタメン表の表記】
★→2025年度の新加入選手(ルーキー含む)
□→レンタルバック選手
☆→途中加入選手
▼→途中退団選手
Part1→鹿島・柏・京都・広島・神戸
【2025年のJリーグを振り返る記事をまとめたページを開設しました。随時更新していくので是非!】
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【オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ!】
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1位 鹿島アントラーズ
勝点76:23勝7分8敗・得点58/失点31/得失点差+27
ルヴァン杯:2回戦敗退
天皇杯:ベスト8
前年度順位:5位

チーム得点王:レオ・セアラ(21得点)
胸スポンサー:リクシル(住宅設備機器メーカー)
ホームスタジアム:茨城県立カシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市)
満足度→大満足
2016年以来のリーグ優勝、ましてや2016年は年間勝点では1位浦和に大きく差をつけられての3位だったので、ちゃんとタイトルレースを制したという意味では2009年以来になるんですね。
「ミッションコンプリート」という言葉がすごくしっくりくるシーズンだったと思います。ここ数年の鹿島は試行錯誤をとにかく繰り返し続けたような時期が続いていましたが、その中でも"上位"という立ち位置だけはなんとか守り続けていた。その中で招聘した鬼木監督に求められた仕事は優勝の一つしかなかったと思いますが、まずはその唯一にして最大の目標を一年目から達成してみせた。これはもう脱落する他ないですし、お見事という他に言葉も見つからないです。
鹿島の場合はとにかく、卓越した個にチームとしての仕事を徹底させる…というところでずば抜けていました。わかりやすいところで言えばMVPを受賞した早川友基や新たなる象徴としてチームを引っ張った鈴木優磨という事になるんだと思いますが、例えばボランチで船橋佑が出た時と知念慶が出た時でチームとしてのスタンスを微妙に変えて選手もそれにしっかりと応えたり、チャヴリッチやエウベルから荒木遼太郎や松村優太にスイッチした時のチームとしての切り替えだったり、個の集合体として個性の共有みたいなものがすごく出来ていた印象です。その点に於いて小池龍太が様々な役割を果たしたり、前半戦はほぼ出番のなかったキム・テヒョンが関川郁万の離脱後は関川不在を感じさせないパフォーマンスを見せた辺りは最たる例でしょう。
「鹿島らしさ」なんて、じゃあ何をもってしてそうなの?というか、言語化できない抽象的な表現だとは思う。
— RK-3 (@RK3_gsgb) 2025年10月25日
だからこそこの大一番で、言葉で表現できない鹿島らしさを突きつけられたような感覚でいる。得点者が他の誰でもなく鈴木優磨だった事も含めて……。 pic.twitter.com/4ytxeAgnTz
サンガファンとしてはやっぱりあの第35節。鈴木優磨に決められたあの瞬間の情景はまだ残っていて、そこに鹿島アントラーズたるや…みたいなものを突きつけられた感覚でした。優勝するべくして優勝したチームだったと思いますし、言語化は難しいけれど確かにそこに存在する「鹿島らしさ」は凝縮された一年だったんじゃないかなと思います。優勝おめでとうございました。
2位 柏レイソル
勝点75:21勝12分5敗・得点60/失点34/得失点差+26
ルヴァン杯:準優勝
天皇杯:2回戦敗退
前年度順位:17位

監督:リカルド・ロドリゲス(新任)[来季:続投…?]
チーム得点王:細谷真大(11得点)
胸スポンサー:日立製作所(電気機器メーカー)
ホームスタジアム:三協フロンテア柏スタジアム(千葉県柏市)
満足度→大満足
間違いなく今季のJリーグを派手に盛り上げてくれた存在でしたね。昨年は最終節まで残留を争っていたにも関わらず、今季は開幕から好調をキープ。リカルド・ロドリゲス監督を新たに招聘し、小泉佳穂や渡井理己などリカルド監督の下でのプレー経験がある選手を始め、小島亨介などリカルドサッカーへの適応が見込める選手を積極的に獲得しながらも熊坂光希や中川敦瑛といった既存やルーキーの若手選手もブレイクさせた。大型補強+既存戦略のブラッシュアップを両立させながら魅力的なポゼッションサッカーを就任1年目で達成させたところは、いわばファンが求める「やってほしいこと」「見てみたいもの」を全て実現させたと言える年だったんじゃないでしょうか。文字通りタイトルだけが足りなかった、逆に言えばタイトル以外のものは全てあったシーズンだったと思います。
特筆すべきところは…今年の柏のように序盤戦からダークホース扱いされて、高い評価を受けて旋風を巻き起こすチームって大体失速しがちじゃないですか。今季で言えば開幕当初の湘南、4月までの福岡がそうでしたし、最終的に上位フィニッシュを達成した京都ですら9月以降は伸び悩んだ。柏の場合は熊坂や久保、渡井の負傷離脱というアクシデントがあったにも関わらず秋からもう一段階ギアを上げて勝ち星を伸ばしたんですよね。そこは凄かったというか凄まじかった。その辺りはどの選手が出ても活躍できるシステムを前半戦のうちにしっかりと構築した事、そのシステムに適応できる選手を集めた事もそうですし、中川や山之内佑成を抜擢する思い切りの良さと眼力も素晴らしかったです。ポゼッションサッカーを構築する上で、守備意識は既にチーム及び個人にしっかりと備わっていた辺りは成績は振るわずともチームの守備意識を向上させた前年までの井原正巳氏の間接的な功績もあったのかなと。
問われるのは来年でしょう。もちろんタイトル獲得が目標になるでしょうが、リカルド監督は徳島時代も浦和時代も2年目に少し停滞した部分があったんですね(徳島は3年目からより盛り返したけど)。この2年目をどう超えるか、1年目以上の刺激をどう注入していくのかはリカルド監督にとってもテーマでしょう。そういう意味では来年のテーマは「2025年が完成品ではない事」を示す事なのかなと。
3位 京都サンガFC
勝点68:19勝11分8敗・得点62/失点40/得失点差+22
ルヴァン杯:3回戦敗退
天皇杯:ラウンド16敗退
前年度順位:14位

チーム得点王:ラファエル・エリアス(18得点)
胸スポンサー:京セラ(電気機器メーカー)
ホームスタジアム:サンガスタジアム by KYOCERA(京都府亀岡市)
満足度→大満足
サンガに関しては年末年始に連載モノを更新する予定ですので、長々と書くのはそっちに任せてここでは手短に。
素晴らしいシーズンでした。ファンとして、クラブの歴史の中で知らない景色を見せてくれた。今年のチームのスローガンは「共有-Kyo & You-」及び「Brave and Breakthrough」でしたが、ブレイクスルーのような成り上がっていく昂る感覚も、手に仕掛けた栄光がすり抜けていく感覚も、その全てをスタジアムを埋めたファンやサポーターに共有してくれた。これは何よりも貴重で尊い瞬間だったと思います。
チームとしては基本的にこれまで曺貴裁体制で培ったサッカーが土台にあった上で、そのサッカーの尖った部分を微調整しながら、去年までのベースをより丸く大きくしようとする成果が今年は強く出ていました。それを実現する上での強化策は実に的確でしたし、一部では「エリアスがいないと勝てない」と称する人がいましたが、5〜7月にエリアスを欠いていた時期は奥川雅也や長沢駿といった選手が個性を見せて勝利を重ねていた。交代選手が多く活躍するというより、交代選手に活躍させるようなチームの段取りはカタールW杯日本代表に通ずるマネジメントの妙がありましたし、優勝争いの悔しさを味わった事も含めて充実したシーズンだったと思います。
岡山との開幕戦の後、広島に0-5で負けた時、熊本との入れ替え戦でなんとか生き残った時、千葉で昇格を決めた時、曺監督の就任が発表されたあの時、J1がサンガにとって"帰る場所"とは思えなくすらなっていたあの頃、今日という立ち位置を想像できたでしょうか?… pic.twitter.com/aUfo0290nU
— RK-3 (@RK3_gsgb) 2025年12月6日
課題としては、基本的に福岡慎平のゲームコントロールで担保していた「ボール保持のフェースが回ってきた時にどうするか?」の術を組織として持てるようにする事でしょうか。その辺りも習得してチームとしての幅を拡げれば、元々持ち合わせている強みもより活きてくる。
いずれにしてもこのクラブは躍進したからこその分岐点に立っている訳です。リーグ戦5位かつ天皇杯優勝と躍進した2002年、その次の年となる2003年は降格の憂き目を見たという歴史をこのクラブは持っている。2025年にクラブは得難い経験をしたからこそ、この2025年を思い出や突然変異にせずクラブ史のターニングポイントにしないといけない。冒険の次にはまた新たな冒険がある。より強い気持ちで次の年に進んでほしいですね。
4位 サンフレッチェ広島
勝点68:20勝8分10敗・得点46/失点28/得失点差+18
ルヴァン杯:優勝
天皇杯:ベスト4
富士フイルム杯:優勝
ACL2 24/25:ベスト8
ACLE 25/26:リーグステージ3位(現在進行中)
前年度順位:2位

監督:ミヒャエル・スキッベ(4年目)[来季:退任決定→バルトシュ・ガウル(確定)]
チーム得点王:木下康介,中村草太(6得点)
胸スポンサー:エディオン(家電量販店チェーン)
ホームスタジアム:エディオンピースウィング広島(広島県広島市)
満足度→満足
確かな事として、これまではクラブの資金規模の兼ね合いもあって選手を引き抜かれる事の方が多かったサンフレッチェ広島というクラブにとって、最も野心を持って入ったシーズンであり、最も野心を行動に直結できた状態で入ったシーズンでした。それは開幕前に争奪戦とも任されたジャーメイン良や田中聡を獲得し、開幕直後にも前田直輝やジェルマンの獲得に勤しんだところかも明らかでしょう。開幕前の順位予想でここまで広島が本命視されたシーズンは森保一監督時代の黄金期ですら無かったんじゃないかと思います。
そういう補強の積極性も含めて、監督退任の如何を問わず「スキッベ体制の集大成」的な意味合いが強かったシーズンでしたが、やっぱりチームとしての完成度はすこぶる高かったですし、シーズンの総失点数が28点という圧倒的な数字が物語るように崩れる気配は皆無でした。一方で今年の広島の場合、組織としての強さ、完成度の高さがブレーキになってしまう瞬間もちょっとあったように見えたんですね。つまり守備への貢献は言わずもがな、チャンスメイクの意識は昨季同様に高かった一方で、72得点を叩き出した昨季は2列目の選手やWBまでもが前線に飛び出す事で全員がフィニッシャーの役割をこなすような体勢を作っていましたが、今季は逆に全員がチャンスメーカーのような状態になってしまった。例えばジャーメイン良はプレーそのものは良かったので評価はされるべき活躍でしたが、仕事の比重がポストプレーへの関与に寄っていたのは顕著な例で、夏の移籍市場で木下康介獲得に踏み切ったのはクラブもその辺りの自覚があったんじゃないかと…。
昨季までの右肩上がり感、開幕前の本命感を踏まえると、シーズンとしては若干消化不良のような感触はちょっと広島にはあったと思います。とはいえ、広島が4位でも物足りなさを感じられる状況まで来たこと自体がある意味ではスキッベ体制でやってきた事の正しさが証明された瞬間でもあると思いますし、なにより柏を倒したルヴァン杯決勝戦のパフォーマンスはスキッベ体制の集大成としてこれ以上ない出来栄えでした。一つの時代を終えた今、来年の広島がどうなるのかは既に楽しみです。
5位 ヴィッセル神戸
勝点64:18勝10分10敗・得点46/失点33/得失点差+13
ルヴァン杯:ベスト8
天皇杯:準優勝
富士フイルム杯:準優勝
ACLE 24/25:ラウンド16
ACLE 25/26:リーグステージ1位(現在進行中)
前年度順位:優勝

監督:吉田孝行(4年目)[来季:退任決定→新監督:ミヒャエル・スキッベ(確定)]
チーム得点王:宮代大聖(11得点)
胸スポンサー:楽天モバイル(通信業)
ホームスタジアム:ノエビアスタジアム神戸(兵庫県神戸市)
満足度→満足
どの観点で評価するべきか…という部分はあると思います。神戸の場合。まず2連覇中のチームとして、2007〜2009年の鹿島以来史上2チーム目となる3連覇を目指すチームとしては不本意なシーズンになってしまったところは確かでしょう。ある種のブレイクスルー的な勢いがあった柏や京都のような躍動感があった訳ではなく、かといって鹿島ほどの対応力やしぶとさを拾い続けられていたという事でもなかった。その結果の5位という数字は満足いくものでは無かったと言えるでしょう。ACLEにしても、少なくともベスト8はノルマみたいなところがあったでしょうし…。
一方でスタートダッシュがあまりに上手くいなかったところから首位戦線に乗り込んで、内容的に芳しくない試合でも勝点を拾う強者のしぶとさを培って最後まで優勝争いに絡んだところは素晴らしかったですし、ヴィッセル神戸というチームの地力が強くなった事を証明するものでした。その辺りは個人能力がフォーカスされる神戸に於いて、吉田監督体制でDFラインの守備ブロック、中盤より前の選手のプレス意識が基盤として定着した賜物でしたし、大迫勇也や武藤嘉紀のコンディションがなかなか整わない中で宮代大聖や佐々木大樹が活躍した辺りは、大物補強が目立つ裏で実力者のスカウティングや若手育成を怠らずにきっちりやっていた表れ。あれだけ選手の状態が整わなかった中でACLと並行しながら優勝争いを戦い続け、天皇杯も決勝まで駒を進める事が出来たという事実は評価されるべきものだと思います。その点では、試合内容に閉塞感、手詰まり感が生じていた中でもこの成績を残した事、うまく選手を運用しながらシーズン終了まで大崩れせずに走り切った事、その上で感じた消化不良感自体が吉田体制でのチームの底上げを実感させるものでもあったような気はしますね。
来年はスキッベ監督招聘ですか……。おそらく大まかな方向性は吉田体制と同じところにいる中で、吉田体制では詰めていなかった(或いは意図的に余白としていた)部分をより詰めていくことになるのでしょう。監督交代の人選としては理に適っていると思うので、期待したいところです。
【PART2:町田・浦和・川崎F・G大阪・C大阪編につづく】
ではでは(´∀`)