RK-3はきだめスタジオブログ

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戦術というツール〜AFCチャンピオンズリーグエリート2025-2026 準決勝 ヴィッセル神戸 vs アル・アハリ・サウジ マッチレビュー&試合考察〜

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次の万博はサウジアラビアです

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025/26 AFCチャンピオンズリーグElite 準決勝、ヴィッセル神戸 vs アル・アハリ・サウジ の一戦です!

 

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さぁ、ACLはとうとうサウジラウンドまでやってきました。

中立地、セントラル開催という特殊な環境が織りなす過酷さとドラマ。そしてそこを潜り抜けた先にアジアNo.1の称号が待っています。

強大な敵はその強さの厚みをあらゆる手を使って増している。その壁を日本勢の刃が貫く瞬間に期待しています。

 

 

アジアNo.1クラブ……三木谷浩史というビジネス界の傑物が、最初は故郷のクラブの救済として参入したサッカー市場に投じた一石は、Jリーグの中でもセンセーショナルかつエポックメイキングな道のりを歩むことになりました。

時に多すぎる監督交代や現場介入の噂、ネーミングバリュー優先の補強戦略と揶揄される事はあっても、その努力の道のりには野望に決して嘘ではない、夢が決してポーズやパフォーマンスではない確かな投資があった。ネームバリュー重視の派手な補強の裏では練習場やユース設備の充実化と地道な投資を徹底的に行い、その補強策も「この有名選手がチームにどんな矜持をもたらすか?」という点を強調した。長い歴史の中で見れば彼らには成金クラブの側面があったとしても、そう断ずるには惜しいだけの確かな努力があり、その結実が2023年からの黄金時代なのでしょう。

彼らに残されたピースにして最大の目標。それがこのACLです。前回大会を制した傭兵集団を前に、このクラブが積み上げた結晶と知見は何を語るのでしょうか。6年前、あと一歩届かなかった決勝への再挑戦が始まります。

両チームスタメンです。

 

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神戸は120分+PK戦の戦いとなった準々決勝アルサッド戦からの先発変更は1人。アルサッド戦で負傷退場となったアンカーの扇原貴宏が欠場となった為に満田誠を起用し、満田をトップ下、井手口陽介と郷家友太をWボランチの形で起用しています。ちなみにミヒャエル・スキッベ監督は短期間ではありますが、来日前に指揮していたのがサウジアラビアのチームでした。

アルアハリは準々決勝ジョホール戦で退場したマジュラシが出場停止。ジョホール戦はCB起用だったハメドを右CBとして代わりのCBにトルコ代表のデミラルを、ボランチにはゴンサウベスではなくアタンガナを起用してきました。UEFAチャンピオンズリーグの優勝経験も持つセネガル代表のメンディ、そしてアルジェリア代表のマフレズも先発です。

 

 

 

本日の会場はサウジアラビア、ジッダのキング・アブドゥッラー・スポーツ・シティです。

このスタジアムでは2023年のクラブW杯では決勝戦や浦和レッズvsマンチェスター・シティの試合などが行われるなどサウジアラビアで開催されるサッカー大会の決勝戦会場として定着しつつあり、サウジアラビア代表のホームスタジアムとしても重宝されていてW杯予選の日本戦も過去3回の予選で連続して開催。WWEやボクシングの興行にも使用されるなど、現在のサウジではリヤドに位置するキング・ファハド国際スタジアムと共に重要なイベント拠点となっています。ちなみにスタジアムの所有者は世界最大の石油会社として有名なサウジアラムコです。

そしてこのスタジアムを本拠地としているチームはアル・イテハドと、そしてもう一つが他でもないアル・アハリ・サウジです。この会場は前回大会も決勝が行われていますが、この場所で、ホームスタジアムでアジア王者に輝いたのが他でもないアルアハリでした。神戸はこの緑の杜を突破できるか!?

 

 

 

序盤から主導権はどちらともない展開でしたが、やや神戸の方が大迫勇也を軸に武藤嘉紀と佐々木大樹の両WG、トップ下の満田誠がインサイドのゾーンに絡む形で即効を仕掛ける場面を作れていました。その流れでプレスでも上手く敵陣から陣形を組むことができていたので、ずっと押し込む…という展開にまでは至らずとも、アルアハリが効果的なビルドアップをできない状態はチームとして担保していきます。

 

 

 

25分過ぎにはアルアハリにいくつかシュートチャンスを作られるもGK前川黛也が好セーブ。とはいえ危ない時間帯も25分過ぎのいくつかだけだった神戸はその時間をきちんと対応すると31分に歓喜が生まれます。

右サイドでFKを獲得すると、やや遠目の位置から永戸勝也が入れたボールに飛び出した大迫がポストプレー。フリーのスペースに走り込んだ武藤が流し込み、デザインされた鮮やかなセットプレー戦術で神戸先制!武藤はこれで2試合連続ゴール。

 

 

先制後はアルアハリが押し込んでくる時間も目立ったものの、そこは昨年からしっかりとしたブロックを構築しスキッベ体制でもそれをある程度引き継いでいる神戸とあって、マフレズを筆頭としたアタッカー陣が自身のスキルをフルに発揮できるようなスペースを与えずにうまく時間を作っていきます。

前半アディショナルタイム、左サイドを独力で突破したエンツォ・ミローの折り返しにトニーが合わせる決定機を与えますが、ここはなんとか枠外。アルアハリの脅威もスポット的に突きつけられながらも、基本的には神戸がゲームプランをしっかり遂行した形で前半を終えます。

 

 

 

神戸は後半から郷家友太を下げて日髙光揮を投入。

後半最初の決定機はアルアハリ。セットプレーの流れからミローがファーサイドに蹴り込んだボールに反応したイバニェスが折り返してケシエが飛び込みますが僅かに合わず。51分にはアルアハリ陣内からハメドが一瞬の隙を見逃さずに入れたロングボールに反応したトニーが山川哲史を張り切って放ったシュートがネットを揺らしますが、オフサイド判定に救われて神戸は後半立ち上がりの大きなピンチを回避します。神戸も直後には佐々木が良いシュートを放つもクロスバーにヒット。

 

 

 

しかし63分、マフレズの右CKかや相手のヘディングシュートは一度はGK前川がファインセーブで弾くも、セカンドボールを再びマフレズがキープすると中央に繋ぎ、ミローを介して最後はガレーノ……ガレーノがワールドクラスのゴラッソを叩き込み、これにはGK前川もノーチャンス…試合は振り出しへ。

同点になったタイミングで神戸は満田を下げてジェアン・パトリッキて佐々木を中盤にシフト。アルアハリはデミラルを下げてアルブリカンを投入しケシエをCBに下げる形を採ります。ですが71分、左サイドのスローインの流れからクロスを入れられるとGK前川が僅かにクロスボールに触れ切れず、最後はファーサイドのトニーのシュートが永戸に当たって……神戸失点。僅か8分間の間に一気にアルアハリに逆転される形に。

 

 

75分に背後に抜け出したマフレズがそのキャリアを証明するようなコントロールとフィニッシュを決めてトドメかと思われましたが、この場面はなんとかオフサイドで神戸は九死に一生を得る形に。神戸は79分に酒井と佐々木を下げて広瀬陸斗と小松蓮を送り込み、大迫と2トップの形にした攻撃的な布陣に。

86分に井手口を下げて濱﨑健斗を投入した直後にはセットプレーから小松がオーバーヘッドを狙いますがシュートが枠を捉えられず。

 

 

 

神戸もいくつかチャンスを作りましたが、リードしたアルアハリはうまく時間を使いながら試合を締める動きをして試合終了。

神戸にとって2度目のベスト4挑戦は、またしてもあと一歩及ばない悔しい敗北となりました。

 

 

 

前半の神戸は非常に上手くやったと思います。

前半や神戸は満田がトップ下のような形だった訳ですが、その4-2-3-1と満田と井手口のインサイドハーフのような形の4-1-2-3を攻撃時に上手く使い分ける事で5レーンを上手く活かしていました。速攻を仕掛けられるような場面では4-1-2-3的な形で動いて満田は大迫と武藤、井手口は大迫と佐々木の間のレーンを上手く取っていましたし、逆に保持の状態をある程度作れている時は井手口と郷家がWボランチとしてセカンドボールの回収、再展開を請け負いながら、満田は前線3枚とローテーション的にポジションを入れ替えながらコンビネーションに関与していた。セットプレーのデザイン性も含めて、その辺りは上手く組織されていたと思います。

守備でもサイドラインに追い込みながら圧縮しつつ、奪いに行くところとある程度相手に持たせて泳がせるべきポイントのメリハリをきっちりつけた形で守っており、相手が保持で焦れたタイミングをしっかりと挟み撃ちすることもできた。今季の神戸のテーマは吉田孝行監督体制で築いた守備の緻密さ、プレスとリトリートのメリハリを継承しつつ、スキッベ新体制で攻撃の組織性を高めていくことだったと思うので、今季目指していることの両輪をこの大舞台、この大一番で表現できたのは素晴らしい事だったなと。

 

 

 

ただ後半に関しては、アルアハリがハイプレスやロングボールを用いてある程度神戸陣内に押し込んだ状態を構築してから、DFラインでのショートパスを主体にしたビルドアップにせよ、押し込んだ状態からロングキックでのサイドチェンジにせよ、アルアハリは徹底的に試合をワイドな展開に持ち込もうとしてきました。

そうすると単純にマフレズのような選手が1対1の状況を作りやすくなる…みたいな利点もあるんですけど、それ以上に神戸の攻撃を阻害するメリットが大きかった。アルアハリがワイドな陣形を組んできた事で、神戸の生命線である大迫とWG及びインサイドハーフに、ないしはWGと大迫やインサイドハーフの距離感を徹底的に遮断する形になったんですね。結局、ワイドな位置を取ったSBにはWGがマークしに行かないといけないし、その時の大迫や満田はサイドに寄るより中央をケアする必要がある訳で、この状態で神戸がボールを奪ってもカウンターするなら単騎突破しか選択肢がなくなりますし、神戸の攻撃陣はいずれもコンビネーションの中で活きるタイプで、そういう単騎突破的なプレーを得意とするのはパトリッキくらい。特に前半の要だった井手口と満田(+郷家)を活かした組織性、連動性を奪われてしまった事で、神戸としては押し返す方策を失ってしまった。そうするとパワーのあるアルアハリの攻撃を跳ね返しても跳ね返してもいつかは限界が来る……。

ヤイスレ監督率いるアルアハリは強大化した戦力を持ち合わせるサウジ勢の中でも特に戦術性のあるチームです。ただ、特に後半のアルアハリは戦術で崩すというよりは、自分達が絶対に勝てるタイマンに持ち込む為の"邪魔"を取り除くツールとして戦術を用いた。要はそれが神戸の連動性ですよね。それを除外するような仕掛けをした上で、最後は個の力を発揮できるフェーズを作った。言うなれば戦術で押し切ったというよりは、戦術の力で舞台を作ったのがアルアハリでしたし、そしてそれは前半は神戸ができていた事でもあった。その辺りは特に惜しまれるポイントですね。神戸からしたら…。

 

 

ベスト4で2度負けたチーム、Jリーグ勢では神戸だけなんですよね。逆に言えば、複数回ベスト4まで進んだチームは優勝経験のある浦和とガンバ以外に神戸しかいない…と。

努力と投資…そのハードとソフトの両方を鍛える姿勢の先にあったゴールは今回も閉ざされてしまう結果になりましたが、この舞台はその名の通り"チャンピオンズリーグ"で、選ばれたクラブしか立たない舞台。ここで負けたとて、このクラブが積み重ねた軌跡が否定される訳じゃない。そこだけは確かだと思っています。お疲れ様でした。

 

 

サウジコーヒーはちょっと苦手(万博で飲んだ)

ではでは(´∀`)