RK-3はきだめスタジオブログ

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手札とパターン〜2025明治安田J1リーグ第16節 柏レイソル vs ファジアーノ岡山 マッチレビュー&試合考察〜

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日立パビリオンまだ行けてない

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第16節、柏レイソル vs ファジアーノ岡山の一戦です!

 

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今季のJ1リーグを席巻する2チーム同士の対戦と言えるでしょう。

今季からリカルド・ロドリゲス監督が就任した柏は開幕から高いクオリティのフットボールを展開し、それをしっかりと結果にも繋げて2位をキープ。それこそある種の解任ブーストに近いものなのか、開幕ダッシュだけやたら良い…というようなチームもいる中、半分近くシーズンが経過した中でもクオリティと結果を両立させている今季の柏の歩みは本物と呼ぶべき眩さ。リカルド監督にとっても、浦和時代に届かなかった目標に今季は手をかけている状況です。

対する岡山はJ1初挑戦にして、他クラブと比べれば実績も予算も大きく劣っている立場ながら、木山隆之監督率いるチームは強大な相手を前にしても怯まず、そして強かに戦い抜き、シーズン序盤ほどの連勝街道ではなくともここまでは大健闘と呼ぶべき成績を手にしています。ここ5試合ほど勝利から遠ざかっているとはいえ、ここまでの岡山はよりスタイルがハッキリしているチームを倒しまくっている事は特徴の一つ。その視点で見れば今日は彼らにとって腕の見せどころでしょう。

2025年のJリーグ、その盛り上がりに貢献している黄色と深紅のイズム。日立台を舞台にその行事がぶつかり合います。両チームスタメンです。

 

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柏は1-0で清水に勝利した前節からのスタメン変更は3人。左WBをジエゴから小屋松知哉に、3バックは中央の古賀太陽を残して左右を田中隼人と原田亘にそれぞれ戻す形になっています。対する岡山は0-0で引き分けた前節名古屋戦からメンバーを2人変更。今日は加藤聖と岩渕弘人から前節はベンチスタートだった佐藤龍之介と木村太哉が先発に復帰しました。

今日は古巣対戦となる選手が多く、柏は仲間隼斗とベンチスタートの白井永地、岡山は江坂任と立田悠悟、ベンチスタートの神谷優太が古巣対戦です。

 

 

 

本日の会場は千葉県柏市三協フロンテア柏スタジアムです。

長年に渡ってJリーグで使用され続けて、人気漫画「GIANT KILLING」の主人公チームETUのホームスタジアムのモデルにもなるなどの訴求力を持つスタジアム。Jリーグでもクラブ主導で建設して指定管理者を担っているスタジアムや親会社が所有しているスタジアムはいくつかありますが、クラブ自体が所有者となっているのはこのスタジアムが唯一。また、トップチームのクラブハウスや練習場、ユース施設が全て敷地内に固まっている事も特徴として知られています。

 

 

 

立ち上がりからポゼッションをベースにしつつ、ワイドに開いたポジショニングで相手のWBと3バックの間隔を開ける事でサイドでの起点を作っていたのは柏でした。開始8分、抜け出した仲間隼斗のクロスが流れたところを右サイドで作り直すと、小泉佳穂のシュート性のボールに対して反応した小屋松知哉が体勢を崩しながらも押し込んでゴール…かと思われましたが、これは仲間の時点でオフサイドを取られてゴールならず。

その後も試合は柏のペースで試合は進み、27分にはオーバーヘッド、28分にはジャンピングボレーで仲間がクロスボールに合わせるもGKブローダーセンのファインセーブもあって得点には至らず。柏は上手くサイドを崩して攻撃のポイントを作り、同時に岡山がカウンターの糸口を作れないような流れに上手く持っていきますが、同時に締めるところは締めて柏に決定的な場面はあまり作らせません。

 

 

 

サイドの背後を取った柏が中へのポイントを探り続ける…という流れは前半45分を通じてずっと継続されていました。39分には左サイドを抜け出した仲間のクロスをニアで垣田が潰れてファーサイドに走り込んだ久保藤次郎がダイレクトで合わせますが、強烈なシュートも僅かに枠を捉えられず。逆にに岡山とカウンターの糸口になりそうな場面はいくつか作れそうになっていきましたが、岡山の帰陣の早さを前に閉ざされて機会には至らず。

柏は前半終了間際には久保がカットインから狙いますが、今度はクロスバーに弾かれてこれも決まらず。柏は攻め込みながらも、岡山も最後のエリアはしっかりと凌いで前半は0-0で終了。

 

 

 

岡山は後半から佐藤龍之介を下げて加藤聖を投入。松本昌也を右にスライドさせて加藤を左に送り込みます。

後半も最初のチャンスは柏でした。51分、小泉のミドルシュートはGKブローダーセンが好セーブ。そしてそのこぼれ球に詰め寄った久保がGKの体勢を踏まえた浮き気味のシュートを放ちますが、ブローダーセンはこれも弾き切って岡山が最大の危機を凌ぎます。一方、前半は防戦一方だった岡山も55分に江坂のスルーパスがルカオに入ると、ルカオの落としを木村太哉がシュート。シュートは決まりませんでしたが、岡山も高い位置でルカオまで到達する場面が増えて始めました。

 

 

 

60分のタイミングで柏は仲間と小泉を下げて細谷真大と渡井理己、岡山は同じタイミングで田部井に代わり神谷、70分には木村と江坂を下げて一美和成と岩渕弘人も送り込みます。その直後、柏は70分に右サイドを抉った久保の折り返しに細谷が走り込みますが、柏は再三に渡る好機をどうしても活かしきれません。

しかし遂に均衡を破ったのは76分でした。左寄りの中央で垣田が粘ってボールをキープすると小屋松へ。小屋松のスルーパスにうまくコースを作ってボールを受けた細谷が決め切って遂に柏が先制!!今季は途中出場の続くエースが値千金の今季2得点目をゲット!

 

 

失点後の78分に岡山はルカオを下げてブラウンノア賢信を投入して勝負に出ます。87分には一美が鋭いミドルを放つも、今度はGK小島亨介がビッグセーブ。

しかしこのチャンスを逃した岡山に現実を突きつけたのが柏の90分でした。ルーズボールを自軍で収めた柏はショートカウンターを敢行。渡井がボールを収めると中川敦瑛とワンツーで抜け出して絶妙なスルーパス。最後は走り抜けたジエゴがGKとの1対1を制して追加点!渡井、中川、ジエゴ…途中出場の3人が織りなすパスワークで得点を取り切ります!

 

 

アディショナルタイムに渡井のシュートがネットを揺らした場面こそその前にファウルを取られてノーゴールとなりましたが、一時は攻めあぐねた印象もあった柏が終わってみれば完勝。首位鹿島追撃へ、大きな1勝を挙げました!一方、岡山はこれで5戦未勝利かつ4戦連続の無得点です。

 

 

 

前半は特に顕著でしたが、柏はボール保持の、岡山はボール非保持のベースがしっかりと設計されているチームという全体の上で、特に今日は柏にとっての対岡山の攻撃が、岡山にとっての対柏の守備が噛み合っている展開だったなと思います。

柏は久保と小屋松がワイドなポジションを取りながら相手のWBを釣り出す事で3バックとWBが5バックとして守りにくい状況を作り、そのポケットを仲間や小泉が積極的に狙うアプローチでサイドでの攻撃がスムーズに構築されていましたし、その攻撃を回し続けた事でほぼ柏のターンで試合が続いていました。特に左サイドを仲間が何度も抜け出すようなシーンを見せていたのはその表れでしたし。一方の岡山も柏にそういう状況を作られながらも、逆に言えばシャドーはインサイドに流れていく形になるので、中央の危険なエリアさえ固められれば柏はそこまでボックスに人数をかけられないし、それは3バックである程度賄えるのでボランチはしっかりミドルゾーンをケアする事で相手ボランチの攻め上がりも抑える事ができる。そう言った具合に、柏の攻撃の狙いと岡山の守備の狙いはどちらも機能していたゲームだったと言うべきでしょう。

 

その中で柏は、サイドの背後を狙いながらも中央では垣田、或いはWBに対する小泉や仲間の関係のように、どちらかと言えば垣田との縦関係と横へのスライドという動きが多かった中で、岡山も試合が経過するに連れてそこの対応に慣れていった。後半に入って岡山が少し前に出る場面が増えたのはそこの余裕だったように思います。そういう横への動きに慣れ始めてきたタイミングで細谷を投入して垣田との2トップにした事により、中央のスライドに慣れてきた岡山守備陣が縦へのダイナミズムへの対応に変更しなければならない状況を作ってきた。60分の細谷とそこにパスを通せる渡井の投入で、中盤とFWに縦の距離を作る事で岡山の「真ん中を固めておけば…」という方針を崩してきた。垣田を頂点に小泉と仲間を据えるパターンと、垣田と細谷を2トップで並べて中盤と縦のズレを生じさせるパターンの2つを凄く効果的に使ったゲームだったんじゃないかなと思いますし、例えばこれは対戦相手に応じて順番が逆になったりしてもいい訳ですから、シーズンを通した長い目で見ても非常に大きい事だったなと。

付け加えて言えば、柏の攻撃と岡山の守備が噛み合ったゲームになるにあたって、岡山のカウンターをしっかりと中盤で止められた事も凄く重要でした。大前提に柏は岡山をかなり押し込む形でプレーできていた中で、裏に抜けるルカオや木村をしっかりと3バックが捕まえ、持ち出した江坂の足をボランチがきっちり止めていった。岡山のカウンターに対して岡山のWBが上がりきる前にカウンターの土壌を消した事で、お互いの狙いが噛み合う中でも柏が殴り続けられるゲーム展開にできたんじゃないかなと。

 

 

「友達は元日立」の語感の良さ

ではでは(´∀`)