どーもこんばんは
さてさて、先日、12月10日から韓国で行われるEAFF E-1選手権に挑む日本代表メンバーが発表されました。
まずはそのメンバーから見ていきましょう。
DF2 室屋成(FC東京)
MF7 遠藤渓太(横浜F・マリノス)☆★
MF9 鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)
FW11 田川享介(FC東京)☆★
GK12 小島享介(大分トリニータ)★
FW13 上田綺世(鹿島アントラーズ)★
MF14 森島司(サンフレッチェ広島)☆★
DF15 渡辺剛(FC東京)☆★
MF16 相馬勇紀(鹿島アントラーズ)☆★
MF17 田中碧(川崎フロンターレ)☆★
FW20 小川航基(水戸ホーリーホック)☆★
GK23 大迫敬介(サンフレッチェ広島)★
☆→初招集された選手
★→東京五輪世代(1997〜2000生まれ)の選手
今大会では元々海外組は招集出来ない事になっている為、全員国内組、Jリーグ組という事になっております。また、天皇杯で準決勝に進出しているチーム(神戸、清水、鹿島、長崎)、J1参入プレーオフに出場するチームからの招集も回避された形となっています(鹿島の上田、相馬に関しては、天皇杯登録メンバーに入っていない為招集)。
11月のベネズエラ戦からは9名が継続で招集。そして、今回の代表は半数を超える12人が東京五輪世代の選手であると共に、今季の横浜F・マリノスを引っ張った仲川輝人を含めた10人が初招集されました。
…で、E-1選手権といえば、かつては「東アジア選手権」という名前で開催されていました。今でもその名前の方がしっくり来る方もいる事でしょう。
元々は日本代表も国内組メインだったので普通の代表戦の一つという扱いでしたが、2010年大会の半年後に行われた南アフリカW杯以降、日本代表を取り巻く環境は激変。スタメンの半数以上が海外組になり、スタメンの殆どが海外組になり、そして遂には招集メンバーの殆どが海外組で占められるようになりました。
…そんな背景もあって、2013年大会からはこの大会に対する意味というか、意義も大きく変わり、日本代表戦というよりはJリーグ組の発掘・見極めという意味合いが強い大会に。実際、この大会で評価を高めて代表に定着し、W杯メンバーにまで上り詰めた選手も存在します。
そこで今回は、2013年大会以降のこの大会を振り返り、どれだけのメンバーがこの大会から日本代表に定着するようになったのか、或いは大会前と大会後で日本代表メンバーはどう変わったのか…を、観ていきたいと思います。
2013年大会
(開催地、韓国)
監督 アルベルト・ザッケローニ
第1戦 vs中国△3-3(得点者→栗原、柿谷、工藤)
第2戦 vsオーストラリア○3-2(得点者→齋藤、大迫②)
第3戦 vs韓国○2-1(得点者→柿谷②)
結果→2勝1分 得点8 失点6 優勝
登録メンバー
前回の代表戦(コンフェデ杯2013)から連続で招集されたメンバー→4人(西川、栗原、高橋、権田)
その他のザックジャパン常連組→4人(駒野、森脇、槙野、原口)
初招集組→10人(山田、山口、鈴木、青山、高萩、柿谷、扇原、齋藤、豊田、森重)
↓
大会後、ザッケローニ体制で再び招集された選手→13人(駒野、槙野、工藤、西川、山口、高橋、大迫、権田、青山、柿谷、齋藤、豊田、森重)
上記の13人中、この大会を機にザッケローニ体制で招集されるようになった選手→8人(工藤、山口、大迫、青山、柿谷、齋藤、豊田、森重)
上記の8人中、2014年FIFAワールドカップブラジル大会の登録メンバーに選ばれた選手→6人(山口、大迫、青山、柿谷、齋藤、森重)
東アジア選手権の前の代表メンバー
FIFAコンフェデレーションズカップ2013ブラジル大会
GK1 川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
MF8 清武弘嗣(1.FCニュルンベルク)
MF10 香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)
MF13 細貝萌(バイヤー・レヴァークーゼン)
MF19 乾貴士(アイントラハト・フランクフルト )
↓
東アジア選手権の後の代表メンバー
キリンチャレンジカップ2013 日本代表vsウルグアイ代表(@宮城スタジアム)
GK1 川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
FW8 清武弘嗣(1.FCニュルンベルク)
FW10 香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)
MF17 長谷部誠(1.FCニュルンベルク)
2010年に発足したザックジャパンでは多くの試合をほぼほぼ固定されたメンバーで戦っており、その証拠にザッケローニ監督の初陣である2010年アルゼンチン戦と2013年コンフェデ杯初戦のブラジル戦を比べると、スタメンは僅かに2人しか変更されていない。それも踏まえてこの大会では新戦力発掘に力を注ぐべく、海外組のみならず国内組でレギュラー、常連組だった遠藤保仁、今野泰幸、中村憲剛、伊野波雅彦、前田遼一といったメンバーも外し、ザックジャパンの国内組控えメンバー+初招集組という構成になった。
この大会では2勝1分の成績で大会初優勝を飾る事になったのだが、この大会がその後の選手選考に与えた影響は大きく、大会後のウルグアイ戦では大会メンバーから10名が継続招集され、この大会で代表メンバーを果たした選手の中から6名がブラジルW杯のメンバーに選ばれ、特に山口、大迫は3試合中2試合で先発出場しており、柿谷はJリーグでの活躍もあって一躍時の人となった。
一方、これまで常連組だった栗原、中村、前田はこの大会以降のザックジャパンに招集されていない。特に前田はこの大会から柿谷、大迫、豊田がワントップのポジションに入るようになった為、W杯メンバーどころか予備登録枠からも外れている。またボランチに関しても、青山、山口が台頭した事でザックジャパン発足時から控えボランチの一番手と言われていた細貝萌がW杯メンバーからの落選を余儀なくされた。
以上のように、海外組が急増した事やこの大会を機に抜擢された選手が多かった事で、日本代表に於ける東アジア選手権の新たな定義が確立される大会になったと言える。
2015年大会
(開催地、中国)
監督 ヴァイッド・ハリルホジッチ
第1戦 vs北朝鮮●1-2(得点者→武藤)
第2戦 vs韓国△1-1(得点者→山口)
第3戦 vs中国△1-1(得点者→武藤)
2分1敗 得点3 失点4 4位
登録メンバー
MF16 山口蛍(セレッソ大阪)
前回の代表戦(アジア2次予選 シンガポール戦)から連続で招集されたメンバー→11人(東口、谷口、太田、槙野、森重、柴崎、永井、宇佐美、西川、丹羽、山口)
その他のハリルジャパン常連組→2人(藤春、川又)
初招集組→5人(倉田、武藤、遠藤、米倉、六反)
↓
大会後、2017年11月までに再び招集された選手→15人(東口、太田、森重、柴崎、永井、興梠、宇佐美、西川、倉田、藤春、丹羽、山口、浅野、遠藤、六反)
上記の15人中、この大会を機にハリル体制で招集されるようになった選手→3人(遠藤、米倉、六反)
上記の15人中、2018年FIFAワールドカップロシア大会の登録メンバーに選ばれた選手→5人(東口、柴崎、宇佐美、山口、遠藤)
東アジア選手権の前の代表メンバー
ロシアW杯アジア2次予選 日本代表vsシンガポール代表(@埼玉スタジアム)
GK1 川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
MF10 香川真司(ボルシア・ドルトムント)
MF16 山口蛍(セレッソ大阪)
MF17 長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)
↓
東アジア選手権の後の代表メンバー
ロシアW杯アジア2次予選 日本代表vsカンボジア代表(@埼玉)
MF10 香川真司(ボルシア・ドルトムント)
MF16 山口蛍(セレッソ大阪)
MF17 長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)
ハビエル・アギーレ監督の突然の監督解任を受けてヴァイッド・ハリルホジッチ監督が就任したのはこの年の3月。この大会の時点でまだメンバー招集も2回(トレーニングキャンプを除く)しか出来ていなかったという時期的な理由もあり、2013年大会とは異なり純粋に国内のベストメンバーを揃えた形となった。実際に、6月のシンガポール戦に招集された国内組は全員東アジア選手権に参加している(武藤嘉紀はシンガポール戦後に海外へ移籍したので招集候補から外れている)。
そのため「この大会を機に代表に選ばれた選手」という表現が合う選手はそもそも前提として成り立たないと言った方が正しいのかもしれない。強いて言えば、この大会が初招集となり、その後2015年内の代表戦に継続招集された遠藤、米倉、六反辺りか。東アジア選手権で初めて未勝利に終わったという成績も一因ではあるが、発足したばかりのハリルホジッチ体制にとって今大会は選手発掘よりも現状認識の為の大会という位置付けであった。
2017年大会
(開催地、東京・味の素スタジアム)
監督 ヴァイッド・ハリルホジッチ
第1戦 vs北朝鮮○1-0(得点者→井手口)
第2戦 vs中国○2-1(得点者→小林、昌子)
第3戦 vs韓国●1-4(得点者→小林)
2勝1敗 得点4 失点5 2位
登録メンバー
MF14 伊東純也(柏レイソル)
DF19 初瀬亮(ガンバ大阪)
DF20 室屋成(FC東京)
前回の代表戦(国際親善試合、ベルギー戦)から連続で招集されたメンバー→6人(東口、井手口、昌子、車屋、三浦、倉田)
その他のハリルジャパン常連組→5人(小林、中村、金崎、今野、植田)
初招集組→5人(伊東、三竿、阿部、初瀬、山本)
↓
大会後、ロシアW杯までに再び招集された選手→9人(東口、井手口、昌子、車屋、大島、小林、中村、三竿、植田)
上記の9人中、この大会を機にロシアW杯までに再び招集されるように選手→1人(三竿)
上記の9人中、2018年FIFAワールドカップロシア大会の登録メンバーに選ばれた選手→5人(東口、昌子、大島、中村、植田)
E-1選手権の前の代表メンバー
国際親善試合 ベルギー代表vs日本代表(@ブリュッセル)
FW10 乾貴士(エイバルCF)
FW11 久保裕也(KAAヘント)
MF16 山口蛍(セレッソ大阪)
MF17 長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)
DF19 酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)
MF25 長澤和輝(浦和レッズ)
↓
E-1選手権の後の代表メンバー
国際親善試合 マリ代表vs日本代表(@リエージュ)
FW8 原口元気(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)
MF10 森岡亮太(RSCアンデルレヒト)
FW11 宇佐美貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)
FW14 久保裕也(KAAヘント)
MF16 山口蛍(セレッソ大阪)
MF17 長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)
FW18 中島翔哉(ポルティモネンセSC)
この時点では既にロシアW杯まで後半年という段階に来ている中、ハリルホジッチ監督がクラブや代表で不振の続く本田圭佑、岡崎慎司、香川真司といったメンバーを外し、新たな選手を登用しようと試みていた時期でもある。その為、クラブW杯に出場していた槙野や遠藤といった浦和組、山口や清武、杉本の揃いも揃って負傷離脱したセレッソ組を除いては国内組のベストメンバーであると同時に、2017年のハリルジャパン常連組が多く顔を揃えた。
しかし結果は、勝利こそしたものの北朝鮮戦、中国戦では低調な内容。そして後にハリルホジッチ監督解任の引き金となった韓国戦での大敗を喫した事で、この大会がアピールの場どころか、結果的に評価が下がる結果になってしまい、メンバー選考は更に混迷を極める事態に繋がった。その後、4月にハリルホジッチ監督が解任され、新たに就任した西野朗監督の下でテーマ設定が「ブラジルW杯のリベンジ」となった事もあり、この大会をきっかけにロシアW杯メンバーまで行った選手はいない。
今回はメンバーも多く変わり、東京五輪世代の選手も多い事から2013年大会のように新たな分岐点となる可能性も高いです。なんにせよ、今やある種特殊な代表戦となった大会ですから、独特な空気を楽しみましょう!
ではでは(´∀`)