来年この時期にACLやるならクラブW杯どうするのよ…
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューはFIFAクラブワールドカップ2021決勝、チェルシーvsパルメイラスの一戦です!
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日程や意義から度々賛否両論が起こるこの大会も、始まってしまえばやはりなんやかんやで楽しいもの。ただそんな中でも、今年の決勝で激闘する2チームは「クラブ世界一」の称号への想いは強いような気もします。
2010年代以降、欧州王者として唯一クラブW杯で優勝出来なかったのが2012年のチェルシーでした。主将のセサル・アスピリクエタは日産スタジアムのピッチでその屈辱を味わった一人で、チェルシーにとってはこの20年で成り上がった歴史の一つの完結としてこのタイトルに賭ける想いは強いと思います。一方、クラブW杯への想いに並々ならぬものがある南米勢ですが、南米屈指の強豪として知られるパルメイラスは偉大な歴史がありながら、前身のトヨタカップを含めて一度もこの大会を制した事がありません。
言わば今日の決勝戦は両者にとって唯一足りないピースを埋める戦いであり、強豪としてのパズルを完成させる為の決勝戦。90分後、そのトロフィーを高々と掲げるのはどちらでしょうか。
両チームスタメンです。
本日の会場はUAE、アブダビのアル・ジャジーラ・ムハンマド・ビン・ザーイド・スタジアムです。…長い!!
普段はUAEのアル・ジャジーラ・クラブが本拠地とするこのスタジアムは1979年に開場。2006年から2009年にかけて改築を行い、最新鋭の空調設備や居住棟まで兼ねた大型スタジアムとして生まれ変わりました。過去には2003年のワールドユースや2019年のアジアカップも開催。アジアカップの際にはアルベルト・ザッケローニ監督率いる開催国・UAE代表がこのスタジアムでの準決勝に進みましたが、最終的に優勝するカタールに敗れています。クラブW杯は過去にUAEで4回開催されていますが、その4回の決勝はいずれも同じアブダビのシェイク・ザイード・スタジアムが決勝戦の会場でした。
今日はUAEまでチェルシーのレジェンドであるジョン・テリー、ペトル・チェフ、ディディエ・ドログバに加えてロマン・アブラモヴィッチオーナーが来場。パルメイラスもレイラ・ペレイラ会長がスタジアムに来ており、スタンドにも役者は揃いました。
基本的に戦力と実力で上回るチェルシーがボールを支配し、優勢に試合を進めていたのは戦前の予想通り。しかし5バックに近い陣形で守りを固めるパルメイラスの前にペナルティエリア内まではなかなか侵入できず、ある程度相手が前に出てきてくれた準決勝のアル・ヒラル戦以上にチェルシーは手詰まり感を抱くような展開で前半が進みます。
追い討ちをかけるように32分にはメイソン・マウントがクリスティアン・プリシッチとの負傷交代を余儀なくされ、攻めあぐねるチェルシー相手にパルメイラスもカウンターが冴え始めるように。コンディションは良くないチェルシーに対して、耐えて持久戦のような構図に持ち込みたいパルメイラスにとってはプラン通りと言える展開で前半を終えます。
後半もうっすら前半と同じような流れが続いていたチェルシー。1トップ2シャドーが消されゆくスペースに試合から消え気味になり、チェルシーとしては早くなんとかしなければ…的な状況になりつつあった55分でした。マテオ・コヴァチッチがドリブルでボールを運ぶと左サイドへスルーパス。ようやく崩れたDFラインを抜け出したハドソン・オドイのクロスにロメル・ルカクが頭で合わせてチェルシー先制!
得点直後にはプリシッチが惜しいシュートを放つなど、先制点でパルメイラスの目論みを破壊したチェルシーがこのまま…と思った矢先でした。64分、右サイドから入れられたクロスに対してチアゴ・シウバがグスタボ・ゴメスとの競り合いの中でハンドによりPKを献上。このPKをハファエウ・ヴェイガが冷静に決めてパルメイラスが同点に!
同点弾を機に、前半は引き気味だったパルメイラスも俄然前に出てくるようになってきました。風向きを五分に近いところに持ち込まれたチェルシーは77分にルカクとハドソン・オドイを下げてティモ・ヴェルナーとサウールを投入。パルメイラスも78分にホニとヴェイガを下げるなど、両チームともに得点者を下げてラスト15分の戦いに賭けます。しかしチェルシーは圧倒的にボールを持ちながらも決定機まで辿り着けず。1-1で試合は延長戦へ。
チェルシーは延長戦からハキム・ツィエクとマランド・サールを投入し、システムを3-4-2-1からツィエクとヴェルナーをWGにした4-1-2-3にシフト。スペースを徹底的に消してくるパルメイラスに対し個人突破で打開しようと試みる形にしました。99分にはカイ・ハフェルツとのパス交換で抜け出したヴェルナーが折り返して決定的な場面を迎えましたが…パルメイラス守備陣も粘ってなんとか回避。
そして迎えた116分、チェルシーが猛攻を仕掛ける中で左サイドからクロスボールを入れるとにそのこぼれ球をセサル・アスピリクエタがジャンピングキックみたいな豪快シュート。これがDFルアンが手でブロックしたと判定され、今度はチェルシーが土壇場でPK獲得!これをチャンピオンズリーグ決勝で唯一のゴールを決めたハフェルツが冷静に決めてチェルシー勝ち越し!!
そして最後、パルメイラスのパワープレーを振り切って試合終了。アブラモヴィッチオーナーの買収から19年、チェルシーが悲願のクラブW杯トロフィー獲得です!!
チェルシーとしてはコンディションを含めたゲームのセッティングから難しい試合だったと思います。元々組織的な攻撃でスペースを作る・使うの連鎖に長け、どちらかと言えばスピードを重視した攻撃を得意とする彼らにとってはパルメイラスのペースに引き込まれた試合で、ルカクのゴールは唯一チェルシーがスピードを出せたシーンであり、ずっとチェルシーがボールを支配していたとてゲームプランとして優位に立っていたのは恐らくパルメイラスだったと思うんですよね。
そんな中で延長戦に入り、トーマス・トゥヘル監督は延長からヴェルナーとツィエクを両WGに張らせて個でゴリ押ししていくやり方を選択した…ある意味では組織的なやり方を放棄さえするようなシフトではありましたが、延長前半からそのやり方でチャンスを生み出せた事でゴール前にカオスを作り出す事が出来たのがPK獲得に繋がった部分はある訳で、ゴールを奪ったというよりは1点をもぎ取ったあの執念は見事だったと思います。
2003年にアブラモヴィッチオーナーが買収したチェルシーは一部では未だに成金と言われたりしますし、オイルマネーで成り上がった彼らを名門と呼びたくない層も確かにいます。ただ、同じだけの資金力を持ったとしてもチェルシーほど成功を持続させるのは至難の業ですし、それはお金だけで達成できる事ではありません。これでチェルシーに欠けたピースは無くなりました。トゥヘル監督の采配もそうでしたが、チェルシーにとって本当に執念のような試合であり、そしてタイトルだったと思います。おめでとうございました!
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
FIFAクラブワールドカップ2021
準優勝:パルメイラス(ブラジル)
3位:アル・アハリ(エジプト)
5位:モンテレイ(メキシコ)
7位:ASピレー(タヒチ)
さ、寝る。
ではでは(´∀`)