ガンバサンガにはさすがにソワソワするぜ
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューはUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦、マンチェスター・シティvsアトレティコ・マドリードの一戦です。
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チャンピオンズリーグ準々決勝、抽選によって決められる対戦カードには色々な性質のものがあります。優勝候補同士の潰し合い、何らかの因縁のあるチームの激突………このカードは20-21シーズンのイングランド王者とスペイン王者という側面も持ちながら、何より両チームが、そして両監督が持つキャラクター性としてこれほど興味深いカードはそうそう無いのではないでしょうか。
ジョゼップ・グアルディオラとディエゴ・シメオネ……この2人は現代のサッカーで最高の監督と認識される2人であるとともに、戦術へのアプローチやスタンスは正反対です。08-09シーズン、グアルディオラの登場とバルサの覚醒は世界のサッカーを大きく変え、一時はそれこそが正義のような風潮になり、彼らの完璧なサッカーを誰もが無謀に真似しようとした。それに対し、語弊を恐れずに言えば……グアルディオラとバルサをリスペクトした上での「アンチ・バルサ」とも言えようスタイルで頭角を表したのがシメオネ率いるアトレティコであり、彼らはそれを芸術にまで昇華させてみせました。
完璧主義の美しさか、リアリズムの鮮やかさか……両者の、両監督の矜持がぶつかり合う激闘のキックオフです。
両チームスタメンです。
本日の会場はイングランド、マンチェスターのシティ・オブ・マンチェスターです。
普段はUAEのエティハド航空のネーミングライツが入ったエティハド・スタジアムとして知られていますが、CLのようなUEFA主催ではネーミングライツは禁止なので正式名称が使用されています。UAE資本参入以降にプレミアを見出した方にはエティハド・スタジアムが定着していると思いますが、それ以前から観ていた人にとっては馴染みのある名前なのでは。
グアルディオラvsシメオネはグアルディオラがバルセロナやバイエルンを率いていた時に対戦経験がありますが、シティvsアトレティコはCLでは初めての対戦。両チームとは最高成績は準優勝なだけに、そういう側面でも楽しみですね。
戦前の予想通りではありますし、アトレティコも最初からそのつもりではあったでしょうが、案の定ボールポゼッションは圧倒的にシティ…という中で前半は進んで行きました。今季からはアウェイゴールが無くなり、アウェイチームが0-0で終わる事が不利でもなんでもなくなった事も手伝ってか、アトレティコは前半からほぼサイドは捨てるような形で中央を徹底的に固めます。
サイドはほぼ捨てたアトレティコの対応に合わせるように、まずはシティも前半は無理に中央をこじ開けようとする事はせず、空いた形になっているサイドから攻撃の活路を見出そうと試みます。ただ、エリア内での空中戦であればアトレティコの方に分があり、そもそもシティはチーム戦術上、明確な9番を置くチームでもないので、そのクロスの多くは中央で跳ね返させる事に。前半はシティが押し込みながらも、ゲームプラン的に言えばアトレティコペースとも言えよう形で前半を終えます。
後半からシティはラヒム・スターリングとベルナルド・シウヴァの配置を変更。なんとかアトレティコの中央のブロックを崩そうと試行錯誤を試みますが、基本的な流れは前半と変わらないまま進んで行きます。そんな中で流れを変えたいシティは勿論、アトレティコ選手の疲弊を考えれば選手交代は必要になってきて、60分にはアトレティコが、69分にはシティがそれぞれ3枚替えを敢行します。
するとその直後、交代してからほぼファーストプレーでした。右寄りの中央でロドリの縦パスを受けたのは途中出場のフィル・フォーデン。ワールドサッカーの新鋭がアトレティコの数人がかりのプレスを嘲笑うかのようなスルーパスを送ると、そこに抜け出したのは世界最高のMF、ケヴィン・デ・ブライネ!ネクストスターとスーパースターが見せた一瞬の煌めきが、寸分の狂いもないようなアトレティコの守備網を切り裂いてシティ先制!
アトレティコのゲームプランとしてのデザインは先制点を取られないことが絶対みたいな部分もあったので、それが失点までの70分は完璧に近いパフォーマンスだった事も反動として影響したのか、一気にガクッと来たかのようにシティに押し込まれる形になりました。それでも持ち前の粘りは見せて追加点こそ許しませんでしたが、シティ相手に攻撃を仕掛けていくまでには至らず。注目の一戦はシティがまず先勝しました!
ハイライトになるようなシーンが多かったタイプの試合ではないですが、お互いの正反対のスタイルが真っ向からぶつかる…という部分では、ある意味でサッカーの醍醐味とも言えるようなゲームだったんじゃないでしょうか。
ただ、アトレティコには少し皮肉な試合だったように見えたのが、アトレティコはもともと「89分攻め込まれても1分で1-0にして勝つ」事を美学として貫いてきたチームという中で、それまで完璧だった守備がほんのワンプレーで崩されて0-1で負けたというのは…。それでもその後のシティの攻撃に対する最後の粘りはさすがでしたし、これが活かすかどうかもまた、彼ら次第です。
冒頭で私は「完璧主義の美しさか、リアリズムの鮮やかさか」と書きましたが、終わってみれば逆の展開だったようにも感じました。美しいほど盗撮された守備網を築いたアトレティコに対して、シティが見せた一瞬で全てを切り裂くファンタジーはこれ以上にないほど鮮やかだった……素晴らしい試合でした。
note書いて仮眠。
ではでは(´∀`)