どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューはUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦、アトレティコ・マドリードvsマンチェスター・シティの一戦です。
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ジョゼップ・グアルディオラとディエゴ・シメオネ……それぞれ全く異なる美学を有する二人は、それぞれのチームをサッカー史に残るようなチームに昇華させました。
かたや、儚さを持つと見做されがちな美しいフットボールを完璧と称せる次元にまで引き上げ、かたや結果にとことん執着したサッカーを芸術と呼べる次元に導き、それぞれの地位と価値を高め、今日に至ります。準々決勝最大のビッグマッチが最多優勝クラブvs前年度王者の対戦となったレアル・マドリードvsチェルシーという見方に異議を唱えるつもりはありませんが、両者のスタイルの対比…という要素を含めれば、もっとも興味深い戦いとなるのはこのカードなのでは。
1stレグでは、もはや美しさすら醸し出していたアトレティコの徹底したディフェンス戦術を、シティが世界最高の選手が織り成すファンタジーで切り崩して1-0で勝利。ホームの歓声を背負うとはいえ、攻めるしかなくなった状況でアトレティコが見せる反撃にも注目ですし、シティのスタンスも大いに見どころ。激戦必至の90分…もしかしたら120分かもしれません。
両チームスタメンです。
本日の会場はスペイン、マドリードのエスタディオ・メトロポリターノです。
普段は中国のワンダ・グループがネーミングライツを設定した「ワンダ・メトロポリターノ」という名前で運営されているスタジアム。18-19シーズンのチャンピオンズリーグ決勝の舞台で、リバプールvsトッテナムのイングランド対決を2-0でリバプールが勝利。このシーズンまでのCL優勝は5大会連続でスペイン勢だったんですが、この年に限って決勝にも出てこないという。
旧スタジアムは1993年に開場しましたが、2016年及び2020年にマドリード招致を目指していた夏季オリンピックのメインスタジアムとするつもりで2004年に閉鎖。2008年には新スタジアムをアトレティコの新スタジアムとする事を決定し、2013年にはマドリードの五輪招致が失敗した事で球技専用に計画をシフトするなど紆余曲折の末に2017年に完成しました。旧スタジアムはマドリード州及びマドリード市が所有権を持っていましたが、2017年からはアトレティコに所有権が移っています。
基本的なスタンスは両チームとも1stレグから大きな変化はありませんでした。基本的にシティがボールを保持しながら、アトレティコが固めたブロックの隙を窺うような展開が続いていって、点を取らなければならない立場のアトレティコも、とりあえず前半は1stレグ同様に構えながらジョアン・フェリックスがカウンターを狙う形で前半が進んでいきます。
前半唯一の決定機は30分、シティはリヤド・マフレズのスルーパスに右サイドを打開したカイル・ウォーカーの折り返しを、ファーサイドのフィル・フォーデンが落としたところにイルカイ・ギュンドアン。このシュートがポストに当たったこぼれ球を自ら再び押し込もうとしますが、今度は相手DFにブロックされてゴールならず。前半は0-0で終えます。
しかし後半に入るとアトレティコも一気にギアを入れていきます。プレスの強度は前半より高くなり、ボールを奪うなりサイドに早く展開してから積極的にアーリークロスを供給。57分には左から入ったクロスは一度DFが弾くも、こぼれ球の流れからフェリックスのポストプレーにアントワーヌ・グリーズマンが左脚アウト気味のミドルを放つも僅かに枠の左。
アトレティコが攻勢を強めてきた中、シティには更なる試練が立て続けに訪れます。65分にケヴィン・デ・ブライネが負傷によりラヒム・スターリングとの交代を余儀なくされると、84分に今度はカイル・ウォーカーも負傷退場。ナタン・アケを左SBとして投入し、ジョアン・カンセロを右SBに移す事で対応します。一方のアトレティコは69分にヤニック・カラスコ、ロドリゴ・デ・パウル、アンヘル・コレアを一気に送り込み、80分には遂にルイス・スアレスを投入。いよいよ攻撃の為のシフトを組んで最終盤へ。
ここからはアトレティコの猛攻が続きます。87分にはアンヘル・コレアのポストプレーから途中出場のマテウス・クーニャのシュートはDFがブロック。そのプレーで得たCKで、GKエデルソンが飛び出して無人になったところをステファン・サヴィッチが押し込もうとしますが…僅かにボールに触らず。
終盤にはフェリペが退場するなどの騒乱もあって9分に延びたアディショナルタイム。押し込むアトレティコ、耐えなくシティ…当初と真逆の立場になり、色んなカオスで残り時間が主審しかわからなくなった中でリフレクション絡みで抜け出たコレアのシュートはエデルソンがビッグセーブ。まさしく死闘……シティがなんとか耐え切って準決勝進出を果たしました!
いやー…死闘でしたね。アトレティコにとっては、試合中にWOWOWの実況の方も仰っていた「1stレグを含めたここまでの135分の全ては2ndレグ後半の為にあった」というニュアンスの言葉がこの2試合の全てだったと思いますし、リードしている立場のシティが前半にガンガン攻めに行ったのもその事を十分理解していたからこそ、前半のうちに2点目を取らないとしんどくなるとの判断の下でしょう。
その意味では、アトレティコにとってこの2試合で最も重要な事は2つで、まずは1stレグを勝てなくともドローで終える事。もう一つはシティをアトレティコのペースに引き摺り込む事でした。一つ目は達成できなかったとは、最小の点差では抑えた。そして二つ目に関してはほぼ完璧に出来たといってもいいですし、選手達にこれを遂行させたシメオネ監督のカリスマ性はやはり凄いと。一方で、あの迫力ある攻撃を耐え切ったシティのディフェンスもまた見事でした。シティというか、グアルディオラ監督のチームは攻撃面やパスサッカーをフォーカスして考えられる事が多いですが、それもやはり高い守備力があってこそのものですし、少し話が逸れますが、多くの人が目指して失敗した「バルサ的なサッカー」のほとんどが上手くいかなかったのは、実はグアルディオラがものすごく徹底して意識させている守備への軽視だったと思いますし。
要は両チームとも、普段はあまりフォーカスされていない部分のクオリティが出た試合でした。そしてシティ陣営があそこまでの喜び方をするのって久々に見ましたし…やっぱり死闘だったなと。とにかくそれに尽きますね。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝
※2試合合計スコアで表記。( )内は2ndレグのスコア
バイエルン・ミュンヘン1-2(1-1)ビジャレアル
アトレティコ・マドリード0-1(0-0)マンチェスター・シティ
21-22UEFAチャンピオンズリーグベスト4
近年のチャンピオンズリーグで安定した成績を誇っているのはイングランド勢とスペイン勢ですが、意外にも両者が2チームずつとなると史上初の出来事。シティとレアルは2年連続の準決勝進出となり、リバプールは優勝した18-19シーズン以来。そしてビジャレアルは05-06シーズン以来となる準決勝進出です。
しれっとリバプールやべぇ試合してる
ではでは(´∀`)