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ベンゼマを主役にした漫画のような〜UEFAチャンピオンズリーグ準決勝第2戦 レアル・マドリードvsマンチェスター・シティ マッチレビュー〜

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天皇賞春で惨敗したことをご報告させてください

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューUEFAチャンピオンズリーグ準決勝第2戦、レアル・マドリードvsマンチェスター・シティの一戦です。

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

レアルとシティが準決勝で対戦するのは15-16シーズン以来。しかし、当時の試合と今日の試合では、その意味や位置付けは全てがまるで違います。それはレアルの立ち位置としても、シティの立ち位置としても。

ペップ・グアルディオラが築き上げたマンチェスター・シティというチームは、プレミアリーグはおろか世界のサッカー史全体においても、組織としての完成度では過去に類を見ない次元まで到達していると言ってもさほど大袈裟ではないと思いますし、先日のリバプールとの試合はその象徴でもありました。今、何かしらの数値だけで物事を見るとすれば、世界のトップに君臨するのはシティかリバプールのどちらかでしょう。

しかし、UEFAチャンピオンズリーグという舞台がそれだけでは決まらないという事実は、それをシティは苦い思い出として、一方のレアルは誇りと自信として胸に刻んでいるはずです。ベスト16のパリ・サンジェルマン戦、ベスト8のチェルシー戦…サンティアゴ・ベルナベウというスタジアムで、白い巨人は自分達の歴史と矜持をこれでもかと見せつけました。このシチュエーション…レアルにとっては最も望むものであり、自分達の存在を最も誇示できる一戦になるはずです。対して、CLに於ける勝負弱さを度々痛感してきたシティにとって、これは彼らが10年単位のビッグクラブとして記憶されるか、確固たるビッグクラブとしての箔を手に入れるかの最終試験のような試合かもしれません。

伝統の魔力を持つスタジアム。商社は伝統を背負う者か、伝統に挑むものか……1stレグはシティが4-3で先勝。全て今日、ベルナベウで決まります。両チームスタメンです。

 

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本日の会場はスペイン、マドリードサンティアゴ・ベルナベウです。

現在改修工事中のベルナベウですが、ほぼ使用できなかった昨季に対し、今シーズンからは多少の制限を設けながらもベルナベウでのホームゲーム開催が再開されました。たかがスタジアムとは言いますが、されどスタジアム。このスタジアムに非科学的でも確かな何かが存在し得る事は、今季のレアルの戦いぶりがそれを証明しています。それだけにシティにとっては、ある意味昨年の決勝以上に挑戦の意味合いを持つゲームになるかもしれません。

 

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1stレグからオープンな試合展開、オープンなスコアになったこのカードですが、その流れを引き継ぐかのように両者ともアグレッシブに攻め込みました。一進一退の攻防が続き、両者ともに惜しいシュートを放つなど、前半から強度の高い試合を見せていきます。

3分にダニエル・カルバハルのクロスをカリム・ベンゼマが頭で合わせて試合の幕を開けると、シティも20分にはプレッシングでのボール奪取かの攻撃を最後はケヴィン・デブライネのパスに抜け出したベルナルド・シウヴァが反応しますが、こちらはティボー・クルトワがファインセーブ。

 

ただ、やはり構図としては当初の予想通りというか、ボールポゼッションを重視するシティに対し、レアルがカウンター気味に攻め込むという構図は維持されたままでした。シティもそこまでフォーメーションとポジションを崩してまで攻め込もうとはしなかったものの、プレス回避が結果的に前線まで攻め上がるような形になった事で激しい前半に。一方のレアルはカウンターの肝であるヴィニシウス・ジュニオールが対峙するカイル・ウォーカーにかなり抑え込まれた事で前半はどこと無く不完全燃焼。

 

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それでも前半ラスト5分になってくると、レアルの縦幅を活かしたカウンターがチャンスに結びつく場面も増え始め、前半終了間際には抜け出したベンゼマがシュートを放つも枠の上。前半は0-0、要はシティが1点のリードをキープして前半を終えます。

 


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後半開始のキックオフからレアルが奇襲を敢行。ルカ・モドリッチロングフィードに右サイドを爆走したカルバハルのクロスにファーサイドのヴィニシウスが飛び込みますが、予想外の完璧なデザインプレーは最後のシュートが上手く行かず惜しくも未遂に。ただこのワンプレーがもたらす精神的な牽制は大きかったのか、後半はレアルが押し込む展開が続いていきました。

 

後半はかなりレアルが押し込み、前半と比べても遥かにアタッキングサードに危険なボールが入る回数は増えていって、流動性が出てきた事でヴィニシウスがウォーカーとの1対1に絡め取られる場面も減っていきました。ただ、ウォーカーは数的不利でも時間は稼ぎ、その間にルベン・ディアスが、或いは帰陣してきたシウヴァらがカバーに入るなど2人目のディフェンスが確実に入ってくるような動きを徹底。ドキッとする場面は多く作られながらもシュートまでは持ち込ませずに耐えていきます。

 

レアルは68分にトニ・クロースを下げてフェデリコ・バルベルデを中盤に下げつつ、切り札でもあるロドリゴを投入。対するシティはやや強度の落ちたデブライネを下げてイルカイ・ギュンドアン、そしてこれまでチームの守備の要となっていたウォーカーが負傷退場となり、ジョアン・カンセロを右にスライドし、左SBにオレクサンドル・ジンチェンコを投入。何よりも、ここまでヴィニシウスを徹底的に封じ込めたウォーカーを望まない形で下げなければならないというところでシティ陣営に不安がよぎります。

しかしその直後でした。代わりに入ったジンチェンコとギュンドアンが自陣で攻撃の糸口を掴むと、彼らのパスを受けたシウヴァが一気にカウンタードリブル。少し左に切り込んで開けたスペースにパスを出すと、右から入ってきたマフレズがダイレクトで左脚!!シティが大きな大きな先制点!!

 

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そこからは完全にシティのゲームでした。緊迫し、スリリングなゲーム展開から一転、レアルは押し込んでいた流れをひっくり返された焦り、シティは2試合分のリードが2点になった余裕で、シティはリスクを冒さないポジショニングを取りつつ余裕を持ったカウンターを仕掛けられるようになりました。途中出場のジャック・グリーリッシュが放った決定的なシュートはフェラン・メンディのスーパークリアで防ぎますが、試合は完全にシティのモノになった…と思いました。

しかしアディショナルタイム直前、途中出場のエドゥアルド・カマヴィンガのクロスをファーサイドベンゼマが折り返したところにロドリゴが飛び込んでレアルが1点を返します。

 

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そしてその直後でした。誰もがシティの勝利を確信してから僅か数分での出来事、カルバハルのクロスにマルコ・アセンシオが少し触れるとロドリゴが再び飛び込んでレアル奇跡の同点弾!!!!!!!!!

 

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やはりベルナベウに神は宿るのか……衝撃のクライマックスはアディショナルタイムの6分を終え、死闘はそのまま延長戦に突入します。

 

 

 

延長後半開始早々、93分。クルトワからボールを受け取ったところからレアルの攻撃が始まると、カマヴィンガの折り返しにエリア内のベンゼマがカマヴィンガに倒されてレアルがPKを獲得!これをベンゼマが、主役・ベンゼマが自ら決めてレアルが遂に逆転!!!!

 

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延長前半終了間際にはフェルナンジーニョが決定機を迎えますが、これもクルトワのセーブもあって僅かにゴールならず。ラヒム・スターリングを投入したシティの猛攻をなんとか耐え抜いたレアル。ベルナベウというメッカはまたしても白い巨人に微笑み、レアルが奇跡的な逆転勝利で決勝進出です!

 

 

 

まぁ、その………なんというか、すげえの見ちゃったな……って感じです。このシティ戦もそうですけど、レアルは決勝トーナメントの全ての試合でこの感情にさせる試合をした訳で。

スポーツ的に言えば、後半開始と同時に仕掛けたあの奇襲は大きく流れを変えました。あのワンプレーで、レアルの立ち位置以上にシティを構えさせる態勢に出来て、それで形勢を変えられたのは相当大きかったと思います。事実、そこからレアルはかなり押し込みましたし、もちろんそこでシュートまで持っていかせずに耐え切ったシティの集中力は凄まじかったのは間違いないです。ただ、シティからすればヴィニシウスの一発、ベンゼマの存在感、そしてパリ戦&チェルシー戦で見せつけられたベルナベウの空気感…これらが全部のしかかった中であの猛攻を受けてしまった…その後に点を取れたとはいえ、あの十数分でシティは相当消耗したでしょうし、結果的にそれがアディショナルタイムの2発の伏線にはなってたように感じました。

 

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冒頭でも書きましたが、正直なところ…もし仮に、選手層だとかチームの完成度だとか、そういったものの全てを数値化出来るとしたら、おそらく今季のシティは、少なくともレアルを上回る数値は出していると思います。今日の試合にしても、レアルはロドリゴの1点目が初めての枠内シュートだったように、多くの時間ではシティの方が優勢でした。特にシティが先制点を奪ってからの振る舞いはベスト16のパリ戦ほど相手に隙という隙は無かった……それを思えば尚更、あのメンディのクリアの意味が大きくなるんですけど。とにかく、シティとレアルをデータにしたら多分シティが勝ってる試合だったと思います。

ただ、サッカーに限らず、スポーツには時として「非科学的な力」が働く時がある。人はそれを神通力と呼ぶのでしょうが、今宵、そして今年、レアルが起こした劇場はまさにそれでした。まるでベンゼマを主役にした漫画でも描いているかのような……。そういう奇跡を起こせることがこれまで彼らが積み上げてきた歴史であり、その上に重なる誇りであり、シティがこれから目指さなくてはならないところなんでしょう。ただただ圧巻でした。見事というより壮観でした。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

UEFAチャンピオンズリーグ準決勝

※2試合合計スコアで表記。( )内は第2戦のスコア。

リバプール5-2(3-2)ビジャレアル

マンチェスター・シティ5-6(1-3)レアル・マドリード

 

21-22UEFAチャンピオンズリーグ決勝

2022年5月28日21:00(日本時間4:00)@スタッド・ド・フランス

リバプールvsレアル・マドリード

 

 

吼えたわ…

ではでは(´∀`)