どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューはUEFAチャンピオンズリーグラウンド16第2戦、レアル・マドリードvsパリ・サンジェルマンの一戦です。
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ラウンド16最大の注目カード…その第1戦はまさしくその期待値に恥じない熱戦でした。そしてその結末もまた、熱戦を鮮やかに彩ったとも言うべき衝撃のラストでした。
全ての決着は今宵決まります。1stレグはパリが1-0で勝利したので…レアルは勝つ為には最低2点は必要で、パリは負けなければOK。その全ての決着はマドリードで決まります。
レアルvsパリなんて、こんな極上のカードに今更そう多くの前振りも必要ないでしょう。元祖・銀河系軍団か新・銀河系軍団が。歴史を守るか新時代を築き上げるか。ヨーロッパサッカー史に於ける、一つの分岐点となってもおかしくないビッグゲームの幕が開きます。
両チームスタメンです。
本日の会場はスペイン、マドリードのエスタディオ・サンチャゴ・ベルナベウです。
ベルナベウは現在大規模改修工事を行っている最中で、コロナ禍の影響で無観客試合がメインになった2020年6月〜2021年9月の間はホームゲームをエスタディオ・アルフレッド・ディ・ステファノに移して開催していましたが、有観客開催が可能になった今季からはベルナベウの使用を再開し、2022年内の完成を目指して主催試合開催と改修工事を並行しながら行っていくとの事。イメージ映像もアップされていましたが、完成する日が楽しみですね。
前日会見ではレアルのルカ・モドリッチが「ベルナベウは非常に大きな役割を果たすことができる」と語り、かたや元FCバルセロナ 所属であるパリのネイマールは「メッシと僕にとって、バルセロナで過ごした時間があるからこそ、特別な試合なんだ」とコメント。様々な想いの交差する歴史あるスタジアムです。
前半から両チームのクオリティの高い選手が織りなす攻防戦が繰り広げられ続けていました。
序盤はやはりビハインドでゲームに入ったレアルが押し込む展開が続きましたが、パリが中央はガッチリと固めた事でヴィニシウスは割と外へ外へと追いやられる展開が続いていまひとつ持ち味を出せる場面は少なかったものの、逆に左でゲームを作って右に展開する形でダニエル・カルバハルから良いクロスは何本から入り、左からミドルを打つかカルバハルのクロスをカリム・ベンゼマが拾うか…という二つのパターンを軸に攻めていきます。
しかし基本的にレアルが高い位置をキープしながら試合は進んでいたものの、やはり今のパリの強さはカウンターを仕掛ければほぼ確実にシュートで終わらせてしまう事。レアルとは逆で、右に入ったリオネル・メッシと中央に入ったネイマールがゲームを作りながらスピードアップを図り、左では爆発的なスピードで抜け出すキリアン・ムバッペ、もしくはヌーノ・メンデスがそれに呼応していく形で、パリは攻撃機会のほぼ全てを決定的なチャンスに繋げて終わらせていました。
前半のうちにベンゼマのミドルシュート、クロースのクロスに頭で合わせたシーンなどレアルは2度の決定機を流すと、パリはムバッペが一度ゴールを揺らしたシーンはその前のメンデスがオフサイドを取られてノーゴール判定。ですが39分でした。パリ陣内に攻め込んだカルバハルからメンデスがボールを奪うと、ネイマールが自陣からワンタッチで一気にカウンターパス。これに圧倒的なスピードで抜け出したムバッペがニアを思いっきりぶち抜く強烈な一撃を仕留めてパリ先制!パリの実質的な2点リードで前半を終えます。
メンバーの交代はなく迎えた後半、カウンター仕掛け放題のような状態が続くパリは再びムバッペがカウンターで抜け出してゴールネットを揺らしますが、これはまたしてもオフサイド判定によりゴールは認められず。
対するレアルは57分にクロースとマルコ・アセンシオを下げてロドリゴとエドゥアルド・カマヴィンガを投入。すると62分、猛烈に前線からプレスをかけていくと、パリのビルドアップに対してGKジャンルイジ・ドンナルンマからベンゼマがボールを奪取。一度流れかけたボールもヴィニシウスが拾って折り返し、最後はベンゼマが改めて押し込んで1点を返します。
直後には右サイドのロドリゴのクロスをベンゼマが完璧なポジションとヘッドで合わせますが…僅かに右。予想外の形で許した失点にバタつくパリに対し、レアルは積極的にボールをサイドに振りながら猛攻を仕掛けていきます。カルロ・アンチェロッティ監督もその流れを踏まえてカルバハルを下げてルーカス・バスケスを投入すると、72分にはベンゼマのパスがメンデスに当たってリフレクションしたボールがゴール前でフリーのヴィニシウスに渡りますが、ヴィニシウスのシュートは枠の上へ…。
そして遂にレアル待望の瞬間が訪れたのは76分でした。ネイマールからボールを奪ったルカ・モドリッチが爆進するようにカウンタードリブルを仕掛けるとヴィニシウスにスルーパス。しかしパリのDF陣の帰陣も素晴らしく、一度攻撃はトーンダウンしてヴィニシウスはモドリッチにボールを戻すしかなくなりました。しかしそのモドリッチはDFの股を通すパスで一気に局面打破。そしてこれを受けたベンゼマが右脚を振り抜き、世界のトップ・オブ・トップを詰め込んだようなゴールでレアル同点!
更にそこから息もつかぬ間に再び試合は動きます。ロドリゴのスルーパスに抜け出したヴィニシウスにはマルキーニョスが対応しましたが、そのマルキーニョスのクリアがミスパスのような形になり、それを掻っ攫ったベンゼマがそのままワンタッチシュート。「最高のベンゼマ」炸裂!!
完全に変わってしまった試合の風向き、ベルナベウの空気……近年、間違いなくその実力を付けているパリとて、伝統の名門が巻き起こしたその雰囲気を弾き飛ばせるだけの圧はまだ持ち合わせてはいませんでした。アディショナルタイム、メッシのFKも枠を逸れ……。ラウンド16最大の注目カードは、レアルがまさしくチャンピオンズリーグ史に残るような逆転劇で勝利しました!!
別に私、パリのファンでもなければレアルのファンでもなく、ましてやどちらのアンチでもない立場なんですよ。ただそれでも、どちらに肩入れしている立場ではなくとも…むしろそういう立場だからこそですかね。感動すら覚える試合でした。
ぶっちゃけ、試合前の時点ではパリ勝つと思ってたんですよね。第1戦の時のマッチレビューにも書いたと思うんですけど、今のパリのサッカーはパリがリードしている場面でこそその威力を発揮する…と。要は引き気味にしてネイマールやメッシを起点にムバッペを走らせる…とか、3人でとんでもないカウンターを何度も成立させられてしまうので、別にそれが入らなかったとしても恐怖を植え付ける事で牽制としての効果を持つ。実際、第1戦の終盤や今日の前半は少なからずそういう流れになっていましたし、なんならそれは後半の立ち上がりですらそうだったと思います。
その意味ではアンチェロッティ監督の采配と勇気は本当に見事でした。
クロースを下げるのって、なかなか賭けにも近かったと思うんですよ。言うまでもなく彼はレアルの攻撃の一歩目であり、ゲームメイクに彼の存在は必要不可欠。そして別に今日も極端に悪いプレーとかじゃなかった中でクロースを切った。要はこの時点でアンチェロッティ監督はゲームメイクを捨てて、カウンターされるくらいなら相手の最終ラインから潰してやれぐらいの精神でハイプレスとインテンシティーに全振りした訳です。パリのミス絡みといえばそれまでですが、結局1点目と3点目、なんなら2点目だってそういう形で生まれていますし。戦術的なメカニズムとしてパリの勝つ流れに飲まれ始めた中で、ゲームを壊す事でゲームを創ったあの采配と、それをいち早く体現したベンゼマとモドリッチという生き字引のような2人の奮闘は、レアル・マドリードというクラブが何たるかを誇示しているようにすら見えました。
歴史とは破壊と創造の中で生まれる…それは今日の試合を単体で見た時のアンチェロッティの采配であり、レアルの姿勢であり、そして彼らの歴史でもある。今の流れが続くのであればパリのポテンシャルに疑いの余地はないので、パリにとっては悲劇でもあり、ある種の教訓のような試合だったのではないでしょうか。
【うれしはずかしトーナメントのコーナー】
UEFAチャンピオンズリーグラウンド16 2ndレグ
※( )内は2戦合計スコア
バイエルン・ミュンヘン7-1(8-2)FCザルツブルク
レアル・マドリード3-1(3-2)パリ・サンジェルマン
マンチェスター・シティ0-0(5-0)スポルティングCP
クルトワのPKストップがここで効くトワ…
ではでは(´∀`)