RK-3はきだめスタジオブログ

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科学を超えた何か〜2023-24 UEFAチャンピオンズリーグ決勝戦 ボルシア・ドルトムント vs レアル・マドリード マッチレビューと試合考察〜

 

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教えて城之内!EUROの放映権はどうなってるの!?

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューは2023-24 UEFAチャンピオンズリーグ決勝、ボルシア・ドルトムント vs レアル・マドリードの一戦です!

 

 

 

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今シーズンが開幕する時、決勝がこのカードになると予想した人はそう多くなかったと思います。ドルトムントは言わずもがな今大会のダークホースのような立場でしたし、レアルはレアルでカリム・ベンゼマが退団。ティボー・クルトワの大怪我もあったりで、クラブとして「23-24は我慢して育てる年。勝負は24-25」という思考は決してゼロじゃなかったと思います。それが両チーム、ここに至るまでの数々の猛者を潜り抜け、6月初日のウェンブリー・スタジアムまでやってきました。

 

 

 

もちろん、UEFAチャンピオンズリーグはレベルだけで言えばW杯よりも上のところに位置するとさえ言われている大会ですから、技術や知力、前述の駆け引きのレベルの高さは多くのサッカーファンが見るべきものと言えるでしょう。

しかしそれでも、サッカーに限らず、スポーツというものは集団の、或いは個人としての人間ドラマの結集です。ビッグクラブではうまくいかず再起の場をドルトムントに懸けたサンチョやザビッツァー。今季はもう無理だと思われた怪我から戻ってきたクルトワ。早熟化が目立つ昨今に遅咲きのストライカーとして上り詰めたフュルクルク、ムバッペが来る前に2人の伝説を完成させたヴィニシウスとロドリゴ。そしてドルトムントからレアルへと戦いの場を移し、早すぎる邂逅を迎えたベリンガムがいれば、いちレアルファンとして2年前の決勝ではスタンドからレアルを応援していたのが、今回はクラブを決勝に導くゴールを決めたホセルのようなストーリーもあり、長きに渡ってレアル・マドリードの中盤で君臨し続けたトニ・クロースはその華々しいキャリアのクラブとしては最後の試合を考えられる最高のシチュエーションで迎え、これまで数多くの舞台を怪我で逃し続けたドルトムントの皇帝マルコ・ロイスは最後にその運の全てを収束させるかのように、12年前に涙を呑んだ地でのファイナルという舞台が用意された。一つを一つを突き詰めれば、このゲームは一つ一つの物語がサッカーの聖地に集結するような舞台と言えるでしょう。

感情とトレンドを両立させる…その意味に於いてこの2チームはこれ以上ない組み合わせなのかもしれません。さぁ、今年のヨーロッパサッカーのクライマックスです!

両チームスタメンです。

 

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本日の会場はイングランド、ロンドンのウェンブリー・スタジアムです。

 

 

言わずと知れたサッカーの聖地。南半球の聖地がブラジルのマラカナンなら、北半球の聖地がこのウェンブリーでしょう。2007年に建て替えられたスタジアムは旧時代を含めてチャンピオンズリーグ決勝の会場となるのは史上最多の8回目。レアルは歴代最多の優勝回数を誇っていますが、意外にもウェンブリーでの優勝経験はありません。対するドルトムントは12-13シーズン、今日でドルトムントを去るロイスのドルトムント1年目となったシーズンのCL決勝がこのウェンブリーでの試合でした。

 

 

試合は積極的に前に出て高い位置にボールを置いている状態をキープしながらプレーしようとするドルトムントと、自陣からのビルドアップでゆっくり前進していこうと試みるレアルという構図で試合が始まりましたが、その構図の中でより狙いを出せた、より押し込んで行ったのは明確にドルトムントでした。

ドルトムントはまずはハイプレスでレアルをレアル陣内に閉じ込めておくことで攻撃のスタートラインが高くなるような状況を作り、そこからサイドに振りつつ、インを取る事とそのまま突破する事の2つの選択肢をレアルに突きつけながらプレー。元々スピード感溢れるアタックには定評のあるチームゆえ、その攻撃は着実に明確なチャンスとしてレアルゴールを襲っていきます。

 

 

 

14分にはシュロッターベックのロングフィードをフュルクルクが収めて落とすと、2列目から飛び出してきたブラントのシュートは僅かに枠外。更に21分には自ら持ち運んだフンメルスのロングスルーパスにアデイェミが完璧な飛び出しを見せてGKとの1対1を迎えますが、この場面はクルトワの好対応が一枚上手という形に。更に23分にはマートソンのパスからフュルクルクがシュートに持ち込みますが、今度はポストに直撃。

 

 

前半はおそらく、レアルがドルトムントのCB2枚を中盤への配球役として捉えていたところを、前述のシーンのようにフンメルス、シュロッターベックの2CBががんがんキーパスを通し、それによって中盤のブラントもチャンスメイクではなくアタッカーとして動ける、即ちレアルからすれば予想外のところから差し込まれるパスに加えてケアしなければならない受け手が更に増えたという状況で守備は半分パニック状態になっていました。

28分には自陣からのカウンターをアデイェミがフィニッシュまで持ち込み、40分には左からのパスを受けたザビッツァーがミドル。しかしいずれもGKクルトワがファインセーブで阻止し、前半はドルトムントペースのまま0-0で終了。レアルとしてはどうにか堪えた形に。

 

 

しかし、ハーフタイムとは言ってしまえば流れを一度強制的にリセットできるフェーズでもある訳です。後に「ハーフタイムに少し怒った」と語ったアンチェロッティ監督はすかさず修正を施してきました。

ハーフタイムで流れをリセットできた事を利用し、まずはレアル陣内に閉じ込められていた試合展開を押し返していく動きを見せた上で、後半からはフンメルスとシュロッターベックの両CBに対し、ロドリゴ、ベリンガム、ヴィニシウスのいずれかが必ずしっかりとプレスで詰めに行くような前線での守備を徹底し、局面を着実に翻していきました。

 

 

 

49分にはクロースが直接FKを狙い、GKコベルのファインセーブで得たCKをニアサイドのカルバハルがヘッド。57分にもヴィニシウスのクロスをファーサイドに攻め上がったカルバハルが合わせてレアルは度々チャンスを創出するようになっていきます。

ドルトムントもアデイェミのクロスをフュルクルクがダイビングヘッドで合わせる場面はありましたがこれもクルトワが阻止。前半はハーフコートゲームの状況を確立していたドルトムントでしたが、後半からレアルの修正によりゲームエリアは縦に延び、ドルトムントは前半の肝でもあった両CBからのチャンスメイクをできる状態じゃなくなった事で試合はレアルペースになっていきました。

 

 

 

74分、レアルはCKがドルトムントのクリアミスになったところをバルベルデが狙って連続してCKを獲得。ここまで徹底的にニアサイドを狙っていたレアルはクロースがまたしてもニアに蹴り込むと、これに合わせたカルバハルが山なりのボールをファーサイドのネットに仕留めてレアル先制!クロース、マルコ・ロイス…2人の重鎮のラストダンスとして注目されたファイナルのスコアを動かしたのはもう一人の重鎮でした!

 

 

前半の攻勢で点を取れないまま後半に流れが変わり、それでも耐えていたドルトムントを繋ぐ何かの糸は先制点を機に一つ切れてしまったのか、そこからはレアルの面目躍如のようなゲーム展開になりました。

77分にはカマヴィンガの折り返しにベリンガム、80分にはクロースの直接FK、82分にはまたもCKからナチョのヘッドという好機があり、いずれも枠外やGKコベルの好セーブでどうにか2点目は回避していましたが、83分にはマートセンの横パスのズレを見逃さなかったベリンガムから最後はヴィニシウスが仕留めて2-0。レアルにとってはこれ以上ないほど大きく、ドルトムントにとってはあまりにも痛い2点目。

 

 

ドルトムントは直後に途中出場マレンのクロスをフュルクルクが頭で合わせてネットを揺らすもオフサイド判定により取り消しに。

その後はレアルが危なげなくゲームを進めて試合終了!レアル、21-22シーズン以来となる15回目のチャンピオンズリーグ制覇!!

 

 

お見事でしたね。なんと言いますか……それこそ21-22の決勝もそうでしたけど、レアルがレアルたる所以、アンチェロッティアンチェロッティたる所以が実によく出ていた決勝戦だったなと思います。

前半のドルトムントは素晴らしかったんですよ。前述のようにレアルのプレスが甘かった、或いはそこまで強くいく必要は無いと判断されていたCBのフンメルスとシュロッターベックのところから直接チャンスメイクをし、14分のシーンのようにブラントがアタッカーとしてレアルのケアせざるを得ないポイントを増やしたことでレアルは間違いなく混乱に陥っていました。そういう状況を作ったところで、サイドに振ってシンプルに縦、或いはインサイドを取る動きなどサイド攻撃の中で多彩なパターンを提示し続けていた。アンチェロッティ監督やレアルの選手も語っていましたが、前半がドルトムントのゲームだった事は間違いない。ただドルトムントがそこで取りきれなかった事、混乱しながらもレアルは無失点で乗り切った事もまた前半の事実でした。

そうなると……やっぱりアンチェロッティ監督はそこを上手く修正してくるんですよね。後半からはベリンガムを含めた前の3枚で確実に両CBをケアするようにした上で、ドルトムント自体を押し下げていく事でそもそもCBが前に絡んでいけないような状況にしていった。そこからはもう……言ってしまえば時間の問題と言っていいような状況でしたし、ドルトムントは押し返すにはあまりにも苦しいシチュエーションになっていた。それでもGKコベルの好セーブもあってなんとか耐えていましたけど、やっぱり一発やられてから決壊してしまうのは自明の理ではあったのかなと。陳腐かつ月並みにも程がある表現ですが、ドルトムントは前半に点を取れなかったことが全てだった。やっぱりこういう決勝戦というイレギュラーな舞台で、それこそ去年のマンチェスター・シティのような完全無欠のチーム、今年や一昨年のレアル・マドリードのような手練手管の極みのようなチームに勝つならば、やっぱり前半のうちに1点は取らなきゃならないんだろうな…と。

 

 

 

結局のところ、やっぱりもうレアルマドリードアンチェロッティはすごいとしか感想が出ないです。

ドルトムントは最後に決め切ることだけを除けば勝つ為に必要な事は全てやった。ただレアルに関しては、この決勝戦という舞台において何かしらの確率を全て自分達の方に収束させていく、何か科学で説明のできない神通力じみたものは持っているのだろうなと。それはホセルの2ゴールという劇的すぎた準決勝の展開も然り。そしてそれを司るアンチェロッティとそれに応える選手達……レアル・マドリードというチームはつくづく、狂気的なバランス感覚と狂気的なフィーリングでもって生きているんだろうなと。改めてこのチームの凄さ、恐さ、ロマンティックさを感じさせてくれました。素晴らしいゲームでした。

そして何より、トニ・クロースマルコ・ロイスという2人の英雄に敬意を込めて。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

2023-24 UEFAチャンピオンズリーグ

優勝:レアル・マドリード(スペイン)

準優勝:ボルシア・ドルトムント(ドイツ)

ベスト4:バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、パリ・サンジェルマン(フランス)

ベスト8:マンチェスター・シティ(イングランド)、アトレティコ・マドリード(スペイン)、アーセナル(イングランド)、FCバルセロナ(スペイン)

 

 

ウェンブリーーーーーー

ではでは(´∀`)