明日はサンガvsガンバにいきます
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第31節、FC町田ゼルビア vs 北海道コンサドーレ札幌の一戦です。
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町田と札幌は共に延期試合がないので今年のJ1も残り8試合となりました。いよいよお互いの立場を巡る争いにはリアリティと生々しさが生じる季節。実力やチームの完成度を下敷きに、その上に流れやプレッシャー…非科学的な要素が絡むこの終盤戦、立場は対照的であり、しかしある意味では似た立場なのかもしれない…この時期の上位vs下位はそういう矛盾も孕むゲームになってきます。
首位に立つ町田の優勝争い、未だ19位でこそあるものの降格決定的とさえ言われたところから残留争いのフェーズまで盛り返した札幌。勝利のペースは一時期より鈍化しつつも、それでも勝点0のゲームをどうにか1に持っていく粘り強い戦いはできている町田ですが、1だけでは差される可能性が高い事は彼ら自身が一番よくわかっているはず。一方の札幌はもう止まれない…1ですら致命傷になりかねない状態にの中で、夏の大型補強も通じて本気で足掻く事は出来ている……意味の異なるスリルとサスペンスが交錯する秋口の夜。理屈とフィーリングを拳に変えるような決闘が始まります。
両チームスタメンです。
町田は3-0で勝利した前節福岡戦からのスタメン変更は1人。福岡戦では前半に中山雄太と昌子源が負傷退場するというアクシデントに苛まれましたが、昌子は復帰した一方で中山は欠場を強いられ、CBにはドレシェヴィッチが第26節湘南戦以来の先発に名を連ねています。また、ルヴァン杯での退場で公式戦2試合出場停止となっていた藤尾翔太がベンチに復帰しました。
前節は東京Vに0-2で敗れた札幌は大﨑玲央と荒野拓馬が出場停止、髙尾瑠が負傷という事もあってスタメンを2人変更。今日はシステムを3-4-2-1から宮澤裕樹をアンカーに配置した3-1-4-2システムを採用しており、スパチョークと鈴木武蔵が2トップを組む形となっています。また、ルヴァン杯から復帰した深井一希がリーグ戦では2023年9月以来のベンチ入りを果たしています。
本日の会場は東京都町田市、町田GIONスタジアムです。
⚽️𝐌𝐀𝐓𝐂𝐇𝐃𝐀𝐘⚽️
— FC町田ゼルビア (@FcMachidaZelvia) 2024年9月21日
残り8試合。一戦必勝🔥
リーグ戦1ヶ月ぶりの #天空の城 でのホームゲームに臨む☁️🏰☁️
🗓️9/21(土)19:00 K.O.
🆚北海道コンサドーレ札幌
🏟町田GIONスタジアム
⚔️明治安田町田支社マッチデー
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今日の試合ではハーフタイムに「ZELVIA BLUE FANTASY」と称したスタジアムの暗転+ライトアップ演出を行うにあたってスマホシールが配布される他、ハーフタイムにはABEMAで放送している番組「ゼルつく」とのコラボメンバーで、同番組に出演する谷原章介氏、土佐兄弟らがゲスト出演します。
サイバーエージェントがゼルビアの運営に本格参入するようになって以降、山奥にある立地の不便さを逆手にとった「天空の城 野津田」の設定を徹底しているスタジアム。元々は町田市の市制30周年を記念した事業の一環として体育館や市民プールの整備と並行して建設され、後に横浜フリューゲルスとなる全日空横浜サッカークラブはJリーグ参入に際し、このスタジアムを本拠地として町田に移転する計画もありました。ちなみに札幌はJFL時代の1996年にコスモ石油四日市FCとの試合にてこのスタジアムでホームゲームを開催した過去も。
大方の予想通り、札幌がボールを持って高い位置を取りながら町田がそれを翻すようなカウンターを狙う展開で序盤から進んで行きました。
札幌は2トップにボールが入る場面こそ作ってはいましたが、FWが危険なエリアに入る前に、或いは入っても追い出されるような守備を町田に喰らう形となり、一方ロングボールから札幌のマンツーマン守備を個人が剥がす、ないしは常にフォローの選手が近くを走る事でポストプレーで一気に抜け出す形を構築。最初の決定機も町田で、7分には昌子のロングフィードを受けて反転してDFを振り切った藤本一輝の折り返しに中島が飛び込むも僅かに合わず。その後も町田は立て続けに中島、オ・セフンがシュートに持ち込むなどカウンターでリズムを構築し、逆に札幌は町田のニコイチ的な攻撃を前にマンツーマン守備が裏目に出るような時間が続いていました。
しかし町田は今日は札幌に対して、プレスを積極的にかけるよりは構えて守る形を選択していましたが、それに対して札幌は両WBが高い位置を取りつつワイドな位置を取り、今日はゾーン気味に守る町田守備陣の人と人との間を2列目に入った青木亮太や駒井善成がスペースを縫うように入り込んでいく事で流動的な攻撃を見せられる場面は増えていきました。
前半の終盤は完全に札幌がリズムを掴んでいきました。札幌のスピード感のある攻撃を前に町田のライン設定が少し曖昧になり始めており、同時に町田は立ち上がりはロングボールに対してポストプレーヤーともう1人を走らせる形でリズムを作れていましたが、時間経過と共にもう1人の方が札幌のボールホルダーをケアしに行かなければならない状態になった事で町田は序盤のようなロングボールからのリズム構築が出来なくなっていきます。
一方で札幌は流動的な攻撃でショートパスとコンビネーションを駆使した打開やロングレンジ気味の攻撃を仕掛けられるようになっていたものの、45分に自陣から持ち上がった宮澤裕樹のスルーパスにスパチョークが抜け出した決定機…と思われた場面は昌子がギリギリで阻止。お互いに攻撃のリズムは掴み、一方で守備に誤算を抱えた前半ではありましたが、両者ともそれがなかなかシュートシーンには至らないままスコアは動かず0-0で後半へ。
町田は後半から中島を下げて藤尾翔太を投入。札幌も後半開始直後に宮澤が負傷退場となり深井一希を投入します。
後半は町田が4-4-2で組んだ陣形を一段階高いところに設定し、守備というよりも攻撃の最終ラインを高い位置で保てるように組み直した事で、前半のやや構える形を採っていたスタンスからハイプレスを仕掛けていく形に変更。それに伴い町田はより強度の高い試合展開に札幌を誘おうと試みてきました。ただ札幌も今日は前半の反省も踏まえてか、町田がサイドにボールを入れて押し込んでくる展開になった際には割り切った形で守備を行い、町田も良いクロスまでは行くものの、そこがエリア内の選手となかなかに合わず。
逆に札幌は町田が高い位置を取ってきた事で、逆に鈴木武蔵が裏抜け、或いはスパチョークや駒井をフォローに走らせるポスト役として活躍しやすい形になり、ある意味では前半の町田のような攻め方を札幌がするような形になっていきました。しかし札幌も何度か裏に抜けてラインブレイクできた瞬間はありましたが、そこからの帰陣の速さはやはりさすが町田と呼ぶべきか……町田も札幌も、シュートの一歩前までは辿り着くまでそこから先を斬りきれません。
町田は67分に藤本とオセフンを下げて相馬勇紀とミッチェル・デューク、札幌は77分に馬場と鈴木を下げて菅大輝とジョルディ・サンチェスを投入。札幌は81分にドリブルで切り込んだ菅がミドルを放つもGK谷晃生が阻止。直後に町田も白崎凌兵の折り返しを林幸多郎が反応するも枠を捉えられず。お互いに連続して決定的な場面が訪れます。
町田は84分に左サイドでボールを持った相馬が持ち直して右足でクロスを入れるとデュークがヘッド。僅かに枠を逸れて札幌は事なきを得ますが、このシーンでポストに激突する形になったGK菅野孝憲が負傷退場となり、札幌はJ1初出場となるGK児玉潤を緊急投入。ここからは町田が一方的に攻める展開となり、左サイドで相馬が巧みなステップワークから高精度のクロスを連続して入れ、そこにデュークが競り、そこから生まれる混戦を誰が取るか…という攻防戦が続いていきました。
アディショナルタイムには相馬の盾突破からのクロスを菅がブロック。このプレーがハンドの可能性を問われてVAR審議となりましたが、審議の末に判定はノーハンドに。ラストプレーのコーナーキック、相馬のクロスボールを杉岡が押し込もうとしますが…ポストに跳ね返されてゴールには至らず。
お互いの立場が焦燥感を生む死闘。こじ開けきれなかった町田、どうにか耐えた札幌。勝点1を分け合う結果となりました。
面白いゲームでしたね。壮絶な死闘、手に汗握るとはこの事…と。
町田にしても札幌にしても、前半はお互いの色、お互いの強みを出そうとした試合展開になっていましたが、その中で町田は札幌のマンツーマンを如何に瓦解させるか、逆に札幌は町田のDFとDFの間のスペースをどうやって拡げさせて、そこに誰を走らせるか…というところにアプローチしていくような試合展開でした。まず町田としては、町田のロングボールとそれに追随するアタッカーのコンビネーションでのカウンターが決まりまくっていた開始20分までに先制出来なかった事は痛手でしたね。札幌もあのタイミングからさすがに修正をかけてマンツーマンに寄らないような守備体形に調整してきましたし、そうなると今度は札幌のターンに試合が回ってきた。マンツーマンを剥がす事でスペースを蹂躙しに行ったのが町田なら、札幌はゾーンの間を縫う事でスペースを瓦解させようとした…前半はその対比が興味深い展開でしたが、そこは両チームとも最後のところで踏ん張っていました。
後半に関してはまず町田がハイライン、ハイプレスを敷くようになった事で、カウンターのリスクを加味しても町田が敵陣でプレーし続けられる状態にシフトしてきましたし、後半の町田はコンパクトな陣形で札幌を押し込む事ができていました。一方の札幌も、今日に関しては彼らもある程度勝点1でも良しと割り切る姿勢を見せていた事、鈴木武蔵を最前線にいた事で裏抜けとポストプレーの選択肢を1人で2つ提示できるようになっており、押し込まれていた展開の中でもスパチョークや駒井、青木がしっかりとそこに絡んでいく意識を持てていたのは好材料だったと言えるでしょう。
後半は完全に町田が手札を切り、そして札幌がそこへの対応を迫られる形になっていました。後半開始からのハイラインハイプレスへの転換もそうでしたし、町田が高い位置に設定した最終ラインでボールを動かせるような状態になってから相馬とデュークのW投入で相馬のクロス→デューク競り合う→デュークがそのまま狙うor混戦を誘発するという流れを段階的に構築した試合のストーリーの作り方は効果的だったと思いますし、札幌も残留争いというタフな状況の中で「割り切るべき時は割り切る」「首位相手の勝点1なら良しとする」という事を実践できていた。後半は町田のキャラクター、札幌のキャラクターと少し異なる展開になっていたところは興味深いポイントでしたが、それがお互いに何かを懸けた終盤戦というものなのでしょう。面白いゲームでしたね。
ではでは(´∀`)