ACL広島問題を考える〜前編・Jリーグというリーグの事情〜

そういえば今年ってスルガ銀行チャンピオンシップどうするの?

 

どーもこんばんは

 

さてさて、今回はクラブレベルの国際大会のお話です。Jリーグが開幕して第2節を終えたタイミングで2019JリーグYBCルヴァンカップが開幕。そしてその前日から、今年もアジア王者を決める大会、AFCチャンピオンズリーグが開幕しました。

 

 

 

日本勢は今年は昨年のJリーグ王者である川崎フロンターレ天皇杯王者である浦和レッズ昨年のJ1で2位のサンフレッチェ広島、そして昨季のJ1で3位かつ、ディフェンディングチャンピオン鹿島アントラーズの4チームが出場。

3月5日、6日に行われた初戦は敵地での戦いに挑んだ川崎が惜しくも中国の上海上港に敗れた一方で、リーグ戦では不調気味の鹿島と浦和が共に初戦をホームで勝利で飾りました。

そしてこの第1節で話題になったのが、サンフレッチェ広島のスタメン問題です。

 

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広島は3月5日の初戦で、敵地で中国の広州恒大と対戦しました。

詳しくは先日更新したACLグループステージ展望のブログも見て頂きたいのですが、今大会でグループFに入った広島は広州恒大本田圭佑の所属するオーストラリアのメルボルン・ビクトリー、韓国の大邱FCと同居。グループの力関係としては、広島、メルボルン大邱の3チームが拮抗している印象で、そして広州恒大が明らかに頭一つ抜けている…という力関係になっていて、恐らく首位通過は広州恒大でほぼほぼ決まりだろうと予想されています。となると、焦点はどこのチームが2位通過を果たせるかで、その上では3チームの直接対決の結果は勿論、広州恒大から勝点1でももぎ取る事」がグループステージ突破への大きなポイントとなってきます。

 

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そんな大事な広州恒大戦がいきなり初戦から訪れた広島ですが、0-2で敗れた試合結果よりも話題になったのがこの日の広島のメンバー構成です。

ACL出場をかけたプレーオフのチェンライ・ユナイテッド戦、J1開幕戦の清水エスパルス戦、第2節のジュビロ磐田戦、そしてACL初戦の広州恒大戦とその次の試合である第3節セレッソ大阪戦のメンバーを並べてみました。

 

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…これを見れば一目瞭然ですが、今季初公式戦で格下相手でもあったチェンライ戦は別としても、リーグ戦の3試合はほぼ同じメンバーで戦ったにも関わらず、ACL初戦の広州恒大戦では第2節磐田戦のスタメン11人全員を変更する露骨なターンオーバー制を導入するなど、明らかなBチームという構成で、アジアトップクラスの実力を持つ広州恒大との試合に臨んだ訳です。

広島は2013年、2014年、2016年と過去に出場したACLでもメンバーを落として戦った事が多々あり、その都度批判を浴びてきました。しかしその際は「スタメンの半数を入れ替え」だったり「遠征メンバー(ベンチ入りメンバー)にはレギュラーを帯同させておく」程度のものだったのに対し、今回は初戦からスタメン全員入れ替え+リーグ戦スタメンの遠征帯同メンバー3人+11人中5人が今季の公式戦初出場という有様で、国内外から多くの批判を受けてしまっています。

 

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私個人の意見としては、まず前提として今回の広島のACLを捨てたと言われても文句は言えない姿勢を肯定するつもりはありません。

言うまでもなくACLはアジア王者を決める大会で、前年のJリーグ天皇杯で好成績を残した選ばれしチームが日本を代表して戦う大会です。ましてや今年は、2017年の浦和、2018年の鹿島と続く日本勢3連覇も懸かっている訳ですから、広島のその可能性を担うチームとして戦って欲しい…と思っています。

その一方で、肯定はしない事を前提としても、「絶対に批判を喰らう事がわかっているけどこういう手段を取らざるを得ない広島の事情」というのもあって、「肯定はしたくないけど、理解は出来る」というのが私の感想というか、以前から度々話題になるACLターンオーバー問題への私の見解です。

という訳で今回は、広島が今回のようなやり方を選ばざるを得なかった理由について書いていきたいと思います。

 

その理由は大きく分けると

JリーグACLを並行して戦う事の難しさ

②広島のクラブ規模

③近年のJリーグ勢にとってのACLの存在意義

この3点になると言えます。

という事で、①から順に解説させて頂きます。

 

 

 

JリーグACLを並行して戦う事の難しさ

 

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まず、ACLを戦う事で真っ先に言われるのが過密日程の影響です。ACL以外にもルヴァン杯天皇杯などで勝ち進むとスケジュールがとんでもない事になってしまい、例えば2008年、2015年のガンバ大阪、2018年の鹿島辺りは「殺人スケジュール」とまで言われたりしていました。

この過密日程に関しては、「過密日程でビクともしないチームこそ強いチーム」というような意見もありますが、それはそれで間違いでは無くとも、ここでJリーグという「クラブ間の実力差が拮抗している」という難しい特性が働いてきます。

 

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ACLを見ていると、中国勢や韓国勢は毎年、大体出場チームが似たような顔触れである事に気付きます。今季のACLの韓国勢は少しフレッシュな顔触れだったりもしましたが、基本的にこの2ヶ国は強いチームとそうでないチームのヒエラルキーがハッキリしていて、過密日程で疲労が溜まろうがリーグ戦でターンオーバーを敷こうが、結局リーグ上位に広州恒大だの上海上港だの、全北現代だのが居座る形になるので、ACLをマイナスと捉える必要がそこまでないのです。

一方でJリーグは戦力格差が小さい為、ACL出場チームは頻繁に変わっています。日本から4チーム出場するようになった2009年以降の出場チームをザッと纏めてみました。

 

2009年→鹿島G大阪川崎名古屋

2010年→鹿島G大阪川崎広島

2011年→名古屋鹿島G大阪C大阪

2012年→FC東京名古屋G大阪

2013年→広島仙台浦和

2014年→広島横浜FM川崎C大阪

2015年→G大阪浦和鹿島

2016年→広島G大阪浦和FC東京

2017年→鹿島浦和川崎G大阪

2018年→川崎C大阪鹿島

2019年→川崎浦和広島鹿島

 

このように並べてみると、鹿島、川崎、G大阪辺りはコンスタントに大会に出場していますが、日本のACL出場チームは毎年のように半数のチームは入れ替わっています。2014年大会から2015年大会に至っては出場チーム総替えのような状態にまでなってしまっているほど。前述のように鹿島、川崎、G大阪、後は浦和辺りはコンスタントに出場しているとは言え、4チームともちょこちょこ出場していない期間があるなど、広州恒大全北現代に対して思うようなものとは異なっているのがわかります。

 

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結局、これがどういう影響をもたらすかと言うと、Jリーグのような実力差の拮抗したリーグでは上位を約束されたようなチームというものは殆ど無いが故に、過密日程がもたらす少しの失速がそのまま一気にJリーグの順位に反映されてしまうという事です。

実際問題、ACLに出場したシーズンにJ2に降格した、という本来ならレアケースもレアケースであるような事例がJリーグではここ10年で3件も起こってしまっていて(2012年G大阪、2014年C大阪、2018年柏)ACLに出場したシーズンの順位が10位以下だったケースも9件起こっています(2011年C大阪、2012年FC東京G大阪、2013年柏、仙台、2014年C大阪、2015年柏、2017年G大阪、2018年柏)

 

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更に顕著なのが過去のACLを制した日本勢のJリーグでの成績で、2007年の浦和、2008年のG大阪、2017年の浦和、2018年の鹿島の4チームは全てリーグ戦での優勝を逃しているのみならず、2007年の浦和以外の3ケースは夏頃にはリーグ戦優勝の望みがかなり薄くなっていました。

今話題になっている広島が「ACLを捨ててリーグをとった」という構図なら、2008年のG大阪、2017年の浦和、2018年の鹿島は優勝の望みが薄くなったリーグ後半戦は「リーグを捨ててACLをとった」ような構図になり、実際にG大阪と浦和は中位でフィニッシュ。昨季の鹿島はなんやかんやで3位でシーズンを終えましたが、終盤戦はリーグ戦でがっつりターンオーバーメンバーを起用しているなど、ACLに一本化出来る状況だった事が優勝出来た一つの要因だったと言っても過言ではないでしょう。

一方、ACLでも勝ち進みリーグ戦でも最終盤まで優勝の可能性を残すなど、現実的に二冠を狙えそうになったケースは2007年の浦和と2015年のG大阪の2ケースのみで、結局2015年のG大阪ACLではベスト4で敗れ、リーグ戦も2位で終了。そもそもリーグ戦で最後まで優勝の可能性を残していたのは、当時は2ステージ制だったという事情もありました。

過去最もリーグとACLの二冠に近づいたと言える2007年の浦和にしても、ACLを獲得してから疲労が祟って大失速を喫し、最終節ではぶっちぎり最下位だった横浜FCに敗れて一度は手中に収めかけた優勝をみすみす逃してしまいました。

 

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結局のところ、レベル差が小さくてどこが上位に来るかわからないという事がJリーグの一つの魅力である事は間違いありませんが、同時に今のJリーグの状態でリーグ戦とACLの二冠というものは相当に困難なミッションであり、現実問題としてどこかでリーグかACL、どちらに本腰を入れるか選ばなくてはいけない時が訪れてしまう…という事情があります。

そう考えると、広島にとっては最初からリーグに照準を絞った形になりますし、例えば昨年、似たような事をやって批判を受けたセレッソ大阪にも同じような事が言えるでしょう。こればっかりは一長一短ですから、今すぐにどうこうしろと言える話ではないにせよ、今のJリーグのそういう状況が今回の広島のようなケースを産んでいるのは事実で、同時にそもそも広島がACLに出場している事そのものが証明とすら言えます。

 

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…想像以上に長くなってしまったので、若干中途半端ではありますが②③は次回に持ち越させて頂きます…次回もよろしくね。

 

 

 

そういえばセレッソはスル銀でもターンオーバーしてたなぁ…。

ではでは(´∀`)