ガンバの事情に右往左往…
どーもこんばんは
さてさて、激動の2021年シーズンのカレンダーも、残すところはあと1試合となりました。12月19日、天皇杯決勝…浦和レッズvs大分トリニータの一戦が近付いてきております。
天皇杯JFA第101回全日本サッカー選手権大会決勝
2021年12月19日@国立競技場
8度目の優勝を狙う浦和か、クラブ史上初…そして九州勢としても1964年以来となる優勝を狙う大分か!両者にとって、それぞれの「答え」を出す一戦は日曜日にキックオフ!今年はカタールW杯アジア最終予選の日程を考慮して年内開催という形になりました。
そんな注目の一戦を前に……今回のブログでは、天皇杯決勝や浦和vs大分というカード、それぞれのチーム事情にまつわるトリビアを紹介していこうと思います。これを読んでから決勝を観れば、決勝が一層面白くなるとかならないとか…!是非お付き合いください。
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#1 "新時代"か、"集大成"か…
浦和にとっての2021年はまさに大改革の一年だった。昨季の大槻毅監督体制から少しずつ進めていった世代交代のギアを更に入れ、選手補強も小泉佳穂や平野佑一などJ2で台頭した選手を中心に迎え入れた上で酒井宏樹や江坂任といった大物も獲得。そして監督には徳島をJ1昇格に導いたリカルド・ロドリゲス監督を招聘し、新たなスタイル確立に着手した今年はまさに「新時代の幕開け」と呼ぶに相応しいシーズンだっただろう。この天皇杯を獲得出来れば、新時代の最初の1ページとしてこれ以上華々しいものはない。
対する大分はJ2降格が決定し、J3での戦いを余儀なくされた2016年から指揮を執る片野坂知宏監督の今季限りでの退任が既に発表されている。J3優勝、J1昇格、そしてJ1での躍進…クラブ規模の小さい大分に片野坂監督が6年間で築いた「カタノサッカー」は非常にセンセーショナルで、ここ数シーズンのJリーグで魅力的なチームの一つで在り続けた。天皇杯決勝は勝って負けても片野坂体制でのラストゲーム。J2降格は残念だったが、天皇杯を優勝すれば…6年に及ぶカタノサッカーのラストとして、これほど美しい終わり方はない。
"新時代"か"集大成"か……正反対のモチベーションがぶつかり合う試合となる。
#2 今年は12月開催!
前述の通り、来年1月にカタールW杯アジア最終予選の日程が組まれている事、カタールW杯が11月開催である事から、来季はそもそもリーグ全体の日程を前倒し気味で進めなければならない事、また、今季のJリーグは20チーム体制で試合数が増加した事でオフを確実に確保する為…といった理由から今季は2021年内に開催される事となった。
天皇杯決勝が元日に行われる事が定着した1968年大会以降、12月に決勝戦が行われるのは3年振り3回目。一度目はG大阪が三冠を達成した2014年。前回は2018年大会でこの時は浦和が仙台を1-0で下して優勝している。過去の2回はAFCアジアカップが1月に開催される事が理由となっていた。また、元日決勝が定着した1968年の決勝は浦和の前身である三菱重工業サッカー部が出場していた(結果は準優勝)。
尚、2014年大会は日産スタジアム、2018年大会は埼玉スタジアム2002での開催だった為、国立競技場で12月に行われるのは初めてとなる。
#3 勝てばJリーグクラブとしては史上最多!そして通算タイトル獲得ランキングでは…
浦和が優勝した場合、前身の三菱重工時代を合わせれば通算8回目の優勝となる。現在最多優勝記録を持っているのは慶應義塾体育会ソッカー部の9回なのでまだ及ばないが、浦和が勝利すれば現在Jリーグチームとして活動しているチームの中では史上最多の優勝回数となる。なお、Jリーグ開幕(1993年)以降では鹿島アントラーズの5回が最多。
また、浦和が勝利すれば浦和レッズとして獲得したタイトルは通算9個目となる(J1リーグ1回、リーグ杯2回、天皇杯4回、ACL2回)。Jリーグクラブの歴代タイトル獲得数で浦和は現在3位となっているが、タイトル数を9に伸ばせばガンバ大阪と並んで2位タイとなる。
#4 勝てばもちろん初優勝!そして九州勢としては…
大分は天皇杯での決勝進出は初めてなので、当然ながら優勝すれば初の天皇杯獲得となる。ちなみに、大分は2008年にナビスコ杯を制した経験があるので、三大タイトル獲得回数で言えば2回目となる。
また、過去に九州勢が天皇杯で唯一優勝を飾ったのは1964年大会の新日本製鐵八幡サッカー部であるが、この時は古河電工(現:ジェフユナイテッド千葉)との史上唯一となる両チーム優勝だった。その為、大分が優勝すれば単独優勝は九州史上初となる。なお、九州勢の決勝進出は同じく八幡製鐵が1965年大会に準優勝を果たして以来である。
ちなみに、八幡製鐵はJリーグ開幕時には参加も打診されたが親会社の業績もあって断念。その後1999年に廃部となった。しかし選手の一部は三菱化成黒崎サッカー部の選手としてプレーを続け、この三菱化成黒崎サッカー部は後にニューウェーブ北九州を経て現在のギラヴァンツ北九州になっている。
#5 大分が優勝したらACL。過去にACLに出場したJ2クラブは…?
天皇杯優勝チームには2022年のAFCチャンピオンズリーグ出場権が与えられるので、浦和はともかく、J2降格が大分が勝ったらどうなる?というのは多くの人が気になるところであろう。
実は過去、一度だけJ2クラブがACLに出場した事例がある。2004年大会の優勝チームである東京ヴェルディ1969(当時)が、J2のクラブとして初めてにして唯一となるACL出場となった。ただし、この年は東京VのグループFに組み込まれた4チームのうち2チームが失格となった為、実質的に蔚山現代とのホーム&アウェイ方式に近い形となり、そして敗れたので2試合しか行っていないので、6試合をフルでACLを戦うことになれば大分は史上初となる。
また、前述の東京VがACLに出場した際は、例えば2004年大会の優勝チームは2006年のACLに出場するレギュレーションになっていた為、東京Vにとっては[天皇杯優勝→J2降格→ACL出場]という流れになっていた。その為、2002年大会に優勝した京都パープルサンガ(現:京都サンガFC)にも2004年大会への出場資格があったが、2003年にJ2降格となった影響もあって出場は幻のに終わっている。
#6 スペイン人監督、初の決勝戦。
2017年に徳島ヴォルティスの監督として初来日して以降、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督と並んで最も強い存在感を放っているとも言えるリカルド監督だが、スペイン人監督が日本のカップ戦で決勝戦で指揮を執るのはルヴァン杯を合わせても史上初めてとなる。近年な監督の国籍のバリエーションも増えてきたJリーグ事情だが、リカルド監督はスペイン人監督として初のタイトル獲得を成し遂げる事が出来るか。
ちなみに、日本人とブラジル人を除けば天皇杯ではドイツ人監督が多く結果を残している。ギド・ブッフバルト監督が浦和で2度、ゲルト・エンゲルス監督が横浜Fと京都で1回ずつ優勝しており、近年ではトルステン・フィンク監督が神戸で天皇杯優勝を果たした。
#7 近年は天皇杯初優勝チームが生まれがち。でもその中で…
大分が優勝したら天皇杯初優勝となる事は前述の通りだが、大分が優勝した場合、天皇杯は3シーズン連続で初優勝チームが誕生する事になる(2019年神戸、2020年川崎)。更に大分が優勝した場合は、2017年のC大阪も含めて過去5シーズンのうち4チームが初優勝チームという事になるのだ(ただし、C大阪は前身のヤンマー時代には天皇杯を獲得している)。しかし2017年以降、唯一複数回目の優勝を果たしたのが他でもない2018年大会の浦和であり、浦和が優勝すれば近年の天皇杯は初優勝or浦和という形になってくる。
#8 古巣対戦になるのは誰?
浦和のGK西川周作、今季から移籍していたMF田中達也の2人にとっては古巣対戦になる。特に西川は大分出身で大分ユースで育った選手であり、大分への思い入れは間違いなく強い。西川にとっては「最も待ち望んでいた対戦」であり、同時に「最も避けたかった対戦」という両方の側面を持っている事だろう。
大分で言えば梅崎司が古巣対戦になる。ただし梅崎の場合は元々が大分、及び大分ユースの出身であり、西川とはユース時代の同期でもあった。
#9 片野坂監督、隠れ天皇杯マスター…?
大分が勝てば初優勝である事はここで既に何度も触れているし、そうなれば片野坂監督にとっても監督として初のタイトルとなる。
一方、片野坂監督はガンバ大阪、サンフレッチェ広島でコーチを務めていた際に数多くのタイトル獲得に貢献。特にガンバ大阪は過去に4度の天皇杯優勝を果たしているが、片野坂監督はその全てにコーチとして携わっていた。優勝は果たせなかったが、広島時代にもコーチとして2013年大会の決勝に出場しているので、コーチとしては天皇杯決勝を5回も経験している。
#10 J2降格が決まりながら決勝に進んだ大分。過去に事例は?
大分は来季をJ2で戦うことが既に決まっていなごら決勝まで進んだ事が大きく話題になっているが、J2リーグが開幕した1999年以降、大分同様にJ2降格が決まっていながら決勝進出を果たしたケースは過去に3回ある。
2001年に最下位で降格したセレッソ大阪は鹿島・浦和を下して決勝に駒を進め、清水との決勝戦では2点ビハインドをラスト10分で森島寛晃、尹晶煥のゴールで追い付く粘りを見せたが、最後は延長戦にバロンのVゴールにより敗れた。2007年は京都との入れ替え戦に敗れて降格が決まった広島は準決勝でG大阪を下しながら決勝に進んだが、決勝では同年のJ1王者である鹿島に完敗。2012年にはまさかの降格となったG大阪がC大阪、鹿島を下して意地の決勝進出を果たし、決勝の柏戦では終始試合を優勢に進めたがセットプレーでの一発により準優勝に終わるなど、J2降格を喫しながら決勝まで進んだチームは今のところ全て準優勝に終わっている。
ちなみに、今年の大分を含めた該当4チームは準々決勝以降で同年の三大タイトル獲得チームを撃破しているという共通点がある。C大阪が鹿島(J1)、広島がG大阪(ナビスコ杯)、G大阪が鹿島(ナビスコ杯)、そして大分が川崎(J1)。なお、大分は準々決勝で磐田を下している為、J2王者とJ1王者を撃破した事になる。
#11 天皇杯決勝に強い!?
ルヴァン杯では最多準優勝数を記録するなど決勝で敗れる事が多い浦和だが天皇杯決勝での勝率は高い。浦和レッズとして出場するようになった1992年以降で天皇杯決勝には4度出場しているが、その戦績は3勝1敗である。勝利した相手は2005年が清水、2006年がG大阪、2018年が仙台となっており、唯一決勝で敗れたのは2015年のG大阪。スコアは全て1-0か2-1である。
余談だが、歴代で最も準優勝が多いのはサンフレッチェ広島。サンフレッチェ広島としては5度、前身の東洋工業時代を合わせると実に11回もの準優勝を記録している。
#12 オーラス片野坂監督!過去に有終の美を飾れた監督は?
今季限りでの退任が既に発表されている大分の片野坂監督。天皇杯は日本サッカーのカレンダーの最終日程として組み込まれるので、浦和の阿部勇樹のような引退選手にとってもそうだが、クラブにとっては「監督の最後を飾ろう」というモチベーションが生まれる事も多く、それも一つの大会魅力であると言えよう。
Jリーグが開幕した1993年以降(それ以前は多すぎる&資料少なすぎるので割愛…ごめんなさい)、天皇杯決勝が監督としての最終戦となった人物は14名(コーチやフロントへの異動でチームには残った者、その後再び同チームの監督に再任した者も含む)。そのうち、決勝戦に勝利して優勝を飾ったのは1996年のエメルソン・レオン(V川崎)、2003年の柳下正明(磐田)、2006年のギド・ブッフバルト(浦和)、2011年の大熊清(FC東京)であり、特に1996年と2003年は対戦相手の広島(ピム・ヤンセン)とC大阪(塚田雄二)も最終戦となっていた。
#13 両チームの天皇杯決勝経験者は誰?どのくらい?
浦和は前回の決勝進出が2018年である為、やはり決勝出場者も多い。今季の所属選手のうち、優勝した2018年大会の決勝戦に出場していたのは西川周作、宇賀神友弥、岩波拓也、槙野智章、阿部勇樹、柴戸海、興梠慎三の7名。柴戸以外は先発で、この試合は宇賀神のゴールで仙台に1-0で勝利している。上記の7名以外では山中亮輔、西大伍、関根貴大も天皇杯決勝戦の出場経験を持ち、そのうち2019年に神戸の選手として出場した西が優勝を経験した。
対する大分は、浦和と比較するとやはり天皇杯決勝出場経験者は少ない。そんな中でも数少ない決勝経験者が梅崎司と長沢駿であり、この2人は2015年大会決勝でそれぞれ浦和とG大阪の選手として対峙。最終的に長沢、そして片野坂監督がコーチとして所属したG大阪が勝利して優勝を飾っている。ちなみに天皇杯では無いが…呉屋大翔はG大阪でのルーキーイヤーとなった2016年のルヴァン杯決勝で、浦和相手のPK戦で自らのPK失敗により敗れた因縁を持つ。
決勝戦が終われば、どうしてもどちらかが笑い、そしてどちらかが泣きます。それは確かです。
しかし、そもそも決勝に進出する事そのものが偉大な事であり、讃えられるべき功績。そんな2チームの、今年のカレンダーを締めくくる一戦…心して観戦したいと思います。
みんな、去年ガンバが決勝行ったの覚えてる…?
ではでは(´∀`)