リンゴと蜂蜜しかない〜サガン鳥栖、監督交代とバルサ化に思ふ〜

トッテナムに対するアーセナルマンUの熱い譲り合い

 

どーもこんばんは

 

さてさて、時代は平成から令和に移り変わり、新時代を迎えたJリーグは10連休中に2試合が行われました。特に5月3、4日に行われた第10節では、Panasonic Stadium Suitaで行われたガンバ大阪vs FC東京戦のチケットが完売するなど、各地でチケットの売り上げが好調。記録的な入場者数を達成しました。

 

 

 

そんな中、ヴィッセル神戸と共に昨年夏以降の集客に大きく貢献してくれているチームの一つであるサガン鳥栖は、敵地である昭和電工ドームに乗り込み、前評判に反して大躍進を見せる大分トリニータと対戦したのですが、この試合で衝撃の自体が発生しました。

 

 

 

ルイス・カレーラス監督、ベンチ外。

 

 

 

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退席処分などに伴うベンチ入り停止処分ではなく、れっきとした監督ベンチ外という恐ろしい状態となった鳥栖クラブ側からこれを「体調不良」としていましたが、カレーラス監督の腹心であるコーチ陣2名も同様にベンチを外れており、3人とも体調不良なのかな?えっ、それ体調不良ってより集団感染じゃね?とピュアなファンに季節外れのインフルエンザを予感させたりもしましたが、翌日に正式にカレーラス監督、そしてマルク・ヴェラスコ・ボレイコーチ、マリオ・イバニェス・マンセボフィジカルコーチ、藤田健通訳の4名の退任が発表されました。

 

 

並びに後任人事も発表され、後任監督には前述の大分戦でコーチとして指揮を執り、また、昨季も途中から監督に就任してチームを残留に導いた金明輝コーチが監督に就任する事が同時に発表。現在は監督就任に向けての手続きを進めているところで、最短で5月7日に正式就任となる見通しです。

監督交代というものには、当然いつも何かしらの原因というものが存在しています。しかし、今回のカレーラス監督の事実上の解任劇に関しては、昨年のマッシモ・フィッカデンティ監督解任時よりもなるべくしてなった…という印象が拭えません。今回の事は、カレーラス監督も含めて鳥栖のフロントの理想と、それに対する行動と現実が余りにもかけ離れている事がもたらした一件だったと言えます。

 

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カレーラス監督はFCバルセロナの下部組織で育ち、今や世界の名称となっているペップ・グアルディオラらなど、当時ドリームチームと呼ばれていたチームの中でプレーした経歴を持つなど、バルサ的なサッカーのDNAが刻まれており、クラブもそれに期待してカレーラス監督の招聘を決めました。そしてグアルディオラにその才能を買われ、11-12シーズンにブレイクしかけた元バルサのイサック・クエンカを獲得し、そのバルサをベースとしたスペイン代表で結果を残しているフェルナンド・トーレスと合わせてバルサ化を推し進めようと試みたのです。

しかし鳥栖バルサ化」というビジョンは、同じくバルサ化を掲げるヴィッセル神戸よりもビジョンに一貫性が無く、資金力にもコネクションにも乏しく、そして何よりも現実として無理がありました。

 

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神戸のバルサ化に関してはこのブログでも何度か取り上げていますが、是非はともかくとしてバルサ化を目指す上ではやるべき事はやっていると思います。

神戸に所属している指導者をバルサに研修に出したり、逆にバルサのスタッフをトップチームのみならず、育成面などにも迎え入れたり。選手編成面でもVIPトリオに目が行きがちですが、西大伍や山口蛍などを筆頭に、日本人選手に関しても大崎玲央や初瀬亮など、多少他の要素に目を瞑るとしてもポゼッションスタイルへの適性はある選手を中心に補強しているなど、ファン・マヌエル・リージョ監督の退任にまつわるあれこれなど不可解な話は噴出していたとしても、バルサ化を目指す上で方向性はそれなりに徹底して動いていると思います。

何よりこのチームには、その目指すバルサの中でキーマン中のキーマンだったアンドレス・イニエスタが居る…この事と楽天の力とコネクションが、バルサ化には未だ程遠くともバルサ化を掲げるチームとしての条件を大きく満たしていると考えられます(是非はともかくとして)

 

 

 

一方の鳥栖はどうでしょうか。最近サッカーを見るようになった人には10年前の鳥栖が常に資金繰りに苦しむようなチームだったとは思わないでしょうし、逆に10年前の鳥栖を見ている人には今の状態が信じられないように資金規模が拡大した事になり、2015年途中のCygamesのスポンサー就任を機に有力選手の獲得などにも積極的になれるようになりました。

J1昇格を果たした2012年以降、ユン・ジョンファン監督の下で大健闘を見せ続け、今では「J1のチーム」として認識されるようになった鳥栖の武器は、間違いなく「ハードワーク」と「堅守速攻」の2点でした。2016年から就任したフィッカデンティ監督の下では、攻撃面はポゼッションにも重きを置き始めましたが、あくまでベースは林彰洋権田修一といった優秀なGKを軸にした守備という点は変わらず、鳥栖の堅守はチームを象徴するワードとなっていたのです。

 

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そういう前提があった上で昨シーズン途中、得点力不足に苦しんだ鳥栖金崎夢生、そしてフェルナンド・トーレスを獲得し、金明輝監督の頑張りもあって何とか残留に漕ぎ着けました。その上で発表されたのがカレーラス監督の就任と、チームのバルサスタイルへの挑戦だったのです。

私も攻撃サッカーか守備的サッカーどっちが好き?と聞かれればそれは攻撃的サッカーの方が好きですし、クラブは生き物ですから変化も必要。挑戦する事自体に異論はないですし、チャレンジは常に各クラブともどこかで考えるべきだと思います。ですが、鳥栖が口走ったバルサ化への挑戦は、補強の方向性や現有戦力の適性と余りにもズレており、それはコネクションや資金力をフル活用して、曲がりなりにもバルサ化を徹底している神戸と比べて浅はかだったというか、中途半端だったと言わざるを得ないでしょう。

 

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確かに、今の鳥栖には攻撃サッカーを志向したくなるような面子が揃っているのはわかります。フェルナンド・トーレス金崎夢生ビクトル・イバルボ、イサック・クエンカ、小野裕二、趙東建、豊田陽平…。しかしこの面子は、クエンカ以外全員選手としてのポゼッション適性が高い訳ではなく、彼らを活かすにはスピードやフィジカルを活かしたサッカーをさせる事が先決です。一方の中盤はというと、ポゼッションに長けているというか、ポゼッションスタイルを成立させるチャンスメイク力を持っているのは精々原川力くらいで、その原川も現在スランプ中。神戸がポゼッションスタイルへの適性がある選手を中心に補強し、そういうスカッドを作ろうとしているのに対し、鳥栖の場合はそもそもポゼッションを目指すには無理のあるスカッドなんです。

 

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まさしくその象徴のようなシーンだったのが第2節の神戸vs鳥栖の試合で、この試合の鳥栖無理にポゼッションを貫こうとしたせいで前線に全くボールが入らず、結局攻撃は金崎の個人突破に委ねるしかないような状況でした。結果的に誰がビルドアップしていたかというと他でもないトーレスという有様。

鳥栖としては、バルサをベースにしたスペイン代表黄金期のスター選手であるトーレスを獲得した事がバルサ化という数年前のムーヴメントに乗りたがった要因なのでしょうが、そもそもトーレスアトレティコ・マドリードでもリバプールでもそうだったように、ポゼッションスタイルよりもカウンタースタイルでこそ活きるタイプのFWです。そのトーレスが無理にポゼッションをさせられ、ビルドアップまでやらされてるのだから、そりゃ点は取れないだろうと。同じ事は金崎にも言えるでしょう。優秀なタレントの揃うFW陣を自分達の現実離れした策で殺してしまっている事が、10試合を終えて僅か1得点という惨状を生み出しています。

 

 

 

じゃあ守備陣はというと、此方はかなり薄いスカッドでシーズンを迎えてしまいました。GK権田修一の対談に関してはJリーグのクラブである以上、欧州移籍はそう簡単に止められるものではないのでそれ自体は仕方ありませんが、昨年も好成績を残した守備陣の絶対的キーマンを欠いたのなら、それなら尚更外国籍選手のDF2人獲得というギャンブル性の強い事にお金を使うならジョアン・オマリの完全移籍交渉の方にお金を使った方が良かったのでは?と思ってしまうのは私だけではないでしょう。神戸のように、スタイルをガラッと変えるだけの挑戦をする価値があるような動きも出来なかったのに、むしろ自分達で悪い方向に向かっていくような状態に陥れば、今回のこの結果は予想以上に酷かったのは事実でも起こるべくして起こった結果だったと言わざるを得ません。

そもそも、これは神戸にも言える事なのですが、バルサ化というのは別にパス回して回してイケイケドンドンサッカーという訳ではありません。今まで色んなチームがバルサ化を目指して失敗してきましたが、08-09シーズンにバルサの監督に就任したペップ・グアルディオラが最初に着手したのは他でもなく守備の再建で、バルサ化の原則には「まず良い守備から」という事もイズムの一つとして確立されているのです。神戸にしても鳥栖にしても、迂闊にバルサ化と口走るチームは大抵その部分を見落としています。

 

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バルサ化を目指す鳥栖ですが、バルサ化を目指す割にはそれを徹底する事も出来ない、楽天ほどの資金力も無ければコネクションも無いし、イニエスタもいないし、イニエスタとは選手としてのタイプが違うトーレスにその役割を求めようとしていて、全てが中途半端な状態で夢を見ながら現実を渡ってしまっている状態が今の鳥栖の上層部でしょう。

賛否両論ありますが、今の鳥栖の竹原社長の行動力はJリーグを盛り上げる要因の一つにはなっています。しかし、今のままではただただ鳥栖を崩壊に導くのみ。行動力と現実を見据える力は常に均衡を保っていなければなりません。

某カレーじゃないですけど、今の鳥栖はリンゴと蜂蜜が入ってるカレーじゃなくてリンゴと蜂蜜だけでカレーを作ろうとしているような状態です。そんなの、どれだけ良いリンゴでどれだけ良い蜂蜜でも作れっこないのに。

今ならまだギリギリ間に合うかもしれません。鳥栖が巻き返すためにまずはやらなくてはならない事は「バルサ化」の幻影を捨て去る事です。

 

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…ねえねえ、ココイチとの企画どうなるの?

ではでは(´∀`)