あれ?1チーム足りない……
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューはAFCチャンピオンズリーグ2021、蔚山現代FCvs川崎フロンターレの一戦です。
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いよいよ始まったACLの決勝トーナメント!4チームが出場した日本勢は、見事3/4がベスト16進出を決めました!ウッ……ウゥッ……(ガンバファン)。
名古屋グランパスはベスト4、川崎フロンターレとセレッソ大阪はベスト8が最高成績なので、3チームとももう一つ壁を打破したいところです。
ACLのベスト16は西地区を合わせて8試合が行われますが、その中でも最も注目度の高いカードであると言っても良い試合でしょう。前年度王者の蔚山、そして「史上最強」との呼び声も高い川崎……両者ともグループステージは1位通過を果たしましたが、今回はレギュレーションにより1試合だけ1位同士の対決が組まれるフォーマットにもなっているので、いきなり優勝候補同士の潰し合いになってきました。
とはいえ、川崎はウズベキスタンで戦ったグループステージの時ほどチームとしての状態が良い訳ではありません。田中碧、三笘薫と主軸が2人海外移籍の為に退団し、リーグ戦では初黒星も喫するなどやや不調気味。ルヴァン杯でも浦和にアウェイゴールで敗れて敗退が決まってしまいました。ですが状態こそ今は一時よりは良くないものの、川崎にはれっきとしたベースは残ったままですし、何より川崎にとって今年のACLに懸ける想いは相当なモノでしょう。鬼木達体制での栄光を完全なものにする為、最後のピースを勝ち取る第一歩が始まります。
両チームスタメンです。
移籍した2人に加えて谷口彰悟と旗手怜央を負傷で欠く川崎はCBはジェジエウと山村和也のコンビでスタート。インサイドハーフには脇坂泰斗と並んで橘田健人が入っています。3トップはレアンドロ・ダミアンと家長昭博は通常通りですが、今日は左WGとして小林悠を起用。基本的に小林はダミアンとローテーションでセンターに入ることが多いので、スタートからこの形になるのは珍しい形とも言えます。
ディフェンディングチャンピオンの蔚山は今季から元韓国代表主将で元韓国代表監督、そして湘南や柏での活躍でJリーグのレジェンドとして知られるホン・ミョンボ監督が率いています。昨季のACLで大活躍したユン・ビッガラムと注目のイ・チョンヨンはベンチスタート。GKチョ・ヒョヌはロシアW杯の韓国vsドイツの試合で大活躍したGKです。
余談ですが、家長は2012年の上半期に半年だけ蔚山に所属していました。また、GKチョン・ソンリョンはホンミョンボ監督が率いていたブラジルW杯の韓国代表選手でもあります。
本日の会場は韓国、蔚山の蔚山文殊サッカー競技場です。「文殊」は「ムンス」と読みます。
2002年の日韓W杯開催に向けて建設された球技専用スタジアム。日韓W杯ではグループステージのデンマークvsウルグアイ、ブラジルvsトルコ、準々決勝のドイツvsアメリカの試合が行われ、王者となる「3R」を擁したブラジルの初戦の舞台にもなりました(リバウドがとんでもない痛いンゴやって相手退場に追い込んだやつ)。日本の多くの日韓W杯開催スタジアムと同様に今年が開場20周年。2001年のコンフェデ杯も開催された他、韓国代表の試合も時々行われています。
「ビッグクラウン」という愛称を持つ当会場は、蔚山自体が強く、スタジアムも非常に見やすいモダンな設計なのでファンの人気も高いスタジアムですね。蔚山というクラブの簡単な解説は去年のブログを参照。川崎は過去に3度蔚山とACLで戦っていますが2014年のみ勝利。川崎にとっては川崎の出場する大会としては3大会連続の蔚山戦となりました。
立ち上がりから川崎はサイドから何度か持ち込むようなシーンはいくつか作れてはいたものの、蔚山のプレスの前に川崎はいつものように落ち着いてボールを回す事が出来ず、川崎もいつものようにポゼッション率を高めていく事が出来ません。試合こそ蔚山陣内で戦う時間の方が長かったですが、小林やダミアンが推進力を出せる場面はあっても、脇坂や家長がスキルフルなところを見せられる場面はあまり多くありませんでした。
川崎が攻めあぐねる時間が続くと、蔚山は立て続けにサイドからのカウンターアタックで決定機まで持ち込むようになっていきます。23分には左サイドの突破からクロスを入れられ、オ・セフンに決定的なチャンスを作られてしまいますが、ここは母国との対決になるチョン・ソンリョンがスーパーセーブ。ただ、その後もチョン・ソンリョンの好プレーで失点こそ回避したものの鋭いカウンターを浴びるシーンは多く、前半終盤には少し蔚山のペースにも慣れてリズムを掴み始めましたが、川崎としては非常に苦しめられる形で前半の戦いを終えます。
しかし、前半終了間際に掴み始めたリズムで後半は完全に主導権を掴めたのが川崎でした。脇坂や橘田が前へと顔を出せる回数が増えた事で、家長を含めた攻撃ユニットのパス交換のテンポや連動性が飛躍的に上昇。リーグで見せるような川崎の鮮やかな攻撃が後半は何度か見られるようになってきました。しかしそこはさふが前年度王者、デイブ・ブルタイスを中心に韓国代表経験者の揃うDFラインも高い集中力を見せ、アタッキングサードで激しい攻防が繰り広げられていきます。
日本の首位、韓国の首位のチームの対決とだけあって、試合は時間を増す度にヒリヒリした緊迫感のある展開になってきました。そんな中でホン・ミョンボ監督は67分にユン・ビッガラムとイ・チョンヨンの両巨頭を同時投入。どちらも集中力が高く、ゲームとしての秩序は常に維持されたような状態で、川崎が優勢ではありながらも最後にどちらに転ぶかは予想のつかない展開になっていきます。
両チームの高い集中力は終盤になっても途絶えることなく、オープンな展開に持ち込むことも許さないまま時間が経過していきました。鬼木達監督が1枚目の交代カードを切ったのが85分というほど試合はヒリついており、まさしく日韓首位対決に相応しい攻防戦の決着は90分ではつかず、0-0のまま延長戦へ。
川崎は後半終了間際に脇坂を下げて知念慶を投入し、小林と家長をサイドハーフに配置した4-4-2に変更。更に延長後半からは家長をセンターにして知念を右に出した上でダミアンと小林を下げて長谷川竜也と遠野大弥を投入し、PK戦より延長で試合を決めにかかります。試合のスリリング度は更に増していき、112分には蔚山、116分には川崎がそれぞれ決定機を得ますが、両方とも枠を捉える事が出来ません。
スリリングな攻防戦、韓国の地での文字通りの死闘……120分の中でスコアが動く事はなく、試合は遂にPK戦に突入します。
ブラジルW杯の韓国代表GKチョン・ソンリョンとロシアW杯の韓国代表GKチョ・ヒョヌの新旧韓国代表守護神対決となったPK戦。両チームとも1人目は共に成功し、2人目は共に枠外。そんな中で、蔚山3人目のイ・ドンジャンのキックをチョン・ソンリョンが見事にセーブしましたが、川崎は4人目ジョアン・シミッチのキックがポストを叩いてしまいます。そして川崎5人目……家長のキックはチョ・ヒョヌのビッグセーブに阻まれ……最後はユン・ビッガラムに冷静に決められ、川崎のアジア制覇の夢はベスト16で潰える事となりました。
純粋に素晴らしい試合でした。川崎も蔚山も最後まで高いクオリティと集中力を落とす事なく、120分最後まですごく見応えのある攻防を見せてくれて。川崎が勝っても蔚山が勝ってもPK戦で決着がつくのは惜しいと思えるゲームだったという見方もあれば、最後までゴールが入らずに0-0で終わった事はある意味では妥当なスコアだったのかもしれない…という気持ちもあります。
その上で言うなら、やっぱり川崎はチームとして一番ノックアウトステージを戦いたくない時期にこの試合が当たってしまった…という部分はあると思います。それでも彼らのクオリティの高さを見せてくる分はさすがと言えるところですが、田中や三笘の穴を再構築したいところに谷口や旗手が負傷して、ルヴァン杯も負けて、どこかうまくいかない…そんな状態で韓国最強チームと戦う事になってしまったのは少し不運もあったかな…と。川崎としては、横浜F・マリノスに肉薄されているリーグ戦にこれを引きずらなければいいですが…。
あれ?ガンバは…?
ではでは(´∀`)