RK-3はきだめスタジオブログ

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主役はそれゆえに〜天皇杯決勝 川崎フロンターレ vs 柏レイソル マッチレビューと試合考察〜

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なんでやガンバ関係ないやろ

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビュー天皇杯JFA第103回全日本サッカー選手権大会勝戦川崎フロンターレvs柏レイソルの一戦です!

 

 

 

2023年のJリーグを振り返る記事も色々更新しています。それらの記事はこちらにまとめておりますので是非!

 

Jリーグ30周年記念特集こちらから!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

今年で30周年という節目を迎えたJリーグ。正確にはまだACLと浦和のクラブW杯が残っていますが、国内のカレンダーとしてはこの試合をもって2023年シーズンな一区切り。シーズンの〆。お馴染みの天皇杯勝戦でございます。

川崎も柏も今季は苦しいシーズンであり、目標の遥か下をいくシーズンでした。川崎は谷口彰悟の退団や負傷者の続出もあって早々に優勝レースから敗退し、川崎が現在の形を邁進した風間八宏体制になった2012年以降は途中就任の初年度を除いて最低順位。近年はJリーグという舞台を謳歌してきた川崎にとって屈辱でしかない一年だったと思います。対する柏は昨季は躍進したものの、後半戦で大失速。その中で獲得も放出も多い激しいオフを過ごして迎えましたが、その定位置は常に下位3クラブの中にいて、5月にはネルシーニョ監督から井原正巳監督への監督交代にも踏み切りました。結局、最終節まで残留は確定できないまま17位フィニッシュ。残留はレギュレーションに助けられる形になっています。

 

 

とはいえ、後半戦はお互いに調子を上げてきていた事も事実で、元々お互いに強力な個性を持ったタレントは複数有しており、Jリーグの歴史に於いても大きな規模を持つ2クラブです。ACLという舞台にも強い目標意識がある2クラブといっていいでしょう。人間の運命が交錯する東京という場所で両者はどのような景色を見るのか。30周年のJリーグもクライマックスです。

両チームスタメンです。

 

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川崎は直近のリーグ戦となった鳥栖戦からはスタメンを4人変更。鳥栖戦では温存される形になっていた家長昭博、大南拓磨、瀬古樹がスタメンに復帰し、CFは今日はレアンドロ・ダミアンをスタートから起用しました。CBの大南拓磨とベンチスタートの瀬川祐輔は古巣との対決。チョン・ソンリョン、山根視来、脇坂泰斗、家長昭博レアンドロ・ダミアン、ジェジエウ、小林悠の7名は優勝した2020年の天皇杯決勝出場者です。

対する柏は直近のリーグ戦となった名古屋戦に先発したジエゴは累積警告、山田雄士と犬飼智也は今季途中まで所属した前チームで天皇杯に出場していた為出場停止となっており、それぞれ小屋松知哉、土屋巧、立田悠悟がスタメンに抜擢されています。

 

 

 

本日の会場は東京都新宿区、国立競技場です。

 

 

昨年の天皇杯決勝は日産スタジアムで行われましたが、今年は2年ぶりに国立競技場での開催が復活しました。新・国立競技場もオープンしてからちょうど4年が経過。新国立としての天皇杯勝戦は4試合目となっています。

川崎にとっても柏にとっても国立は思い出深さのあるスタジアムです。川崎は2020年大会の決勝戦を戦った舞台であり、中村憲剛引退試合となったこの試合は未だによく「伝説のスタメン」としてスタメン表が張り出される例の試合。新国立で各クラブが主催試合を行う際も対戦相手が川崎というケースは多いですね。柏も2020年ルヴァンカップの決勝を新国立で戦っており、その時は敗れましたが…旧国立競技場では日立製作所時代も含めて度々タイトルを掲げた他、一部試合ではホームゲームとして開催した事も。

チケットは満席。ちょうど中央線を境にくっきりと水色と黄色を分けたスタンド。「舞台は整った」…そのフレーズに相応しいロケーションです!

 

 

立ち上がりは柏が攻勢に出ました。最終ラインを高くして陣形をコンパクトに保ち、川崎陣内の間に川崎のボールを奪う事、ないしはセカンドボール回収を徹底的にチャレンジに行く事で柏の攻撃ターンがずっと続くような試合展開を目論んでいました。

序盤は柏のその守備態勢が上手くハマっており、川崎はアンカーより後ろでは回せるけどそこから前になかなかボールを入れる事が出来ず。柏は2分と22分にマテウス・サヴィオ、10分と14分に小屋松知哉がシュートチャンスを掴むなど、試合を押し気味に進めると同時に川崎が落ち着いてプレー出来ない状況に追い込んでいました。

 

 

 

川崎は12分にレアンドロ・ダミアンがゴール前に侵入して家長昭博がシュートに持ち込んだ場面など、柏陣内に入って中央にボールを出せた時には良さや強みを出せる場面はありました。しかし柏が川崎陣内で潰す事、そして柏陣内でもサイドにいる間に潰す事をチームとして撤退した事で川崎の受難は続き、川崎は橘田健人が低めに降りてビルドアップの枚数を増やそうとしますが、どうしても3トップの中盤以下が分断させられる形になってどうにもうまくいきません。

ただ守備としてはほぼ理想通りに近い展開に試合を持ち込めた柏も、チャンスを多く得ながらもゴールには至らず。川崎も攻撃が上手くいかない分、最後の守備の局面では高い集中力をしっかりと保ちながらブロックを組み、前半は0-0で終えます。

 

 

後半も開始早々は柏のペースで入ったようにも見えましたが、柏も前半ほどの強度は体力面でも出しにくくなっており、同時に川崎は前半と比べると長いボールを用いたりして柏のコンパクト感を引き延ばそうと試み、その結果脇坂や家長がボールをキープできるようになった事で高い位置でボール保持の時間を作れるようになっていきました。この為に慌しかった前半と比べると後半はスローペースに川崎が持ち込む事が出来たので、柏としては前半のような一撃必殺的な守備戦術が難しくなっていきます。

ただし川崎もそれをなかなかシュートチャンスに持っていけない中で後半最大の決定機は69分。柏陣内深くまで攻め込んだ川崎ですが、そこからの攻撃が柏守備陣に捕まるとマテウス・サヴィオが一気に前線に蹴り出します。このボールに対する処理が上手くいかなかった隙を突いて細谷真大がラインブレイク。大南を振り切って一気にGKチョン・ソンリョンと1対1の場面を迎えますが…大南との接触でバランスを崩した事もあり、細谷のドリブルのタッチが大きくなってGKチョン・ソンリョンが処理する形に。

64分に瀬古樹と宮代大聖を下げて遠野大弥と瀬川祐輔を送り込んでいた川崎は77分にレアンドロ・ダミアンを下げて小林悠を投入。ここまで交代がなかった柏も小林投入と同じ時間に小屋松と山田を下げて戸嶋祥郎と山本桜大を投入します。

 

 

 

川崎は87分に脚を痛める場面もあった大南を下げてジェジエウ、更に脇坂を下げてジョアン・シミッチを投入。この交代でシミッチと橘田をWボランチ、そして家長をトップ下に置いた4-2-3-1にシステムを変更して終盤戦に持ち込むと、ラスト数分の時間は家長をフリーマン的に置いたシステムで川崎が猛攻を仕掛け、ペナルティエリア内に度々侵入した家長のところからチャンスを多く創出していきます。

しかし柏もクロスボールに対しては自陣で懸命に弾き返し、最前線に残した細谷を起点にどうにかロングカウンターを狙って粘る格好に。激しい攻防戦の中で柏は土屋巧と高嶺朋樹を下げて川口尚紀と仙頭啓矢を投入。アディショナルタイム、ラストワンプレーでは柏はCKから繋いだ攻撃を片山瑛一が粘ってシュートに持ち込みますが、この場面はGKチョン・ソンリョンがセーブ。試合は2大会連続の延長戦へ。

 

 

 

延長戦はお互いに消耗も色濃く映った若干アバウトな試合展開となりましたが、その中で柏の方が前への圧力を出しやすい構図となった事で柏が再び優勢な時間が続きました。マテウス・サヴィオが立て続けにシュートチャンスを得る中で最大のチャンスは100分、片山のボールに抜け出した細谷がGKと決定的な瞬間を迎えましたが、ここはGKチョン・ソンリョンがスーパーセーブ!こぼれ球を拾った細谷の折り返しを受けた仙頭のミドルも僅かに枠の横に逸れてゴールには至りません。

柏は延長前半終了間際に椎橋を下げて武藤雄樹、川崎は延長後半から負傷退場となった小林を下げてバフェティンビ・ゴミスを投入。延長後半も柏ペースの時間のほうが長かったですが、最終盤になると再び川崎が猛攻開始。最大の決定機は118分、山根視来のクロスをドンピシャのタイミングでゴミスが合わせるも、今度は柏のGK松本健太がスーパーセーブ!!松本は更にこぼれ球に詰めた家長もシャットアウト!壮絶な攻防戦は0-0のまま2大会連続、大会史上3回目となるPK戦へ。

 

 

PK戦では柏のGK松本が2本のPKをセーブする奮闘を見せる一方、柏は2本クロスバーに当ててしまう形になって10人目の勝負に突入。お互いにGKを送り出した10人目は、先行の川崎のチョン・ソンリョンが成功したのに対し、この日の主役だったGK松本のキックは百戦錬磨のチョン・ソンリョンがストップ!

この瞬間、川崎が2020年大会以来となる2度目の優勝を果たしました!

 

 

 

柏はまず前半の入りが素晴らしかったと思います。立ち上がりからリスクを負ってハイラインとコンパクトな陣形を両立させる事で、常に川崎陣内でしかボールが動かないようなセッティングを固めてしまう…それをやる為には開始5分の出方が勝負という事で、ゲームプランとしてはギャンブル性はありましたが、井原監督からしても元々柏自体が強度とハイプレスを押し出したチームでしたし、チームが持っている強度を踏まえた時に「いける」と判断した根拠のあるギャンブルだったのでしょう。

ただし、柏としてはあの戦い方をする以上は前半で点を取る必要があった。そうなるとやはり柏の強度が少し落ちた瞬間に川崎はワイドにポジションを取って、柏をプレスに「迷わずに行った方がいい」という状況から「行った方がいいのかどうか微妙」という状況に追い込んでいったと。基本的には川崎もチームとしての確固たるベースは有しているチームですから、柏が振り切ったペースをある程度落とすことが出来れば少なくともオープンな試合展開を避ける事が出来ますし、そうなった時の地力はやはり川崎に分がある。そういう意味では柏が入りに成功した時点で前半が柏のワンサイドに近い展開になる事、そこで先制を取りきれなかった時に後半が川崎のゲームになっていったのは自然だったように思います。

 

 

そういう意味ではむしろ、正直…柏は前半で取れなかったら後半で崩れると思っていたんですよね。ただ、それでも川崎に押し込まれる時間は守りを固めてしっかり耐えて細谷とマテウス・サヴィオでロングカウンターを狙う、そこにちゃんとロングボールを通して、他の選手がしっかりとフォローに入る…前線の強烈な選手をもってきた属人的なプランではあったとはいえ、しっかりそれを11人全員が共有するビジョンとして実践出来た事はこの試合を美しい120分に仕立てあげた大きな要因だったのかなと。

同時に川崎にしても、自分達のペースは維持した上で柏のやり方に対して家長のポジションを変えながらアプローチをこまめに変えてペースを握ろうとしてきた。手練手管の鬼木達と勝負師と化した井原正巳、そして両指揮官の志向とオーダーにピッチの中の個がしっかりと応えた。そこはこの試合を「0-0だけど超面白い」というゲームにしてくれたように思います。それゆえに劇的さと残酷さも際立つ歓喜と切なさの交錯するPK戦でしたが、川崎も柏もフットボールというドラマの中で素晴らしい主役でした。川崎フロンターレおめでとうございます!

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

天皇杯JFA第103回全日本サッカー選手権大会

優勝:川崎フロンターレ(3年ぶり2回目)

準優勝:柏レイソル

ベスト4:アビスパ福岡,ロアッソ熊本

ベスト8:アルビレックス新潟,名古屋グランパス,湘南ベルマーレ,ヴィッセル神戸

 

 

ツネ家長に泣いた人は私です

ではでは(´∀`)