今日のJリーグ、全体的に恐ろしかった
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューはUEFAチャンピオンズリーグ決勝戦、マンチェスター・シティvsインテル・ミラノの一戦です!
オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。
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さぁ、今年もついにやって参りましたUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦!
文字通り、この試合は欧州サッカーのクライマックスです。この一戦がこの一年の努力証明となります。
「ユナイテッドじゃない方のマンチェスター」に過ぎなかったチームの歴史が激減したのは2007年。タイ人の会長がクラブを買収し、いわば"外資解禁"のような状態になると、翌年に更に買収したのがUAEの王族グループでした。
そこからの歴史は言うまでもないでしょう。「金だけのチーム」というシティを揶揄するフレーズは度々聞かれますが、一方で外資参入が活発になった欧州サッカーでは「買うだけ買ってすぐに捨てる」「最初にちょろっと大型補強をして結果が出なくなったらすぐに冷める」というオーナーが大量に発生した事を思うと、トップチームのみならずアカデミーやクラブの各施設、女子チームやCFGのようなところまで多角的な投資を惜しまず、かつ「スポーツ部門はオーナーグループではなくスポーツ部門に任せる」「監督には一定の時間を与える」など、シティの自チームに対する姿勢は「金だけ」と呼ぶには惜しいほど真摯に向き合っていた事は確かです。
対するインテルは09-10に三冠達成、10-11にクラブW杯とコッパ・イタリアを制して以降、長い迷走期間に突入していました。補強と放出を繰り返しても結果が出ず、セリエAやカップ戦タイトル獲得はおろか、一時はELにすら出られないシーズンも珍しくなかったほど。セリエA自体が低迷していたこの時期、インテルとACミランの失墜はその象徴のような出来事ですらありました。いつしかインテルはUEFAチャンピオンズリーグという世界に於いて"過去の存在"となりつつあった…それは"あの頃"のインテルを知る者として寂しい気持ちもあった訳で。
しかし20-21にインテルがユベントスの10連覇を阻止すると、翌年はミランが優勝を達成。私としては特にインテルもミランもファンと呼べるような立場ではないですが、この2チームがセリエAを奪還するほど復活し、そしてCL準決勝という舞台でぶつかったシチュエーション自体に感慨深さを覚えました。その邂逅を制したインテルが取り戻すべきものはもう残り一つ。そしてそれは同時にイタリアサッカーの復権を印象付けるものとなるでしょう。
ここ10年で積み上げてきた努力の結実か、屈辱に塗られたここ10年からの復活劇か。ここまで両チームが、対照的な濃いバックグラウンドを持つファイナルもそうそう無いのではないでしょうか。果たしてハッピーエンドを掴むのはどっちだ!!
両チームスタメンです。
本日の会場はトルコ、イスタンブールのアタテュルク・オリンピヤト・スタディです。
2002年に開場し、現在はイスタンブール・バシャクシェヒルFKが本拠地とし、トルコ代表のホームゲーム会場としても扱われています。元々は2008年の夏季オリンピック招致にあたってメインスタジアムとすべく建設され、2020年オリンピック招致に立候補した際もこのスタジアムをメインスタジアムとする予定で計画されていました。
本来、イスタンブールでの決勝戦は19-20シーズン決勝の舞台として予定されていました。しかし新型コロナウィルスの影響もあって予定が2回飛んで3年越しの開催となっています。今回のシティvsインテルはCL初対戦が決勝となった事で注目されていますが、同様に決勝が初対戦となったのは04-05シーズン決勝以来。その時の会場がこのスタジアムであり、対戦カードはリバプールvsACミラン……そう、この場所での決勝はあの「イスタンブールの奇跡」以来なのです。
ファーストチャンスこそ6分のベルナウド・シウバでしたが、「攻めあぐねている」というような感覚を覚えていたのはシティの方でした。インテルは守備時は引いてブロックを固めつつ、いざプレスをかける時はオールコートマンツーマンのような守備スタンスを取ってシティを狙撃。そこでボールを失わない辺りのチームとしてのキープ力はさすがシティというべきところではありましたが、シティがインテルの守備網の前になかなか前進できなかった事は事実で、むしろミドルも含めて早く攻撃を完結させようとしたインテルの方が攻めの糸口は掴めていました。
しかしシティも少しずつインテルのスタンスに慣れ始めてきたのか、27分にハーランドが抜け出してGKとの1対1を迎えたり直後にデブライネにミドルシュートのチャンスがあったりと、GKオナナの好セーブもあって点にはならずとも惜しい場面が徐々に生まれていきます。
ですがそんな中でシティにアクシデント発生。36分、30分過ぎの段階から脚を痛めていた、マンチェスター・シティ史上最高の選手と言っても過言ではない男、ケヴィン・デ・ブライネがまさかの負傷退場。20-21シーズンの決勝でも負傷交代を余儀なくされていたエースはまたしても無念の負傷退場という事に。
全体的に前半はいんてるがほぼほぼプラン通りの試合を展開。その上でシティも少しずつインテルのスタンスに順応してきた部分はあるなど、後半はどちらが自分達のやり方を押し切れるかに木注目が募るような、どちらに転ぶにしても伏線になりそうな前半で終えました。
後半に決定機を掴んだのはインテルでした。ジェコを下げてルカクを投入したインテルは58分、シティのミスからラウタロが左サイドを抜け出したGKとの1対1を迎えましたが、ここはどうにかGKエデルソンが好セーブ。インテルの、いわばシティの焦れ待ちなような守備を前にシティも落ち着きを失っているような場面は散見されていました。
しかし68分、ボールを持ち運んだアカンジが右のポケットへスルーパスを送ると、走り込んだベルナウド・シウバのクロスは相手DFに当たって弾かれます。しかしボールがこぼれた先が上手い具合にマイナスの折り返しのようになると、そこに走り込んできたロドリがコントロールショット!!ここしかないコースに突き刺さっていった一撃!!シティ先制!!
得点直後にはインテルも空中戦の応酬からディマルコがヘッドで押し込もうとしますが、ふんわりと打ったシュートはクロスバーに直撃。ディマルコはそのこぼれ球にも詰めますが、シュートがルカクに当たる形になって押し込み切れません。インテルは76分にバストーニとダンフリースを下げてゴゼンスとベラノーヴァを投入し、サイド攻撃の破壊力を高めようと試みていきます。
インテルはやはりビハインドを負った事で前に出ざるを得ない展開になった事でスペースが生まれ、ここから試合はオープンな展開になっていきました。シティは78分にフォーデンが巧みに抜け出して決定機を迎えるも、シュートはオナナに阻まれて追加点には至らず。対するインテルも80分にバレッラが狙いますが枠を捉えられません。83分にシティが負傷交代となったストーンズを下げてカイル・ウォーカーを投入した一方、インテルは84分にチャルハノールとダンブロージオを投入して交代枠を使い切ります。
88分、インテルはブロゾビッチが右から入れたクロスをファーサイドのゴゼンスが頭で折り返したところにルカク!しかしこの日インテルが迎えた最大の決定機の前に立ちはだかったのはまたしてもエデルソン。そのこぼれ球をギリギリでルベン・ディアスがボールをラインアウトさせてシティは絶体絶命の瞬間を回避します。
アディショナルタイム、ラストワンプレーのCK…ここをどうにか凌いで試合終了!!
マンチェスター・シティ、悲願のUEFAチャンピオンズリーグ初制覇!そしてイングランド勢2クラブ目となる三冠達成です!!!
この結果を迎えた今振り返っても、大局的にはインテルのゲームだったというか、より自分達の狙いとプランに沿った試合の進め方が出来ていたのはインテルの方でした。チームとしてプレスに行くべきところと引いてブロックを組むところをしっかりと使い分けつつ、ハーランドをゲームから消しながら飛び出してくるシティの中盤を捕まえるというシティを相手にしての最高難易度のような守備しましたし、後半が始まった時にはインテルの目論見通りにシティが焦れてきていた。インテルの敗因を挙げるとすればどうにか後半頭の10分までに点を取れなかった事になるのでしょうが、少なくとも失点までにインテルはシティに対して隙を見せませんでしたし、逆にシティの隙を確実な突いていく姿勢を見せ続けていた。戦い方はケチを付ける部分もなかったと思います。
ただ、だからこそ…シティは最終的には押し切ったという印象でしたし、今日のインテルの出来からすれば、押し込んだとしてもチャンスはそう多くならない事をシティは理解していたはずです。更に言えば、今日のインテルの守備を崩して綺麗にパスからシュートに持ち込むシーンをあまり作れなさそうな事は誰よりもシティ自身が自覚していたと思います。しかしインテルがどれだけ隙を見せてくれないほど集中していたとしても、イレギュラーは自分達でコントロールする事が出来ない……。シティとしては少なくとも、インテルの攻撃への対応は個である程度どうにか出来る計算は立っていたでしょうから、そういうコントロール出来ない部分への集中が研ぎ澄まされていました。決勝点のロドリのシュートはそのまんまそういうゴールでしたし、終了間際のルベン・ディアスのカバーも然り。シティの隙に勝機を求めたインテルと、偶発的な一瞬を制する事に勝機を求めたシティの攻防を、最後はシティが押し切った…というのが試合の印象でしたね。
さて、シティ初優勝ですか…。
上で書いた事の繰り返しになりますが、FFP等の諸問題はそれはそれとして、オーナークラブとして自クラブへの向き合い方は凄まじかったと思います。金の集め方はともかくとして、金の使い方は補強はもちろん、フットボール部門のフロント業務や施設運営、女子サッカーからCFGに至るまで、後発勢力としてマンチェスター・シティというクラブが強く在り続ける為、後の時代にも名門と呼ばれる為に注いできた。そこにペップ・グアルディオラという現代最高の指揮官を連れてきて作り上げたチームは常に世界最高峰のクオリティを誇りながらどうしても一欠片が埋められなかった。今日のこの勝利で、ペップ・シティというチームは文字通りのパーフェクトチームになったと思います。
「シティは金だけで歴史がない」とはシティを揶揄する言葉としてよく用いられてきました。実際にその観点でモノを問うのであれば、一度三冠を達成した程度でマンチェスター・ユナイテッドであったりレアル・マドリードのようなチームを上回る事なんてありえない。ただ、歴史なんてものは歩んだ軌跡の上を後から勝手に歩いてくるようなもの。ダビド・シルバやセルヒオ・アグエロのようなOBが歓喜のリアクションを見せていたところを見てそれは強く感じました。今日の勝利もまた、後年の誰かが振り返った時に歴史の一部として語られる。シティはクラブに空いた隙間をビッグイヤーで埋める事で歴史を手にした。もう彼らは疑いようのないビッグクラブです。もちろん、そこに歴史を備えて─。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
22-23 UEFAチャンピオンズリーグ
[優勝]
[準優勝]
インテル・ミラノ(イタリア)
[ベスト4]
レアル・マドリード(スペイン)
ACミラン(イタリア)
[ベスト8]
バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)
ナポリ(イタリア)
[ベスト16]
RBライプツィヒ(ドイツ)
パリ・サンジェルマン(フランス)
クラブ・ブルージュ(ベルギー)
ボルシア・ドルトムント(ドイツ)
アイントラハト・フランクフルト(ドイツ)
シティおめでとう!!
ではでは(´∀`)