さてさて、5月28日28:00(29日4:00)、いよいよUEFAチャンピオンズリーグ決勝です!!
プレミアリーグの優勝こそマンチェスター・シティに譲ったものの、FAカップとカラバオ杯で優勝してカップ戦三冠が懸かっており、ユルゲン・クロップ監督の下でまさしくクラブ史上最強だったシーズンを最後を最高の栄誉で締めくくりたいリバプール。そして実績抜群のカルロ・アンチェロッティ監督の下でカリム・ベンゼマが大爆発。決勝トーナメントではパリ・サンジェルマン、チェルシー、そしてマンチェスター・シティを、もはや漫画みたいとしか形容出来ないほどの神懸かり的展開で勝ち抜いてきたレアル。なんといってもこの両者、サラーvsラモス事件で同じ17-18シーズンの決勝でも戦ったチーム同士の戦いなので、そういった因縁の意味でも楽しみポイントを語り始めればキリがありません。激闘はパリ、サンドニのスタッド・ドゥ・フランスで行われます。
…で、今回の企画ですが、せっかくなのでワールドカップイヤーという事も加味した企画を。
サッカー界において、ナショナルチームの最高峰の大会はFIFAワールドカップであり、そしてクラブレベルで最高峰の大会はUEFAチャンピオンズリーグです。
じゃあこの2つ、どちらの方が獲得難易度が高いのか。それはどう考えたってワールドカップの方が困難です。
まずシンプルに、毎年開催されるCLに対してW杯は4年に一度。一人の選手がトップフォームの状態でW杯に参加出来るのは多くて3回くらいでしょう。そもそも回数の問題で、W杯の方が参加できる機会が限られています。
そしてW杯は国別対抗戦である以上、W杯で優勝出来るかどうかは「どこの国で生まれるか」が相当大きな要素になってきます。実力とタイミングが噛み合えばビッグクラブへの門が開けるCLとの最大の違いはそこでしょう。例えば、今季のプレミアリーグで得点王になったモハメド・サラーは明日CLの決勝を控えているし、なんならCLに関しては既に1回優勝していますが、じゃあエジプト代表がW杯を獲れると思うか…?という。そういうどうしても抗えない部分が生じてくるので、W杯を獲得する方が遥かに難しい訳です。
ただ、世界には一定数……疑いの余地のないトッププレイヤーで、W杯を獲得していながらCLを獲得出来ていない選手がいます。
前述の難易度の差を踏まえるとこれはかなりの確率。ワールドカップイヤーでのUEFAチャンピオンズリーグを迎える今年、そんな名手達を紹介していこうと思います。
【注意事項】
・30年前まではヨーロッパ、ないしはビッグクラブ至上主義的な風潮でもなかったので、ボスマン判決(1995)が下されて最初のW杯となった1998年フランスW杯以降を対象にしています。
・2018年ロシアW杯を制したフランス代表のメンバーに関しては、年齢的にもCLを獲得出来る可能性を現実的に考慮して今回は除外しています。
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GK ジャンルイジ・ブッフォン
(2006年ドイツW杯王者)
現所属チーム:パルマ(1995〜2001、2021〜)
生年月日:1978年1月28日
国籍:イタリア
現役期間:1995年〜
過去の主な所属チーム:ユベントス(2001〜2018、2019〜2021)、パリ・サンジェルマン(2018〜2019)
過去のW杯出場:1998(ベスト8)、2002(ベスト16)、2006(優勝)、2010(GL敗退)、2014(GL敗退)
★UEFA年間最優秀GK賞(02-03、16-17)
☆FIFA最優秀GK賞(2004〜2006)
☆2006年バロンドール2位
★レフ・ヤシン賞(2006)
☆ザ・ベストFIFA男子GK2017
★2020バロンドールドリームチーム(セカンドチーム)
過去のCL最高成績:準優勝(02-03、14-15、16-17ユベントス)
世界のサッカー史上でも5本の指に入るGK。イタリアのW杯優勝は彼無しではまず有り得なかった。2000年代で最高のGKはブッフォンかイケル・カシージャスの二択といってもいい。
だがチャンピオンズリーグにはどうしても縁が無かった。決勝に3度進みながらもいずれも準優勝。特にACミランとの同国対決となった02-03決勝はPK戦にもつれ込み、ブッフォン自身はPKを2本ストップしたものの…ミランのGKジーダが3本止めた事で優勝を逃した。
DF リリアン・テュラム
(1998年フランスW杯王者)
生年月日:1972年1月1日
国籍:フランス
現役期間:1991〜2008年
過去の主な所属チーム:ASモナコ(1991〜1996)、パルマ(1996〜2001)、ユベントス(2001〜2006)、FCバルセロナ(2006〜2008)
過去のW杯出場:1998(優勝)、2002(GL敗退)、2006(準優勝)
★EURO2000優勝
過去のCL最高成績:準優勝(02-03ユベントス)
そしてフランス黄金世代である1972年生まれの代表的なDFで、フランス代表の黄金期を支えた。息子はフランス代表としてEURO2020にも参加したマルクス・テュラム。
1998年に自国開催のフランスW杯では準決勝クロアチア戦で2ゴールを叩き出す大活躍。クラブレベルでもパルマでチームメイトだったブッフォンと共にユベントスに移籍し、獅子奮迅の活躍を見せた。しかし02-03シーズンの決勝でミランに敗れて優勝を逃す。カルチョポリの影響もあって前年にCL優勝を果たしたバルセロナに移籍したが、自身の健康上の理由もあって、バルサが三冠を達成するシーズンの開幕前に引退を余儀なくされた。
DF ファビオ・カンナヴァーロ
(2006年ドイツW杯王者)
生年月日:1977年2月19日
国籍:イタリア
現役期間:1994〜2014年
過去の主な所属チーム:コモ・カルチョ(1994〜1997)、ASバーリ(1997〜1999)、ユベントス(1999〜2006)、FCバルセロナ(2006〜2008)、ACミラン(2008〜2012)、FCキアッソ(2013〜2014)
過去のW杯出場:2002(ベスト16)、2006(優勝)、2010(GL敗退)
★2006年バロンドール受賞
☆2006年FIFA年間最優秀選手賞受賞
★イタリアサッカー殿堂
過去のCL最高成績:ベスト4(02-03インテル)
2006年ドイツW杯ではキャプテンとして、そして一人とDFとしてスーパーとしか言えない活躍を披露し、DFとして初のバロンドールを獲得した名手。クラブレベルでもパルマではブッフォンやテュラムと強力な守備陣を築き、ユベントスやレアルでは多くの国内タイトルを獲得した。
ただ、CLでの成績はインテル時代のベスト4が最高とあまりパッとしなかった。特にレアルでの3シーズンはいずれもベスト16に終わっている(レアル自体が6シーズン連続でベスト16敗退だった)。
DF ジャンルカ・ザンブロッタ
(2006年ドイツW杯王者)
生年月日:1973年9月13日
国籍:イタリア
現役期間:1992〜2011年
過去の主な所属チーム:ナポリ(1992〜1995)、パルマ(1995〜2002)、インテル・ミラノ(2002〜2004)、ユベントス(2004〜2006、2009〜2010)、レアル・マドリード(2006〜2009)など
過去のW杯出場:1998(ベスト8)、2002(ベスト16)、2006(優勝)、2010(GL敗退)
★2006FIFAワールドカップドイツ大会優勝
☆2006年バロンドール受賞
★2006年FIFA年間最優秀選手賞受賞
☆イタリアサッカー殿堂
過去のCL最高成績:準優勝(02-03ユベントス)
ユベントスでの活躍が印象的なサイドプレイヤー。悪質なタックルで失意のまま帰国した日韓W杯の後にサイドハーフからサイドバックに転向。迎えた2006年ドイツW杯では準々決勝ウクライナ戦で1ゴール1アシストを記録するなど大車輪の働きでイタリアの優勝に大いに貢献した。
しかし02-03のCLを決勝のPK戦で逃し、テュラム同様にカルチョポリを機にバルサへ移籍。レギュラーとしてプレーしたが、2シーズンともプレミア勢に敗れた。テュラム同様、移籍前年と退団した年にバルサがCLを獲得するという間の悪い経験を味わっている。
MF パトリック・ヴィエラ
(1998年フランスW杯王者)
生年月日:1976年6月23日
国籍:フランス
現役期間:1993〜2011年
過去の主な所属チーム:ASカンヌ(1993〜1995)、ACミラン(1995〜1996)、アーセナル(1996〜2005)、ユベントス(2005〜2006)、インテル・ミラノ(2006〜2010)、マンチェスター・シティ(2010〜2011)
過去のW杯出場:1998(優勝)、2002(GL敗退)、2006(準優勝)
★EURO2000優勝
過去のCL最高成績:ベスト8(00-01,03-04アーセナル、05-06ユベントス)
フランス代表の中盤を長きに渡って支えた選手。ACミランで燻っていたところを同じフランス人のアーセン・ベンゲルの進言もあってアーセナルに誘われ、そこからはプレミアリーグ史上に残るボランチとしてアーセナルの黄金期を築き上げた。03-04シーズンには無敗優勝も経験している。
ただ、アーセナル自体がCLではなかなか結果を出せなかった。04-05シーズンをもって退団し、ユベントスとインテルでもプレーしたが、インテルでは出場機会の減少もあって09-10シーズンの途中で退団。インテルがCLを制覇するのはこの半年後だった。
MF ロベール・ピレス
(1998年フランスW杯)
生年月日:1973年10月29日
国籍:フランス
現役期間:1993〜2015年
過去の主な所属チーム:FCメス(1993〜1998)、オリンピック・マルセイユ(1998〜2000)、アーセナル(2000〜2006)、ビジャレアル(2006〜2010)、アストン・ヴィラ(2010〜2011)、FCゴア(2014〜2015)
過去のW杯出場:1998(優勝)
★EURO2000優勝
過去のCL最高成績:準優勝(05-06アーセナル)
重要なアシストを記録し、フランスW杯の優勝に大きな役割を果たしたフランス黄金期の中心選手。W杯の2年後に行われたEURO2000決勝でもダヴィド・トレゼゲの優勝ゴールをアシストするなどフランスの攻撃をジダンらと共に牽引していた。
クラブではアーセナル黄金期のキーマンとして知られており、ヴィエラやティエリ・アンリとの強力なフランストリオで無敗優勝(インビンシブルズ)など多くの栄光を掴んだがCLではクラブとして奮わず。それでも05-06に念願の決勝進出を果たすが、アーセナルのGKが退場になった事から前半で無念の途中交代。これがアーセナルで最後の試合となってしまった。
余談だが、前述のフランストリオではアンリだけが唯一、アーセナル退団後にFCバルセロナでCL優勝を成し遂げている。
MF セスク・ファブレガス
(2010年南アフリカW杯王者)
現所属チーム:ASモナコ(2019〜)
生年月日:1987年5月4日
国籍:スペイン
現役期間:2003年〜
過去の主な所属チーム:アーセナル(2003〜2011)、FCバルセロナ(2011〜2014)、チェルシー(2014〜2019)
過去のW杯出場:2006(ベスト16)、2010(優勝)、2014(GL敗退)
★EURO2008優勝
☆FIFAクラブワールドカップ2011優勝
★EURO2012優勝
過去のCL最高成績:準優勝(05-06アーセナル)
CLに関して、一番未練を感じざるを得ないシチュエーションを経験しているのはこの男かもしれない。南アフリカW杯を制したスペインで10番を背負い、決勝のオランダ戦でイニエスタのゴールをアシストした名手のCLの歴史はタイミングを恨みたくなるような瞬間も多かった。
バルサのカンテラで育ち、プロデビュー前にアーセナルに引き抜かれたセスクは05-06シーズンに決勝まで駒を進めるが、アーセナルの夢を打ち砕いたのは他でもないバルサだった。10-11シーズンは開幕前にバルサへの移籍が実現寸前まで行きながら残留し、セスクのバルサでのプレーは11-12〜13-14シーズンの3シーズンになったが、結局バルサがCLを制したのが10-11と14-15だったのは間が悪いというか…。
なお、バルサがCLを制した翌年にバルサに入団した為、クラブW杯での優勝経験は有している。
MF ダビド・シルバ
(2010年南アフリカW杯王者)
現所属チーム:レアル・ソシエダ(2020年〜)
生年月日:1986年1月8日
国籍:スペイン
現役期間:2003年〜
過去の主な所属チーム:バレンシア(2003〜2004、2006〜2010)、エイバルCF(2004〜2005)、セルタ・デ・ビーゴ(2005〜2006)、マンチェスター・シティ(2010〜2020)
過去のW杯出場:2010(優勝)、2014(GL敗退)、2018(ベスト16)
★EURO2008優勝
☆EURO2012優勝
過去のCL最高成績:ベスト4(15-16マンチェスター・シティ)
スペイン史上、そしてプレミア史上に残るクラッキ。だが彼の場合は若手時代はバレンシアの選手として過ごしていたし、全盛期はマンチェスター・シティの一員として、ビッグクラブでの生活というよりはビッグクラブに至る過程を築く仕事をしていたと言ってもいい。そういう意味で、このベストイレブンに入れている選手の中ではやや気色が違うか。
ちなみに南アフリカW杯では優勝メンバーの一員ではあるが、同大会での試合出場は2試合に留まっている。
MF メスト・エジル
(2014年ブラジルW杯王者)
現所属チーム:フェネルバフチェSK(2021〜)
生年月日:1988年10月15日
国籍:ドイツ
現役期間:2006年〜
過去の主な所属チーム:シャルケ04(2006〜2008)、ヴェルダー・ブレーメン(2008〜2010)、レアル・マドリード(2010〜2013)、アーセナル(2013〜2021)
過去のW杯出場:2010(3位)、2014(優勝)、2018(GL敗退)
過去のCL最高成績:ベスト4(10-11、11-12、12-13レアル・マドリード)
先日、ジョゼ・モウリーニョが自身が指導した選手のベストイレブンを組んだ際にもMFとして選出された稀代のチャンスメイカー。元々ドイツでは期待の若手として注目されていたが、南アフリカW杯での大活躍で世界的にブレイクを果たし、大会後にモウリーニョが就任したレアルに入団。クリスティアーノ・ロナウド、アンヘル・ディ・マリアらと形成した2列目の破壊力は凄まじい威力を放ち続けていた。
W杯では2014年ブラジルW杯で優勝を経験。しかしCLに関してはレアルでの3シーズンはいずれもベスト4で敗退を喫してしまう。アーセナルではベスト16より上には進めなかった。
FW ミロスラフ・クローゼ
(2014年ブラジルW杯王者)
生年月日:1978年6月9日
国籍:ドイツ
現役期間:1999〜2016年
過去の主な所属チーム:カイザースラウテルン(1999〜2004)、ブレーメン(2004〜2007)、バイエルン・ミュンヘン(2007〜2011)、ラツィオ(2011〜2016)
過去のW杯出場:2002(準優勝)、2006(3位)、2010(3位)、2014(GL敗退)
過去のCL最高成績:準優勝(09-10バイエルン・ミュンヘン)
W杯での歴代最多得点記録の保持者。"クラブよりも代表での活躍が印象的な選手"と言われればクローゼが真っ先に思い浮かぶ人も多いのでは。前評判の低かった日韓W杯のドイツ代表で5ゴールを挙げてドイツ準優勝の立役者となると、続く自国開催のドイツW杯では得点王に輝く。南アフリカW杯でも活躍して迎えたブラジルW杯ではブラジルのロナウドが保持していたW杯通算得点記録を更新し、そして悲願のW杯優勝を果たした。ドイツ代表におけるクローゼの存在感は絶大で、近年のドイツの不振はクローゼのような本格的なストライカーがいないからという意見も少なくない。
現実的に彼にCL制覇のチャンスがあったのはバイエルンでの4シーズンだった。しかし当時のバイエルンは今ほどの圧倒的感は無く、09-10シーズンは決勝に進んだがインテルに敗れた。
FW ロナウド
(1994年アメリカW杯、2002年日韓W杯王者)
生年月日:1976年9月22日
国籍:ブラジル
現役期間:1993〜2011年
過去の主な所属チーム:PSV(1994〜1996)、FCバルセロナ(1996〜1997)、インテル・ミラノ(1997〜2002)、レアル・マドリード(2002〜2007)、ACミラン(2007〜2008)など
過去のW杯出場:1994(優勝)、1998(準優勝)、2002(優勝)、2006(ベスト8)
★FIFA年間最優秀選手賞(1996〜1997、2002)
☆バロンドール受賞(1997、2002)
★コパ・アメリカ優勝(1997、1999)
☆バロンドールドリームチーム
過去のCL最高成績:優勝(06-07ミラン)orベスト4(02-03レアル・マドリード)
意見が分かれるというか、考え方による。
フェノーメノと呼ばれ、サッカーの歴史にまさしく偉大な足跡を残したストライカー。W杯は2回制覇しており、アメリカW杯では出場機会がなかったが、日韓W杯ではリバウド、ロナウジーニョと「3R」の一角として大会得点王に輝くなどチームを優勝に導いた。
正確に言えば、ACミランに所属していた06-07シーズンにミランはCL制覇を達成している。しかし、ロナウドはシーズン途中にレアルから移籍してきており、レアルでCLメンバーに登録されていた事から、当時のルールでミランではCLに出場出来なかったので、ロナウドは所属メンバーではあったが優勝メンバーではなかった。なので彼のCL最高成績はレアル時代のベスト4と言った方が近い。
しかしミランでCLに出場出来なかったとはいえ、ロナウドをリーグ戦に専念させることで他の主力FWをCLに専念させられる状況をミランは作ることができた。本人からすれば複雑な感情はあるだろうが、ミランのCL優勝における影の立役者であるのは間違いない。
さぁ、明日の決勝を楽しみにしましょう!
…2018年の決勝の時、私なぜかW杯のエジプト戦のチケット持ってたので…あのシーンの時は変な声出ましたねぇ…。
パリィ
ではでは(´∀`)